一般に歴史的なものと見られる社会的必要物質や制度などから一般に普遍的とられやすい倫理・道徳にいたるまですべての社会諸価値は、社会的関係に規定されることによって歴史的に変化するのである。あるものが社会的価値をもつのは、そのもの(客体)およびそれを評価する価値意識が一定の社会的関係のなかで社会的に存在しうることによっているからである。社会的関係が変化すればそこでの事物のあり様も価値意識も変化し、したがって事物の社会的価値も変化する。社会的価値の具体的あり様は旧い社会的関係のもとでとはまったく異なっている。しかしそうでありつつ、社会的価値の旧いあり方と新しいあり方とのあいだに共通性(同一性)が見いだされて同じ種類の事物に同じ評価が加えられるとき、その事物の社会的価値はそれが依存する総体的社会的関係の特殊性をこえているという意味で「普遍的」といわれる。もちろんこの意味で社会的価値が「普通」であるためには、具体的なあり方においては相互に異なる社会的関係それ、身の内に同一性が部分ないし一側面として存在するということが前提である。社会的価値の歴史的普遍性とは抽象的にいえばこういうことである。
亀山純生『人間と価値』158頁
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