kairakunoza @ ウィキ

1レスSS:サマーバレンタインデー

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
「それでは、お邪魔いたしました」
「かがみとつかさも18歳か~大きくなったね~」
「あんたは近所のおばさんか!」

今日は7月7日。かがみとつかさの誕生日だ。
例年通り、二人の家に私とみゆきさんがお邪魔して誕生会をした。
プレゼントを渡して、つかさが作ったケーキを食べて、いっぱい遊んで……
存分に楽しんだところでお開きとなり、私とみゆきさんは柊家をあとにした。
いつもならこの誕生日イベントはここまでなのだが、今年は少し違う。
前々から立てていた計画を実行に移す!
「あ!忘れ物しちゃった!ごめんみゆきさん。ちょっと取ってくるね!」
「え?泉さん?」
みゆきさんの返事も聞かずに、私は今来た道を引き返す。
今年は……今年だけは、これでだけでこの日を終わらせたくないんだ!

柊家の前に立ち、呼吸と心の準備を整えてインターフォンに指を伸ばす。
ピンポーン
『はーい』
かがみの声だ!
どうやら神様は私の味方のようだ。
「あ…かがみ?」
「こなた?どうしたのよ。忘れ物?」
心臓がうるさいくらいにバクバクしてる。
こんなにも緊張したのは何年ぶりだろう。
「ん~そんなとこ。ちょっと出てこれない?」
「ちょっと待ってね」

しばらくして扉が開き、かがみが姿をあらわした。
トクン
ついさっきまで冗談を言い合って笑い合ってたのに、今は姿を見るだけで鼓動が高鳴ってしまう。
やっぱり私は、かがみのことが好きなんだ……
「どうしたのよ、こなた」
「あ、あのねかがみ。……これ」
私はおずおずとラッピングした包みを差し出す。
「これ……かがみに……」
今のは本当に自分の声だろうか。
私の声はこんなにも弱々しかったかな?
「プ……プレゼント!」
「プレゼント?誕生日プレゼントなら昼にもらったじゃない」
あう……
「ほ、ほら、貰えないよりはいいじゃん?
一回の誕生日で2つもプレゼント貰えるなんてかがみツイてるよ!
一粒で二度美味しい!な~んて…ハハ……」
自分でもなに言ってんのかわからないくらい取り乱してる私を、かがみは怪訝そうな顔で見ていた。
「な~んか怪しいわねその狼狽ぶり。変なものでも入ってるんじゃ……」
私が差し出した包みをマジマジと見ながらかがみは疑り深そうな声で言った。
「そ…そんなことないよ。あの…チョコレートの、クッキーだよ」
「へぇ、あんたがお菓子作りだなんて珍しいわね」
「ま、まあね!で……受け取って…くれる?」
上目遣いでかがみをじっと見つめる。
お願い!受け取って!
「う、うん。じゃあ、いただくわ」
かがみはそっと包みを受け取った。
「あ……ありがとうかがみ!」
「ちょっと、なんであんたがお礼を言うの?」
「あ……あはは」
本当に……ありがとう、かがみ。
私からのプレゼント、受け取ってくれて……

かがみは知らないと思うけど、今日はサマーラバーズデーなんだ。
新宿地区のデパートが1990年に制定した、七夕に因んで意中の人にプレゼントをする日なんだよ。
それと、サマーバレンタインデーでもあるんだ。
サマーバレンタイン実行委員会が1986年に制定したの。
かがみの誕生日とかぶった今日だけは、誕生日プレゼントを装って『特別な』プレゼントを渡すことができるんだ。

私、かがみが好き。
友達としてじゃない。
恋してるほうの…好き。
でもこの気持ちは、ずっと胸の奥にしまっておくつもり。
だって女の子同士だもん。分が悪すぎるよ。
それよりは親友として仲良くしてたほうがずっと楽しいし、嫌われる心配もなくて安全だよ。
うん……楽しいよ……

来年かがみは遠くの大学に行ってしまうから、こんな風にプレゼントを渡すことができるのは、きっと今年が最初で最後。
一度だけ、こうやって好きな人宛てのプレゼントを、渡したかったんだ…

「あ……用ってのはそれだけ……それじゃあね。おやすみー」
「待って!こなた」
早口でまくし立てて立ち去ろうとした私をかがみが呼び止めた。
「その…私も、こなたに渡すものがあるの…」
言いながらかがみは綺麗にラッピングされた包みを差し出した。
「え…かがみ?」
「その……私も、チョコレートのクッキーなの…つかさに教わって作ったの。ひ、昼出した残りよ」
嘘だ。
「貰いっぱなしっての悪いし…ふ、深い意味はないんだからね!」
嘘だ。絶対嘘だ。
「それにしても、まさか同じ……ってこなた?!なんで…泣いてるのよ!」
「ぐすっ……かがみだって…目、真っ赤だよ?」
「あ……」
「かがみ、わかってるんでしょ?」
「な…なにがよ…」
「今日は、かがみの誕生日…でも、それだけじゃないよね」
「こなた……まさか、こなたも……」
「かがみ……私、かがみのこと……」

初めてのキスは、ちょっぴりしょっぱかった。
でも、二人で食べたチョコレートクッキーは、とっても……甘かった……



















コメントフォーム

名前:
コメント:
  • 素晴らしい!良作!! -- チャムチロ (2012-11-20 12:08:45)
  • アッー!の入り込む余地もなく甘いぃぃww -- 名無しさん (2009-07-07 12:36:16)
  • 新作キター!!!!!
    超GJです 次の作品も
    期待してまってます(^-^) -- オビ下チェックは基本 (2009-07-06 13:00:45)
  • イイ!すごくイイ!! -- 名無しさん (2009-07-05 01:26:37)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー