自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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匿名ユーザー

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 素直に偵察を行うことにした。
男娼の真似事なんて馬鹿げているにも程がある。

「お前は?」
「ルームサービスです♪」
って引きつった笑顔で私に言えというのか。
第一、ばれたら逃げ場がない。
発砲は最後の手段にしたい。

「待機」
 握り拳を振り上げて待機のハンドサインを出す。

 メイには隠密の概念が無さそうだし、足手まといになる。
偵察は単独で行うほうが良さそうだ。

 午後7時を廻ったばかり。
周囲は暗くなっており、幸いまだカーテンは閉められていない。
ランプで照らされた室内は外から容易に覗けた。
逆に中から外は光量差があって見えにくい。

 小さな安宿には店主を含め、7人が居た。全員帯剣している。
入り口から入ってすぐのカウンターに店主が一人と客が二人。
部屋はロビー、店主の部屋、客部屋3つ、一本の廊下で繋がっている。
正面入り口は帯剣した見張りが二人、一番奥の部屋には先ほどの剣士が二人。
残り2部屋は空きである。

 安宿の入り口にわざわざ見張りを付けるとは、念が入っている。
こりゃ、中の客も危ない。ご丁寧に同じ姿で全員武装していた。黒と見たほうがいい。

「かくかくしかじか」
「まるまるうまうま」
「と、言うことだ。この先どうなるかはあんた次第だ。OK?」
「OK!」




 メイは親指を立てて力強い笑みを浮かべると、走っていった。

 もちろん、正面玄関から。

「突撃して行ったぞ、あの馬鹿」


  ・・・・・・・

「ミンチよりひでぇや」

 メイに遅れてモーテルへ入ると、既に戦闘は終わっていた。
背中の大剣で惨殺されたバラバラの死体があるのかと思いきや、
ボコボコに整形された半死半生の撲殺死体がたくさん転がっている。
彼女のガントレットからは血が滴っていた。

「こ、拳で…」
「カカシ相手に表道具は用いませぬ」

 部屋の奥には禿げた50代の男が椅子に座っていた。

「娘はどこだ?」
「まぁ落ち付け。剣を突き付けられてはビビって話もできやしねぇ。
 娘は無事だ大佐、少なくとも今の所はな。メッセージがある」

 男は胸ポケットからコンパクトを取り出すと開いた。

「アタシを覚えているかね大佐?」
「リアス!貴様ぁ!」

 コンパクトのミラーから軍服を着た女性の映像が浮かび上がった。
年齢は20代後半。メイやカイと同じ銀髪耳長だ。髪は肩まで伸ばし、瞳はコバルトブルー。
襟には星6つの階級章が付いていた。

「誰が忘れるものか、このゲス野郎!内戦でどれだけの人が殺されたか・・・」
「君はエルブの状況を判っておらんのだ。エルブには強力で統制できるリーダーが必要だ」

 彼女らの間ではシリアスな会話が成されていた。
ちなみに私はガン無視である。
画面に割り込む別の毛が背中まで伸びている女。
階級章には銀色二本のライン。

「ベネット!死んだはずじゃ?」
「残念だったなぁ、トリックでやんすよ」

 こいつは大脱出でもしたのか?密室殺人なのか?

「君にエルブ商会の会長、ガンダルヴを暗殺して欲しい。
 メイ君は救国の英雄だ。我々ではガンダルヴの元へ近づけん」
「ベネットも同じ部隊に居ただろう?」
「一方、ベネット大尉は国外追放を受けた身だ」
「ああ、楽しんで人を殺したからな」
「殺しを教えたのはおめぇでやんす」

 ゲドにメイにベネット。 
なんでどうして、エルブの人間ってのは色物が多いんだろうか。

「幾らでリアスに買われた?」
「100万パール、ポンッと帝国金貨でくれたでやんすよ」
「裏切り者め」

「アタシはメイ君を使ってガンダルブを殺し、クーデターを起こす。
 一ヶ月後、アタシは会長だ」
「カイだ!カイを出せ!」
「ふむ。いいだろう。つれて来い」
「いやっ!離して!離せっ!」

 画面の向こうに暴れている幼女が居た。
あれは…日本から護衛の後、エルブ側へ引き渡した子供だ。
面会謝絶の裏事情だな。

「君に拒否権はない。我々に」

 通信が切れた。メイがコンパクトを殴り飛ばしたからである。

「この先どうなるかはあんた次第だ。無事取り戻したければ・・・俺たちに協力しろ」
「メイ、コレの処理はどうする」

「ああ、忘れておった」

パキィ

 トリック・メイスが禿げ男に支払ったものは
鉄拳であった。
禿げは脳を揺らされ倒れ付す。

「協力しろと申したか」

メイを嘲笑うことなど不可能であった。

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