さやか「さやさやってホントバカ」
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作者:EVYH7kOy0
938 名前:※ほ食種虐待注意[sage saga] 投稿日:2012/03/09(金) 01:08:23.88 ID:EVYH7kOy0
「ホビャァァァァァァァァァァァァァァァ!」
これで全滅。今日もまた一つほむほむの巣が減った。
血の付いた愛刀を、まるで汚らわしいものでも払うかのようにさやさやは振りかぶる。この巣を壊滅させた張本人だ。
彼女(?)はほむほむが心底嫌いだった。愚かで汚らわしい、身の程をわきまえず人間にすり寄る、生きる価値すらない生物を抹殺することが自分の使命だと幼いころから考えていた。
だからこそ、自分がさやさやであることを誇りに思っていた。強く賢く、勇敢で人間にも好かれる。そんな生物であるとずっと思ってきた。
成長したさやさやは、この地域一帯でも名うての狩人になっていた。時には大型の巣を一人で壊滅させ、時には危機に瀕した仲間のために勇敢に戦った。
頬についた傷跡もそんな武勇伝の一つだ。仲間が猫に襲われたときについたもので、さやさやの回復力をもってしても完治できないほど深い傷だったが、猫は無事撃退、傷跡もさやさやにとっては勲章のようになっていた。
傷跡をひと撫でし、満足そうに巣に足を向ける。と、付近の茂みから気配がした。大きさからして、生き残りのほむほむとは思えない。
突然の事態に備えて身構えるさやさや。
「あー、いたいた。やっと見つけたよ。」
現れたのは青い髪の少女だった。どうやら自分を探していたらしい。
この少女の事は仲間内でも有名だった。凄腕のほ虐愛好家、己の気の向くままほむほむを殺しつくすほむほむの天敵だ。
仲間内では、自分たちの取り分が減ると少女の評判は良くなかったがこのさやさやは違った。
ほむほむを殺す鮮やかな手並み、一切の情けをかけない精神は、さやさやにとってまさに憧れだった。
話がしてみたい。さやさやはそう思った。別にエサをもらおうとか、飼いさやにしてもらおうとかそういう卑しい考えはない。ただ自分の武勇伝を聴いてもらいたい、ほむほむの殺し方を教えてほしい。その程度の考えだった。
「頬に傷痕。うん、まちがいないね。いやー探しまわったかいがあったよ」ブチッ
右腕に突然の違和感。何事かと目を向けると、右腕が肩からちぎられており、長年ともに修羅場をくぐってきた愛刀が少女に無残に踏み砕かれていた。
なぜ? どうして? そんな考えが頭を巡った。そんなさやさやの様子も目にくれず、少女は残りの左腕と両足をもぐ。
「あんたのせいでまどかのエイミーが怪我しちゃってね。これはお仕置きしなくちゃと思ったわけですよ」ブチッ、ブチッ、ブチッ
思考が停止し呆然としているさやさやに語りかける少女。エイミーとはおそらく、以前撃退した猫のことらしい。
そんなことは知らない。仲間が襲われていたから助けただけだ。それに粗相をしでかしたのがほむほむならいざ知らず、さやさやの自分がなぜこんな手足をもがれるような目に合うのだ。
そんなさやさやの疑問を無視して、少女は言い放った。
「普通飼い猫に襲われたら、狩りに付き合って潔く食べられるものでしょうが。そんなことも知らないさやさやにはとっておきの罰を与えよう。ほむほむにはできないようなのを」
と、傍らに置いてあった籠を開け、さやさやに見せつける。
「ホムゥ」
「ホムホム」
「ホミャァ」
十匹ほどのほむほむがいた。メガほむや仔ほむも交じっている。
「というわけで、さやさやへの罰はほむほむのエサになることでーす」
少女の言葉に血の気が引いていく。冗談ではない。ほむほむに食い殺されるなど、考えられる限りもっとも情けない死に方だ。
そんなさやさやを容赦なく篭に放り込む少女。群がるほむほむ。
五体満足ならなんてことはない数だった。しかし切り捨てようにも剣がない。首を折ろうにも手がない。逃げ出そうにも足がない。せめて噛みつこうにも出血で体に力が入らない。
なぜこんな目に合う、なぜさやさやの自分がこんなほむほむみたいに惨たらしく殺されるのだ。そんな思考が頭を支配する。
「いやー、自分よりはるかに劣る生物に食い殺されるなんて、生物の最底辺のほむほむには絶対できないことだよ。ねぇどんな気持ち? ねぇどんな気持ち?」
少女の言葉もさやさやには届かなかった。なぜこんな目に。自分はさやさやだ、ほむほむなんかとは違う。強く賢く、勇敢な生物だ。こんなほむほむみたいな無抵抗に食われるような死に方をしていい生物ではない。そんな言葉が頭を駆け回る。
いつの間に口に出ていたのか、さやさやの疑問に少女が答える。
「ん? あんた自分がさやさやだから許してもらえると思った? バッカじゃないの。あたしら人間にとっては、ほむほむもさやさやも大して変わんないわよ。ほむほむかほ食種かなんて、クロゴキブリかチャバネゴキブリか程度の違いしかないの。あんたらが勝手に勘違いして、自分達は人間に好かれているなんて思っているだけよ」
自分がこんなほむほむと同じ? 今自分の体をまずそうに食っているほむほむと同じだと少女は言った。しかし反論できない。身体を食いちぎられる激痛と、何よりほむほむに食われているという屈辱に、脳がもはや考えることをやめていた。
「ホミュゥ」マズイ
「ホムッ」ガマンシナサイ
「ホム、ホムホム」トニカクハラニイレトケ
もう限界だった。軟弱なほむほむとは違うという矜持が押しとどめてきたがもはや耐えられない。多くのほむほむがそうしてきたように、まるで少女の言葉を証明するようにさやさやはそれを実行した。
すなわち……
「ザヤァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「叫び声までほむほむそっくり。これで自分とほむほむは違うって言い張るなんて、さやさやってホントバカ」
※おしまい