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パラファシズム
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史実
パラファシズム | ||
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英名 | Para-Fascism |
別名 |
パラファシズムとは、イタリアのファシズムやドイツのナチズムを表面的に真似つつも、保守革命的なイデオロギーは取り入れない権威主義の一種である。
例としては、ポルトガルのサラザール政権やギリシャのメタクサス政権、オーストリアのドルフース政権などがある。
ファシズムとの違い
イデオロギー的な違い
ファシズムは、国家や民族の再生を目指す急進的で革命的なイデオロギーを本質的に有しているとされる。例えば、「新しい人間」の創造、既存の社会秩序の根本的変革、全体主義的な国家観などである。
起源の違い
ファシズムは、比較的「自力」で政権を獲得することが多い一方で、パラファシズムは、既存の保守エリート(軍部、王室、教会、大土地所有者など)が、国内外の危機(社会主義の脅威、経済不安、政治的混乱など)に対応するために、ファシスト的な手法を選択的に導入することで成立することが多い。
目的の違い
ファシズムは、社会全体の根本的な変革を目指すことが多いが、パラファシズムはもっと保守的であり、既存の権力構造の維持や強化、社会秩序の安定を狙う。
ファシズム化
パラファシズム体制は、既存保守のファシズム化で成立したとされる。
自発的ファシズム化
いわゆる「上からのファシズム化」である。既存の権威主義体制が自らの正統性を高めたり、統治を効率化したりするために、ファシスト的な制度やシンボルを導入する実用主義的なファシズム化であり、国内に強力なファシズム運動がない場合に行われるとされる。
例としては、サラザール政権やメタクサス政権である。
予防的ファシズム化
こちらは、逆に国内に強力なファシズム運動がすでに存在する場合のケースである。体制側は、ファシスト運動の脅威に対抗し、既存の体制を守るために、その運動の要素を取り込みつつ、より穏健で保守的な形でファシスト化を進める。
既存のファシズムに飲み込まれるのを防ぐ意味合いを持つファシズム化であり、ナチスに対抗してオーストロ・ファシズムを確立させようとしたドルフース政権などが例である。
参考文献
- Aristotle A. Kallis, ‘Fascism’, ‘Para-fascism’ and ‘Fascistization’: On the Similarities of Three Conceptual Categories