湯飲みに玄米茶を注ぎ、缶から取り出した昆布の粉をさらさらと入れる。
自身のカップには健康と美容のために、食後に一杯の紅茶。
ロシアン・ティーを一杯。ジャムではなくママレードでもなく蜂蜜で。
自身のカップには健康と美容のために、食後に一杯の紅茶。
ロシアン・ティーを一杯。ジャムではなくママレードでもなく蜂蜜で。
「総理、国会で“日本以外の世界が滅んだ”と伝えたのですがよろしかったのでしょうか。
変化した人類、ミュータントや超能力者、『魔術』に関する発表は
後の障害者差別問題に繋がりかねない発表でしたが」
「んー。説明しなければならんかね」
武原は湯飲みに付けていた口を外した。
変化した人類、ミュータントや超能力者、『魔術』に関する発表は
後の障害者差別問題に繋がりかねない発表でしたが」
「んー。説明しなければならんかね」
武原は湯飲みに付けていた口を外した。
「茂人君とは秘密を共有するもの友人同士、腹を割って話しをしなければいけないと思っていた。
の、前に、敬語は止めてくれんかね。肩が凝る。突っ込みをどんどん入れてくれ。遠慮はいらん」
「最低限の礼儀は弁えているつもりです」
「父にそっくりだな。ときに君は、差別やテロリズムがどのように産まれるか知っているかな」
お茶請けに置いてあった煎餅を齧った。
ばりぼりと一枚食べ、答えた。
の、前に、敬語は止めてくれんかね。肩が凝る。突っ込みをどんどん入れてくれ。遠慮はいらん」
「最低限の礼儀は弁えているつもりです」
「父にそっくりだな。ときに君は、差別やテロリズムがどのように産まれるか知っているかな」
お茶請けに置いてあった煎餅を齧った。
ばりぼりと一枚食べ、答えた。
「富の不平等」
「違う、それは増える要因であって原因ではない。
イランやイラクで暗躍していたテロリスト、外務畑の君なら彼らを知っているな」
間髪入れずに言葉が返ってきた。
答えを予想していたようだ。
「違う、それは増える要因であって原因ではない。
イランやイラクで暗躍していたテロリスト、外務畑の君なら彼らを知っているな」
間髪入れずに言葉が返ってきた。
答えを予想していたようだ。
ロシアン・ティーを飲んで喉の煎餅を流し。
少し考え、答えを返した。
「自爆テロやゲリラを支持しているのはエリート層でしたね」
少し考え、答えを返した。
「自爆テロやゲリラを支持しているのはエリート層でしたね」
「ビンラディンやザルカウィ、ムジャヒディン、皆世間で金持ちと呼ばれるやんごとない方々だよ。
学生運動や共産主義に取り付かれ、火炎瓶を投げた昔の青年達も大学生を中心とした
知識人と呼ばれる人々だった」
「しかし、直接犯行している方々は違います」
「君らしくない答えだな。現代のテロリストは訓練所で生活し教育された人々だ。
衣食住を保障された手に職のあるテロリストだよ。実態は知っているだろうに」
「だとすると身体的特徴や住む地域に関しても違いますね。テロリズムは国際化していますし、
中東のテロのために協力する日本人も居ますから。
日本でも、沖縄人でない方々が在日米軍基地に対し毎年反対集会を開いてますね」
今時のテロリストは訓練施設や学校で勉強する。
民兵組織に入り、経験を積んでから仕事としてテロ活動を行う者も居る。
テロ組織そのものが学校や養護施設をもっているなどざらだ。
彼らは場合によっては仕事の斡旋までして、スカウト、社交界でのパトロン集めさえ行う。
他国の賛同者を集め、爆弾政策や軍事教練をして、目的の組織などへ潜り込ませる。
アメリカの炭素菌テロでは一時期、在住アメリカ人のテロリストやアメリカ系○○人のテロリストが
持て囃された。彼らは正規の教育を受けていて、生活には困らない身分の人間だった。
アメリカ人と同じ白人だったので、黒人差別などとも縁遠い存在だった。
学生運動や共産主義に取り付かれ、火炎瓶を投げた昔の青年達も大学生を中心とした
知識人と呼ばれる人々だった」
「しかし、直接犯行している方々は違います」
「君らしくない答えだな。現代のテロリストは訓練所で生活し教育された人々だ。
衣食住を保障された手に職のあるテロリストだよ。実態は知っているだろうに」
「だとすると身体的特徴や住む地域に関しても違いますね。テロリズムは国際化していますし、
中東のテロのために協力する日本人も居ますから。
日本でも、沖縄人でない方々が在日米軍基地に対し毎年反対集会を開いてますね」
今時のテロリストは訓練施設や学校で勉強する。
民兵組織に入り、経験を積んでから仕事としてテロ活動を行う者も居る。
テロ組織そのものが学校や養護施設をもっているなどざらだ。
彼らは場合によっては仕事の斡旋までして、スカウト、社交界でのパトロン集めさえ行う。
他国の賛同者を集め、爆弾政策や軍事教練をして、目的の組織などへ潜り込ませる。
アメリカの炭素菌テロでは一時期、在住アメリカ人のテロリストやアメリカ系○○人のテロリストが
持て囃された。彼らは正規の教育を受けていて、生活には困らない身分の人間だった。
アメリカ人と同じ白人だったので、黒人差別などとも縁遠い存在だった。
「もし、富の不平等が原因なら、共産圏にはテロが起こらないはずだね」
「チェチェンですね。ロシア与党の掲げる公約の一つにテロとの戦いがありました」
世間では忘れられつつあるが、近年まで出兵までしてテロとの戦いをロシアは行っていた。
ほんの少しの特殊部隊や工作員を派遣するのではなく、
戦車や戦闘ヘリまで出した軍を中心とする本格的な戦闘である。
「チェチェンですね。ロシア与党の掲げる公約の一つにテロとの戦いがありました」
世間では忘れられつつあるが、近年まで出兵までしてテロとの戦いをロシアは行っていた。
ほんの少しの特殊部隊や工作員を派遣するのではなく、
戦車や戦闘ヘリまで出した軍を中心とする本格的な戦闘である。
「すると君はテロリズムは何処から産まれると思うかい」
「歴史ですか。積み重なった認識のずれが蓄積され、地震の活断層のごとく
テロや差別に波及する…ですか」
「ああ。ミュータントに対する発表だけが、決定的な差別へ繋がるわけでもない。
“これから”が大事なのだ」
おかわりの紅茶にブランデーを入れた。
美味しい紅茶が飲めるのは生きている間だけだ。
「歴史ですか。積み重なった認識のずれが蓄積され、地震の活断層のごとく
テロや差別に波及する…ですか」
「ああ。ミュータントに対する発表だけが、決定的な差別へ繋がるわけでもない。
“これから”が大事なのだ」
おかわりの紅茶にブランデーを入れた。
美味しい紅茶が飲めるのは生きている間だけだ。
「政治家としての意見ですね。でも差別は存在する」
「直接外と関わっている君らしい意見だ。“これから”はこれから幾らでも修正が効く“これから”だ。
ミュータント超能力論の根元、もとい“日本以外の世界が滅んだ設定”は嘘と
君も理解していると思う。“後付設定”で幾らでも引っ繰り返せる。
嘘だからいつか見破られるだろう。見破られるのが一ヶ月か十年後か知らないがね。
とりあえず、今のところ考えているテレビ対応としてダークエルフ達との接触がある。
染色体異常、超能力と異形の体との固定観念を持っていた国民に
ダークエルフ達を見せたらどうなると思うね?
人類ではありえない超能力を駆使する美男美女、
ファンタスティックなんとかなスーパーウーマンだよ。
TVや国民受けはいいだろう。第一印象を良くしてからドワーフや異種族を紹介してもよかろう」
「直接外と関わっている君らしい意見だ。“これから”はこれから幾らでも修正が効く“これから”だ。
ミュータント超能力論の根元、もとい“日本以外の世界が滅んだ設定”は嘘と
君も理解していると思う。“後付設定”で幾らでも引っ繰り返せる。
嘘だからいつか見破られるだろう。見破られるのが一ヶ月か十年後か知らないがね。
とりあえず、今のところ考えているテレビ対応としてダークエルフ達との接触がある。
染色体異常、超能力と異形の体との固定観念を持っていた国民に
ダークエルフ達を見せたらどうなると思うね?
人類ではありえない超能力を駆使する美男美女、
ファンタスティックなんとかなスーパーウーマンだよ。
TVや国民受けはいいだろう。第一印象を良くしてからドワーフや異種族を紹介してもよかろう」
ダークエルフのカイを会ったときには驚いた。
美幼女だったのである。幼女に美を付けるのは変な表現だが、カイに限ってはしっくり来る。
黒桐から見せられた写真を見てもっと驚いた。ダークエルフ美女軍団だった。
某ゲームの影響でウィルスや遺伝子変異が異形しか産まないと
固定観念を持っている日本人には頭を殴られる衝撃になるだろう。
エルフはTVにぴったりな存在であるはずだ。
悪く見積もっても、そこらのお笑い芸人かタレントか判別に困る女よりよほど美人であるのは間違いない。
美幼女だったのである。幼女に美を付けるのは変な表現だが、カイに限ってはしっくり来る。
黒桐から見せられた写真を見てもっと驚いた。ダークエルフ美女軍団だった。
某ゲームの影響でウィルスや遺伝子変異が異形しか産まないと
固定観念を持っている日本人には頭を殴られる衝撃になるだろう。
エルフはTVにぴったりな存在であるはずだ。
悪く見積もっても、そこらのお笑い芸人かタレントか判別に困る女よりよほど美人であるのは間違いない。
「見破られる嘘を付くメリットがありません」
「日本は資源が無いと飢え死にする。突然異世界に転移させられた=資源の場所なんかわかりません、
これから探します、と 戦争で地形が変わった=資源の場所はわかります、
いずれ力ずくの交渉でもなんでもして手に入れます。どっちを国内に発表するかだな」
「日本は資源が無いと飢え死にする。突然異世界に転移させられた=資源の場所なんかわかりません、
これから探します、と 戦争で地形が変わった=資源の場所はわかります、
いずれ力ずくの交渉でもなんでもして手に入れます。どっちを国内に発表するかだな」
日本の富は貿易で成り立っている。決してアメリカやロシアのような自己で完結した文化圏ではない。
『祖国がなくなったと知った外国人』や輸出企業は大混乱だ。資源を輸入していた業者達も全滅する。
補給先が無くなったと確定した先で始まるのは、槍と馬に代わる、銃と車を使った食料と資源の奪い合い、
現代の三国志だ。外国人たちは各々のコミュニティを造り、自衛する。
在日米軍に日本国内で独立されては堪らない。
米軍の将校に「あなたの信頼する合衆国は消滅しました」と言ったらどんな顔をするだろう。
日本本土の治外法権な基地に隠してある核爆弾でも持ち出して脅迫してきそうだ。
『祖国がなくなったと知った外国人』や輸出企業は大混乱だ。資源を輸入していた業者達も全滅する。
補給先が無くなったと確定した先で始まるのは、槍と馬に代わる、銃と車を使った食料と資源の奪い合い、
現代の三国志だ。外国人たちは各々のコミュニティを造り、自衛する。
在日米軍に日本国内で独立されては堪らない。
米軍の将校に「あなたの信頼する合衆国は消滅しました」と言ったらどんな顔をするだろう。
日本本土の治外法権な基地に隠してある核爆弾でも持ち出して脅迫してきそうだ。
『文明は滅んでも、世界に人は残る』完全な異世界では救いが無い。
『元の世界が残っている』からには『元の生活に戻れる希望ができる』異世界はそんな幻想すら許さない。
『元の世界が残っている』からには『元の生活に戻れる希望ができる』異世界はそんな幻想すら許さない。
せめて、見切りがついてから海外状況を発表したいと考えたのだろう。
底のない絶望だけを見せられて打ちひしがれるのと底に希望を見つけるのとではどちらがマシかだ。
底のない絶望だけを見せられて打ちひしがれるのと底に希望を見つけるのとではどちらがマシかだ。
「だったとしても、悪手でしかありません。
資源を集めるにしても確保のためのインフラ整えるにしても、政府だけでやれる事には限界がある。
地形、現地住民との会話、物品、常に見破られる可能性があります。露見後は政変ですね」
「私は漫画の主人公ではないのだ。常に完璧な答えを出してくれる神が居たら、
喜んで従いたいぐらいだよ。嘘を付いたのは自衛隊をエルブ王国へ派遣するための理由付けだ。
それにゼロからインフラを整えるとこから開発始めようとは思わん。できても途中で資源切れになる」
資源を集めるにしても確保のためのインフラ整えるにしても、政府だけでやれる事には限界がある。
地形、現地住民との会話、物品、常に見破られる可能性があります。露見後は政変ですね」
「私は漫画の主人公ではないのだ。常に完璧な答えを出してくれる神が居たら、
喜んで従いたいぐらいだよ。嘘を付いたのは自衛隊をエルブ王国へ派遣するための理由付けだ。
それにゼロからインフラを整えるとこから開発始めようとは思わん。できても途中で資源切れになる」
石油については北海道油田の増産やガス油田が開放されたため、多少は備蓄が伸びた。
それでも、埋蔵量が不安だ。早急に安定が必要だろう。
幸運にも千島にロシアが唾を付けていた埋蔵量が十分な油田がある。
それがあるから良いとして、問題は石油精製施設と千島の採掘施設だ。
日本には一応、精製プラントは存在するし稼動も可能だが、日本全土の需要を満たすためには追いつかない。
プラントは補助程度に使われていたものであり、本格稼動を目的としていなかった。
千島についてはロシアが長年あると決めて、原油の値が下がったため放り出した開発があるだけで、
プラントそのものはできていない。早急な完成が必要である。
それでも、埋蔵量が不安だ。早急に安定が必要だろう。
幸運にも千島にロシアが唾を付けていた埋蔵量が十分な油田がある。
それがあるから良いとして、問題は石油精製施設と千島の採掘施設だ。
日本には一応、精製プラントは存在するし稼動も可能だが、日本全土の需要を満たすためには追いつかない。
プラントは補助程度に使われていたものであり、本格稼動を目的としていなかった。
千島についてはロシアが長年あると決めて、原油の値が下がったため放り出した開発があるだけで、
プラントそのものはできていない。早急な完成が必要である。
農村部では凍死が出るかもしれない。
今年の冬は寒くなるだろう。
今年の冬は寒くなるだろう。
このように、資源が見つかっても、採掘や精製するために本格稼動するまで時間が掛かる。
それまでどうやって乗り切るかが課題だ。
プラントなどが出来るまで、当分は中世レベルの化学力の粗悪品を買い付けなくてはいけないだろう。
当たり前だが、質の高い大量の鉄鋼や精製済みのガソリンなどは当分、望むべくも無い。
全て自国で精製しなくてはいけないのだ。
それまでどうやって乗り切るかが課題だ。
プラントなどが出来るまで、当分は中世レベルの化学力の粗悪品を買い付けなくてはいけないだろう。
当たり前だが、質の高い大量の鉄鋼や精製済みのガソリンなどは当分、望むべくも無い。
全て自国で精製しなくてはいけないのだ。
「短期的な視点です。長期的に情報操作は害悪だと考えます」
「無論だ。日本全部滅亡と仮定した場合の対応は“現時点の基本方針”であるし、
“情勢がまだはっきりしていない”。従って異常生物などの問題が明確になりさえすれば、
後は“柔軟に考える”と私は新聞の取材で答えた」
「無論だ。日本全部滅亡と仮定した場合の対応は“現時点の基本方針”であるし、
“情勢がまだはっきりしていない”。従って異常生物などの問題が明確になりさえすれば、
後は“柔軟に考える”と私は新聞の取材で答えた」
よく政治の場で使われる“適切に対応致します”“前向きに検討いたします”は玉虫色の言葉だ。
聞き手によって好きに受け取れるし、責任を追及されてもあいまいの霧で煙にまける。
聞き手によって好きに受け取れるし、責任を追及されてもあいまいの霧で煙にまける。
「情報を段階的に開放し、ゆくゆくは異世界について理解を浸透させたい。ですか?」
「茂人君。君はなかなか理解がはやい。“情勢がまだはっきりしていない”のを逆手にとれるなら
好きな情報を流せる、不確定情報ならば間違っていてもシラが切れる。
情報を間違ったら自衛隊や分析していた専門家達のせいにすればいい。ミサイルの誤報みたくな。
今は情報が錯綜しているから。どうとでもできる」
「黒いですね。大人の事情を垣間見た気がしますよ」
これやったの絶対総理だろ・・汚いなさすが総理きたない。
だます為に嘘付くのは馬鹿。
真の嘘吐きは思わず騙してしてしまってる真の嘘吐きだからもててるのだという事実。
「茂人君。君はなかなか理解がはやい。“情勢がまだはっきりしていない”のを逆手にとれるなら
好きな情報を流せる、不確定情報ならば間違っていてもシラが切れる。
情報を間違ったら自衛隊や分析していた専門家達のせいにすればいい。ミサイルの誤報みたくな。
今は情報が錯綜しているから。どうとでもできる」
「黒いですね。大人の事情を垣間見た気がしますよ」
これやったの絶対総理だろ・・汚いなさすが総理きたない。
だます為に嘘付くのは馬鹿。
真の嘘吐きは思わず騙してしてしまってる真の嘘吐きだからもててるのだという事実。
「なあに、かえって免疫が付く。この程度を黒いと言うのなら政界を生き残れんよ。
私は海外について判明した情報から最新のものを順次国民に流していくつもりだ。
竜の生態、魔法の種類、遺伝子解析、風俗や技術。国をあげての調査は国民も望んでいる」
「後付設定でいくらでも自由に情報を流せるわけですか」
「流さなくていい。ころあいを見て、上がってきた情報に許可の首振りだけすればいいのだよ」
「いつ嘘がばれても、対応策と保身は完了してる。ですね」
「まあな。他にもあえて情報を確定しない、次々に新情報が放送されることによるメリットもある」
「不確定性ゆえの空想ですか」
茂人は手さばきあざやかに、愛知県西尾産の茶をいれた。
武原は差し出された茶をひと口すすって、茂人に話した。
私は海外について判明した情報から最新のものを順次国民に流していくつもりだ。
竜の生態、魔法の種類、遺伝子解析、風俗や技術。国をあげての調査は国民も望んでいる」
「後付設定でいくらでも自由に情報を流せるわけですか」
「流さなくていい。ころあいを見て、上がってきた情報に許可の首振りだけすればいいのだよ」
「いつ嘘がばれても、対応策と保身は完了してる。ですね」
「まあな。他にもあえて情報を確定しない、次々に新情報が放送されることによるメリットもある」
「不確定性ゆえの空想ですか」
茂人は手さばきあざやかに、愛知県西尾産の茶をいれた。
武原は差し出された茶をひと口すすって、茂人に話した。
「国民を飽きさせないための娯楽としての海外情報。
まるで中世ファンタジーな世界は視聴者にも興味深い。TVも稼げる、不満も反らせる。
停滞した経済活動の再開。
異世界の生態や動植物の研究は民間にも任せる、我々の住む世界とは全く異なった物達だ。
しばらくは特許や新技術で新聞は賑わうだろう。
当然、病気や寄生虫が怖いから対策のしっかりした一部の大企業だけになるだろうがな」
そういって、畳の上にあぐらをかいて玄米茶をすすった。
まるで中世ファンタジーな世界は視聴者にも興味深い。TVも稼げる、不満も反らせる。
停滞した経済活動の再開。
異世界の生態や動植物の研究は民間にも任せる、我々の住む世界とは全く異なった物達だ。
しばらくは特許や新技術で新聞は賑わうだろう。
当然、病気や寄生虫が怖いから対策のしっかりした一部の大企業だけになるだろうがな」
そういって、畳の上にあぐらをかいて玄米茶をすすった。
「情報の切り張りと編集に演出、まるでTV番組ですね」
「行き過ぎた政治は娯楽になるとどこかの哲学者が予言してたな、まだメリットはあるぞ。
政府発表である、日本以外滅亡という真実を持った嘘は不信を産む」
「デメリットでしかありませんね」
「不信は疑惑を産み、新たな説や技術を産み出すだろう。
より良い説を選んで採用して行けばいいのだ。
我々が現在、『異世界召喚』と呼んでいる説は、たった2週間の間の情報だけで組み上げられた説だ」
「召喚されたのではなかったんですか!」
どんっ!と和風テーブルを叩いた。
カップに入った茶が飛び散る。
武原は慌ててお絞りでテーブルを拭いた。
「行き過ぎた政治は娯楽になるとどこかの哲学者が予言してたな、まだメリットはあるぞ。
政府発表である、日本以外滅亡という真実を持った嘘は不信を産む」
「デメリットでしかありませんね」
「不信は疑惑を産み、新たな説や技術を産み出すだろう。
より良い説を選んで採用して行けばいいのだ。
我々が現在、『異世界召喚』と呼んでいる説は、たった2週間の間の情報だけで組み上げられた説だ」
「召喚されたのではなかったんですか!」
どんっ!と和風テーブルを叩いた。
カップに入った茶が飛び散る。
武原は慌ててお絞りでテーブルを拭いた。