今から400年前、黒い長角公ゲオルグ(ジョージ1世)は東大陸は
マセ・バズーク、
オルニト以南、
”仄めかす者岬(ケープ・ウィスパー)”より西側に広がるペーザル平原に約束の地を見出した。
『地上最強の生物ドラゴン』
約8万年前に急激に数を減らしたのは神々に挑戦したからだと伝えられているが、ハッキリしたことは分からない。
ただあまり賢くない選択を繰り返し、時代が下がるにつれて賢い者より馬鹿ばかりになり、姿も醜く暗く澱んだものに近づいた。
かつては地上に太陽を写し取ったように光り輝く至高の存在であった彼らも、今は黒く醜悪な姿に成り下がった。
ドラゴンは姿かたちは数あれど、全てが同一の種族である。
注意が必要なのは、俗にいうワイバーン(リンドヴルウム)などは彼らとは全く別の生物である。
同様に龍(リュウ/ロン)、つまりオリエンタルドラゴン(東洋の龍)や竜人、鱗人なども彼らとは関係ない。
まず、おおよそ小さな個体でも13m、記録にあるだけで最も大きな個体は70mを超える。
しかしこの時代でもっとも偉大なドラゴンであっても、絶頂期の彼らにしてみれば趣味の悪い劣等種に他ならない。
近親交配と本来なら生存にも値しない脆弱な者同士が乱交雑することで、本来の高貴なる形質は失われてしまった。
次に鱗の色や角の数、時には首の数さえ異なるが、これは個体差であり、種族の違いを示すものにはならない。
これもかつては白く、陽の光を受けずとも自然に光り輝く姿をしていたが、今では暗く、鈍い。
また翼の左右の頂点を結んだ距離と頭から尻尾までの長さは等しい。
故にドラゴンの頭、翼の頂点、尻尾を線で結ぶとほぼ正円を描く。
さらに一見、爬虫類のようだが、卵は産まない。卵胎生をとり、卵は腹のなかで孵す。
この時、兄弟は胎内で互いに食らい合う。その上、かつては生まれた時に母親が動きの遅い我が子を選り食んだというが、
今ではどれも生まれてすぐに目も明かない、愚図でのろまばかりである。
強靭な肉体と屈強な生命力、深い知性ととこしえの時間が与える豊かな知識。
だが、彼ら自身が最も誇るべき能力は飛行能力とドラゴンブレス、口腹から放たれる火炎にある。
いずれも神の与えた力でも、魔法でもなく、彼ら自身の比類なき生命力が支える特性である。
かつて彼らは何ものよりも誇り高く、そして崇高な生物であった。
自分たちに絶対の自信を持ち、神などは顧みなかった。劣った者はためらいなくにじり殺された。
強さと賢さ、美しさこそがドラゴンそのものであり、同じ母親の胎内から生まれ落ちたことなど何の意味も持たなかった。
そんな傲慢で許すことを知らない彼らは他の生物とは相容れずに生きて来た。
思えばこのような生活が彼らを荒廃させ、ここまで数を減衰させ続けた理由に他なるまい。
今はかつての誇り高さ、いや愚かさを反省して、多くはおごそかに暮らしている。
自尊心だけは神ほどあった先祖たちに言わせれば、死んでいないだけで、すでにドラゴンなどではないと憤るだろう。
『シャーンイイ伯爵領』
時に
スラヴィア戦争が始まり、列強国が激しく争う中、数少ないドラゴンの部族を率いる王、黒い長角公ゲオルグ、
後のジョージ1世はスラヴィアの家臣となる宣誓をあげて吸血姫に忠誠を誓い、ペーザル平原に国家を成立させた。
すなわちこれが『シャーンイイ伯爵領』の誕生である。
不安定な未踏破地帯にさしかかったペーザル平原はマセ・バズークもオルニトも進出していなかったが、
長角公は古代の都市遺跡を発見し、水源や農耕が可能な地勢をつぶさに調べると、ここに安定した国家が存続できる可能性があると考えた。
スラヴィア本国からいえばシャーンイイは全くの飛び地である。
しかしオルニトなどの列強がスラヴィアを侵そうとすれば、その背後を脅かすことで本国を守ることができる。
同様に不安定な未踏破地帯と緩衝材になるという事実をオルニトに説き、この地に国家の樹立を許された。
現実的にいえばシャーンイイの国力ではオルニトを脅かし、スラヴィア本国を支援することなど到底不可能であり、
スラヴィアもシャーンイイがオルニトに攻撃されたとしても、援軍を送り込むことは非現実的であった。
オルニトにしてもシャーンイイはあまりに不安定な地域に広がっており、まるで魅力のない領域であった。
これは遠交近攻という外交のテクニックであり、あえて国境を接しないスラヴィアと軍事同盟を結び、
国境を接するマセ・バズーク、オルニトとは距離を取ることで弱小国としての生き残りをかけた。
いずれにしてもどの国もスラフ島の戦いにかかり切りで、こんな小さな国のことなど誰もが忘れた。
本来、何物にも屈しないドラゴンが他国の封臣となることは、考えられない屈辱だったが
長角公が率いているドラゴンの一団はこの時、老人や病人ばかりになり、各地を放浪することに耐えられない状況だった。
そのため一時の方便として、彼らは若いドラゴンが数を取り戻すまでの間、史上、類のない領土を有するドラゴンになった。
老いた王は一大事業を成し遂げて、すぐにも世を去った。
跡を継いだジョージ2世はスラヴィア貴族でありながら
アンデッドになることを拒み続け、7度本国に招聘された。
また饗宴なども全く行われることもなく、スラヴィア領というのは完全に形式だけになっていった。
ひるがえって未踏破地帯に遠征を繰り返し、ジョージ2世はおびただしい犠牲を出した。
あとは食料となる酪農と主邑(首都)ナーナクを作るべく、周辺の原住民の蟲人、鳥人、鱗人を大量に奴隷として連れ去った。
当然、これにも激しい反撃にあってジョージ2世はあらゆる政策で失敗し、建国30年目にして遠征中に病死した。
シャーンイイ伯爵領、3代国主ジョージ3世。またの名を暗い目のゲオルグという。
ドラゴンは”副名”という個人を特定する二つ名と親の名前を引き継ぐ。暗い目のゲオルグは副名を合わせた通り名である。
副名が示すようにジョージ3世の眼は白目の部分が黒く、瞳の部分が血のように赤く濁っていた。
ブラインド・ジョージ、盲目公ジョージの異名もあるが、厳密には眼は見えており、盲目ではない。
盲目公は父の失敗を挽回するべく、初代同様、スラヴィアの封臣として礼を尽くし、領内のスラヴィア化に着手した。
当然、スラヴィアの文化を押し付けられても、シャーンイイの原住民たちもドラゴンたちも受け入れなかったため、
饗宴においては決闘や模擬戦で「双方勝者」という判定が加えられ、可能な限りは死者は出さないことになった。
代わりに大量の家畜がドラゴンたちに振る舞われ、形は変われども、可能な限り本国の文化を尊重する姿勢に努めた。
さらに本国への献上金を増やし、数々の物資や奴隷を送り届けることで外交上の関係維持に注力。
加えて道中で宿場町、港を必ず通り、オルニト国内で必ず金を落とすということにも気を払った。
盲目公は即位して最初の朝貢に際し、3週間かけてオルニト国内を通ってスラヴィア本国に使者を向かわせたが、
治世の間、最長6ヶ月もオルニト国内に滞在する使者団も記録に残る。
最後に国力増強のため交易を考えたが、めぼしい物がなく、傭兵として各国に軍隊を派遣した。
そのためドラゴンの国でありながら、ドラゴンがほとんど国内にいないという状況が数十年も続いて、
”家を持たない国家の軍隊”という不名誉なあだ名がついた。
上記の通り、シャーンイイはペーザル平原と古代都市を中心とした小国だったが、
一時期、全くドラゴンは暮らしておらず、奴隷階級の蟲人、鳥人やそのほかの亜人たちが暮らしていた。
首都の市街地も奴隷たちを住まわせるためのもので、領主と平民であるドラゴンたちは山麓か洞窟で暮らしていた。
だが、建国から200年もすると多くの有力者が登場し、未踏破地帯に領土を拡張、人口は40倍になった。
それによって貧富の差も拡大し、富裕階級になったドラゴンたちは伯爵領内で自分たちの荘園を経営し、
少しずつだが、空気が淀み始めて来たことを誰もが感じていた。
『4代目国主”殺戮王”』
兄の盲目公ジョージ3世とはかなり歳の差があるものの、一応は弟ということになるチャールズは
未踏破地帯への遠征に向かう兄に代わって領内の統治を任され、摂政に任じられた。
”血に飢えた殺戮王シャルル”、”残虐公シャルル”、”シャーンイイの処刑者シャルル”…。
多くの悪名を持ち、摂政として留守を任されたチャールズは文字通りのスラヴィア貴族であり、生粋のアンデッドである。
父や兄と違い、スラヴィア本国で育ち、生まれ持った殺傷能力を余すことなく振るってきた。
彼は兄がいなくなると伯爵領内の有力者をことごとく殺すか捕らえて、場合によっては本国に送り届けさせた。
オルニトも通過する使者団が運ぶ荷物が、黄金から半殺しのドラゴンに変わると、シャーンイイの異変に気付いた。
冷酷な摂政シャルルは伯爵家に並ぶような勢力はあらかた始末し、あくまで領主以外は平民に過ぎないという態度を現した。
一方で盲目公が未踏破地帯の遠征に出発して30年が経っても戻らなかったが、摂政は兵と物資を送り続けた。
この頃になると国内の有力者から没収した財産と各国から集まった義勇兵や物資で、非常に余裕が出来ていたからだ。
数十年も恐るべき、あの未踏破地帯で勇戦する盲目公の活躍で、熱に浮かされた若者たちが競うように参戦した。
ある意味では盲目公と殺戮王は、スラヴィア貴族然として、血と戦争で多くの人々を熱狂させ、大いに楽しませたといえる。
しかし、熱というものはやがては冷める物。
遠征軍の出立から50年、幼いドラゴンと数十名の兵士たちが首都に帰還した。
陣中で生まれたという盲目公の息子、ジョージ4世である。
帰還者たちの話では、未踏破地帯に陣を構え、城を築き、各地を転戦し続けること数十年、
伯爵も兵たちもこれ以上は騎士の夢想に着き合う必要はないと物資や義勇兵を送り届けなくともよいと言づけた。
建国から263年の歳月が経っていた。
本人の遺体が眠らぬジョージ3世の墓が建てられ、喪が明けると兄に代わって弟、摂政シャルルが4代国主に即位した。
すなわちシャーンイイ伯シャルル1世の誕生である。
この直後に起こったのが、『ノウ・フェチットの大虐殺』である。
即位式に参列した伯爵領内の有力者たちはことごとく捕らえられ、残酷に処刑された。
中には本国から使者として招かれたスラヴィア貴族も含まれていて、これは本国の大貴族からの密命と言われているが、定かではない。
分かっているのは本国に招聘されたシャルル1世は無罪放免となったことだけ。
この最後の大虐殺によって伯爵領は完全に残虐公シャルルによって掌握され、絶対的な支配権が確立された。
それはスラヴィア本国のような吸血姫に対する忠誠心とは全く異質の、死者による生者への恐怖による統治であった。
この頃になってオルニトは動揺していた。4代目の国主はどう考えてもこれまでの領主とは違い過ぎる。
ドラゴンに対する恐怖が、ある程度は盲目公の活躍で薄らいで来た中に、何を考えているのか分からない、
おまけに吸血鬼のドラゴンという極めて不可解な存在に、人々は恐怖した。
また建国当初は鼻で笑う程度だったスラヴィアとの共闘戦線が、ある意味では現実味をおびて感ぜられ始めていた。
そしてついに、誰もがまさかと信じなかった開戦の時を迎えた。
シャーンイイ伯爵軍、伯爵本陣200名、甥ジョージ4世軍100名。合わせて総軍300名。
これがただの300名ならば何の問題もない。全員が軍事訓練を受けたドラゴンの戦闘団である。
それに合わせて、一度これが攻撃隊形を整えれば地上のいかなる都市であってもを守ることは不可能と豪語した
先代の盲目公が考案した”涙滴型陣形”である。
だがしかし、やはりドラゴンは愚かな選択を繰り返してしまった。
神の怒りを受けた軍勢は瞬く間に叩き落され、敵都市を攻撃するどころではなかったのである。
仄めかす者岬を越えたところで信じられない嵐が軍勢を飲みこみ、半時とせずに壊滅した。
普通の人間の兵士を育てるのに何十年かかる?ならばドラゴンは何百年かかるだろう?
余りに貴重な軍団を失い、ジョージ4世はオルニト軍に捕縛された。
なお殺戮王の死体をオルニト軍は数ヶ月探し回ったが、遂に発見できなかった。
『双子の伯爵領』
建国から300年頃。かつては財源を得るための切り札だった傭兵軍を失い、シャーンイイは衰退した。
ジョージ4世も捕らえられ、スラヴィア本国からは領土継承も認められず、オルニトの監視下に置かれ、惨めな生活を強いられていた。
だが、戦後20年、凍った時間は動き始める。ジョージ4世が解放されたのである。
ただしオルニトは交換条件としてシャーンイイはスラヴィアの属国からオルニトの属国に転向することを宣言する。
これに対し、国内は騒然となった。あるいは沈黙を保った。シャルル1世の大粛清によって国政に意見する者がなかったからでもあるが、
建国以来のこととはいえスラヴィアとの関係を、どう考えても不自然と見做す者は多かった。
もともと生者と死者が交わることなどドラゴンたちも奴隷階級の亜人たちもまったく理解できない奇妙な話に思えた。
しかし生贄文化を持つオルニトに対し、同様の不快感や嫌悪感があったことは言うまでもない。
盲目公は「双方勝者」の前提を作り、死人を出さない饗宴を領民に約束させた。
殺戮王の粛清も不安定な弱小新興国を強固な政権で安定化させる、やむない方策と受け止めていた。
結局、これを機会にシャーンイイはオルニトとの約束を勝手に破って、スラヴィア本国との関係も白紙に戻した。
これによりシャーンイイは全く外部との接触を断ち切って、領土の中に引きこもってしまった。
建国から350年頃。ジョージ4世は波乱の人生を終えた。ドラゴンとしては異例の若さであった。
数日後、もはやスラヴィア本国にも承認を得ずに6代目の当主が即位することに決定した。
シャーンイイ伯ジョージ5世とシャーンイイ伯エドワード1世である。
”脚の臭いゲオルグ”の通り名を持つ、悪臭公ジョージ5世と”四つ目のエドヴァルド”、四眼公エドワードは双子の兄弟である。
母親の胎内で互いに食い合うというドラゴンにとって双子というのはあまり例のない存在である。
また二人はどちらかが伯爵で、どちらかが摂政という訳ではなく、二人が共に伯爵という奇妙な関係に落ち着いた。
悪臭公はその名の通り、体臭がきつい、という訳でもなく理由は不明である。
ともすれば副名になりそうな特徴がないため、このようなとってつけた様な副名も珍しくはない。
四眼公は逆にその名の通り、眼が4つある。白目の部分が黄金で、漆黒の瞳が浮かぶ。それが4つ。
あまりにまがまがしい姿から、”世界のおぞましさの半分”とさえ領民たちも恐れている。
二人の伯爵はすぐに国力の回復に努めた。
もはや人口の自然回復は望めないダメージを受けていたため、世界各地のドラゴンに移住を勧める政策を始めた。
妙な話、世界各地に散らばっていては交尾の相手も見つからないやん?困るやん?
また傭兵軍の再建、そして国交を断行していたオルニト、スラヴィアとの関係修復である。
スラヴィアの吸血姫は最初は使者団すら断ったが、2度目にはすんなりと封臣としての復帰が認められた。
問題はオルニトで根強い交渉が必要だったが、お互いに気が短いので話し合いにもなりはしない。
「この金髪チキン野郎!」
シャーンイイ側の大使、一つ目のグウェンドリンがオルニト側の大使を罵ったことは致命的だった。
だが建国から368年、遂にオルニトとの関係が修復され、ある程度の国交が認められた。
余談だが、この時に白と黒のパンダ模様のドラゴンがオルニトに派遣されたということもあったかも知れない。
しかし失策もあった。
新天地では鳥人を奴隷として扱うシャーンイイへの悪感情は高まり、
”リュウ”は”ドラゴン”より劣るという風潮も
ミズハミシマを激怒させた。
何と言っても神を神とも思わないドラゴンの傲慢さは各国にとって不快なものでもあった。
そして双子が領主となって数十年経ったが、未だに傭兵軍は再建できず、産業も発達しなかった。
だが、オルニトからの提案がシャーンイイに大きな転換期をもたらすのである。
オルニトの大図書館の蔵書の一部を複製し、シャーンイイに保管するというものである。
近年では浮き島同士の衝突などの事故や蔵書の紛失などが相次ぎ、貴重な文献は安全な場所に隠したいということであった。
ドラゴンが守る街のど真ん中に巨大な倉庫を作れば、そこから稀覯本を盗み出すことはできないだろう。
それに何と言ってもドラゴンである。どんな巨大な荷物も運ぶことができる。
各地から大量の書類や文献が集められ、取り敢えず必要な時までシャーンイイ国内に保管する運びになった。
これを皮切りに次はスラヴィアからも金塊や宝石類をシャーンイイの巨大な倉庫に保管しておくという流れが生まれた。
もともとドラゴンたちが住んでいた洞窟は国中にあり、何が住んでいたかも分からない遺跡はごまんとある。
隠し場所にも苦労はしない。鍵など無用。ドラゴンしか動かせない巨石を置けば良いのである。
さらに新たな倉庫を拡張するため近隣の蟲人達を動員して、次々にシャーンイイの地下には迷宮が作られて行った。
次第に倉庫から品物を取り出すのが面倒なので所有権だけを売り買いするという制度も誕生した。
その後、紆余曲折あって『銀行』というシステムが考案され、価値のあるものは取り敢えずシャーンイイに保管されるという風潮ができあがった。
今日、建国から402年、今やシャーンイイは世界最高の金庫を持つ大銀行へと進化を遂げた。
傭兵産業も復活し、再び未踏破地帯の奥地を開拓する遠征軍の募集も計画されている。
『付録』
「シャーンイイ伯爵領」
オルニト以南、仄めかす者岬より西側にあるペーザル平原にある古代都市遺跡に建国される。
国名は先に滅んだ古代国家の名前によるもので、「新シャーンイイ」という呼び方もされる。
主邑(首都)はナーナクというが、これも古代国家の首都名である。
社会体制はシャーンイイ伯爵家を絶対の君主とする専制体制。
シャルル1世の大粛清により、伯爵家以外に有力な勢力はない。また信仰する神は存在しない。
かつてはスラヴィアの属国として
モルテ神を信仰したが、今では廃れている。
ただし奴隷となっている鳥人や蟲人はそれぞれの種族固有の神を信仰している。
人口配置は平民階級であるドラゴンと奴隷階級のその他の亜人という構造。
なおドラゴンたちも平民であり、市民ではないため政治に参加することは出来ない。
国民の9割以上は奴隷で、ほとんどが蟲人と鳥人。
かつては傭兵軍を各国に派遣していたが、オルニト戦争で戦力のほぼ全てを失い、国家としての威信も失墜。
列強11ヶ国との国力比は45対1以下であり、ほとんど比べるまでもない弱小国。
酪農が盛んだが、ほとんどはドラゴンたちが食べる分しか賄いきれない。
ゲート解放後は傭兵として地球に進出する計画を企むも神々によって阻止され、
ゲートの向こう側へ通過することは許可されなかった。
今ではシャーンイイ銀行を開設し、世界中から集めた極秘書類、金塊、紙幣、貴重品を保管している。
「古代シャーンイイ王国」
未踏破地帯にあるペーザル平原に勃興した古代の小国。
現在ほとんど原形をとどめていないが、どう考えても既知の生物が住んでいたとは思えない形状をしていた。
「シャーンイイのドラゴン」
知恵があり、人語を介する以外は額面通りのドラゴン。人間にも変身しないし、魔法も使えない。
平均して300年前後は生きる。かつては文字通り永久に生きる個体もいたが、今では脆弱になっている。
また太古の昔は白く、光り輝く存在だったが、今では緑色や暗色系が多い。
目の数、首の数、角など姿かたちが全く違うが、どれも同じ種族で、あくまで個人差のようなもの。
オリエンタルドラゴンやワイバーンとは全く違う存在。例えるならばタコとイカぐらいに全くの別物。
食文化とか服装とか、趣味のような文化も当然ながら全くない。裸だし、生きたまま牛や豚を丸呑みにしている。
かつては神々とも戦った戦士の末裔。いわく12番目の神になり損ねたために狷介孤高となったと仄めかす。
誇り高く、傲慢。自分の力に絶対に信を持っており、他の生物は劣等生物とさえ信じ込んでいる。
だが今では先祖に呆れられる現状を自嘲気味に受け止めているが、相当ひねくれている。
力に固執しているが、あくまで戦士というより軍人気質であり、快楽として戦闘を楽しむタイプではない。
だが騎士道や武士道のような戦闘に対する美意識や拘りも強く、あまり平和的とは言い難い。
それでも今は国力が他国に及ばないため、大人しくしている。
要するに昔は強かったので喧嘩も楽しかったが、今では誰にも勝てないのでひねくれていて
そのくせ自分たちは昔は強かったんだぞという過去から離れられない所がある。
一時期、先祖たちが小ゲートから地球に進出したため、名前が完全にヨーロッパ風。
「黒い長角公ゲオルグ」
ジョージ1世。スラフ島戦役の混乱に乗じて僻地にドラゴンたちの国家を成立させる。
スラヴィアの属国としてのスタートから各国との微妙な外交関係を築き、建国の父となる。
「5つ首公ゲオルグ」
ジョージ2世。国家建設のために奴隷狩り、領土拡張のための遠征、スラヴィア本国との外交…
なにひとつ上手くいかずに急死した。
「暗い目のゲオルグ」
ジョージ3世。盲目公、ブラインド・ジョージ。父の失敗を挽回するため奮闘する。
未踏破地帯における50年以上の遠征はドラゴンの武勇を各国に広め、ドラゴンは多種族と協調できると印象付けた。
「殺戮王シャルル」
シャルル1世。殺戮王、残虐公、処刑者。数々の大粛清と謀略で国内を安定させたアンデッド・ドラゴン。
最後は初陣で戦死というあまりな顛末。しかし直接、死を確認できた訳ではない。
「囚われのゲオルグ」
ジョージ4世。叔父のシャルルと共にオルニト戦争に参加し、嵐神の怒りを受けて敗北、捕虜となる。
その後20年近く幽閉され、90歳という若さでこの世を去った。
「脚の臭いゲオルグと四つ目のエドヴァルド」
ジョージ5世とエドワード1世。ドラゴンでは珍しい双子の伯爵で現領主。
国民を傭兵として海外に派遣することは諦め、国全体を巨大な金庫として銀行に変身させる。
「仄めかす者岬(ケープ・ウィスパー)」
オルニトとシャーンイイの間にある岬。ここが両国の国境線となってる。
未踏破地帯の入り口であり、地球人はおろか亜人さえ滅多に近寄ることは出来ない。
予め連絡すればドラゴンたちが迎えに来るので、シャーンイイ領内で、安全な場所まで連れていってくれる。
「ペーザル平原」
未踏破地帯に差し掛かったなだらかな平原。かつては文明があったが、黒い長角公が訪れた時は無人になっていた。
「ノウ・フェチット」
シャルル1世が行った最後の粛清、ノウ・フェチットの大虐殺の舞台。シャーンイイの地方都市のひとつ。
シャルルが領主に即位することに反感を持つ有力者たちを即位式に招いたところで一斉に殺害した。
「ナーナク」
シャーンイイ伯爵領の主邑で古代シャーンイイ王国の首都でもあった。
最初は古代都市が残っていただけだったが、今では奴隷として連れて来られた亜人たちが住んでいる。
「ジョージ2世の城壁」
主邑ナーナクを囲う城壁。未踏破地帯からあふれ出る得体の知れない敵から都市を守るために建設された。
結局は連れて来られた奴隷たちの反感を買って、全く工事が進まなかった。
「シャルル1世の城壁」
ジョージ2世の城壁のさらに外側に新たに建造された巨大な三重城壁。
900の要塞と18000の塔、5000の城門、加えて城壁から独立した櫓数万基、全長93kmになる長大な防衛施設。
穢れの城壁、鋼鉄の城壁、黄金の城壁の3つからなる。
穢れの城壁は城館からもっとも外側にあり、シャルル1世に処刑されたドラゴンたちが吊るされた。
巨体を誇るドラゴンたちを立て掛けるという、そのことからもこの城壁の巨大さが伺い知れる。
最盛期には幾つもの処刑台が立ち並び、ドラゴンも亜人も区別なく殺戮が毎日繰り返された。
鋼鉄の城壁は3つの城壁の内側に存在し、複数の要塞と塔を城壁で繋いだもので壁というよりは細長い巨大な砦である。
穢れの城壁が敵軍に占領された場合、ここが奪回の橋頭保となるべきもので、ようするに味方を攻撃できる構造になっている。
穢れの門から飛び出して来たものは容赦なく、ここから攻撃を浴びる。
最後に黄金の城壁。これは完全に装飾であり、防衛を意図したものではない。
その名の通り、全てが黄金という訳ではないが、というか今ではその名残もないが、かつては黄金で飾られていた。
恐るべき冷酷な罠を巡らせた二つの城壁の背後にこのような物を建てる。シャルル1世の不可解さを示す代物である。
- ドラゴンについてがっつり固めて掘り下げるのってほとんどなかったから興味がわく期待したい -- (名無しさん) 2015-07-07 22:49:43
- 見た目じゃなくて形とバランスを取り上げているのが面白いな。歴史とくっつけるとぐっと存在感が増す -- (名無しさん) 2015-07-07 23:48:33
- イレゲってドラゴンの他にも知恵と力をもつ生物とかいるんかな -- (名無しさん) 2015-07-10 00:38:09
- 老婆心ながら冒頭の「西大陸」を「東大陸」に書き換えました -- (名無しさん) 2015-07-12 19:07:19
最終更新:2015年07月12日 19:06