10月5日 午前8時 カウェルサント
ワイバーンロードの被害は結構ひどいものであった。
まず、対空陣地は、11.2ミリ機銃座は全滅。にわか造りの機銃座もわずか3つしか残っていないという。
まさに全滅寸前である。
対空機銃の次は、砦の敷地内を取り囲む木造の壁だが、こちらは入り口付近が焼け落ちている。
その他に、西側の一部分が焼かれて、灰にされてしまった。
敷地内では、馬車12台が馬ごと焼かれてしまい、テントなどにも被害は及んでいる。
人的被害は、戦死162名、負傷者218人。
まさに被害甚大だ。
ワイバーンロードの被害は結構ひどいものであった。
まず、対空陣地は、11.2ミリ機銃座は全滅。にわか造りの機銃座もわずか3つしか残っていないという。
まさに全滅寸前である。
対空機銃の次は、砦の敷地内を取り囲む木造の壁だが、こちらは入り口付近が焼け落ちている。
その他に、西側の一部分が焼かれて、灰にされてしまった。
敷地内では、馬車12台が馬ごと焼かれてしまい、テントなどにも被害は及んでいる。
人的被害は、戦死162名、負傷者218人。
まさに被害甚大だ。
「以上が、このカウェルサントが受けた被害ですね。」
オイルエン大尉は、俺に対して、淡々とした口調でしゃべっている。
一見、冷静そうな顔を浮かべているが、内心では悔しさで一杯だろう。なにせ、多くの仲間がまた命を落としたのだから。
一見、冷静そうな顔を浮かべているが、内心では悔しさで一杯だろう。なにせ、多くの仲間がまた命を落としたのだから。
「・・・・・マッキャンベル中佐、聞いていますか?」
「聞いてるよ。」
「聞いてるよ。」
素っ気無い口調でそう答える。どうも、体に力が入らないような感じがする。
「幸いにも、弾薬庫などの重要物資には、わずかながらの被害しかありませんでした。
最悪、それらも全部やられるかと思いましたが。これで、しばらくはここで粘れるでしょう。」
「しばらくは・・・か。」
「幸いにも、弾薬庫などの重要物資には、わずかながらの被害しかありませんでした。
最悪、それらも全部やられるかと思いましたが。これで、しばらくはここで粘れるでしょう。」
「しばらくは・・・か。」
俺は頷く。しかし、少し気になったので、また質問してみる。
「そのしばらくというのは、いつぐらいなんだ?」
「まあ、ワイバーンロードがこなければ、最大2日は持てるでしょう。それ以上は持てませんね。
あとは森の中に逃げるだけです。」
「まあ、ワイバーンロードがこなければ、最大2日は持てるでしょう。それ以上は持てませんね。
あとは森の中に逃げるだけです。」
「まあ、この部隊ならそれぐらいは可能だな。」
そう言って、俺は空を眺める。空は快晴で、気持ち良いぐらいに、青空が広がっている。
「じゃあ、もし、ワイバーンが来たら?」
「1日も持たないね。」
「1日も持たないね。」
後ろから聞き覚えのある声がする。振り向くと、そこにはイメインと、魔道師のマルファがいた。
マルファは自分を見るなり、笑って手を振ってくる。一方のイメインは、相変わらず機嫌の悪そうな表情を浮かべている。
マルファは自分を見るなり、笑って手を振ってくる。一方のイメインは、相変わらず機嫌の悪そうな表情を浮かべている。
「それでもいいほう。最悪の場合は、夕方には森で逃げ回っているわ。そんな事聞いて楽しい?」
一瞬、心臓が跳ね上がるような思いがした。
「イメイン!」
「いや、大尉。私が悪かった。よく思えば、君達はこれから継戦派の連中と戦うのだったな。
それなのに、士気を削ぐような質問をしてしまった。」
「いや、大尉。私が悪かった。よく思えば、君達はこれから継戦派の連中と戦うのだったな。
それなのに、士気を削ぐような質問をしてしまった。」
イメインの行った事は瞬時に分かった。俺も空母の戦闘機パイロットだ。
敵の空母部隊や、戦闘機隊と戦う前に、負けるか、母艦が撃沈されるかなどという話をされたらあまりいい気はしない。
俺はそのような話は、冗談の時でもあまりやるなと部下に言いつけている。
それなのに、自分がこのような事をしでかしたのだ。はっきり言って、恥以外なにものでもない。
敵の空母部隊や、戦闘機隊と戦う前に、負けるか、母艦が撃沈されるかなどという話をされたらあまりいい気はしない。
俺はそのような話は、冗談の時でもあまりやるなと部下に言いつけている。
それなのに、自分がこのような事をしでかしたのだ。はっきり言って、恥以外なにものでもない。
「馬鹿な事を聞いてすまない。」
俺は、本当に申し訳ない気持ちで一杯だ。彼らの気持ちも考えずに、余計な事を口走った罪は重い。
(全く、俺はなんて馬鹿な奴なんだろうか。畜生め!)
自分自身に対して、腹が立つ。
自分自身に対して、腹が立つ。
「それは仕方ない。」
イメインが口を開いた。
「戦場と言う空気は、本来の自分を忘れさせる。その事は、あんたも軍人なのだから、よく分かっているはず。
このような事は誰にでもある事よ。ボロが出るのは仕方が無い。」
このような事は誰にでもある事よ。ボロが出るのは仕方が無い。」
そう言って、彼女は地面に腰を降ろした。マルファも彼女を見習って座った。
「あなたは自分の言った事を、しっかり理解できている。それができれば、いざ失敗した時でも、次は同じ間違いはしないわ。」
イメインは、腰の水筒を取り出して、俺に差し出してきた。
「飲む?」
「おい・・・・いいのか?」
「飲みなさい。少しは気分も落ち着く。」
「おい・・・・いいのか?」
「飲みなさい。少しは気分も落ち着く。」
本当にいいのか?マルファは犬系の獣人だが、女だ。よく見たら、そこそこいい線いっている。
それなのに、いきなり自分の水筒を、それも他人の親しくない男に、飲め、とは。
それなのに、いきなり自分の水筒を、それも他人の親しくない男に、飲め、とは。
「この水筒には、興奮を抑える薬が入っている。今のあなたは、さっきからずっと落ち着いていない。
これを飲めば、落ち着く。」
これを飲めば、落ち着く。」
なるほど、何かの薬草を水に溶かして、水筒に入れているのか。
イメインから、水筒を取って、一口飲んでみる。甘い。
イメインから、水筒を取って、一口飲んでみる。甘い。
「すまないな。それにしても、なんか重いな。」
まるで、一度も飲んでいないみたいだ。
「私は必要ない。自分で適度に抑えられるから大丈夫。」
そう言って、彼女は立ち上がった。
それが合図だったかのように、全員(といっても今は3人しかいないが)が立ち上がる。
マルファは、先の空襲で怪我を負ったのか、左腕に包帯を巻いている。
それに気が付いたのか、マルファが視線をこちらに移す。
それが合図だったかのように、全員(といっても今は3人しかいないが)が立ち上がる。
マルファは、先の空襲で怪我を負ったのか、左腕に包帯を巻いている。
それに気が付いたのか、マルファが視線をこちらに移す。
「あっ、これはですね。さっき敷地内に着地してきたワイバーンロードと戦った時に出来た傷なんです。
いやぁ~、ワイバーンロードって強いですよぉ。」
いやぁ~、ワイバーンロードって強いですよぉ。」
マルファはやたらに調子のよさそうな口調だ。
どうも、この娘が気を落としているところは見たことが無い。いつも明るい。いや、明るすぎだろう。
どうも、この娘が気を落としているところは見たことが無い。いつも明るい。いや、明るすぎだろう。
「ワイバーンロードと戦ったのか。何人でやったんだ?」
「私とイメインさんです。」
「他には?」
「えっと・・・・・・・私とイメインさんの2人だけですよ。まあ、相手は1体だけだったけど。」
「私とイメインさんです。」
「他には?」
「えっと・・・・・・・私とイメインさんの2人だけですよ。まあ、相手は1体だけだったけど。」
2人であんな化け物を相手にしていたとは。普通なら消し炭にされてもおかしくはないのに・・・・・・
「あと一歩で、片目を潰せたんだけど。まっ、死ななかっただけでも良しとしようか。」
イメインがさらりと言う。全く、なんて奴らだ。
「おい、あんたら、海兵隊に来ないか?あんたらなら引く手数多だぜ?」
「「遠慮するよ」」
「「遠慮するよ」」
なぜか2人同時に言ってくる。まあ、大方冗談のつもりだったが。
「それではマッキャンベル中佐。自分達は敵に備えないといけないので、これで失礼します。
運が良ければ、また後で会いましょう。」
運が良ければ、また後で会いましょう。」
オイルエン大尉が微笑みながら言ってきた。
「運が良ければとか言うなよ。必ず会えるさ。オイルンエン大尉、英雄になるなよ。」
「・・・・・・まあ、確証は持てませんが、出来る限り努力します。それでは。」
「・・・・・・まあ、確証は持てませんが、出来る限り努力します。それでは。」
彼は敬礼した。俺も姿勢を正し、オイルエン大尉に敬礼を返した。
そう言って、彼らは砦の板壁のほうに走っていく。ふと、あるものを返し忘れて、俺は呼び止めた。
そう言って、彼らは砦の板壁のほうに走っていく。ふと、あるものを返し忘れて、俺は呼び止めた。
「イメイン!忘れ物だ!」
彼女の犬耳がピクッと大きく動く。彼女は振り返った。
「それはあんたにやるよ。それにさっき言ったでしょ。あたしには必要ないって。」
相変わらず、機嫌の悪そうに見えたが、なぜか少しだけ微笑んでいた。
それを隠すかのように、イメインは慌しくオイルエン大尉らの後を追った。
それを隠すかのように、イメインは慌しくオイルエン大尉らの後を追った。
午前8時30分 カウェルサント西2キロ
「見た感じでは、あまり打撃を受けたようには感じんなあ。」
小高い丘から、カウェルサントの砦を見たイアム・ワフィムル大佐はそう呟く。
「見た感じでは、あまり打撃を受けたようには感じんなあ。」
小高い丘から、カウェルサントの砦を見たイアム・ワフィムル大佐はそう呟く。
「火災の煙がまだ上がってはいますが、ここからじゃ確かに見えづらいですな。
まあ、見えずらいだけで、実際は大損害を受けているはずです。」
隣で、第2大隊長のローストルイ騎士中佐がワフィルムに言う。
「ワイバーン部隊から伝えられた戦果は、敵兵300人殺害、200人を負傷し、対空機銃と備蓄物資を全滅させたとありますぞ。」
「本当にあてになるかねえ。」
まあ、見えずらいだけで、実際は大損害を受けているはずです。」
隣で、第2大隊長のローストルイ騎士中佐がワフィルムに言う。
「ワイバーン部隊から伝えられた戦果は、敵兵300人殺害、200人を負傷し、対空機銃と備蓄物資を全滅させたとありますぞ。」
「本当にあてになるかねえ。」
ワフィルム大佐は望遠鏡を目元から降ろした。
「航空部隊の戦果は話半分、もしくはそれ以下と考えたほうがいいぞ。」
「どうしてですか?」
「君は分からんのかね。このような報告はあまり当てにせんほうがいい。これまでの例がそうさ。
サイフェルバン戦の時には、夜の悪魔(第13空中騎士団)が米機動部隊に空襲をかけて、空母2隻撃沈、
空母1隻とその他4隻を大破させて敵を追い払ったという戦果発表があったが、翌日には、勇躍出撃した
空中騎士団が、敵戦闘飛空挺の大群に捕まって全滅に等しい損害を受けた。そして、この前の戦いでも、
670機の飛空挺を投入して空母2隻、護衛艦6隻を沈め、空母3隻を大破させたと報告してきた。
その翌日、大魔道院はどうなったと思う?」
「どうしてですか?」
「君は分からんのかね。このような報告はあまり当てにせんほうがいい。これまでの例がそうさ。
サイフェルバン戦の時には、夜の悪魔(第13空中騎士団)が米機動部隊に空襲をかけて、空母2隻撃沈、
空母1隻とその他4隻を大破させて敵を追い払ったという戦果発表があったが、翌日には、勇躍出撃した
空中騎士団が、敵戦闘飛空挺の大群に捕まって全滅に等しい損害を受けた。そして、この前の戦いでも、
670機の飛空挺を投入して空母2隻、護衛艦6隻を沈め、空母3隻を大破させたと報告してきた。
その翌日、大魔道院はどうなったと思う?」
大佐はローストルイ中佐にずいっと顔を近づける。
「大魔道院は、大雑把に数えても1500機を越える敵飛空挺にたかられて潰された。
合計で5隻の空母を戦列から失った敵機動部隊が、そんなに飛空挺を飛ばせるか?否、飛ばせん。
なぜなら、空中騎士団が撃沈、撃破した空母はわずか1,2隻ぐらいしかない。先のサイフェルバン戦でも同様だ。」
合計で5隻の空母を戦列から失った敵機動部隊が、そんなに飛空挺を飛ばせるか?否、飛ばせん。
なぜなら、空中騎士団が撃沈、撃破した空母はわずか1,2隻ぐらいしかない。先のサイフェルバン戦でも同様だ。」
彼は憮然とした表情で、そうまくしたてた。
「私がさっき、航空部隊の戦果はあてにならぬといったのは、こういう事があるからだ。」
「なる・・・ほど。」
「なる・・・ほど。」
ローストルイ中佐は、冷や汗を浮かべながら頷いた。
(大佐、かなり気が立ってるな)
ローストルイ中佐は、昨日の夜戦の戦果にがっかりしていたワフィルム大佐の姿を思い出した。
あの時は、追撃を失敗した第3大隊の隊長に対して、無能者と叫んだほど、ワフィルムは激怒していた。
「さて、後は私達の仕事だ。あと何度かはワイバーンロードの支援も要請するだろうが、とにかく、
昨日の失点をこの攻撃で取り返すぞ。中佐」
(大佐、かなり気が立ってるな)
ローストルイ中佐は、昨日の夜戦の戦果にがっかりしていたワフィルム大佐の姿を思い出した。
あの時は、追撃を失敗した第3大隊の隊長に対して、無能者と叫んだほど、ワフィルムは激怒していた。
「さて、後は私達の仕事だ。あと何度かはワイバーンロードの支援も要請するだろうが、とにかく、
昨日の失点をこの攻撃で取り返すぞ。中佐」
ワフィルム大佐がローストルイに顔を向けた。
「君達の大隊は所定の位置に付いておるか?」
「はっ。先ほど、配置完了の報が届きました。全部隊、意気軒昂であります。」
「よろしい。第3大隊ももうすぐ・・・・いや、配置に付いたな。よし、私達もワイバーン部隊に負けぬ仕事をしよう。」
「はっ。先ほど、配置完了の報が届きました。全部隊、意気軒昂であります。」
「よろしい。第3大隊ももうすぐ・・・・いや、配置に付いたな。よし、私達もワイバーン部隊に負けぬ仕事をしよう。」
ワフィルム大佐は、南400メートル離れた森から、配置完了ののろしが上がっている事に気が付いた。
1098年10月5日 午前8時30分~午後4時
カウェルサントの攻防戦は凄絶を極めた。
まず、第77歩兵師団の第1連隊の残余が砦を攻撃した。
第1連隊の総数は、昨日の夜戦で相当数減少していたものの、士気は旺盛であり、彼らは一気に攻めて行った。
革命側は、これまで秘匿していた大砲7門を引っ張り出し、迫り来る敵歩兵部隊やゴーレムに叩き付けた。
第1連隊は一時、砦のバリケードを突破し、敷地内に暴れこんだものの、オイルエン大尉らの分隊がうまく足止めし、
敵の第1連隊に多大な損害を負わせて撃退した。
第1連隊は夥しい死傷者を出して交代したが、今度は無傷の第2連隊が攻撃を開始した。
第2連隊は、第1連隊が攻撃を行っている最中に強引に森を切り開き、急増の砲兵陣地を作った。
そこから30分ほど、砦に砲弾を叩き込んだ後、第2連隊の主力が攻撃を開始した。
午前10時に開始された第2連隊の攻撃で、革命側は一歩も引かぬ姿勢で応戦。
数は1200人ほどに減った革命側だが、流石は精鋭の名を頂いた部隊だけはある。
カウェルサントの攻防戦は凄絶を極めた。
まず、第77歩兵師団の第1連隊の残余が砦を攻撃した。
第1連隊の総数は、昨日の夜戦で相当数減少していたものの、士気は旺盛であり、彼らは一気に攻めて行った。
革命側は、これまで秘匿していた大砲7門を引っ張り出し、迫り来る敵歩兵部隊やゴーレムに叩き付けた。
第1連隊は一時、砦のバリケードを突破し、敷地内に暴れこんだものの、オイルエン大尉らの分隊がうまく足止めし、
敵の第1連隊に多大な損害を負わせて撃退した。
第1連隊は夥しい死傷者を出して交代したが、今度は無傷の第2連隊が攻撃を開始した。
第2連隊は、第1連隊が攻撃を行っている最中に強引に森を切り開き、急増の砲兵陣地を作った。
そこから30分ほど、砦に砲弾を叩き込んだ後、第2連隊の主力が攻撃を開始した。
午前10時に開始された第2連隊の攻撃で、革命側は一歩も引かぬ姿勢で応戦。
数は1200人ほどに減った革命側だが、流石は精鋭の名を頂いた部隊だけはある。
その間、肝心のワイバーンロードの支援は、基地が突然の悪天候に見舞われて、ワイバーン部隊の発進
が出来なくなっていた。天候は、継戦派と革命派、アメリカ側の敵となり、味方にもなったのである。
革命派は倍以上の敵の攻勢を、なんとか最小限に収め、気がつく頃には、もはや4時を回っていた。
が出来なくなっていた。天候は、継戦派と革命派、アメリカ側の敵となり、味方にもなったのである。
革命派は倍以上の敵の攻勢を、なんとか最小限に収め、気がつく頃には、もはや4時を回っていた。
「イメイン!危ない!!」
オイルエン大尉が、敵と切り結ぶ傍らにイメインに注意を呼びかける。
しかし、その言葉が終わった直後には、イメインは体を捻らせ、鋭い回し蹴りを敵兵に叩き込んでいた。
横っ面を蹴り飛ばされた敵兵は、首を反対側に曲げられて絶命してしまった。
しかし、その言葉が終わった直後には、イメインは体を捻らせ、鋭い回し蹴りを敵兵に叩き込んでいた。
横っ面を蹴り飛ばされた敵兵は、首を反対側に曲げられて絶命してしまった。
「言われなくても分かってますよ!」
イメインは微かに笑みを浮かべる。2人とも、体が返り血で真っ赤に染まっている。
今、敵部隊の一部が再び砦の中に入り込んできている。
オイルエン大尉は、自分達の部隊を率いて、侵入してきた敵兵を排除している。
しかし、いかんせん数が多すぎる。
現在、敵兵は300人が敷地内に入っている。そのうちの大多数は味方と交戦して追い返されている。
今、敵部隊の一部が再び砦の中に入り込んできている。
オイルエン大尉は、自分達の部隊を率いて、侵入してきた敵兵を排除している。
しかし、いかんせん数が多すぎる。
現在、敵兵は300人が敷地内に入っている。そのうちの大多数は味方と交戦して追い返されている。
「それなら安心だね!」
オイルエン大尉は相手を押し返し、相手がひるんだ隙を突いて、一気に腹を抉った。
敵兵が苦痛に表情を歪め、腹を抑えながら倒れ付す。
既に、同じような光景は飽きるほど見ている。敷地内や、砦の外は、今や双方の死体で一杯であった。
いつも側にいるはずの魔道師のマルファは、現在この場にいない。
彼女は、2時頃に始まった戦闘で、継戦側のクロスボウで右胸を串刺しにされて重傷。砦内の救護所に担ぎ込まれた。
敵兵が苦痛に表情を歪め、腹を抑えながら倒れ付す。
既に、同じような光景は飽きるほど見ている。敷地内や、砦の外は、今や双方の死体で一杯であった。
いつも側にいるはずの魔道師のマルファは、現在この場にいない。
彼女は、2時頃に始まった戦闘で、継戦側のクロスボウで右胸を串刺しにされて重傷。砦内の救護所に担ぎ込まれた。
マルファのみならず、いつものメンバーのうち、2人は既に戦死し、3人は救護所で傷の苦痛に耐えている。
「畜生、後から後から・・・・・・これじゃあキリが無いな。」
2人とも疲労困憊であった。体中が重く、腕に思うような力が入らない。
イメインは、相変わらず冷静そうな表情であるものの、彼女自身も疲労の色は隠しきれていない。
イメインは、相変わらず冷静そうな表情であるものの、彼女自身も疲労の色は隠しきれていない。
「腕、使えるか?」
オイルエンは、イメインの右腕を見た。イメインの右腕はだらりとぶら下がっており、流血の跡がくっきり残っている。
「今すぐには使えないですね。どうも、傷が思ったよりも深かったみたいで。」
そう言いながら、彼女は包帯で右腕の傷口を巻いて縛る。縛った瞬間、激痛に顔をしかめた。
この傷は、昨日の砲兵陣地攻撃の際、敵の女性魔道師と戦った時につけられた傷である。
イメインは、この傷が思ったよりも深いことは分かっていたが、それを隠し通し、今日の戦いで右腕も使いまくった。
彼女は今日だけで、40人あまりの敵兵をなぎ倒したが、その代償に、右腕が使えなくなってしまった。
さっきまで、彼女は左腕と足で戦っていたのである。
この傷は、昨日の砲兵陣地攻撃の際、敵の女性魔道師と戦った時につけられた傷である。
イメインは、この傷が思ったよりも深いことは分かっていたが、それを隠し通し、今日の戦いで右腕も使いまくった。
彼女は今日だけで、40人あまりの敵兵をなぎ倒したが、その代償に、右腕が使えなくなってしまった。
さっきまで、彼女は左腕と足で戦っていたのである。
「それじゃあ、手当てしない限り無理だな。」
そう言って、オイルエン大尉は舌打ちした。
外壁の外では、相変わらず剣を打ち合う音や、銃声がひっきりなしに鳴っている。
前者のほうはやや少なく、後者の銃声のほうが多い。
外壁の外では、相変わらず剣を打ち合う音や、銃声がひっきりなしに鳴っている。
前者のほうはやや少なく、後者の銃声のほうが多い。
「敵は一旦引くつもりだな。」
「出来れば、一生来ないで欲しいわ。」
「出来れば、一生来ないで欲しいわ。」
イメインが忌々しげに呟いた。その時、
「敵の新手部隊出現!」
悲鳴のような声が聞こえてくる。静かになりつつあった門前が、再び敵兵の雄叫びで染まりつつあった。
この時、ヌーメアから派遣されてきた第3連隊の1個大隊が、増援に駆けつけたのだ。
この時、ヌーメアから派遣されてきた第3連隊の1個大隊が、増援に駆けつけたのだ。
「どうやら、まだまだ仕事に追われるようだな。イメイン、君は下がっていろ。」
オイルエン大尉は、イメインの事を思ってそう言った。が、
「まだ左腕が使えます。それに、私は敵がいる限り、戦い続けます。」
「・・・・・勝手にしろ。」
オイルエン大尉は、イメインの事を思ってそう言った。が、
「まだ左腕が使えます。それに、私は敵がいる限り、戦い続けます。」
「・・・・・勝手にしろ。」
イメインの目は真剣だった。彼女は頑固な面があり、自分がやると決めたらなかなか変えないふしがある。
そんなイメインを説得するのは、かなり苦労させられる。
オイルエンはそれが分かっているから、仕方なしに彼女が戦線に留まるのを認めた。
そんなイメインを説得するのは、かなり苦労させられる。
オイルエンはそれが分かっているから、仕方なしに彼女が戦線に留まるのを認めた。
「では、行きましょうか、大尉。」
「そうだな。とことん付き合ってもらうぞ。」
「そうだな。とことん付き合ってもらうぞ。」
一旦引いていた闘志が、再び上がってきた。来るなら来い。貴様らが懲りるまで、俺達は何度でもぶちのめしてやる!
オイルエンとイメインは、再び門前に向かって走り始めた。
もはや、頭の中にあるのは敵を追い返すことしか考えていなかった。2人だけではない。
革命軍の将兵、全てが新たなる敵を追い返すべく、再び闘志を沸き起こさせた。
そんな時に、珍客は突然やってきたのである。
オイルエンとイメインは、再び門前に向かって走り始めた。
もはや、頭の中にあるのは敵を追い返すことしか考えていなかった。2人だけではない。
革命軍の将兵、全てが新たなる敵を追い返すべく、再び闘志を沸き起こさせた。
そんな時に、珍客は突然やってきたのである。
「・・・・・・ここの空域の地図はいまいち鮮明じゃないな。」
パイロットであるラリー・ヴォールソン少尉は後ろに話しかけた。
「ここらへんは先の攻撃目標に入っていないですからね。一応索敵コースには入っているんですが。」
後部座席に座っているニュートン兵曹がそう答える。
彼らは午後3時にエセックスから発艦した。
ヘルダイバーを240マイルのスピードで南東区域に向け、索敵を始めた。それから早1時間が過ぎている。
彼らは午後3時にエセックスから発艦した。
ヘルダイバーを240マイルのスピードで南東区域に向け、索敵を始めた。それから早1時間が過ぎている。
「森ばっかりじゃねえか。所々、山か小さい草原があるだけで、後は何も変わらないな。」
「そういえば、そろそろヌーメアという地域を通りますが。」
「地図に乗っているこれか。確か村があると聞いているが。その村って、どこが支配しているんだ?継戦側かな。」
「革命側じゃないですか?ここらへんは既にギルアルグより相当離れていますから。」
「そういえば、そろそろヌーメアという地域を通りますが。」
「地図に乗っているこれか。確か村があると聞いているが。その村って、どこが支配しているんだ?継戦側かな。」
「革命側じゃないですか?ここらへんは既にギルアルグより相当離れていますから。」
ニュートン兵曹の言葉に、ヴォールソンはなるほどと言って頷いた。
本来ならば、第4任務群はトラップの城こと、グレンドルス城と、その東にある継戦軍司令部らしき豪邸を叩く予定であった。
午前9時頃には、エセックス、ラングレー、カウペンスから合計120機の攻撃隊が発艦するはずだった。
だが、先に発艦した策敵機が攻撃予定地点の天候は雨と伝えてきた。
エセックスに座乗しているハリル少将は、雨が止むまで攻撃隊の発進を取り止め、そのまま待機していた。
だが、今も攻撃目標地点は雨雲に覆われている。
午後3時半頃に、カウペンスのアベンジャーが現場に向かったが、依然としてギルアルグ全体が雨雲に覆われており、
一部には発達した積乱雲も存在しており、攻撃できる状態には無いと報告された。
本来ならば、第4任務群はトラップの城こと、グレンドルス城と、その東にある継戦軍司令部らしき豪邸を叩く予定であった。
午前9時頃には、エセックス、ラングレー、カウペンスから合計120機の攻撃隊が発艦するはずだった。
だが、先に発艦した策敵機が攻撃予定地点の天候は雨と伝えてきた。
エセックスに座乗しているハリル少将は、雨が止むまで攻撃隊の発進を取り止め、そのまま待機していた。
だが、今も攻撃目標地点は雨雲に覆われている。
午後3時半頃に、カウペンスのアベンジャーが現場に向かったが、依然としてギルアルグ全体が雨雲に覆われており、
一部には発達した積乱雲も存在しており、攻撃できる状態には無いと報告された。
「なんてこった。いざ攻撃と言う時に、天候に阻まれるとは。運は継戦側に味方してしまったか。」
ハリル少将はげんなりとした表情で、幕僚にそうぼやいている。
3空母の甲板上では、今も艦載機が並べられているが、今日の出撃は取り止めになる可能性が高い。
3空母の甲板上では、今も艦載機が並べられているが、今日の出撃は取り止めになる可能性が高い。
「あんな忌々しい雨さえなけりゃ、俺達は継戦側の奴らにプレゼントを落とせたのに。
それがこんな暇で退屈な索敵任務に駆り出されるとは。全く、アンラッキーだぜ。」
それがこんな暇で退屈な索敵任務に駆り出されるとは。全く、アンラッキーだぜ。」
「機長、ため息ばっかついてますね。そんなに索敵が嫌なんすか?」
「まあ、嫌いと言えば嫌いだね。いつものように、敵を攻撃しに行く時は自然に体の調子が出るが、
このような任務の時はな、どうも頑張ろうという気持ちがわかねえんだ。」
「まあ、嫌いと言えば嫌いだね。いつものように、敵を攻撃しに行く時は自然に体の調子が出るが、
このような任務の時はな、どうも頑張ろうという気持ちがわかねえんだ。」
そう言ってまたため息をつく。
「そんなにため息ばっかりついてたら、幸せが逃げますよ?」
「これぐらいで幸せが逃げるもんか。逃げるって言われてるんなら、もっとため息をしまくるぜ。」
「これぐらいで幸せが逃げるもんか。逃げるって言われてるんなら、もっとため息をしまくるぜ。」
そう言って、少尉はニヤリと笑みを浮かべる。
しばらく単調な飛行が続いた後、ようやくヌーメアと呼ばれる地域に差し掛かった。
彼らのヘルダイバーは、途中で森が無い場所を見つけた。ヴォールソンはそこに機を導いていく。
高度を下げて、目標の上空に達した時、ヴォールソンの気持ちは一気に高ぶった。
しばらく単調な飛行が続いた後、ようやくヌーメアと呼ばれる地域に差し掛かった。
彼らのヘルダイバーは、途中で森が無い場所を見つけた。ヴォールソンはそこに機を導いていく。
高度を下げて、目標の上空に達した時、ヴォールソンの気持ちは一気に高ぶった。
「おいニュートン。見ろよ、家が焼け落ちたような跡があるぞ。」
「なんかテントらしきものがかなりありますな。あっ!!」
「なんかテントらしきものがかなりありますな。あっ!!」
その時、2人は地上から対空機銃らしきものが、彼らのヘルダイバーに向けられている事に気が付いた。
「機長!高度を上げてください!撃たれますよ!」
「言われんでもわかっとる!」
「言われんでもわかっとる!」
ヴォールソンは慌てて操縦桿を引き上げた。
彼は800メートルまで高度を落としていたが、対空機銃が向けられるのを見て上昇に転じる。
ヘルダイバーのエンジンが大きくなり、高度計の針がグングン上がっていく。
彼は800メートルまで高度を落としていたが、対空機銃が向けられるのを見て上昇に転じる。
ヘルダイバーのエンジンが大きくなり、高度計の針がグングン上がっていく。
「機銃、撃った!」
複数の箇所から銃撃のマズルフラッシュと、白煙が見えた。
曳光弾がヘルダイバーの機尾やコクピットを掠めていく。
「こんな所に居やがったとは。ニュートン!艦隊に報告だ!我、ギルアルグ西方のヌーメアで地上部他と遭遇。
兵力は連隊規模。触接の際に銃撃を受く。地上部隊は継戦派の可能性が大なり、以上だ!」
「アイアイサー!」
曳光弾がヘルダイバーの機尾やコクピットを掠めていく。
「こんな所に居やがったとは。ニュートン!艦隊に報告だ!我、ギルアルグ西方のヌーメアで地上部他と遭遇。
兵力は連隊規模。触接の際に銃撃を受く。地上部隊は継戦派の可能性が大なり、以上だ!」
「アイアイサー!」
ニュートン兵曹は打鍵を叩いて、緊急電を送り始めた。機体がガンガン!と振動した。
「チッ、当たったか。」
ヴォールソンは苦々しい表情を浮かべた。
ヘルダイバーは上昇を続け、やがて高度3000メートルまで上昇したところで水平飛行に移った。
ヘルダイバーは上昇を続け、やがて高度3000メートルまで上昇したところで水平飛行に移った。
「送信終わりました。それにしても機長、ありゃあ継戦派の軍隊ですよ。
自分達があの破壊された村を通過した時、誰もがこっちを見て驚いていましたよ。」
「俺なんかは微かながらだが、悪魔って聞こえたような気がするぞ。空耳かもしれんが。」
自分達があの破壊された村を通過した時、誰もがこっちを見て驚いていましたよ。」
「俺なんかは微かながらだが、悪魔って聞こえたような気がするぞ。空耳かもしれんが。」
ヴォールソンは下界を見てみる。下には、無数のテント群が並んでおり、その周囲には小さな黒い点が見える。
その黒い点は、自分達を撃墜しようとした対空機銃である。今はヘルダイバーが彼らの射程外を飛んでいるため、機銃を撃とうとしない。
だが、しっかりと狙いだけは定めているだろう。
その黒い点は、自分達を撃墜しようとした対空機銃である。今はヘルダイバーが彼らの射程外を飛んでいるため、機銃を撃とうとしない。
だが、しっかりと狙いだけは定めているだろう。
「しっかし、こいつらはなんで、こんな辺ぴな村に居るんだ?」
「革命派の掃討作戦でもやっているんですかね?」
「さあな。出来れば、奴らから話を聞きたいが・・・・・それは無理だな。あちらさんは気が立っているみたいだし。」
「革命派の掃討作戦でもやっているんですかね?」
「さあな。出来れば、奴らから話を聞きたいが・・・・・それは無理だな。あちらさんは気が立っているみたいだし。」
そう言って、彼は前に向き直る。母艦に帰ろうかと思った時、不意に何かが見えた。
「ニュートン。確かヌーメアより西に何かあるか?」
「何かですか・・・・・・ちっこい村があるみたいですが、軍事用の施設とかは何もありません。
まあ、何も無い田舎ですよ。」
「田舎ねえ。」
「最も、地図に乗っていないだけかもしれませんが・・・・・機長、どうかしたんですか?」
まあ、何も無い田舎ですよ。」
「田舎ねえ。」
「最も、地図に乗っていないだけかもしれませんが・・・・・機長、どうかしたんですか?」
ニュートンは、じっと前を見据えているヴォールソン少尉に訝しげな口調で尋ねる。
「ちょっとな。」
ヴォールソンは持っていた双眼鏡を取り出して、ある方向をみつめる。
「ニュートン、見てみろ。2時方向だ。」
ヴォールソンに促されて、ニュートン兵曹は双眼鏡で2時の方向を見てみた。最初は分からなかったが、彼はあるものを見つけた。
森の生い茂る地平線の向こうで、盛んに閃光や、火災煙らしい煙が上がっている。
森の生い茂る地平線の向こうで、盛んに閃光や、火災煙らしい煙が上がっている。
「機長、あれって。」
「貴様も気が付いたか。ありゃあ、戦闘だぞ。」
「見に行きますか?」
「勿論だろ。燃料も残っている。」
「貴様も気が付いたか。ありゃあ、戦闘だぞ。」
「見に行きますか?」
「勿論だろ。燃料も残っている。」
ヴォールソン少尉は、戦闘が行われていると思われる地点へ、機首を向ける。
速力を240ノットから260ノットに上げたヘルダイバーは50キロほど進んだ後、
周囲を木造の防壁に囲まれた砦と、その砦に殺到しつつある歩兵部隊を発見した。
歩兵部隊が、軍旗を振りたてて、防壁に向かっている。防壁の前には無数の死体らしきものがあり、人影が何かを向けて構えている。
「おい、本当に戦っているぞ!」
「あの砦の天辺に掲げられている旗、バーマント軍の旗とは違います。あれはたぶん革命軍の旗ですよ!」
周囲を木造の防壁に囲まれた砦と、その砦に殺到しつつある歩兵部隊を発見した。
歩兵部隊が、軍旗を振りたてて、防壁に向かっている。防壁の前には無数の死体らしきものがあり、人影が何かを向けて構えている。
「おい、本当に戦っているぞ!」
「あの砦の天辺に掲げられている旗、バーマント軍の旗とは違います。あれはたぶん革命軍の旗ですよ!」
「と言う事は、あの砦の奴らは革命派、それを攻め立てているのは継戦派、というわけだな!」
彼らのヘルダイバーは、高度1000メートルで砦の上空を通過した。
突然やってきたヘルダイバーに砦の天辺にいた人影が視線を送る。
「ニュートン、母艦に打電だ!我、ヌーメアの東方50キロ地点で、革命派と継戦派の戦闘を確認せり、以上だ!」
「これだけですか!?」
「それだけだ。詳細は後で送れ!」
彼らのヘルダイバーは、高度1000メートルで砦の上空を通過した。
突然やってきたヘルダイバーに砦の天辺にいた人影が視線を送る。
「ニュートン、母艦に打電だ!我、ヌーメアの東方50キロ地点で、革命派と継戦派の戦闘を確認せり、以上だ!」
「これだけですか!?」
「それだけだ。詳細は後で送れ!」
400キロのスピードで飛行していたヘルダイバーを右旋回させて、再び砦の上空に向かう。
砦の敷地内は、かなり酷い。あちらこちらに死体が散乱し、焼け爛れた小屋やテントらしきものが放置されている。
防壁も門らしき部分が酷く損傷しており、もはや防ぐ物が余り無い。何人かの革命派の兵は配置されてはいるだろう。
しかし、迫りつつある継戦派の部隊は数が多い・・・・・・
砦の敷地内は、かなり酷い。あちらこちらに死体が散乱し、焼け爛れた小屋やテントらしきものが放置されている。
防壁も門らしき部分が酷く損傷しており、もはや防ぐ物が余り無い。何人かの革命派の兵は配置されてはいるだろう。
しかし、迫りつつある継戦派の部隊は数が多い・・・・・・
「いかんなこれは。革命派は相当追い詰められているぞ。」
その時、砦の最上階に、1つの人影が何かを降っている。
最初、ニュートン兵曹は革命派の兵が、ヘルダイバーが援軍に来たと思って、何かメッセージを伝えているのだろうか?
と思った。だが、その振っているものを見た瞬間、彼は体が熱くなった。
最初、ニュートン兵曹は革命派の兵が、ヘルダイバーが援軍に来たと思って、何かメッセージを伝えているのだろうか?
と思った。だが、その振っているものを見た瞬間、彼は体が熱くなった。
「機長!砦の天辺、最上階を見てください!」
「どうした!?」
「どうした!?」
言われるがままに、ヴォールソン少尉は視線を移した。
そこには、1人の男が、みすぼらしそうな星条旗を振っている姿があった。
少尉はヘルダイバーを砦の最上階に近づけ、その降っている人物の顔を見てみた。
そこには、1人の男が、みすぼらしそうな星条旗を振っている姿があった。
少尉はヘルダイバーを砦の最上階に近づけ、その降っている人物の顔を見てみた。
「・・・・・信じられん・・・・・・」
思わず、ヴォールソン少尉は顔から血の気が引いた。
「あれは、マッキャンベル中佐だ!」
「ほ、本当だ・・・・・飛行隊長です!!」
「ほ、本当だ・・・・・飛行隊長です!!」
思わず、2人はその人物、エセックス飛行隊長のマッキャンベル中佐に向けて思い切り手を振った。
ヴォールソンは片手で、ニュートンは両手で、マッキャンベル中佐に手を振った。
ヴォールソンは片手で、ニュートンは両手で、マッキャンベル中佐に手を振った。
「ニュートン、母艦に送れ!我、革命派の砦で、墜落機パイロットを発見せり。
パイロットはマッキャンベル中佐なり、至急エセックスに送れ!」
「アイアイサー!」
パイロットはマッキャンベル中佐なり、至急エセックスに送れ!」
「アイアイサー!」
ニュートン兵曹は、再びエセックスに報告を送る。
いつの間にか、砦の天辺にいる革命派の将兵までもが、ヘルダイバーに向けて手を振ったり、布切れを振り回している。
いつの間にか、砦の天辺にいる革命派の将兵までもが、ヘルダイバーに向けて手を振ったり、布切れを振り回している。
「送信終わり!」
「よし。ニュートン、母艦に帰る前に、ちょっくら暴れるぞ。」
「ええ。敵さんを脅かしてやりましょう。」
「おう。そらよっと!」
「よし。ニュートン、母艦に帰る前に、ちょっくら暴れるぞ。」
「ええ。敵さんを脅かしてやりましょう。」
「おう。そらよっと!」
ヴォールソンはいきなり、ヘルダイバーの高度を上げた。
急上昇したヘルダイバーは、しばらくしてから、高度3500メートルまで這い上がった。
眼下には、継戦派の部隊が、砦の防壁に迫りつつある。防壁と、敵地上部隊に小さな爆発が起こる。
急上昇したヘルダイバーは、しばらくしてから、高度3500メートルまで這い上がった。
眼下には、継戦派の部隊が、砦の防壁に迫りつつある。防壁と、敵地上部隊に小さな爆発が起こる。
「機長、機銃を撃つんじゃないんですか?」
「その前に、少し脅かしてやる。今日は両翼にドロップタンクを付けてるだろ?」
「ええ。って機長、もしかして・・・・・」
「ハッハッハ!貴様の予想したとおりだよ。」
「爆弾じゃありませんぜ?」
「敵さんから見たら、立派な爆弾だよ。敵を倒せないかもしれんが、脅しにはなる。さあ、ダイブに移るぞ!」
「その前に、少し脅かしてやる。今日は両翼にドロップタンクを付けてるだろ?」
「ええ。って機長、もしかして・・・・・」
「ハッハッハ!貴様の予想したとおりだよ。」
「爆弾じゃありませんぜ?」
「敵さんから見たら、立派な爆弾だよ。敵を倒せないかもしれんが、脅しにはなる。さあ、ダイブに移るぞ!」
しばらく旋回を続けていたヘルダイバーが、翼を翻して機種を下界に向けた。
眼下にゴマ粒のような人の集団が見える。
眼下にゴマ粒のような人の集団が見える。
「3200・・・・3000・・・・2800」
ニュートン兵曹が高度計の推移を報告してくる。両翼のダイブブレーキが起き上がり、甲高い音が鳴り始める。
その音は次第に大きくなっていき、周囲を威圧する。
ゴマ粒のように見えていた敵地上部隊の姿が、次第に大きくなり、ハッキリしてくる。
その音は次第に大きくなっていき、周囲を威圧する。
ゴマ粒のように見えていた敵地上部隊の姿が、次第に大きくなり、ハッキリしてくる。
「2200・・・・2000・・・・1800」
投弾高度は800メートル。あと少しもすれば、両翼のドロップタンクは爆弾のように切り離され、継戦側の地上部隊に向けて落下する。
猛然と急降下してきたヘルダイバーに恐れをなしたのか、進撃していた敵部隊が少しずつバラけはじめた。
ダイブブレーキから発せられる音は最大級に達した。
それと比例するかのように、敵の地上部隊もまた、逃げ出す兵が増えてきた。
猛然と急降下してきたヘルダイバーに恐れをなしたのか、進撃していた敵部隊が少しずつバラけはじめた。
ダイブブレーキから発せられる音は最大級に達した。
それと比例するかのように、敵の地上部隊もまた、逃げ出す兵が増えてきた。
「800です!」
「プレゼントだ!受け取ってくれ!!」
「プレゼントだ!受け取ってくれ!!」
ヴォールソン少尉は両翼のドロップタンクを切り離した。
切り離されれたドロップタンクが、僅かに残っているガソリンを撒き散らしながら、地上に向けて落下していく。
敵軍のバラけるスピードがいきなり速くなった。
それまで、なんとか突撃の体制を保っていたが、2つのドロップタンクが落下してくるのを見て、四方に散らばった。
切り離されれたドロップタンクが、僅かに残っているガソリンを撒き散らしながら、地上に向けて落下していく。
敵軍のバラけるスピードがいきなり速くなった。
それまで、なんとか突撃の体制を保っていたが、2つのドロップタンクが落下してくるのを見て、四方に散らばった。
「敵さんが散らばりました!」
ニュートンの声が聞こえてきた。その間、ヴォールソンはヘルダイバーの機体を水平に戻そうと躍起になる。
高度400辺りで水平飛行に移った後、彼は機首を門前に向けた。
ドロップタンクを爆弾と思い込んで散らばった敵地上部隊は、爆発が起きない事から、不思議な気持ちで、落下してきた白い物体に見入っていた。
幸いにも、ドロップタンクの直撃を受けたものはおらず、死者、負傷者はいない。
その時、ドロップタンクを投下したヘルダイバーが猛速で突っ込んできた。
高度400辺りで水平飛行に移った後、彼は機首を門前に向けた。
ドロップタンクを爆弾と思い込んで散らばった敵地上部隊は、爆発が起きない事から、不思議な気持ちで、落下してきた白い物体に見入っていた。
幸いにも、ドロップタンクの直撃を受けたものはおらず、死者、負傷者はいない。
その時、ドロップタンクを投下したヘルダイバーが猛速で突っ込んできた。
「白星の悪魔が突っ込んで来るぞ!」
誰かが悲鳴のような声を上げる。ヘルダイバーは最高速度で継戦軍部隊に向かって来た。
かなり近くまで来たと思うと、いきなり両翼から機銃をぶっ放してきた。
機銃弾が、ミシンを縫うように地上に突き刺さる。
密集体系を取っていた集団にそれが通過すると、たちまち何人かが銃弾に体を抉られてしまった。
ヘルダイバーの銃撃は執拗だった。
ヴォールソン少尉は、後部座席のニュートンにも旋回機銃での掃射を命じ、何度も地上の継戦軍部隊を追い回した。
朝、ワイバーンロードがやった砦の攻撃のような派手さは認められない。
それでも、継戦軍にとっては、ヘルダイバーは悪魔と同じ存在であった。
かなり近くまで来たと思うと、いきなり両翼から機銃をぶっ放してきた。
機銃弾が、ミシンを縫うように地上に突き刺さる。
密集体系を取っていた集団にそれが通過すると、たちまち何人かが銃弾に体を抉られてしまった。
ヘルダイバーの銃撃は執拗だった。
ヴォールソン少尉は、後部座席のニュートンにも旋回機銃での掃射を命じ、何度も地上の継戦軍部隊を追い回した。
朝、ワイバーンロードがやった砦の攻撃のような派手さは認められない。
それでも、継戦軍にとっては、ヘルダイバーは悪魔と同じ存在であった。
午後5時20分 カウェルサント
上空の8機のヘルダイバーが、次々に翼を翻して、森や地上の継戦軍部隊に向けて突っ込んでいく。
継戦派の部隊は、成すすべも無く、地上を逃げ回るだけである。
1番機の腹から1000ポンド爆弾が投下されると、まっしぐらに地上に向かい、突き刺さる。
その刹那、爆発が起こり、逃げ送れた何人かの敵兵と共に地面が派手に掘り返される。
爆発は森の中でも起きている。爆発のたびに森の中から黒煙が噴き出し、何かの破片が飛び散っている。
ヘルダイバー隊の爆撃が終わったのを確認すると、今度はアベンジャー隊がいつも通り、
爆撃地点上空に進入し、500ポンド爆弾を2発ずつ投下する。
継戦派の部隊は、成すすべも無く、地上を逃げ回るだけである。
1番機の腹から1000ポンド爆弾が投下されると、まっしぐらに地上に向かい、突き刺さる。
その刹那、爆発が起こり、逃げ送れた何人かの敵兵と共に地面が派手に掘り返される。
爆発は森の中でも起きている。爆発のたびに森の中から黒煙が噴き出し、何かの破片が飛び散っている。
ヘルダイバー隊の爆撃が終わったのを確認すると、今度はアベンジャー隊がいつも通り、
爆撃地点上空に進入し、500ポンド爆弾を2発ずつ投下する。
森の中と、門前の地面に爆弾が落下し、何もかもが粉微塵に吹っ飛ばされた。
爆弾のうち1発は、防壁の至近に落下してしまった。
だが、それ以外はほとんど継戦派の部隊に落下していった。
上空にはF6Fが乱舞し、アベンジャー隊が爆撃を終えるのを待っている。
アベンジャー隊が爆撃を終えると、ヘルキャットが再び低空に下りて、森や地上を虱潰しに機銃掃射を行う。
砦の門前には、爆弾孔の横に、多くの敵兵の死体や、破壊されたストーンゴーレムが散乱している。
継戦軍は、第58.4任務群から発艦した攻撃隊が来る前に、全軍を上げての総攻撃に取り掛かった。
この攻撃で、革命派は門から多数の敵兵に侵入されそうになったが、そこを救ったのがヘルキャット隊だった。
既に、ヴォールソン少尉のヘルダイバーにさんざん蹂躙された敵部隊は、このヘルキャット隊の襲来で恐慌状態に陥った。
算を乱して逃げようとする継戦部隊に、攻撃隊はヘルキャットのみならず、艦爆や艦功も投入して容赦ない攻撃を加えたのである。
攻撃開始から20分足らず。砦に迫ろうとする敵兵は、もはや1人も居なかった。
爆弾のうち1発は、防壁の至近に落下してしまった。
だが、それ以外はほとんど継戦派の部隊に落下していった。
上空にはF6Fが乱舞し、アベンジャー隊が爆撃を終えるのを待っている。
アベンジャー隊が爆撃を終えると、ヘルキャットが再び低空に下りて、森や地上を虱潰しに機銃掃射を行う。
砦の門前には、爆弾孔の横に、多くの敵兵の死体や、破壊されたストーンゴーレムが散乱している。
継戦軍は、第58.4任務群から発艦した攻撃隊が来る前に、全軍を上げての総攻撃に取り掛かった。
この攻撃で、革命派は門から多数の敵兵に侵入されそうになったが、そこを救ったのがヘルキャット隊だった。
既に、ヴォールソン少尉のヘルダイバーにさんざん蹂躙された敵部隊は、このヘルキャット隊の襲来で恐慌状態に陥った。
算を乱して逃げようとする継戦部隊に、攻撃隊はヘルキャットのみならず、艦爆や艦功も投入して容赦ない攻撃を加えたのである。
攻撃開始から20分足らず。砦に迫ろうとする敵兵は、もはや1人も居なかった。
「・・・・・・・・・・・」
砦の防壁を守っていた革命派の将兵達は、この光景が信じられなかった。
あれほど苦戦を強いられてきた敵部隊が、わずか66機の飛空挺によって追い払われたのである。
それに、米艦載機の攻撃は鮮やかであり、まるで演習をやっているかのような錯覚すら感じた。
あれほど苦戦を強いられてきた敵部隊が、わずか66機の飛空挺によって追い払われたのである。
それに、米艦載機の攻撃は鮮やかであり、まるで演習をやっているかのような錯覚すら感じた。
「イメイン。君はどう思う?」
オイルエン大尉は、隣のイメインに話しかけた。
「あまり離す事が思いつきませんけど・・・・・・これで、自分達は楽になったというのは確かでしょう。」
「ああ。」
彼は前を見ながら小さく呟いた。
「俺としては、継戦派の将兵でなくてよかったと思う。」
「ああ。」
彼は前を見ながら小さく呟いた。
「俺としては、継戦派の将兵でなくてよかったと思う。」
革命派の将兵達は、だれもが無言のまま、しばらく立ち尽くしていた。
攻撃はカウェルサントだけではなく、ヌーメアに対しても空襲は行われた。
ヌーメアには54機が来襲し、テントや対空機銃、物資集積所等に爆弾や機銃弾を叩き込み、壊滅させた。
ヌーメアには54機が来襲し、テントや対空機銃、物資集積所等に爆弾や機銃弾を叩き込み、壊滅させた。
俺はバンクを送りながら通り過ぎていくヘルキャットに手を振って見送った。
機体に書かれている番号からして、エセックス戦闘機隊だ。
機体の番号からして、乗っている奴はベニントン中尉だろう。
攻撃隊が去った後、下にいた革命派の兵隊達が、後片付けを始めた。
ひとまず旗を丸めて細長い布袋にしまった。
砦の敷地外で、艦載機はさんざん暴れまわった。お陰で、攻撃隊が去った今でも、敵部隊が攻勢をかける気配が無い。
俺は最上階から地上に降りて、オイルエン大尉を探した。最初にヌーメラー中尉をみつけた。
機体に書かれている番号からして、エセックス戦闘機隊だ。
機体の番号からして、乗っている奴はベニントン中尉だろう。
攻撃隊が去った後、下にいた革命派の兵隊達が、後片付けを始めた。
ひとまず旗を丸めて細長い布袋にしまった。
砦の敷地外で、艦載機はさんざん暴れまわった。お陰で、攻撃隊が去った今でも、敵部隊が攻勢をかける気配が無い。
俺は最上階から地上に降りて、オイルエン大尉を探した。最初にヌーメラー中尉をみつけた。
「中佐、怪我はありませんか?」
「怪我はないさ。それよりも、ヌーメラー中尉はどうだね?」
「まあ、怪我はないですけど、これがやられてしまいましたね。」
「怪我はないさ。それよりも、ヌーメラー中尉はどうだね?」
「まあ、怪我はないですけど、これがやられてしまいましたね。」
彼は、割れた眼鏡を取り出した。
「6年ほど使っていたのですが、敵とやり合っている時に潰されてしまって。」
「それは災難だな。眼鏡が無くて大丈夫かい?」
「少しぼやけてしまいすが、別に視力がかなり悪いと言うほどでもないんです。
だから眼鏡なしでも大丈夫です。とは言っても、長年使っていただけに、ちょっとさびしいですけどね。」
「それは災難だな。眼鏡が無くて大丈夫かい?」
「少しぼやけてしまいすが、別に視力がかなり悪いと言うほどでもないんです。
だから眼鏡なしでも大丈夫です。とは言っても、長年使っていただけに、ちょっとさびしいですけどね。」
彼は、やや苦笑して言った。
「でも、命が助かった分は、これぐらいは何ともありません。」
「確かにな。命があるだけでも儲けものさ。」
「確かにな。命があるだけでも儲けものさ。」
それから、俺はヌーメラー中尉と共にオイルエン大尉を探した。大尉達はすぐに見つかった。
「マッキャンベル中佐、ご無事でしたか!」
「ああ。無事だったよ。とは言っても、最上階に上がってこれを振り回してただけだよ。」
「ああ。無事だったよ。とは言っても、最上階に上がってこれを振り回してただけだよ。」
俺は手に持っている細長い布袋を叩いた。
「布袋を振り回していたんですか?」
「いや、旗だよ。」
「いや、旗だよ。」
そう言いながら、俺は布袋から旗を取り出した。丸めた旗を広げて、俺は棒を持って掲げた。
「俺の国の国旗だよ。かなり荒いがね。」
「へえ~。これを最上階で?」
「そうだ。さっき、1機だけ偵察機が来ただろ?俺はその偵察機に向けてこれを振り回した。
相手は一発で分かってくれた。あの偵察機は俺の空母の搭載機で、パイロットも俺の部下だったからな。」
「では、あの偵察機がたった1機で暴れまわったのも、あなたが何か指示したんですか?」
「いや、あれは俺の指示じゃないな。俺はただ、自分がここにいると合図を送っただけなんだ。
詳しい事は分からないが、苦戦している君達を見て何か手助けをしたかったのだろう。」
「なるほど。」
「へえ~。これを最上階で?」
「そうだ。さっき、1機だけ偵察機が来ただろ?俺はその偵察機に向けてこれを振り回した。
相手は一発で分かってくれた。あの偵察機は俺の空母の搭載機で、パイロットも俺の部下だったからな。」
「では、あの偵察機がたった1機で暴れまわったのも、あなたが何か指示したんですか?」
「いや、あれは俺の指示じゃないな。俺はただ、自分がここにいると合図を送っただけなんだ。
詳しい事は分からないが、苦戦している君達を見て何か手助けをしたかったのだろう。」
「なるほど。」
オイルエン大尉の表情はいまいち浮かないものだ。
「敵も味方も・・・・・今日一日でかなり死んでしまいましたね。」
「でも、これで当分は継戦軍も手出しは出来ません。」
「でも、これで当分は継戦軍も手出しは出来ません。」
イメインが言ってくる。
「幸いにも、アメリカ軍の飛空挺のお陰で、敵側に望外の被害を与えました。
こっちの犠牲も大きかったですが、最終的には援軍が着てくれたお陰で、態勢を挽回できました。」
「敵の警戒は怠ってはいけないでしょうが、しばらくの休息は確実に確保できました。」
こっちの犠牲も大きかったですが、最終的には援軍が着てくれたお陰で、態勢を挽回できました。」
「敵の警戒は怠ってはいけないでしょうが、しばらくの休息は確実に確保できました。」
ヌーメラー中尉も言う。
「マッキャンベル中佐の艦隊は、これまでの例から見て必ず複数箇所を攻撃しています。
恐らく、継戦派は他の場所にも飛空挺の攻撃を受けているでしょう。その被害は、先ほどの空襲を見れば用意に想像できます。」
「つまり、俺が所属する機動部隊が近くに貼り付いているとなると、敵さんも迂闊に兵を向けられなくなるな。
継戦派の敵は機動部隊のみならず、革命軍本隊もいるからな。」
恐らく、継戦派は他の場所にも飛空挺の攻撃を受けているでしょう。その被害は、先ほどの空襲を見れば用意に想像できます。」
「つまり、俺が所属する機動部隊が近くに貼り付いているとなると、敵さんも迂闊に兵を向けられなくなるな。
継戦派の敵は機動部隊のみならず、革命軍本隊もいるからな。」
要するに、海から我が機動部隊。陸から革命軍本隊という2大勢力に、継戦派は挟まれたのだ。
これは軍人にとってはかなり嫌になる戦い。2正面作戦だ。今頃、継戦派の首脳達は悩み、苦しんでいるのだろう。
これは軍人にとってはかなり嫌になる戦い。2正面作戦だ。今頃、継戦派の首脳達は悩み、苦しんでいるのだろう。
「とにかく、今は一段落付いた事ですから、休めるものは体を休めておいたほうがいいでしょう。」
ヌーメラー中尉の言葉に、誰もが頷いた。ふう、これでやっと一段落か。
地上戦というものは、その場に居るだけでもかなり神経が参る。
やはり、俺には母艦勤務のほうがまだ合っていると思う。
地上戦というものは、その場に居るだけでもかなり神経が参る。
やはり、俺には母艦勤務のほうがまだ合っていると思う。