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児童文庫ロワ

ツインプレー

最終更新:2025年05月23日 02:22

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だれでも歓迎! 編集
 松野おそ松は、そっと、冷たい台の上に弟の体を横たえた。
 霊安室は冷え冷えとしていて、動くものは何もなかった。まるで時間まで凍ったかのようなそこで、弱井トト子と2人で立ちすくんでいた。
 十四松が死んでから2時間が経った。その背中は少し黒ずみだし、持ち上げると、かすかにこわばりを感じた。
 そんな弟を、冷蔵庫のような金属製の機械にスライドさせていく。人間が入るべきものとは全く見えないそれに、弟を入れることをおそ松は戸惑ったが、彼の横に立つトト子が押すと、十四松の姿は見えなくなった。

 警察署を出て小一時間か。探し当てた病院には、医者どころか誰もいなかった。患者も、殺し合いに乗った人間も、それ以外の参加者も。全くの無人だったと、来たときと同じように連絡すると、おそ松はスマホをズボンにねじ込み、窓から外を見た。
 ベッドなどはあるようだが、あまり大きな病院ではないようだ。全体的に古ぼけた感じがして、外壁にはヒビも入っていた。弟を寝かせるには嫌な場所だ。適当に入った病室から眺める空は、相変わらず赤く、そして、黒く、濁っていた。
 何度かスマホが鳴った。そのたびに煩わしく思いながらも、取り出して、終話のボタンを押す。それが二度、三度とあり、おそ松はマナーモードにして無視することに決めた。それからも何度か振動したが、そんなことはどうでもいいことだった。
 空には時々、稲妻が光った。黒い雲の間をつなぐように光が走った。赤い霧越しでも、怪しく輝くそれが、おそ松の目を焼いた。

『──強くなれる理由を知った』
「ん。」

 唐突に聞こえた歌声に、おそ松は寝転んでいたベッドから空を見ることをやめて、天井を見上げた。
 足音が聞こえてきたのでそちらを見れば、慌てた様子でトト子が、缶ジュース片手に、病室へ入ってくる。すると音楽もより聞こえるようになって、そこでおそ松はようやく自分の首輪やテレビから曲が流れていることに気づいた。

──大富豪のカラ松氏

「カラ松くん……」

 そして聞こえてきた声に、おそ松の意識は覚醒した。
 今、カラ松と言わなかったか? 前後の言葉は聞き取れなかったが、たしかに、たしかにカラ松という言葉が聞こえた。弟の名前なんだ、聞き間違えたりするはずがない。それも、十四松ではなく、生きているはずのカラ松の名前が。

「なあトト子ちゃん、今カラ松って──」

──チョロマツ
──チョロ松警部

「チョロ松くんも……!」

 おそ松は最後まで言い切れなかった。
 今度は2回も、2回もチョロ松の名前が呼ばれた。間違いない、チョロ松が2連続で呼ばれていた。
 意味がわからない。なぜチョロ松の名前が2度も呼ばれるのか。おそ松たちは六つ子だが、だからといって同じ名前を2度呼ぶのはおかしいだろう。だからきっと言い間違いか何かだ、他の弟をチョロ松と間違えたなんてことはない。

──なごみ探偵のおそ松

 そして呼ばれる自分の名。ほらやっぱり、この放送は誤報なのだろう。だって、自分はこうしてピンピンしているのだ。

──松野一松
──松野十四松
──松野チョロ松

 その希望が、否定される。
 一松が、そしておそ松が看取った十四松の名前が呼ばれた。今度はちゃんとフルネームで呼ばれていた。そしてまたチョロ松の名前も。
 今度は3人だ、3人も弟の名前が呼ばれた。松野家の糞ニート6人のうち、3人の名前が同時に呼ばれたのだ。
 おそ松は弟の死を告げたスマホを投げ捨てると、片手に銃を持ったままベッドから起き上がり、そして、意味も無く窓辺をうろついた。カラ松、チョロ松、一松、そして、自ら看取った十四松。放送で呼ばれた名前は、6人中5人、おそ松自身を除いても4人も死んだのだ。
 そのことを理解して腰が抜けそうになったおそ松は、しかし、駆け出した。突然、病室を飛び出ると、廊下から階段へと向かい、駆け下り、最後の1段で転び、立ち上った。そして病院を出ると、叫んだ。

「トド松!!!」
「お、おそ松、兄さん……?」

 おそ松はろくに動かない足を動かして駆け寄ると、自分と瓜ふたつの顔の男を抱きしめる。
 松野家の長男が、末男と出会ったのは、ゲーム開始から6時間ほど経った時のことだった。



「うわー、カラ松死んだか。やっぱこれ全員巻き込まれてんのかな。」

 松野トド松は自分のスマホのレコーダーを起動して放送を録音しつつ、公園のベンチで声を上げた。
 学校で暴行された永沢を見たトド松は、その後街を徘徊していた。二階堂達と合流するなどという発想は全く無かった。むしろ、彼らとは会いたくないとずっと早足でこれまで逃げてきた。それも当然だろう、小学校低学年ぐらいの子供をボコボコにする連中などと一緒にいたくない。きっとあの学校でのなんやかんやはアイツらがやったんだろうと言うことになる。冷静になれば不自然なところがある考察だが、トド松に人が死んだ場所で冷静になれるようなタフなメンタリティも、真相に気づくクレバーなインテリジェンスもない。伊達にニートをやっていないのだ、そういった能力は進学なり就職なりしている同年代より確実に下である。
 だから彼は、自分がひたすらに学校の周りを螺旋を描くようなルートでさまよっていることにも気づいていなかった。そもそも土地勘の無い場所を歩いた経験も不足しているのだ。更に、標識や看板も当然読めない。そうなると人間は分かれ道に差し掛かった時に右に行くか左に行くか癖が出るもので、じわじわと遠ざかりつつも学校からはなかなか離れられていなかった。
 そしてろくに休憩もなしに歩き続けることがそれをエスカレートさせる。足が辛くて休もうとする度に、宇美原達が自分を追いかけてきている気がして、とにかくもっと距離を取ろうと思うのだ。そうして疲れて更に鈍くなった頭で彼は徘徊するのだが、そんな時でもデジャヴというのは感じてしまうもの。実際は単に同じ場所を何度も歩いているだけなのだが、それに恐怖を感じてまた歩き出すのだ。彼は結局3時間近くも、放送が始まるまでの間、ほとんど歩みを止めなかった。

「なんでチョロ松兄さん2回呼ばれた?」

 そんな彼を冷静にさせたのは、奇しくも放送だった。明智小五郎やら明智光秀やら、トド松でも偽名とわかる名前が呼ばれて一気に気が抜けた。とりあえずこれは真面目に聞かなくて良さそうだと思うとツッコむ余裕も出てくるものである。ここに来てようやく疲労を強く感じた彼は、公園のベンチにどっかりと座り込んだのだ。
 ただ、呼ばれた名前がトド松の予想通りの2人なのは少し引っかかった。トド松が考える六つ子の死にやすい順序はカラ松>チョロ松>おそ松>十四松>トド松>一松である。
 カラ松は無理だ、絶対にイタいことをしてつまらない死に方をしている。この順序はいわば余計なことをする順だ。その点でカラ松は六つ子の中では頭が回る方なのだが、性格がアレすぎてそれが全部裏目に出るタイプだ。1人で何かするとなるとほぼ100%ろくなことをしない。
 余計なことという意味では別方向にチョロ松もやらかす。こちらは一見常識人のように振る舞っているが、所詮は六つ子である。兄弟達の中ならまとめ役になれても一般社会でやっていけるほど人間ができていない。カラ松もそうだが、自分が社会不適合者の無能という自覚が薄いのに張り切ってやらかすのだ。
 そういう意味ではおそ松はだいぶ2人よりはしぶといだろう。どこに出しても恥ずかしい糞ニートだが、本人もその自覚があるので、こんな場所では無駄なことはせずに、ヤバくなったら子供だろうと親兄弟だろうと見捨てて逃げ出すはずだ。人からの評価はボロクソでも、生き残るということに関しては、まあ平均点は取れるだろう。
 そんな3人よりも意外にも死ななそうなのが十四松で、これは人間か怪しいところがあるという意味では無く、あんな天然な言動の割に常識というかそういった部分は最低限抑えて動けるタイプなのだ。ようは、他の4人とはヤバさのベクトルが違う。それに家でごろつくかパチンコするかの他と比べて曲がりなりにも体を動かしてるのも大きい。
 そしてトド松である。六つ子の中で唯一まともで交友関係も広いのだ、他が平均かそれ以下でも自分は生き残るだけならまず死なない気がしてきている。
 なお、一番死ななそうな一松は別の意味で危険だ。殺し合いに乗ることはないが、殺されそうになった時に一番引鉄を引きそうなのが一松だ。それでいて本人もそのことの自覚があるので、極力人との接触は避けるだろう。なんなら、ゲームが終るまでどこかに引き篭もっているかもしれない。

──なごみ探偵のおそ松

「あー、おそ松兄さんもか。てかなんだよその呼び方。」

──松野一松
──松野十四松
──松野チョロ松

「え。」

 おそ松の名前にツッコみながら、他の兄弟が聞いたら袋叩きにされそうなことを考えていると、ついにま行に放送が差し掛かる。そして彼の兄弟の名前がまた呼ばれた。今度のトド松からは、顔から血の気が引いていた。
 呼ばれてしまった、呼ばれないだろうと思っていた兄弟の名前が。
 それまで聞き流しかけていた放送に耳を傾けるが、もちろん言い直してくれるはずもなく。トド松はわけのわからない現実にただ驚くしかない。信じがたい、信じるわけにはいかない言葉だ。自分以外の松野家が全滅したなんて。
 思わず立ち上がり、意味も無く歩き出す。もう放送など頭に入っていない。どこへ向かうともなくただフラフラと公園をうろつくその姿に、彼が思い描いていたような彼自身は無い。

「トド松!!!」
「お、おそ松、兄さん……?」

 突然聞こえてきた声にも、トド松は緩慢な反応しか示さなかった。それが知った声だとわかり、もはや唯一の兄弟だとわかり、自分が抱きしめられているとわかって、ようやく涙が出た。

「兄さあだだだだだイッダィ!」

 抱きしめるを通り越して鯖折りにされたからかもしれない。我に返るとトド松は、凄まじい力で抱きついているおそ松をなんとか引き離すと、そこでようやくトト子もいることに気づいた。

「ゼェー……ゼェー……兄さん……無事だったんだね……」
「ゼェー……ゼェー………ああ……俺はな……」

 先の一幕でお互い息も切れ切れになりながら、まずは互いの無事を確認する。
 改めてトド松が見ると、その顔は間違い無くおそ松のものだった。

(──なんだよ、ほらね?)

 安堵の熱が胸から上がってくる。トド松は心底ホッとしたあと、急にバカらしくなった。
 冷静に考えれば、六つ子全員が殺し合いに巻き込まれている可能性は高くないだろうし、さすがに6時間程度で死にまくるのもおかしいし、そもそも名前の呼び方がおかしいのだ。あんなものを真に受けるなどどうかしている。

「あっ、トト子ちゃんも一緒だったんだ。ってそうだ、逃げないと、まだ近くにいるかも知んないんだ。」
「……逃げる?」
「それが聞いてよ、学校にいたんだけど、そこであった子供がもうヤバくて……」

 いつもの調子を取り戻しつつ言うトド松はそこで気づいた。シリアスだ、おそ松がシリアスすぎる。さっきのベアバッグのようなテンションと比べて、なんというか『陰』の気を感じる。それもトト子も同じくだ。

「そうか、じゃあ……戦わないとな。」
「へ? あっ、うん、いやでも逃げようよ、ボクらが戦う必要ないって、他の誰かに任せようよ。」
「……ダメだな、十四松もいる。」
「うえっ!? 十四松もいんの? あ、もしかして怪我したから病院に来たとか──「死んだよ」──へ?」
「大丈夫だ、お兄ちゃんに任せろ。」

 十四松が死んだ。突然のボケにトド松はツッコみそこねた。それを気まずく思う。相変わらずノンデリなボケだ、タイミングよくツッコまなければ変な空気になる。というよりも、言った本人がやけにシリアス入っている。いったいどういうことかと聞こうとして、トト子の顔を見た。

(泣いてる。)

 トト子は泣いていた。それはもう、しめやかに泣いていたのだ。
 どうして?そう問う間もなく、突然泣き顔から目つきが変わる。「そこだっ!」という声と共にサブマシンガンを抱えると、病院の正面脇にある駐車スペースを銃撃した。

「なになになに!?」
「俺の後ろに来い!」

 突然のトト子の凶行に腰を抜かしかけてしゃがみ込みそうになるのを、おそ松が掴み上げて立たせる。
 「隠れて!」とどこからか少女の声が聞こえたが、状況が飲み込めない。

「さっきの人だよ!」
「撃ち返してやる!」

 今度は別の声も聞こえて、引っ張られる間も下を向いていたおそるおそる目を開けたトド松は息を呑んだ。いつの間にか病院の入り口の陰まで移動していて、トト子がサブマシンガンを車に向けて撃っている。その車の陰からも中学生ぐらいの子供が顔を出してこちらに銃を向けていた。そう冷静に観察できたのは、彼らの銃口がまるでこっちに向いていないからだ。

「あうっ!」
「直幸っ!」

 子供たちの銃撃はあさっての方向に飛んでいく。だがトト子の銃弾は彼らの隠れる車へと向かい、薄いアルミのボディを貫通したのか、悲鳴が聞こえてきた。

「トト子ちゃん!? マズいよ!!」
「チっ、弾ぁ!」

 勇気というよりはツッコみからトド松が上げた声に返ってきたのは、緊迫したトト子の声だ。その性格は明らかに豹変している。慌ただしくリロードするのを見てなんとなく、あんだけ撃ってるんんだから弾も切れるだろうと思っていると、ピン!という音がした。
 おそ松が何かを投げようとしている。その背景には、和服っぽい少女が、子供たちが隠れていた車とは別の車の陰から飛び出してこちらに駆け寄ってきていた。
 それらを見て、トド松にできることはない。ただ見送るしかない、おそ松が何かを振りかぶるのも、少女が肉薄してくるのも。例えるならば、ランナーが突っ込んでくる二塁から一塁へと送球してダブルプレーに討ち取るような、そんな構図。おそ松が何かを投げるのと、少女がおそ松に斬りかかるのはほぼ同時だった。
 おそ松が一瞬早く何かを投げる。少女は、それに向かってギリギリでジャンプした。斬りつけようとした刀でそれを弾こうとして、カンっと音を立てて何かの軌道が変わる。キャッチャーフライのようにふんわり上がったそれが落ちるのを追ったトド松の背中が思いっきり引っ張られた。

「爆発すんぞ!」
「きゃあっ!!」

 おそ松の言葉は爆音で聞こえなかった。煙と音がトド松を襲う。あまりのことに目を見開いたトド松が見たのは、爆発を背中に受けたのかアスファルトの上にしゃがみ込む少女。そしてその顔面をサッカーボールキックしようとしているトト子が、突然血を吹き出した光景だった。

「トト子ちゃん!」

 ピン!とまた音が聞こえた。
 手榴弾だった。おそ松は手榴弾を投げようとしていた。
 外野が送球するように大きく振りかぶる。狙いは、トト子に向かって銃撃した、銃を向けていた少年。そしてその脇にいる、第二の少女。
 トド松は彼女と目があった。彼女は武器を持っていなかった。その手は何かを訴えるようにこちらに伸ばされ、血に濡れていた。その横で何かが光る。おそ松はそこに向かって手榴弾を投げた。投げられた手榴弾が、コマ送りのようにゆっくりと飛ぶのがトド松にはわかる。そしてその手榴弾は、下から伸ばされた手によって掴まれた。ライナー性の当たりをファインセーブするようにアウトを取られ、バックホーム、そして。
 トド松は閃光と共に意識を失った。



 知り合いの名前が呼ばれた、という以上の意味があることはわかっていた。
 宮美四月という同級生のことを弟が好きなのは、姉である彼女が一番知っているのだから。
 同じ中学に進学して、まだ大して時間も経ってないのに弟の心を奪った女に、思うところがないはずがない。むしろ彼女は、弟に何かしたのではと疑ったほどだ。
 そんな彼女が死んで。そして。

「直幸! なおゆきぃ!」
「だい、じょうぶ……だよ……ねぇ──」

 大河内杏は、目の前の光景に慟哭する他なかった。
 2時間ほど前に謎の男を撃退してから、彼女と直幸、そして神谷薫の3人は、薫の同行者という木之本桜を探していた。元いた民家からは逃げなければならなかったし、桜が小学生らしいこともあって、他に目的地などない大河内姉弟は自然と薫に引率される形で彼女と行動をともにしていた。
 話が変わったのは、あの忌々しい放送だ。ふざけた名前に混じって、宮美家の四姉妹の名前が呼ばれた、あの時だ。
 もちろん、杏はあんなものを信じない。なんの裏付けもない情報を鵜呑みにするなどメディアリテラシーの欠けた行為をするわけがない。だがそれでも、知り合いの名を呼ばれて動揺がないわけではなかった。

「待って、声が聞こえた。」

 そんな2人を前に冷静にそう言ったのは薫だ。知り合いの名前も桜の名前も呼ばれなかった彼女は、油断無く周囲に気を配り続けていた。そうして聞きつけたのだ、松野家の長男と末男が邂逅した時の声を。

「なにあれ、双子なのかしら。」

 そうして慎重に病院の敷地に入り見つけたのは、おそ松とトド松だった。同じ顔をした男が2人で抱き合っているもいる。彼らは病院の向かいの公園で何か話していた。その無防備な姿は、特におそ松の泣き顔は、とても危険人物とは見えない。だが一応警戒する必要はある、まずは自分1人で声をかけよう、そう決めた薫が大河内姉弟を安全な場所に匿うために引率して一時離脱しようとしたその時、彼らを銃弾が襲った。

「そこだっ!」
「しまった、隠れて!」
(もう1人いたの!?)

 期せずして勘の良い伏兵に、見つかった。トト子が叫びながら撃っていなければ、咄嗟に飛び退けず薫は蜂の巣にされていただろう。しかしそれが明暗を分ける。銃弾の雨に分断されて、薫は2人とは真逆の方向に逃げざるをえない。ここで薫が撃ち返さなかったのは、結果論で言えば正解だった。回転式機関砲よりもなお連射できる銃器と撃ち合いになれば、直幸のように被弾しただろうから。

「さっきの人だよ!」
「撃ち返してやる!」
「ダメ! 逃げて!」

 逃げろと言っても、薫自身2人に逃げ場が無いのはわかっている。なんとか隙を作ろうと、物陰に隠れながらトト子に近づこうと急ぐ。

「あうっ!」
「直幸っ!」
「そんなっ。」

 そして聞こえてくる2人の悲鳴。臍を噛む思いで薫はなんとか車から車へと進む。そして好機は来た。トト子の弾が切れたのだ。そして危機もだ。そのタイミングで手榴弾を投げる準備をおそ松は整えた。

「チっ、弾ぁ!」

 今だ、そう思って駆け出した薫と、おそ松の目が合った。相手は丸腰だ、撃たれる前に間合いを詰めて──そんな風に、手榴弾が投げられる直前まで考えていた。
 何かまずい。この土壇場で投げつけようとしているのだ、止めなければ。だが間に合わない。自分の上を通り過ぎようとする何かに、薫は咄嗟に刀を伸ばした。柄の先が僅かに触れ、姉弟の隠れる車の前にポトンと落ちる。それを目で追わなかったのは不幸中の幸いだろう。その直後に起爆した手榴弾が顔面を襲わなかったことで即死を避けられたのだから。

(これ、炸裂弾、だったの……)

 爆風に耐えて立ち続けられたのはさすがというべきか。数秒耐えた後ついに膝を折るが、薫は前を見続けていた。
 「トト子ちゃん!」と声が聞こえる。あの女が間合いを詰めてきている。耳も目も使えるのに、身体が動いてくれない。あと数秒、数秒あれば膝が言うことを聞いてくれるのに。
 徐々に薫の視界がスローモーションになる。そして浮かぶのは、剣心の、死んだ両親の、そしてこれまでに出会って来た人たちの顔。
 ああ、これは、走馬灯だ。そう思った矢先、薫の顔に血飛沫がかかった。トト子が蜂の巣になっていく。その後ろではまた男が炸裂弾を投げようとしている。

(まだ、死んでる場合じゃない!)

 そう思うと急に体に活力が戻った。ピン!という音が聞こえる。薫は反射的にジャンプしていた。きっとあれはまた同じように飛んでいく。今度は取りこぼさない。
 スローモーションはまだ続く。飛んでくる黒いマツボックリのような炸裂弾の、表面の溝まで見える。イケる、そう思った。右手1つで掴む。そして投げ返す。それを一動作で淀み無く。ただ前へとぶん投げる!
 おそ松と目が合う。今度は立場が逆転した。後ろに倒れていくトト子のスレスレを飛び、おそ松の元へと飛んでいく。おそ松はそれを、両手で掴むと、自分の胸に抱くようにした。
 そして今度の起爆が、おそ松の、トト子の、そして薫へと殺到したのだ。


「薫、さん……」

 杏は顔面に破片が突き刺さり、首から血を流して動かなくなった薫から手を離した。その手は真っ赤に染まっている。つい数秒前まではしていた心臓の脈が、ついに止まった。
 戦闘終了から5分。その場には3つの死体が出来上がっていた。一番損傷の酷いのはおそ松のものだ。胸部が完全に吹き飛び、その顔の判別は司法解剖のプロでもわからないほどに吹き飛んでいる。その少し前にいたトト子は後ろからの爆発と、直幸の銃弾により、おそ松とほぼ同時に即死していた。彼らに比べれば爆発直後は意識のあった薫は比較的軽傷とすら言える。五体満足の死体は彼女だけだ。

「どうしよう、直幸が……だれか! 誰か助け。」

 ズガン。
 訂正しよう。その死体はすぐに2つに増え、3つに増えた。
 トド松は杏を撃つと、足を引き釣りながら直幸の元に行き、彼が持っていた銃を乱射した。



【0618 『南部』古めの病院】


【松野トド松@小説おそ松さん 6つ子とエジプトとセミ@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 ???
●中目標
 ???
●小目標
 ???



【脱落】

【松野おそ松@小説おそ松さん 6つ子とエジプトとセミ@小学館ジュニア文庫】
【弱井トト子@小説おそ松さん 6つ子とエジプトとセミ@小学館ジュニア文庫】
【神谷薫@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【大河内杏@四つ子ぐらし(3) 学校生活はウワサだらけ!(四つ子ぐらしシリーズ)@角川つばさ文庫】
【大河内直幸@四つ子ぐらし(3) 学校生活はウワサだらけ!(四つ子ぐらしシリーズ)@角川つばさ文庫】

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