自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 2

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26 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/14(月) 21:21 [ qUq6iUEM ]
    沖縄西の海上。
    黒い艦隊が尖閣諸島周辺海域へと向かうべく海を切り裂き進んでいた。
    特に目を引くのは「こんごう」人類英知の結晶であるイージスシステムを採用した艦である。
    と、言っても第一世代イージス艦。それ以上の性能を誇る物も現れ始めているのだが。

27 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/14(月) 21:22 [ qUq6iUEM ]
    その甲板で沈み行く夕日の光に目を細めながら青島二等海尉は物資の点検のため、部下を率いて歩き回っていた。
    「もう日が沈むのか…、ずいぶん早く感じるな。」
    「それは訓練ばかりの毎日よりもこうやって海に出てた方が早く感じるに決まってますよ。」
    部下にタメ口を聞かれるのはまだ防衛大学を出たばかりの若造幹部だからか、
    それともその気さくな性格からか。しかし青島はそれを咎めもせずに笑って返した。
    「それにしてもなんでこんな重装備で行くのでしょうかねぇ、戦闘は起こらないんじゃないんですか?」
    そしてその口調を直さないまま佐藤二士は続けた。

28 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/14(月) 21:23 [ qUq6iUEM ]
    戦闘は起こらない。
    こう言われる今回の彼らの任務は非常に単純の物だった。
    尖閣諸島沖海底油田開発団の護衛。
    佐藤二士が重装備過ぎるというのも無理は無い、
    127ミリ単装速射砲1基、20ミリCIWS2基、
    Mk41VLS(スタンダードSAM、アスロックSUM)2基・90セル、
    3連装短魚雷発射管2基、ハープーンSSM4連装発射筒2基。
    これだけの装備を持つ戦艦達なのだ、戦争に行くのでもないのにこれは重装備過ぎる。
    軍国主義への始まりではないのか、が左翼やマスコミの言い分でもあった。

29 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/14(月) 21:23 [ qUq6iUEM ]
    さすがにこれには青島二尉も少し怪訝そうな顔をした。
    今回の出港の際も彼らは自称平和団体達の熱い見送りを受けた、それを思い出したのである。
    「中国の過激派の襲撃の可能性がある。ほんの一滴でも国民に血を流させるわけには行かないんだ。」
    「…そうっすか、外交でそいつらを抑えてもらうことは出来なかったんですかね。」
    「無理を言うな、本来なら海底油田開発だってとても出来ることじゃないんだ。
    外務省には感謝しなきゃならない、それよりもさっさと仕事にもどれ。」
    青島は佐藤を軽く小突くと外務省に入っていった友人のことをふと思った。
    防衛大に入るという自分を最後まで一緒に東大に来い、と言って説得しようとした男。

30 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/14(月) 21:25 [ qUq6iUEM ]
    その男から逐一中国との交渉のことを聞いていたため青島はこの問題については人並み以上に詳しかった。
    なんでも外務省では過労死したものが2名出たとか、血尿、胃潰瘍は当たり前だったとか恐ろしい話を聞かされたが、
    結局大規模な経済援助をする代わりに中国は尖閣諸島を放棄するということで決着がついたらしい。
    これは外交三流で通っている日本からすれば大金星であった。
    この大規模な艦隊は、その祝勝会という意味合いも含んでいるようであった。
    今度うちの基地の秘伝激辛カレーでも食わせてやろうかなどと、
    「胃潰瘍になった」と言っている友人の言葉を思い出しながら考えていた。

31 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/14(月) 21:26 [ qUq6iUEM ]
    「お疲れ様。」
    ぼうっとそんなことを考えていると突然肩を叩かれ青島は驚いて後ろを振り返った。
    「か、狩野海将補!」
    その相手に気づくと慌てて十度の敬礼と呼ばれるお辞儀をする。
    「いやいや、そんなにかしこまる必要は無い。」
    「は、はい。」
    「青島三尉…だったかな、がんばってくれ。」
    「は、有難うございます。」
    再び敬礼を返すと、青島はこの艦の艦長が自分の名を覚えていてくれたことに少なからず感動していた。

32 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/14(月) 21:26 [ qUq6iUEM ]

    狩野海将補
    現場主義を貫きながらもその有能さをもって海将補まで上り詰めた人物。
    温厚ながらその決断力、きめ細やかな部下への気配りで現場の自衛官達には圧倒的な人気があった。
    しかし
    「狩野海将補…僕の階級は、二尉です…。」

    彼の唯一の弱点は忘れっぽいところだ、と青島は思ったのであった。

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