自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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小国の苦悩 第十一話
バルミアス公国港町バズ・ラグーンは町を挙げての大祭となった。

『本日は、帝國軍大陸東方平定十周年記念艦観式にようこそいらっしゃいました』
帝國語と大陸共通語で同じ文言が繰り返される。
『ご参列の帝國属領及び同盟諸国、友好国の皆様方
 本日の参加者をご紹介いたします』
『ヴァンシュタイン帝国皇帝、ヨハン・ヴァルトラウス陛下』
意外な名前に、あちこちから驚きの声が聞こえる。
「反帝國同盟の・・・」
「どういうことだ・・・?」
「ヴァンシュタインは寝返るのか?」
皆が一様に一般席より10mは高く作られた特別席を見つめる。

驚き戸惑う、参加者を無視してナレーションは続く。
『帝國属領、ボローエン大公国大公シュヴァルツ・ハインラント陛下
 帝國属領、ザイーツェン王国国王ガイラス・ザイーツェン陛下
 ヴァシュタイン正教会最高司祭フランツ・ヴォーゲル閣下
 帝國同盟国、ハイド王国国王ランツ・ハイト陛下
 帝國保護国、ヴィアンツ王国女王レネ・ラティーレ陛下
 帝國属領、ガズ王国国王ガライ・フランツ5世陛下
              ・
              ・
              ・

以上、152ヶ国が参加されます』

20分も続いたアナウンスがやっと終了する。
貴族の参加者はこうした無駄に長い案内に慣れていたが、平民の招待客はかなりうんざりしていた。
『それでは開催宣言を帝國海軍連合艦隊長官山本大将よりお願いいたします』
『えー、本日はお日柄も良く、誠に・・・』
始まってしまったどうでもいい演説に平民招待客はさらにウンザリした。
『えー、それでは艦観式の開会を宣言するものであります!』
ジャーンジャンジャンジャカジャンジャンジャカジャカジャーン!
大音量で楽器ががなり立てられ、式典の始まりが告げられる。

ジャーンジャカジャカジャカジャーンジャカジャーン
『大陸方面艦隊第一防衛戦隊です。』
第一防衛戦隊旗艦、神通(二代目、大淀型)に率いられた16隻の駆逐艦が飛沫を上げて観艦式会場となった海面を疾走する。
その先には、大型の戦列艦の姿があった。
その船に気づいた、特に王国連合寄りの招待客の顔色が変わる。
ある商会の商人と言う肩書きで来ていた、大陸連合の高官は唖然とした。
(なぜ、アレがあそこにある!)
シュタインメッツ王国製最新鋭主力戦列艦ツァスタバ型。
大陸連合が、魔法技術の粋と要塞並の予算をかけて建造した新型艦である。
コスト度外視の魔法障壁は、攻城戦級魔法の直撃を物ともせず、超大型カタパルトは、帝國駆逐艦クラスなら打撃を与えられる威力がある。・・・筈だ。
結局の所、建造された3隻の前線配備は行われなかった。
余りに高すぎて、量産不可能な上、沈められるのが怖かったのである。
それが、ここにある。
存在しないはずの四隻目。

神通と駆逐艦群が発砲する。
神通から放たれた6発の15.5cm砲弾が戦列艦の上空で何か・・・魔力障壁に衝突し光る・・・
そして船自体が大爆発した。

黒煙が戦列艦のあった辺りを包み、何も見えない。
神通と駆逐艦は見事な一列縦隊を組み、ターンしていく。

「ほぉ~、凄いですなぁ」
近くにいた豪華な衣装の男が話しかけてきた。
「・・・え・・・ええ」
(誰だコイツは!)
格好からして、おそらく帝国属国か同盟国のそれなりの貴族だろう。
・・・なぜか綿飴を食べているが
「貴殿はどこの国から?」
「・・・ライゼン王国の商業ギルドで交渉を担当しております」
「ほう、ライゼン王国はやはり帝國の様子が気になりますかな?」
「・・・ええまぁ。貴方様は何処の国の方でしょうか?」
「ほっほっほ、名乗る程の国でも有りませんよ」
思いっきり怪しい。

「ああ! こんな所に居たんですか!!!」
後から耳が痛いほどの大声が聞こえる。
「おや、。何を慌てておる」
「何をじゃありませんよ! 警護を置いて遊びに行かないでくださいと何度・・・」
「分かった!分かったから引っ張るな!」
・・・どこかの大貴族か・・・見覚えがないが・・・目を付けられたのは不味いな・・・
男は、冷静な顔を装ったまま、身を翻した。

黒煙が晴れた海面には木切れが浮かんでいた。

「あいつ、相当焦っていたのぅ」
ゴンザレス5世は腹を抱えて大笑いしていた。
「悪趣味ですな・・・、あれは確かシュタインメッツの軍務大臣だったと」
ピエール男爵は思い出すように言った。
「ほう、軍務大臣まで来るとは相当ビビっとるのぉ」
地域大国だった名残から、ゴンザレス王国には大国の大貴族の顔位なら覚えている人間も多い。
一方、極小国であるゴンザレス王国関係者の顔を覚えている人間などまず存在しなかった。
「それはそうでしょう・・・たった数年で大陸の半分を制圧したんですから」
「大国も大変じゃ・・・さて、タコヤキなる物を食いに行かねば!」
とても老人には見えぬ速度で走り出すゴンザレス5世。
「あ、お待ちください!」
慌ててピエール男爵はそれを追いかけて行った。
『続いては、第一大陸防空隊による・・・』

1週間後・・・
シュタインメッツ王国軍務大臣ガリアス公爵は自室で苦悩していた。
あの時、声を掛けてきたどこかの貴族らしき人物が、未だに誰だか分からないのである。
外務大臣にも貴族院にも諜報部にも問い合わせても誰だか分からない。
最初は大して気に留めていなかったが、こちらの内心を見透かす様な態度が気になった。
そして次第に様々な考えが浮かんでくる。
まさか帝國陣営の国の諜報関係者か?
ひょっとすると、未だに姿すら現さぬ帝國の諜報員か?
不安が不安を呼び、公爵は何かの陰謀に掛かっているのではないかという疑心暗鬼に苛まれていた。
「誰なのだ・・・奴は!」
ガリアス公爵は両手で机を叩いた。

「タミヤはこの辺りのディテールがいいのう」
自ら組み上げた1/700木製ウォーターライン帝國海軍高速戦艦コンゴウ(大陸上陸作戦時)を眺めながらご満悦のゴンザレス5世。
辺りには、"模型画像"などの帝國の模型誌と筆が乱雑に散乱している。
「ああ! また遊んでる!」
ピエール男爵が大声を上げる。
「王族たるもの美術品を愛するのは当然であろう! 見よこのディテール! ドワーフの技師が彫り上げた木造彫刻の素晴らしさが分からんか! それを組み上げ色を塗るときの達成感!」
突然豹変した国王にビビる騎士団長。
「は・・・はぁ・・・」
「次回の観艦式は来年かのぅ・・・」
青い空を見つめる国王。
ゴンザレス王国は今日も平和だった。

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