368 名前:始末記[sage] 投稿日:2016/07/30(土) 00:40:58.94 ID:TqCdnGg0
対馬海峡
補給艦『くにさき』
補給艦『くにさき』
対馬海峡を通過する『くにさき』には海上自衛隊特別警備隊二百名が乗艦していた。
護衛艦『しまかぜ』とともに対馬海峡まで航行してきた。
現在は第3ミサイル艇隊とも合流して珍島に向かっている。
海上自衛隊特別警備隊は転移後ろに大幅な増強を受けていた。
それは転移前に予定されていた水陸機動団の創設が、転移後の混乱で中止になってしまったからだ。
宙に浮いてしまった装備一式が特別警備隊に引き渡されていった。
即ち水陸両用車AAVP7A1 RAM/RS(人員輸送車型)である。
性能確認や運用検証等を行うための参考品として調達された四両とAAVC7A1 RAM/RS(指揮車型)の1両が『くにさき』に積載されている。
おおすみ型輸送艦は、水陸両用戦機能を強化すべく大規模な改修が行われている。
対馬から巨斉島までは60キロしかない。
護衛艦『しまかぜ』とともに対馬海峡まで航行してきた。
現在は第3ミサイル艇隊とも合流して珍島に向かっている。
海上自衛隊特別警備隊は転移後ろに大幅な増強を受けていた。
それは転移前に予定されていた水陸機動団の創設が、転移後の混乱で中止になってしまったからだ。
宙に浮いてしまった装備一式が特別警備隊に引き渡されていった。
即ち水陸両用車AAVP7A1 RAM/RS(人員輸送車型)である。
性能確認や運用検証等を行うための参考品として調達された四両とAAVC7A1 RAM/RS(指揮車型)の1両が『くにさき』に積載されている。
おおすみ型輸送艦は、水陸両用戦機能を強化すべく大規模な改修が行われている。
対馬から巨斉島までは60キロしかない。
「総員、乗車!!」
隊長の長沼一佐の号令のもと、特別警備隊の隊員達がAAVP7A1 RAM/RS(人員輸送車型)やAAVC7A1 RAM/RS(指揮車型)に乗り込んでいく。
全通飛行甲板では3機のSH-60Kがローターを回している。
こちらにも特別警備隊員達が乗り込んでいく。
全通飛行甲板では3機のSH-60Kがローターを回している。
こちらにも特別警備隊員達が乗り込んでいく。
「立入検査隊や基地警備隊の為の訓練部隊と揶揄してきた連中を見返す機会だ。」
特別警備隊は使いどころの難しい部隊と思われていた。
特別警備隊の主任務は脅威度の高い船舶・艦艇の武装解除および無力化である。
だが海上自衛隊は立入検査隊を重武装化させ、乗員分の拳銃分も艦艇に載せている。
海上保安庁も似たようなものだし、民間船まで武装警備員を乗せたり、自主的な武装をしている。
ほとんど任務らしい任務などは回ってこない。
立入検査隊や基地警備隊の訓練部隊として扱われ、優秀な隊員は引き抜かれていく。
隊員個人のレベルは転移前より下がっているかもしれない。
帝国との戦争でも大陸の沿岸部のホルスト伯爵領の攻略に投入されたくらいだ。
この作戦は部隊の有用性を証明するいい機会だった。
特別警備隊の主任務は脅威度の高い船舶・艦艇の武装解除および無力化である。
だが海上自衛隊は立入検査隊を重武装化させ、乗員分の拳銃分も艦艇に載せている。
海上保安庁も似たようなものだし、民間船まで武装警備員を乗せたり、自主的な武装をしている。
ほとんど任務らしい任務などは回ってこない。
立入検査隊や基地警備隊の訓練部隊として扱われ、優秀な隊員は引き抜かれていく。
隊員個人のレベルは転移前より下がっているかもしれない。
帝国との戦争でも大陸の沿岸部のホルスト伯爵領の攻略に投入されたくらいだ。
この作戦は部隊の有用性を証明するいい機会だった。
北サハリン
ポビギ村近郊
ポビギ村近郊
かつてネヴェリスコイ海峡と呼ばれる海峡があった。
ユーラシア大陸と樺太の間にあり、間宮海峡とアムール潟を結ぶ海峡のことである。
海峡の幅はもっとも狭いところで7.3 kmほどだったが、ユーラシア大陸が消えた今となっては大した意味はない。
今は水平線が見えるくらいの大洋がその姿を見せている。
その海岸に北方のフセヴォロドヴナ海から派遣された『革命の音階』号と船長ザボム・エグが率いる一万の軍勢が上陸した。
途中、何度も北サハリンの哨戒の為と思われる艦船を潜り抜けた結果、上陸出来たのがこの場所だった。
『革命の音階』号が巨大な三頭大蛇である。
口内に多数の海蛇の獣人兵士を乗せている。
海蛇の民には『革命の音階』号の消化液も問題はない。
さすがに一万もの兵士が乗るわけもなく、ほとんどが自力で泳いで海岸に上陸を果たしている。
さすがに船長のザボム・エグは真ん中の大蛇の口内から上陸する。
ユーラシア大陸と樺太の間にあり、間宮海峡とアムール潟を結ぶ海峡のことである。
海峡の幅はもっとも狭いところで7.3 kmほどだったが、ユーラシア大陸が消えた今となっては大した意味はない。
今は水平線が見えるくらいの大洋がその姿を見せている。
その海岸に北方のフセヴォロドヴナ海から派遣された『革命の音階』号と船長ザボム・エグが率いる一万の軍勢が上陸した。
途中、何度も北サハリンの哨戒の為と思われる艦船を潜り抜けた結果、上陸出来たのがこの場所だった。
『革命の音階』号が巨大な三頭大蛇である。
口内に多数の海蛇の獣人兵士を乗せている。
海蛇の民には『革命の音階』号の消化液も問題はない。
さすがに一万もの兵士が乗るわけもなく、ほとんどが自力で泳いで海岸に上陸を果たしている。
さすがに船長のザボム・エグは真ん中の大蛇の口内から上陸する。
「何も無いねぇ・・・」
道路らしき舗装された道はあるのだが、集落一つ見当たらない。
小屋らしき者が散見されるが、人の姿一つ見受けられない。
これでは略奪どころでは無い。
聞く限りの日本の都市とは大違いでガッカリしている。
小屋らしき者が散見されるが、人の姿一つ見受けられない。
これでは略奪どころでは無い。
聞く限りの日本の都市とは大違いでガッカリしている。
「日本は日本でもとんだ辺境に上陸してしまったようだね。」
見渡す限り山脈が連なり見通しは悪い。
フセヴォロドヴナ海を領海とするザボム・エグ船長の種族は海蛇から進化した種族だ。
その姿は四肢を得たことにより、リザードマンに近い。
尾は縦に平べったくなっており、泳ぐのに適している。
フセヴォロドヴナ海を領海とするザボム・エグ船長の種族は海蛇から進化した種族だ。
その姿は四肢を得たことにより、リザードマンに近い。
尾は縦に平べったくなっており、泳ぐのに適している。
主な武器は槍と鞭だが、毒を含んだ自らの体液を塗って使用している。
「姐御、もう少し行ったら村があるみたいですが・・・」
「そこまで行ってみるか、全軍に前進を伝えな!!」
「そこまで行ってみるか、全軍に前進を伝えな!!」
本能的に『革命の音階』号が危険を察知したのか上空を見上げていた。
さて『革命の音階』号の能力であるが、それを披露する暇もなく対地ミサイルの爆発に曝されてその身を焼失させる。
Su-25SMが飛来し、10基のハードポイントからKh-25空対地ミサイルが一斉に発射されたのだ。
2機目のSu-25SMが軍団の真ん中にKh-25空対地ミサイルを発射して爆発させる。
Su-25SMは、北サハリン空軍の第1親衛航空連隊に所属する18機の戦闘・攻撃機のうちの二機だ。
最初の爆撃から難を逃れたザボム・エグは、煙に視界を奪われつつも状況の把握に努める。
咄嗟に周囲の部下達が盾になってくれなければ危なかったかもしれない。
さて『革命の音階』号の能力であるが、それを披露する暇もなく対地ミサイルの爆発に曝されてその身を焼失させる。
Su-25SMが飛来し、10基のハードポイントからKh-25空対地ミサイルが一斉に発射されたのだ。
2機目のSu-25SMが軍団の真ん中にKh-25空対地ミサイルを発射して爆発させる。
Su-25SMは、北サハリン空軍の第1親衛航空連隊に所属する18機の戦闘・攻撃機のうちの二機だ。
最初の爆撃から難を逃れたザボム・エグは、煙に視界を奪われつつも状況の把握に努める。
咄嗟に周囲の部下達が盾になってくれなければ危なかったかもしれない。
「どれくらいやられた!!」
「三千はやられやした・・・」
「また来やした!!」
「三千はやられやした・・・」
「また来やした!!」
身軽となったSu-25SMの2機が、各々の方向から飛来してGSh-30-2 30mm連装機関砲を発砲して海蛇の軍勢を掃射する。
大部分の者はすばやく物陰や海に逃れるが、相当数の死傷者を出しているのが見てとれる。
大部分の者はすばやく物陰や海に逃れるが、相当数の死傷者を出しているのが見てとれる。
「あ、姉御、海からも!!」
複数の艦艇が海上に現れる。
旧ロシア海軍、現サハリン海軍所属の第11水域警備艦大隊だ。
間宮海峡防衛を主任務にしていた艦隊で、艦隊ごと転移に巻き込まていた。
グリシャ型コルベット、『ウスチ・イリムスク』、『メーティエリィ』、『コリェエツ』の3隻によるAK-725 57mm連装砲による艦砲射撃が地上に対して行われる。
さらに海中に逃れた敵に対して、RBU-6000 対潜ロケット砲が発射される。
旧ロシア海軍、現サハリン海軍所属の第11水域警備艦大隊だ。
間宮海峡防衛を主任務にしていた艦隊で、艦隊ごと転移に巻き込まていた。
グリシャ型コルベット、『ウスチ・イリムスク』、『メーティエリィ』、『コリェエツ』の3隻によるAK-725 57mm連装砲による艦砲射撃が地上に対して行われる。
さらに海中に逃れた敵に対して、RBU-6000 対潜ロケット砲が発射される。
「えぇい、ここは地獄かい?」
爆風に煽られながらザボム・エグは生き残りを集める。
これだけの攻撃に関わらず、いまだに三千の兵士が戦闘可能だった。
だがその兵士達も数匹単位で薙ぎ倒されていく。
装甲車両を前面に立てた北サハリン陸軍第3自動車化狙撃大隊だ。
3方向から自動車化狙撃中隊が接近して射撃を開始したのだ。
さらに後方の迫撃砲中隊や歩兵戦闘車BMP-3や装甲兵員輸送車BTR-60の攻撃も加わる。
海蛇の兵士達は死兵と化し、人間では考えられない速度で突撃を敢行するが、距離の壁は無情にも彼等を射ち抜いていく。
これだけの攻撃に関わらず、いまだに三千の兵士が戦闘可能だった。
だがその兵士達も数匹単位で薙ぎ倒されていく。
装甲車両を前面に立てた北サハリン陸軍第3自動車化狙撃大隊だ。
3方向から自動車化狙撃中隊が接近して射撃を開始したのだ。
さらに後方の迫撃砲中隊や歩兵戦闘車BMP-3や装甲兵員輸送車BTR-60の攻撃も加わる。
海蛇の兵士達は死兵と化し、人間では考えられない速度で突撃を敢行するが、距離の壁は無情にも彼等を射ち抜いていく。
「弾薬の補充を要請せんとな。」
北サハリン軍の大隊指揮官アンドレーエフ少佐は消耗される弾薬の数に眉をひそめる。
弾薬や武器の部品は日本に生産させて購入している。
転移の影響で営業停止に追い込まれていた中小の工場に取っては渡りに船の話だった。
代金はサハリン2により開発した油田や天然ガスだ。
日本政府は渋い顔を見せたが、生産して組み立てた兵器や弾薬を自衛隊に提供すると提案して黙らせた。
北サハリン軍の大隊指揮官アンドレーエフ少佐は消耗される弾薬の数に眉をひそめる。
弾薬や武器の部品は日本に生産させて購入している。
転移の影響で営業停止に追い込まれていた中小の工場に取っては渡りに船の話だった。
代金はサハリン2により開発した油田や天然ガスだ。
日本政府は渋い顔を見せたが、生産して組み立てた兵器や弾薬を自衛隊に提供すると提案して黙らせた。
「射撃を控えさせますか?」
大隊付き参謀のヴィクトル中尉が聞いてくる。
「バカを言え。
我々は高麗の連中ほど甘くは無いことを敵並びに同盟国に知らしめねばならん。
だからわざと上陸させてやったんだ。」
我々は高麗の連中ほど甘くは無いことを敵並びに同盟国に知らしめねばならん。
だからわざと上陸させてやったんだ。」
『革命の音階』号の動きは高麗国襲撃の時点で、警戒の為に発進した海上自衛隊のP-3C対潜哨戒機により捕捉されていた。
途中から引き継いだ北サハリンの対潜哨戒機イリューシン Il-38より指示を受けた第11水域警備艦大隊が、わざと姿を見せたり接近を装うことで誘導していたのだ。
すでに海軍、空軍による攻撃は停止している。
敵の数が減ったことと、粘った敵がこちらの前衛に到達しそうだったからだ。
到達出来たのは数十匹程度だ。
途中から引き継いだ北サハリンの対潜哨戒機イリューシン Il-38より指示を受けた第11水域警備艦大隊が、わざと姿を見せたり接近を装うことで誘導していたのだ。
すでに海軍、空軍による攻撃は停止している。
敵の数が減ったことと、粘った敵がこちらの前衛に到達しそうだったからだ。
到達出来たのは数十匹程度だ。
「降伏を勧告しますか?」
「言葉通じるのか?」
「いえ、無理ですがあの爬虫類見た目がセクシーじゃないですか?」
「いえ、無理ですがあの爬虫類見た目がセクシーじゃないですか?」
確かに海草で造ったようなハイレグ水着のような衣装の一匹に注目する。
確かにセクシーな気もする。
おそらくは連中の頭目だろう。
だが爬虫類だ。
確かにセクシーな気もする。
おそらくは連中の頭目だろう。
だが爬虫類だ。
「ヤンキーの映画に出てきそうだが好みじゃないな。
捕虜は必要ない。」
捕虜は必要ない。」
会話の間にも海蛇の兵士達の数が減っていく。
ザボム・エグは最後の一匹になるまで残った。
銃弾が幾つも肉体を穿つが、その鞭を奮う。
鞭はBMP-3の砲塔に巻き付くと、ザボム・エグの体がそのまま跳んだ。
蛇のようにBMP-3の車体を這いずりまわり前衛を突破する。
同士討ちを恐れて北サハリン兵達は撃つことが出来ない。
そのまま攻撃の間に仮設された野戦司令部のテントに突っ込んでくる。
惜しむらくはテントの中は無人だったことだ。
大隊司令部の要員は全員外で双眼鏡を抱えて戦闘を観ていたからだ。
全員が野戦服を着ていた為に、ザボム・エグには誰が大将が誰だかわからなかったのだ。
テントの布を体を巻き付けながらロシア人の将兵に蜂の巣にされて息絶えた。
ザボム・エグは最後の一匹になるまで残った。
銃弾が幾つも肉体を穿つが、その鞭を奮う。
鞭はBMP-3の砲塔に巻き付くと、ザボム・エグの体がそのまま跳んだ。
蛇のようにBMP-3の車体を這いずりまわり前衛を突破する。
同士討ちを恐れて北サハリン兵達は撃つことが出来ない。
そのまま攻撃の間に仮設された野戦司令部のテントに突っ込んでくる。
惜しむらくはテントの中は無人だったことだ。
大隊司令部の要員は全員外で双眼鏡を抱えて戦闘を観ていたからだ。
全員が野戦服を着ていた為に、ザボム・エグには誰が大将が誰だかわからなかったのだ。
テントの布を体を巻き付けながらロシア人の将兵に蜂の巣にされて息絶えた。
南樺太
日本国国境保安隊西柵丹保安署
日本国国境保安隊西柵丹保安署
北緯50度線、あくまで転移前の戦前に測量されたこのラインが現在の日本と北サハリンの国境である。
転移後に日本に南樺太が返還されて、陸上自衛隊第二師団が駐留することになった。
しかし、国境に関しては北サハリンとの摩擦を避ける必要があった。
国土交通省の内部部局として新設された国境保安局の部隊が国境保安隊である。
平時は制服を着て、拳銃、警棒、という軽武装でパトロールをしながら畑を耕しつつ日々の任務をこなしている。
だが日本の各治安機関に沿岸警備命令が発令されたこの時は、出動服に臑当・篭手・防護ベスト、防護面付特殊警備用ヘルメットを纏っている。
いわゆる機動隊隊員と同様の装備である。
ただし、警戒にあたっている隊員は全員が豊和M1500をその手に持っている。
全員が緊張した顔で、北サハリン領内の方を警戒している。
財務省の税関職員や法務省の入国管理局の管理官も任務の性質上、この保安署に詰めている。
国境の向こう側ではやはり北サハリンの国境警備隊員が姿を見せている。
毎日のように顔を会わせているので、国境を挟んで酒を酌み交わす仲の隊員もいる。
その内の一人の国境警備隊員が保安隊員達の前に笑顔で語りかけて来る。
転移後に日本に南樺太が返還されて、陸上自衛隊第二師団が駐留することになった。
しかし、国境に関しては北サハリンとの摩擦を避ける必要があった。
国土交通省の内部部局として新設された国境保安局の部隊が国境保安隊である。
平時は制服を着て、拳銃、警棒、という軽武装でパトロールをしながら畑を耕しつつ日々の任務をこなしている。
だが日本の各治安機関に沿岸警備命令が発令されたこの時は、出動服に臑当・篭手・防護ベスト、防護面付特殊警備用ヘルメットを纏っている。
いわゆる機動隊隊員と同様の装備である。
ただし、警戒にあたっている隊員は全員が豊和M1500をその手に持っている。
全員が緊張した顔で、北サハリン領内の方を警戒している。
財務省の税関職員や法務省の入国管理局の管理官も任務の性質上、この保安署に詰めている。
国境の向こう側ではやはり北サハリンの国境警備隊員が姿を見せている。
毎日のように顔を会わせているので、国境を挟んで酒を酌み交わす仲の隊員もいる。
その内の一人の国境警備隊員が保安隊員達の前に笑顔で語りかけて来る。
「終わったぞ!!
ポギビの戦いは我が軍の勝利だ!!」
ポギビの戦いは我が軍の勝利だ!!」
保安署隊員達と国境警備隊隊員達が歓声をあげている。
「やれやれ隊員達は無邪気だな。
まあ、ようやく一連の襲撃に対する朗報だから仕方も無いが・・・」
まあ、ようやく一連の襲撃に対する朗報だから仕方も無いが・・・」
署長兼隊長の松尾が呆れた顔で署内から眺めている。
戦いはものの一時間で終わったと聞いている。
自衛隊から派遣された観戦武官からの連絡だ。
今回の戦いは、北サハリン軍がその気になれば国境保安隊など一溜まりもないだろうことを再認識させられるものだった。
国境を預かる者としての不安が松尾を苛む。
自衛隊の第二師団が到着するまでの警戒の強化と退き際の見極めを関係各所と検討する必要が感じられた。
国境を挟んで互いに隊員達が喜びあっている。
だがロシア人達の中には南樺太や千島列島を日本に返還したことを面白く思っていない一派がいることは理解している。
いずれ決着を付ける時が来るのかもしれない。
或いは平和的な解決の道が切り開かれるのを祈るばかりだった。
戦いはものの一時間で終わったと聞いている。
自衛隊から派遣された観戦武官からの連絡だ。
今回の戦いは、北サハリン軍がその気になれば国境保安隊など一溜まりもないだろうことを再認識させられるものだった。
国境を預かる者としての不安が松尾を苛む。
自衛隊の第二師団が到着するまでの警戒の強化と退き際の見極めを関係各所と検討する必要が感じられた。
国境を挟んで互いに隊員達が喜びあっている。
だがロシア人達の中には南樺太や千島列島を日本に返還したことを面白く思っていない一派がいることは理解している。
いずれ決着を付ける時が来るのかもしれない。
或いは平和的な解決の道が切り開かれるのを祈るばかりだった。
百済市
エレンハフト城
北サハリンへの襲撃と撃退が報告されたのは僅か30分の出来事だった。
先程まで騒然としていた会場は沈黙を保ちつつ、各都市の代表は
ヴェルフネウディンスク市市長ユーリー・チカチーロに祝辞を述べている。
暗に『我々は高麗とは違う』と言われているようで、白市長は益々顔を蒼くしている。
エレンハフト城
北サハリンへの襲撃と撃退が報告されたのは僅か30分の出来事だった。
先程まで騒然としていた会場は沈黙を保ちつつ、各都市の代表は
ヴェルフネウディンスク市市長ユーリー・チカチーロに祝辞を述べている。
暗に『我々は高麗とは違う』と言われているようで、白市長は益々顔を蒼くしている。
「この勝利宣言と合わせまして、在日ベラルーシの住民500名を我が同胞として受け入れることを宣言します。」
もと転移前のサハリン州には六千名のベラルーシ人が居住していたことから問題はなかった。
「加えて、今回の損害の補填の為に、我々もアンフォニー男爵領の炭鉱開発事業に参入させて頂く。
先程、アンフォニー代官のミツオ・サイトウと正式に契約を取り交わした。」
先程、アンフォニー代官のミツオ・サイトウと正式に契約を取り交わした。」
これは新京総督秋月と新香港主席の林が驚愕の顔を見せてくる。
北サハリンは彼等の街の利権に食い込んで来たからだ。
いつの間にか、ユーリー市長の背後でどや顔の代官の斎藤と、困惑した顔のアンフォニー男爵代行のヒルダが立っていた。
ヒルダが困惑しているのは、この計画は40分前に結ばれたばかりだからだ。
この世界の住民で、最も利権を手にする筈の彼女が一番恐縮しているのは印象的であった。
だが報告に戻ってきた高橋陸将の言葉に皆が我に帰る。
北サハリンは彼等の街の利権に食い込んで来たからだ。
いつの間にか、ユーリー市長の背後でどや顔の代官の斎藤と、困惑した顔のアンフォニー男爵代行のヒルダが立っていた。
ヒルダが困惑しているのは、この計画は40分前に結ばれたばかりだからだ。
この世界の住民で、最も利権を手にする筈の彼女が一番恐縮しているのは印象的であった。
だが報告に戻ってきた高橋陸将の言葉に皆が我に帰る。
「護衛艦『あまぎり』が珍島に到着しました。
反抗の支援作戦を開始します。」
反抗の支援作戦を開始します。」