自分より背の高い野花を見上げ、ほむほむは小さく微笑んだ。

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作者:DdRiWETho

563 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage] 投稿日:2011/12/22(木) 19:57:06.72 ID:DdRiWETho





自分より背の高い野花を見上げ、
ほむほむは小さく微笑んだ。

ここは人があまり立ち寄ることは無く、
自分達の巣ですら人間の悪意の対象になる
ほむほむ達にとっては安らげる唯一の場所と言っても良い。

「……ホムゥ」

ほむほむは隣で寝そべっているまどまどを見つめた。

2人は同じ経験をし、
共に理解し支えあえる存在。

ほ虐を受ける親の悲鳴を背中に打ち付けられながらも、
命からがら逃げ出した仔ほむと仔まど。

親は違えど、
2人は姉妹のように仲良く、
そして協力し合い、ここまで逃げてきた。

「マドォ……ホムラチャン」

「ホム? ホムッフ!」

親がいないことを今だに引きずるまどまどに、
ほむほむは見栄を張った。

私が守るから。と。

人間が来ないとは言え、
あんあんやさやさやにまみまみがいないわけではない。

ほむほむではそれらに勝つことは出来ない。
でも、
まどまどを安心させる為にそういうしかなかった。

「マド?」

「ホム?」

「マドッ!」

まどまどがほむほむの背中を撫でて、
何かを訴えていた。

ほむほむが確認してみると、
服に小さな黒いシミが出来ていた。

「ホムゥ……ホムッ」

「ホムラチャ~ン」

逃げる際についた汚れ、
長旅の勲章として、
ほむまどはそれを落さない事にしたらしい。

暫くして、
巣をつくり、平穏に暮らしていたほむまどの近くに、
突然、人間の足音が轟いた。

「マ、マドォォォ!?」

「ホムッ、ホムッ! マドカァ!」

震えるまどまどを宥めながら身を潜めていると、
すぐに足音は遠くなり、
また落ち着きを取り戻した。が。

「ホムッ、ホムン」

「マ、マドッ!?」

ほむほむは巣を出て確かめに行くと言い出した。
まどまどは引き止めていたものの、
ほむほむの意思に負け、行くことを許した。

「ホム?」

外を確かめたものの、
特に何もされた様子はなく、
ほむほむは巣に帰った。

「マドッ? ホムラチャン!」

かなり心配していたのか、
まどまどが走りよって抱きついてきた。

が。

ほむほむはとてつもない違和感に襲われた。

「マド?」

それにはまどまども気づいた。
いままでなかったことが、起きていたから。

「ホムッフゥ///」

「ホ、ホムラ……チャン?」

妙に息の荒くなったほむほむ。
そして、
いきり立つそれが、
状況を言わずとも表していた。

「ホムッ! マドカァ!」

目の前にいるまどまどに飛びつきたい衝動を、
ほむほむは何とか抑え、
まどまどに逃げるように言う。

しかし、
巣の出口は何者かに塞がれ、
逃げることは出来なくなっていた。

「マ、マドッ!?」

外から僅かに聞こえる笑い声は、
親を虐待していた少女の声だった。

自分達は逃げ延びたのではなく、
逃がされていたのだ。

それに気づき、
抵抗、説得空しくも、
闇に捕らえられたまどまどが最後に見たのは、
小さな赤い輝きを放っている逃げ延びた勲章のシミだった。



「ホ、ホムッ?」

ほむほむは痛む頭を撫で、周りを見渡す。

自分達の巣であるそこには、
異様な雰囲気が立ち込めていた。

「マドカァ?」

傍に横たわるまどまどを呼んでも反応は無い。

呼吸しており、、
生きていることは解った。

「マド――!!」

まどまどに触れた瞬間、
自分がした行為を思い出し、
声にならない叫びが当たり一面に響いた。

ほむほむはまどまどを犯してしまった。
理由は解らない、
けれど、してしまったことに変わりはなかった。

嫌がり、やめるように言うまどまどを、
ほむほむは無理矢理。

それによって、
ほむほむは壊してしまった。

守ると言ったはずのまどまどを。


「テンコーセェ?」

「クウカイ?」

巣の入り口から、
ほむほむの悲鳴を聞きつけた狩人たちの声が侵入する。

しかしすでに、
ほむほむにも、まどまどにもその声は届かない。

大切な人を壊したほむほむもまた、
壊れてしまったから。

「アンアン!」

「キョーコ?」

逃げ延びた勲章といわれたシミを服から取り外し、
あんあんがさやさやに渡す。

立ち入り禁止と書かれた看板の傍に、
2人の少女が立っていた。

「新しい催淫剤は効き目ばっちりみたいだね」

「そうだね、これも中々。
さてと、二つ目の機能は――」

その内の一人が何かのボタンを押すと、
看板の奥地に大きな音が轟いた。


終わり。





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