その1
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homuhomu_tabetai
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春の日差しが気持ちいい、ある日の昼下がり。こんな日は散歩に限る・・・。
こんな単純なことで、日々の疲れが癒されるのだ。我ながら単純である。
―――いい加減疲れたので家路に着こうとした時、一組の小動物を見つけた。
ほむほむ1「ホムーホムー」トテテテ
ほむほむ2「ホムム」トタタタ
ほむほむ3「ホムゥ」トテテテ
ひぃ、ふぅ・・・3匹か。
それぞれ両腕にはたくさんの木の実や花を抱えている。木の実・・・は餌だろうが、花は何に使うのだろう?巣のインテリアにでもするのだろうか。興味が湧いたので予定を変更し、少し尾行をすることにした。
小一時間かけて、ようやくほむほむたちは目的地に辿り着いたようだ。
見滝原公園――――その中心部にそびえ立つ大木の根元へと彼女たちは駆けていった。
ほむほむ2「ホマァー・・・ホマァー・・・」ゼェゼェ
ほむほむ3「ホムッ!」マニアッタネ!
間に合ったとはどういう意味だろうか、と、考えてるうちに答えは見えた。
まどまど(以下、新郎まど)「マドォ///ホムラチャン///」
ほむほむ(以下、新婦ほむ)「マドカァ///」
大木の根元、根の分かれ目の中心部に2匹。
花を結んで蝶ネクタイのように胸元につけたまどまど、同じく花の髪飾りを被ったほむほむ。ほむほむはまぁ中の下といったところだが、片やお相手は中々の美まどである。
一見すると不釣り合いなカップリングとも思えるほどに。それゆえか、ほむほむはとても嬉しそうに頬を赤らめている。
そして、それらを取り囲むたくさんのほむほむとまどまど。
私は目を疑った。紛れもなくこれは結婚式ではないか。
ほむほむ1「ホムンッ」オメデトウ
新婦ほむ「ホムムゥ///」アリガトウ
ほむほむ2「ホムホム」オミヤゲダヨ
新婦ほむ「ホムァ!」キレイナオハナ!
なるほど・・・あの花と木の実はこの結婚式のための御馳走とプレゼントか。
まどまど1「マドドォ!」シアワセニネ!
まどまど2「マードッ!」アソビニイクカラネ!
新郎まど「ティヒヒッ・・・マド・・・///」ミンナアリガトウ・・・ポロポロ
なんだなんだこれは?まどまどが感極まっている?こんなの聞いたことが無いが、実際に私の目の前では粛々と「結婚式」が行われている。
ほむほむたちにそんな文化はあったか?いや、やはり聞いたことが無い。
人間が教えた可能性しか考えられない。
誰が?何のために?いや、それよりも・・・
色とりどりの草花で彩られた根っこの教会。
暖かく番を見守るほむほむとまどまどたち(おそらくは群れの仲間か)。
その中で目一杯の祝福を受ける幸せいっぱいの2匹。
見ているこちらまで幸せな気持ちに包まれるこの空間。
ほむほむ4「ホムッフゥ!ホムホム」キョウハイイヒダネ
めがほむ1「カナメサァン」シアワセダネ
まどまど2「ティヒヒッマドォ」ステキナフタリダネ
仔ほむ1「ホミュ~」トテトテ
まどまど4「マッドォ!」コラ!オトナシクシテナサイ
仮に誰かが教えたかもしれないとは言え、一介の小動物に過ぎないほむほむたちにこんな素晴らしい空間を作り出すことができるなんて・・・。
不覚にも少し感動してしまった。
神父ほむ「ホムゥ!ホムホム」デハ、チカイノキスヲ
新婦ほむ「マドカァ///」アイシテルヨ///ドキドキ
新郎まど「ホムラチャン///」ワタシモヨ///ドキドキ
――――チュッ
新郎まどから新婦ほむへの口づけ。
それを合図にホムー!マドー!などの祝福の言葉が盛大に飛び交う。
結婚式はフィナーレを迎えようとしていた。
―――と、ここまで彼女たちに気付かれないように誓いの儀を見守ってきたわけだが・・・
少し、悪戯をしたくなった。
あまりにも慎ましく可愛らしい彼女らなりの誓いの儀。
よりにもよってこんなめでたい場面で、とは思ったが。
何、ちょっと頭を小突くぐらいのもの。
この場がどんな感じになるか見たいだけだ。
足元の小石を2、3粒拾い上げる。小石といっても、ほむほむたちの頭部と比べると宛ら硬式野球のボールである。
気付かれない位置から狙いを定め、根っこの教会に向かって軽く投げてやった。
コツッ、コツンと幹にぶつかる音がする。
ほむほむ1「ホ・・・ホム?」ナニ・・・イマノ?
まどまど2「ティヒヒッ」ナニカアッタカシラ
まどまど3「マドォ?」サァ?
ほむほむ2「ホムーホムー」キノセイダヨ
気付いていない。今度はさっきより乱雑に投げつける。
幹に当たる乾いた音に混じり、やや鈍い音がした。
ほむほむ3「ホッ!・・・」
ほむほむの後頭部に命中しているではないか。
短い悲鳴をあげたかと思うと、勢いよく前方に倒れこむ。
額の骨と地面がぶつかる音がし、―――式場は一気に悲鳴に包まれた。
「ホギャァァアァアアア!!!」イヤァァアアアァ!!!
「ホビャァ!ホビャァァアア!」ガクガクブルブル
「マギィエエェエェエ!!!」ナニガアッタノォォ!!
「カナメサァアアアァァアアン!!」ジョロロロ…
「ホミュ?」ドウチタノ?オカーサン?
「ホビャッ!」ミチャイケマセン!
「マドォオオオォオォ!!」ガクガクガクガク
ほむほむ3「・・・!・・・!」ビクッ!ビクビクン!
新郎まど「・・・マド?」
新婦ほむ「ホ・・・?」
主役の2匹は混乱していた。無理もない。
お土産に花と木の実をくれたほむほむはうつ伏せでビクビクと痙攣を繰り返し、
自分達を祝福してくれていたまどまどたちは、起こった事態を理解できずに泣き叫ぶばかり。自分達の幸せを願ってくれていたほむほむたちは慌てふためき、言い知れぬ恐怖に戦いていた。
ほんの少し頭を小突いてやっただけなのに・・・結婚式どころでは無くなってしまったようだ。
神父はすでに泡を吹いて失神している。
新婦ほむ「ホッ!ホムホム!」ミンナ!オチツイテ!
新郎まど「マッ!マドマド!ホムラチャン!」ナカマヲタスケヨウ!
ほむほむ1「ホムゥ!」ソウダ!
まどまど1「ホムラチャン!」ホムホム!シッカリ!
うつ伏せに倒れたままのほむほむに駆け寄る一組のほむほむとまどまど。
倒れたほむほむの後頭部をさすりなが
ら、必死でホムラチャン!やホムー!と呼び掛けている。
ほむほむ3「・・・!」ビクビクン!
ほむほむ1「ホムァー!ホムァー!」シナナイデー!
まどまど1「マッドォ!サイコウノトモダチ!」ゼッタイタスケテアゲル!
助けに来た2匹は痙攣を繰り返し意識の戻らないほむほむを一緒に引っ張って治療のできる場所へ運ぼうとしているようだ。
懸命で仲間思いな姿は実に微笑ましい。生き物の鑑だ。
―――と、そこでまた次の悪戯を思い付く。いや、そこまで酷いものじゃない。軽くカンチョーしてやるぐらいのものだ。
ほむほむたちから視線を外さずに掌へと大量の砂利を集め、投げつける。
バラバラバラという乾いた音と共に砂利はほむほむとまどまどの網膜に飛び込んでいく。
ほむほむ1「ホォッ!ホォォオオオォオォオ!?」メガッ!?メガァァァアアア!?ゴシゴシゴシ
まどまど1「マドォオォォオォオ!?」イタイヨォォオオオォオォ!?ゴシゴシゴシ
ドスン!
ほむほむ3「ホギッ!・・・!」ビクビクン!
目の中に砂利が入り、その痛みを取り除こうと慌てて目を拭っているが、それは大きなミステイク。
砂利が入ったままの目を擦り続ければ、擦られた砂利が網膜を傷付け、最悪失明する。だが、そういった知識は備わってないのだろう。
目を拭うために手を離したので痙攣ほむほむは再び額を強打してしまった。
ほむほむ1「ホムァ!ホムァ!ホムァァァァアアアア!!?」イタイヨ!?イタイヨ!?トレナイヨォォオオオ!?ゴシゴシポロポロ
まどまど1「マギャァァァアアァァァ!?ホムラチャァァァァアァァァアァァン!?」タスケテェ!タスケテホムホムゥゥウウゥウゥ!?ゴシゴシポロポロ
痛みに苦しみながら目を擦り続ける。痛みの原因がいつまでもとれない。
辛さから逃れようと、ついに2匹は公園隅の池へのほうと駆けていってしまった。
ほむほむ2「ホムゥ・・・」ナカマ・・・イッチャッタ・・・
ほむほむ4「ホムム・・・ホム」コレカラドウスルノ・・・
ほむほむ3「・・・!!」ビクビクン!
新郎まど「ホムラチャン・・・」ワタシコワイヨ・・・
新婦ほむ「ホム・・・マドカァ」テヲハナサナイデ
新郎まど「マッドォ・・・マドドド」アリガトウ・・・
まどまど2「マドォ!ホムラチャン!」ダイジョウブ!ワタシタチガタスケル!ダダダッ
勇敢なまどまどが痙攣ほむほむを引っ張る。それにつられ、回りで見ているだけだったほむほむたちも手伝いに入る。
ほむほむ4「ホムァァァアアァァア!!」ナカマァァァアア!!
ほむほむ2「ホムゥゥウゥウゥウウ!!」タスケルゥゥウゥウゥウウ!!
新婦ほむ「ホムホムホムゥ!ホムゥゥ!」ミンナ!ガンバロウ!
新郎まど「マッドォォオ!ホムラチャァァァアアァン!」ハヤクアンゼンナバショニィィィィイイイィ!!
まどまど2「マドォォオォ!」シナセナイ!
仔ほむ1「ホミュッ!」グイグイ
仔ほむ2「ホミューホミュー」グイグイ
めがほむ1「アケミッ!アケミサァァアァァアン!」シッカリ!
めがほむ2「ホムゥゥウゥゥン!!」ガンバッテ!
元来臆病なはずのめがほむや、非力な仔ほむも加わり、群れ総出で痙攣ほむほむを運んでいく。ほむほむ1匹、大した重さでは無いはずなのだが、やはりほむほむ。仲間を思うが故であるか。
だが無意味だ。