~~死地の巻 「ハラキリ・アンド・ニンジャ(前編)」~~
草木も眠る丑三つ時。夜空を音もなく滑る影あり。
影は徐々に高度を下げていき、ある広大な敷地に降下していった。
影は徐々に高度を下げていき、ある広大な敷地に降下していった。
そこは日本防衛軍の基地だった。
鉄柵と厚い壁に囲まれ軍司令部、宿舎、倉庫・格納庫などが夥しい数並んでいる。
その敷地内を警備員がくまなく巡回し、そして見えないセンサー類が静かに闇を監視していた。
鉄柵と厚い壁に囲まれ軍司令部、宿舎、倉庫・格納庫などが夥しい数並んでいる。
その敷地内を警備員がくまなく巡回し、そして見えないセンサー類が静かに闇を監視していた。
化学ニンジャ隊の“シルバー四天王”が一人デッド・イーグルは、この厳戒態勢下の基地に空から音も無く降り立った。
クチバシをイメージした忍者ヘルムと背中の翼が特徴的な化学ニンジャだ。
彼の両腕には同僚の工作員ニトロ・ペトロが抱えられている。今回は二人による共同作戦だ。
クチバシをイメージした忍者ヘルムと背中の翼が特徴的な化学ニンジャだ。
彼の両腕には同僚の工作員ニトロ・ペトロが抱えられている。今回は二人による共同作戦だ。
ニトロ・ペトロは懐から見取り図を取り出し、現在地を確認した。
下調べは万全である。警戒網も事前に穴があることを確かめての侵入だ。二人は目的の場所を目指し進んだ。
弾薬庫、兵員の宿舎、警備システムの爆破。それが彼らの任務である。
下調べは万全である。警戒網も事前に穴があることを確かめての侵入だ。二人は目的の場所を目指し進んだ。
弾薬庫、兵員の宿舎、警備システムの爆破。それが彼らの任務である。
(今回は失敗できん……)
先日、同僚の援護に失敗したデッド・イーグルとしてはここで挽回せねばならない。
とは言え、今夜の彼は仲間の運搬・警護が主任務で、作戦の成否は仲間のニトロ・ペトロにかかっている。
とは言え、今夜の彼は仲間の運搬・警護が主任務で、作戦の成否は仲間のニトロ・ペトロにかかっている。
(頼むぞ……こいつはのんびり屋だからな)
心配しながらニトロ・ペトロを見やると、彼は見取り図と実際の風景を何度も見比べて確認している。
「おい、急げよ」
「ん、分かっとる」
「ん、分かっとる」
焦れるデッド・イーグルを他所に、ニトロ・ペトロはのそのそと弾薬庫に近づいていった。
だが弾薬庫に忍びこむと彼の雰囲気は一変。熟練した職人のごとき手さばきで、瞬く間に爆弾の取り付けを済ませた。
組織内でも屈指の爆弾屋との評判は伊達ではなかった。彼は暢気そうな見た目に反してこの爆弾術で多くのテロ・破壊工作を成功させてきた。
だが弾薬庫に忍びこむと彼の雰囲気は一変。熟練した職人のごとき手さばきで、瞬く間に爆弾の取り付けを済ませた。
組織内でも屈指の爆弾屋との評判は伊達ではなかった。彼は暢気そうな見た目に反してこの爆弾術で多くのテロ・破壊工作を成功させてきた。
「あと六ヶ所だ」
「ん」
「ん」
全ての爆弾を取り付け終われば、基地を脱出し起爆することになる。それまで見つかることのないよう慎重に慎重を重ねねばならない。
その後、何箇所かの爆弾取り付けを終え、二人は基地の重要区画へ近づいた。
いよいよ本丸である。その時。
その後、何箇所かの爆弾取り付けを終え、二人は基地の重要区画へ近づいた。
いよいよ本丸である。その時。
コツ……コツ……
足音である。二人は物陰に隠れた。
ここに来るまでも何名かの警備兵とニアミスし、ある者はやり過ごし、またある者は永遠にサヨナラしてきた。
ここまで来て計画を台無しにはしたくない。見つからぬよう二人は息を殺した。
ここに来るまでも何名かの警備兵とニアミスし、ある者はやり過ごし、またある者は永遠にサヨナラしてきた。
ここまで来て計画を台無しにはしたくない。見つからぬよう二人は息を殺した。
コツ……コツ……
(……)
「……」
(……)
「隠れんぼは終わりだよん」
デッド・イーグルがぎょっとして身体を硬めた。暢気そうなニトロ・ペトロもビクっと身体を震わす。
見つかったか? そうなれば人を呼ばれる前に始末しなければならない。
邪魔者の排除はデッド・イーグルの役割だ。彼は近づいてくる足音に対し、先制を加えるべく物陰から飛び出した。
見つかったか? そうなれば人を呼ばれる前に始末しなければならない。
邪魔者の排除はデッド・イーグルの役割だ。彼は近づいてくる足音に対し、先制を加えるべく物陰から飛び出した。
「……!」
その人物には見覚えがあった。日本防衛軍空軍長官、柳生月心斎である!
「君たちも夜の散歩かね?」
その場にそぐわぬ穏やかさで問いかける月心斎。
思わず思考停止していたデッド・イーグルは、どうにか状況を分析しだす。
思わず思考停止していたデッド・イーグルは、どうにか状況を分析しだす。
(落ち着け……相手は老人だ。銃器のたぐいは不要。騒音で周りに気づかれたくはない)
(資料で見たから間違いない、この老人は日本防衛軍の空軍長官。殺せばポイント五倍間違いなし!)
(資料で見たから間違いない、この老人は日本防衛軍の空軍長官。殺せばポイント五倍間違いなし!)
ニトロ・ペトロは見つからないよう物影に留まっている。
それはそれでいい。相手に侵入者の数を悟らせないためにも。
最悪の場合は二人でバラバラに行動し、任務遂行ないし、脱出を図るところまで打ち合わせてある。
それはそれでいい。相手に侵入者の数を悟らせないためにも。
最悪の場合は二人でバラバラに行動し、任務遂行ないし、脱出を図るところまで打ち合わせてある。
デッド・イーグルがそこまで考えた辺りで、月心斎が一歩踏み出す。
「イェアー!」
デッド・イーグルが跳びかかった! 足に備え付けられた鉤爪でのキックだ!
捉えた! そう思ったデッド・イーグル。しかし彼のキックは空を切る!
捉えた! そう思ったデッド・イーグル。しかし彼のキックは空を切る!
「イェアー!!!」
デッド・イーグル再び攻撃! 腕に仕込んだ鉤爪で切り刻みだ!
しかし月心斎は既に死角へ回りこんでいた!
しかし月心斎は既に死角へ回りこんでいた!
デッド・イーグルは我が目を疑っていた。相手の動きがまるで見えない。捉えたと思った時、この老人は二手、三手先に行っている。
「イ、イェアーーー!!!!!」
破れかぶれで爪を振るうも今度は背後に回られた。
月心斎は相手の肩に手を置き、若者を諭すような優しさで、デッド・イーグルを跪かせた。
月心斎は相手の肩に手を置き、若者を諭すような優しさで、デッド・イーグルを跪かせた。
「そんな危ないもの振り回すものじゃねえ」
(オールド・マスター……)
そんな言葉がデッド・イーグルの脳裏を過ぎった。この老人は何かが違う。
瞬間デッド・イーグルの心は諦めという面舵をいっぱいに切った。
そんな言葉がデッド・イーグルの脳裏を過ぎった。この老人は何かが違う。
瞬間デッド・イーグルの心は諦めという面舵をいっぱいに切った。
「ニトロ・ペトロ! 逃げるぞ!」
翼を広げ地を蹴るデッド・イーグル。任務はまだ六割といったところだが、ニトロ・ペトロを抱えて脱出する決断をした。
月心斎から大きく距離を取り、ニトロ・ペトロのいる物影に飛び込む。
するとそこには……。
月心斎から大きく距離を取り、ニトロ・ペトロのいる物影に飛び込む。
するとそこには……。
「ア……ガガ……」
デッド・イーグルの膀胱が緩む!
なんとそこには、何者かに絞め落とされるニトロ・ペトロの姿が!
何者……否、デッド・イーグルはその相手を知っている。その姿は先日見たばかりだ。
なんとそこには、何者かに絞め落とされるニトロ・ペトロの姿が!
何者……否、デッド・イーグルはその相手を知っている。その姿は先日見たばかりだ。
大日本帝國忍術・百の技の一つ……胴絞安眠固め。
ニトロ・ペトロは背後から首を絞められ、胴を足で挟み込まれており脱出不能。
ここでニトロ・ペトロに自爆する気概があれば状況は違っただろうが、彼は抜けだそうともがくばかりだった。
そしてフィニッシュに首と胴を同時に圧迫されて死んだ。南無三。
彼を解放し、立ち上がった男の姿は全身黒。そう、この男は化学ニンジャを狙う黒装束の男である。
ここでニトロ・ペトロに自爆する気概があれば状況は違っただろうが、彼は抜けだそうともがくばかりだった。
そしてフィニッシュに首と胴を同時に圧迫されて死んだ。南無三。
彼を解放し、立ち上がった男の姿は全身黒。そう、この男は化学ニンジャを狙う黒装束の男である。
「ななななななななななんで貴様がこんなところに!?」
「化学ニンジャは殺す」
「おんや、取り込み中かな?」
「ひぃぃっ!?」
「化学ニンジャは殺す」
「おんや、取り込み中かな?」
「ひぃぃっ!?」
前には黒いキリングマシーン。後ろには化物のような老人。
蒼白になったデッド・イーグルは翼をはためかせて逃げ出した。
蒼白になったデッド・イーグルは翼をはためかせて逃げ出した。
黒装束の男は月心斎を一瞥だけして、デッド・イーグルを追った。まだ彼は低空を羽ばたいているところだ。
男は猛烈な勢いでダッシュ! そしてバッタの如く飛び上がると、デッド・イーグルの背中めがけてキック!
男は猛烈な勢いでダッシュ! そしてバッタの如く飛び上がると、デッド・イーグルの背中めがけてキック!
大日本帝國忍術・百の技の一つ……騎兵烈襲脚!!!
あなやっ、それは中世の合戦において多用された飛び蹴りの技である!
メキョッ! と鈍い音がして、デッド・イーグルは夜空を流星のごとく吹き飛んでいった。
メキョッ! と鈍い音がして、デッド・イーグルは夜空を流星のごとく吹き飛んでいった。
この蹴り技は、元は歩兵が騎兵に対抗するため飛び上がって蹴りを放った、或いは逆に騎兵が馬上から蹴りを放ったなどと諸説ある。
ともかく鎌倉時代から室町時代の間に編み出されたと考えられており、合戦が足軽による集団戦を主流とするまでの間、戦場で持て囃された大技なのだ。
ともかく鎌倉時代から室町時代の間に編み出されたと考えられており、合戦が足軽による集団戦を主流とするまでの間、戦場で持て囃された大技なのだ。
後に残されたのは月心斎と黒装束の男のみ。月心斎はゆっくりと男に歩み寄った。
「……今夜はいい月の夜だのぅ」
「……」
「……」
月心斎の言葉に男は無言である。
「さっきの連中とは、お仲間じゃあないようだが。君は何者かの?」
「……奴らは爆弾を持っていたようだ。基地内に仕掛けられていないか調べたほうがいい」
「……奴らは爆弾を持っていたようだ。基地内に仕掛けられていないか調べたほうがいい」
男はただ一言いい残すと風の様に走り去っていった……。
「ふぅむ、今宵は面白い散歩になったわい」
程なく、基地内の兵員は総出で爆発物の捜索・処理と周囲の哨戒に当たって事なきを得た。
だが黒装束の男については何ら情報は掴めなかった……。
だが黒装束の男については何ら情報は掴めなかった……。
◆◆◆◆◆
「ドクター! ニンジャさんのロボット、基礎構造の解析が終わりましたよ!」
メイド服を着た女の子が通路を駆けてきた。
ここは竜造寺研究所。日本のロボット兵器開発拠点の一つである。
ここは竜造寺研究所。日本のロボット兵器開発拠点の一つである。
「おーうそうかそうか、ご苦労」
言いつつドクター竜造寺は、報告に来たメイドのお尻を触ろうと手を伸ばしたが、高速の膝蹴りで迎撃されてしまった。
「ひげっぷ!!!」
「もうっ、やめてくださいよドクター!」
「もうっ、やめてくださいよドクター!」
メイドは怒りながら肘鉄、裏拳、ローキックとドクターに叩き込んでいく。
「マイア! やりすぎじゃろ!」
「ドクター……貴方が私に組み込もうとしたプログラムのこと忘れてませんからね」
「ヒッ」
「ドクター……貴方が私に組み込もうとしたプログラムのこと忘れてませんからね」
「ヒッ」
このマイアと呼ばれるメイド、見た目も仕草も人間そのものだが、竜造寺の創りあげたロボットである。
竜造寺研究所には世界中の権力者や資産家から多くの支援が寄せられている。
背後にはある密約があった。その鍵となるのが――なるはずだったのが、このメイドロボ・マイアである。
彼女には予定では、『徐々に淫乱になるメソッド』や『四十八手秘奥義』などの実践的なプログラムが多数組み込まれることになっていた。
そして完成の暁には量産され、支援者たちへ秘密裏に譲渡される契約だったのだが……。
化学ニンジャ隊の工作員ミスト・サンが侵入したあの日、製作途中のデータがトラブルにより失われてしまったのだ!
背後にはある密約があった。その鍵となるのが――なるはずだったのが、このメイドロボ・マイアである。
彼女には予定では、『徐々に淫乱になるメソッド』や『四十八手秘奥義』などの実践的なプログラムが多数組み込まれることになっていた。
そして完成の暁には量産され、支援者たちへ秘密裏に譲渡される契約だったのだが……。
化学ニンジャ隊の工作員ミスト・サンが侵入したあの日、製作途中のデータがトラブルにより失われてしまったのだ!
それにより契約が打ち切られることは免れたが……半年かけて組み上げていたデータの紛失は手痛いものだった。
その時、研究所内の秘密の扉が開く。所員もごく一部しか知らない極秘のルートだ。
そこから出てきたのは、あの日、化学ニンジャを退けたあの黒装束の男ではないか。
そこから出てきたのは、あの日、化学ニンジャを退けたあの黒装束の男ではないか。
「よう帰ったか。君のロボットの整備は順調だぞ」
「感謝する」
「感謝する」
過日、マスク・ド・サンキスト・BOとの戦いで深手を負った黒装束の男は、彼のロボット共々、竜造寺を頼ってきた。
メイドのマイアから襲撃時のことを聞かされていた竜造寺は、彼を快く迎え入れると、傷の手当とロボットの収容など、必要な手配してくれたのだ。
それ以降この研究所は黒装束の男の活動拠点となっている。
メイドのマイアから襲撃時のことを聞かされていた竜造寺は、彼を快く迎え入れると、傷の手当とロボットの収容など、必要な手配してくれたのだ。
それ以降この研究所は黒装束の男の活動拠点となっている。
「なあに友よ。君がしてくれたことを思えば(損失もあったが)大したことじゃねえわ。
ロボットのほうは後で確認しておいてくれ。ほらマイア、お茶でも淹れて差し上げろ」
「あ、はい……」
ロボットのほうは後で確認しておいてくれ。ほらマイア、お茶でも淹れて差し上げろ」
「あ、はい……」
指示を受けたマイアはそそくさとその場を後にした。
人間的な情緒が高度に組まれているため感情表現が豊かなのだが、このときは顔まで赤くして照れくさそうにしていた。
人間的な情緒が高度に組まれているため感情表現が豊かなのだが、このときは顔まで赤くして照れくさそうにしていた。
「……どうも避けられている気がする」
黒装束の男が呟いた。
「ああ、マイアのことか? あれはなぁ……クククッ」
竜造寺がいやらしい笑みを浮かべたため、男は怪訝そうな目を向ける。
「クックックッ、話しによれば、あの子は君の目の前で初めて目覚めたそうじゃないか」
「そうだが」
「つまり君は、あの子の生まれたままの姿を見ちまったわけだ。
あの後、精神プログラムを組み込むと、君に身体を見られたことをえらく恥ずかしく思うようになってなぁクックックッ!」
「そうだが」
「つまり君は、あの子の生まれたままの姿を見ちまったわけだ。
あの後、精神プログラムを組み込むと、君に身体を見られたことをえらく恥ずかしく思うようになってなぁクックックッ!」
面白そうに話す竜造寺。つまりマイアは、さながら知恵の木の実を食べたイヴの如く恥を知ってしまったのだ。
一方男の方は深刻そうな眼差しだ。
一方男の方は深刻そうな眼差しだ。
「……つまり俺はあの娘を辱めてしまったわけか」
「ハッハッハッ! あの子が本物の人間だったらそうなるわな!」
「わかった」
「ハッハッハッ! あの子が本物の人間だったらそうなるわな!」
「わかった」
意地悪く笑う竜造寺を他所に、黒装束の男はその場に正座。腰の忍者刀を抜くと、腹に突き刺し、切腹を始めた!
「何をしとるんだぁぁぁぁぁぁっ!!!???」
「詫びだ……ガフッ」
「詫びだ……ガフッ」
男は口から血を吐いて倒れた。
竜造寺の絶叫を聞いてマイアもやって来ると、この凄惨な光景を見てお茶を載せた皿を落とした。
竜造寺の絶叫を聞いてマイアもやって来ると、この凄惨な光景を見てお茶を載せた皿を落とした。
「どどどどどどうしたんですか!? きゅっ救急車呼ばないと!」
「お、落ち着くんだ! 横にしてまず止血してやれ!」
「はいぃぃぃ!」
「お、落ち着くんだ! 横にしてまず止血してやれ!」
「はいぃぃぃ!」
マイアがは男を長椅子に寝かせ、傷を診るために服を脱がす。
「えぇっと医療キットを……あとすぐ救急車……」
「だから落ち着けっての。血を拭いて傷口をきれいにしてみそ」
「だから落ち着けっての。血を拭いて傷口をきれいにしてみそ」
マイアが指示通りに布巾で拭くと、生々しい傷口が顕になる。
「う……痛そうです」
「ほれほれ、よく見てみ」
「ほれほれ、よく見てみ」
竜造寺が指差した先で、何ということか、男の傷口が徐々に塞がっていくではないか。
「あれ!? ドクターどうなってるんですか!?」
「最初に訪ねてきた時はワシも驚いたわ。コイツの身体はどうも普通の人間と違うらしい……。
コイツのロボットにしてもそうだ。技術の出処が今のところ特定出来ない。実に興味深い」
「最初に訪ねてきた時はワシも驚いたわ。コイツの身体はどうも普通の人間と違うらしい……。
コイツのロボットにしてもそうだ。技術の出処が今のところ特定出来ない。実に興味深い」
その後、マイアは彼を個室のベッドに運んだ。
黒装束の男は意識を失っている。傷が大事に至らないとはいえ、息は苦しそうだった。
彼はどこから来て何を成そうとしているのか。今はわからない。
マイアはしばらく男の手を握っていた。彼の寝息が安らかに落ち着くまで。……のつもりだったが、気づけば彼女も眠りについていた。
黒装束の男は意識を失っている。傷が大事に至らないとはいえ、息は苦しそうだった。
彼はどこから来て何を成そうとしているのか。今はわからない。
マイアはしばらく男の手を握っていた。彼の寝息が安らかに落ち着くまで。……のつもりだったが、気づけば彼女も眠りについていた。