【妹】
マッスルドッキングは決まった瞬間よりもその後に真の威力を発揮するらしい。
基地に辿り着く頃には仮面は完全に崩れ去り仮面の女の素顔が明らかになっていた。
基地に辿り着く頃には仮面は完全に崩れ去り仮面の女の素顔が明らかになっていた。
「うわー!仮面がバラバラになってもうたで!」
「拾いましょ、目が覚める前に拾いましょ!壊したのバレタら怒られるもの」
「二人とも、もう手遅れみたいだよ」
「拾いましょ、目が覚める前に拾いましょ!壊したのバレタら怒られるもの」
「二人とも、もう手遅れみたいだよ」
仮面の女、いや、仮面をつけていた女は伸びをした後ゆっくりと身体を起こし
周囲を確認する。
周囲を確認する。
「ここは…、俺はレゼルヴェの試験の後モヒカンを槍にくっつけてそれから…」
「えっ、そこから!?」
「えっ、そこから!?」
元仮面女の呟きにエリカが突っこむ。何言ってるかは分からなかったが、
相当前の記憶を思い出している様子だと勘で決めつけてのツッコミだ。
相当前の記憶を思い出している様子だと勘で決めつけてのツッコミだ。
元仮面女はそんなエリカのツッコミは無視して周囲を観察する。
ブラッククロスの服の男二人、女一人。良く分からん未成年の女一人。
ブラッククロスの服の男二人、女一人。良く分からん未成年の女一人。
「よし、取りあえず悪は滅ぶべし」
「えっ?」
「くたばれブラッククロス!マサイーーーパーン」
「させるかぁ!」
「えっ?」
「くたばれブラッククロス!マサイーーーパーン」
「させるかぁ!」
ガコーン!
パンチを繰り出そうとした女の後頭部に金属製の箱が直撃する。女は再び気絶したスイーツ。
エリカが懐から取り出した一斗缶だ、護身用にいつも隠し持っているこの一斗缶は
エリカの友人らから『エリ缶』と呼ばれ恐れられており、寝起きの女戦士程度ならこの通りKOできる。
パンチを繰り出そうとした女の後頭部に金属製の箱が直撃する。女は再び気絶したスイーツ。
エリカが懐から取り出した一斗缶だ、護身用にいつも隠し持っているこの一斗缶は
エリカの友人らから『エリ缶』と呼ばれ恐れられており、寝起きの女戦士程度ならこの通りKOできる。
「ふうっ、危うくスパロボ探索隊半壊の危機だったわ。貴族の嗜みとして日本武術を習ってて良かった。
まさかいきなり助けた相手を襲おうとするなんて、南極人がこんなに野蛮だとは思わなかった」
「エリカはんエリカはん、それ多分南極人違いまんがな。アフリカ人やできっと」
「何でアフリカ人が南極で露天風呂に入ってるの!」
「さあ?取りあえず、今度起きた時どうすればいいんやろ?」
「うーん…元居た場所に帰したらどうだい?君子危うきに近寄らずだよ」
「ドランジョさん、これを捨てるなんてとんでもない!ピクルを洞窟に押し込み冬眠させるぐらい勿体ない!
コイツ間違いなくスパロボ発見の為のヒント持ってますよ!イベントパターン的に!」
まさかいきなり助けた相手を襲おうとするなんて、南極人がこんなに野蛮だとは思わなかった」
「エリカはんエリカはん、それ多分南極人違いまんがな。アフリカ人やできっと」
「何でアフリカ人が南極で露天風呂に入ってるの!」
「さあ?取りあえず、今度起きた時どうすればいいんやろ?」
「うーん…元居た場所に帰したらどうだい?君子危うきに近寄らずだよ」
「ドランジョさん、これを捨てるなんてとんでもない!ピクルを洞窟に押し込み冬眠させるぐらい勿体ない!
コイツ間違いなくスパロボ発見の為のヒント持ってますよ!イベントパターン的に!」
ドランジョ、コンジュラー、そしてエリカが拾った女についてあーだこーだ意見を交わしている中、
ボヤッキューはせっせと仮面を集め修理しようとしていた。
ボヤッキューはせっせと仮面を集め修理しようとしていた。
「ボヤはん、それ直せるんでっか?」
「んー、後ちょっと」
「いやいや、セロテープとかでくっつけてもそれでオッケーってものやあらへんがな」
「いいからちょっと御覧なさいな」
「んー、後ちょっと」
「いやいや、セロテープとかでくっつけてもそれでオッケーってものやあらへんがな」
「いいからちょっと御覧なさいな」
テーブルの上にコトリと置かれた仮面を見てボヤッキュー以外の全員が驚く。
バラバラになったはずの仮面がほぼ元通りに復元している。
しかもテープや接着剤も使わずに破片を近づけた先から自然にくっついていっているのだ。
バラバラになったはずの仮面がほぼ元通りに復元している。
しかもテープや接着剤も使わずに破片を近づけた先から自然にくっついていっているのだ。
「なんか不気味でんな。呪いの仮面とかそういうのとちゃいまんのか?
あの人が記憶喪失っぽい言動だったんもこの仮面に意識を乗っ取られてたとかそういうのかもしれへん」
「そんな非科学的な、いや、宇宙人と戦争してる時代だから無いとは言い切れないわね~」
「どうするんだい?ヘタしたらあの女以上にやばい代物かもしれないよこれは」
あの人が記憶喪失っぽい言動だったんもこの仮面に意識を乗っ取られてたとかそういうのかもしれへん」
「そんな非科学的な、いや、宇宙人と戦争してる時代だから無いとは言い切れないわね~」
「どうするんだい?ヘタしたらあの女以上にやばい代物かもしれないよこれは」
ドロボー一味がテーブルの上の仮面を遠巻きに見つめ行動出来ないでいると、
その仮面を横からかっさらうものがいた。全ての元凶エリカ・ペンドラゴンだ。
その仮面を横からかっさらうものがいた。全ての元凶エリカ・ペンドラゴンだ。
「もーらい!」
「「「あ、こらちょっとー!!!」」」
「「「あ、こらちょっとー!!!」」」
エリカが次にやる事の予想はすぐに二通り思いついた。仮面を自分が装着するか、元の持ち主に装着させるか。
どちらにせよ非常にやばい事態が発生しそうな事は分かり切っている。三人は必死に止めようとするが、
10代の情熱とバカの推進力には届かなかった。
どちらにせよ非常にやばい事態が発生しそうな事は分かり切っている。三人は必死に止めようとするが、
10代の情熱とバカの推進力には届かなかった。
「そぉい!!!」
ビタァァン!!
選択肢1、『エリカは復元した仮面を気絶中の女に装着させる』が実行された。
仮面は女の顔に癒着していき二度と取れない様に一体化した。
選択肢1、『エリカは復元した仮面を気絶中の女に装着させる』が実行された。
仮面は女の顔に癒着していき二度と取れない様に一体化した。
「なにしてんのさアンター!」
ヒステリックに叫ぶドランジョ。だがエリカは至って冷静に意見を返す。
「多分これが最善と思って」
「なんで!」
「だって、さっきこの人皆を襲おうとしていたじゃない。で、恐らく仮面が無くなって
記憶か人格がおかしくなったのだとしたら、仮面をつければ敵じゃなくなる可能性が高い。
うん、我ながら完璧、アブストラクト・フェニックスな理論!さあ、目覚める彼女から
スパロボ発見のヒントを得る事にしよう!これリーダーである私の命令だよ!」
「…ッ」
「なんで!」
「だって、さっきこの人皆を襲おうとしていたじゃない。で、恐らく仮面が無くなって
記憶か人格がおかしくなったのだとしたら、仮面をつければ敵じゃなくなる可能性が高い。
うん、我ながら完璧、アブストラクト・フェニックスな理論!さあ、目覚める彼女から
スパロボ発見のヒントを得る事にしよう!これリーダーである私の命令だよ!」
「…ッ」
反論できず言葉に詰まるドランジョの肩にボヤッキューが手を置き諭す。
「諦めて下さいなドランジョさん。僕ちゃん達あの子には逆らえないのよ。通報されたくないし」
「ふん、あんなガキ三人で縛って閉じ込めとけばいいのさ」
「そんな悪い事出来るわけないでしょ!ねえコンジュラー」
「せやで、やるんならドランジョはん一人でやってーな」
「い、いや…ごめんよ。私だって女の子にそんな事したくないよ。ごめん、言い過ぎたよ」
「ふん、あんなガキ三人で縛って閉じ込めとけばいいのさ」
「そんな悪い事出来るわけないでしょ!ねえコンジュラー」
「せやで、やるんならドランジョはん一人でやってーな」
「い、いや…ごめんよ。私だって女の子にそんな事したくないよ。ごめん、言い過ぎたよ」
ブラッククロスの悪人もピンキリである。
アムステラの味方として手段を選ばず力を尽し己の命を賭しても構わないというのもいれば、こういうのもいる。
エリカが出会ったのがこのドロボー達だったのはある意味幸運だったとも言えよう。
そして南極で風呂に入っていた仮面の女にとっても幸運だったと言えた。
アムステラの味方として手段を選ばず力を尽し己の命を賭しても構わないというのもいれば、こういうのもいる。
エリカが出会ったのがこのドロボー達だったのはある意味幸運だったとも言えよう。
そして南極で風呂に入っていた仮面の女にとっても幸運だったと言えた。
◇◇◇
【露天風呂の真実】
アーティがちょっと目を離した時にはもうムチャウは顔から煙を吹いて倒れていた。
仮面の中央がひび割れ、そこから高熱を発している。
仮面の中央がひび割れ、そこから高熱を発している。
「あわわわわ、ごめんみょん!ごめんみょん!私はただいつもの様にムチャウのオッパイに
吸いつこうとしただけで、そしたらムチャウが避けて、上手い事私の頭突きが仮面に入る形になって…」
「お前は悪いのは最初から分かり切っている。で、どーする?最悪暴走してまた三人揃って取り込まれるぞ」
吸いつこうとしただけで、そしたらムチャウが避けて、上手い事私の頭突きが仮面に入る形になって…」
「お前は悪いのは最初から分かり切っている。で、どーする?最悪暴走してまた三人揃って取り込まれるぞ」
レゼルヴェを襲った怪物の再来、そうなったら今度こそ一巻の終わりである。
そして偶然にも今日三人が来ていたのはレゼルヴェだった。
そして偶然にも今日三人が来ていたのはレゼルヴェだった。
「じゃ、そういう事で!」
「あー!!!」
「あー!!!」
アーティに世話を押し付けて逃げるようにジュダは出ていった。
残されたアーティはムチャウの身体に触れない様に身体に水をかけて冷やそうと試みたが、
かけた先から湯気になっていく。最早人間の体温じゃないし、人間でどうにかできるものでもなくなっていた。
残されたアーティはムチャウの身体に触れない様に身体に水をかけて冷やそうと試みたが、
かけた先から湯気になっていく。最早人間の体温じゃないし、人間でどうにかできるものでもなくなっていた。
「このままムチャウが死ぬのが先か、以前の様に何でも食い散らかす悪魔になって
この傭兵マンションが取り込まれるのが先かだな。すまんムチャウ、俺も逃げる」
「やれやれアーティがそんな薄情モンとはおもいませんでしたみょん」
この傭兵マンションが取り込まれるのが先かだな。すまんムチャウ、俺も逃げる」
「やれやれアーティがそんな薄情モンとはおもいませんでしたみょん」
いつの間にかジュダが帰って来ていた。その手には白いロープと白い小袋が握られている。
「さっ、まずはこの袋の中の粉を全部ムチャウの口につっこみーの!」
「モガー!!ガク」
「モガー!!ガク」
粉を吸引したムチャウは一瞬ビクンと痙攣し大人しくなった。
「なんだよその粉!」
「昔の同居人の家に置いてあったイケない薬。傭兵になる前に部屋の掃除したら一個だけテレビの後ろから
出てきたからこんな事もあろうかと隠しもってたみょん。ちなみに一袋で二十回使用可能。
さて、ぐったりしてる隙にこのロープを巻き付けるから手伝って。
絹糸を織り込んであるとは言っても気休め程度だと思うし時間との勝負みょん」
「あ、ああ」
「昔の同居人の家に置いてあったイケない薬。傭兵になる前に部屋の掃除したら一個だけテレビの後ろから
出てきたからこんな事もあろうかと隠しもってたみょん。ちなみに一袋で二十回使用可能。
さて、ぐったりしてる隙にこのロープを巻き付けるから手伝って。
絹糸を織り込んであるとは言っても気休め程度だと思うし時間との勝負みょん」
「あ、ああ」
ウルトラマサイの物質吸収能力は有機物にはいくらか効果が弱まる。経験として二人はそれを知っていた。
ロープを結び終わるとジュダはアーティの手を取って外へと走り出す。外には見覚えのある戦闘機、
ロープの反対側はこの戦闘機と繋がっていた。
ロープを結び終わるとジュダはアーティの手を取って外へと走り出す。外には見覚えのある戦闘機、
ロープの反対側はこの戦闘機と繋がっていた。
「アロンズィじゃねーか!この短時間で良く調達できたな!」
「いいから乗って!さあ患者を生物も機械もない天然の冷蔵庫まで運ぶぞ!んで、ほとぼりが冷めたらまた迎えに行く!」
「どこだよそれ!」
「南極!」
「いいから乗って!さあ患者を生物も機械もない天然の冷蔵庫まで運ぶぞ!んで、ほとぼりが冷めたらまた迎えに行く!」
「どこだよそれ!」
「南極!」
◇◇◇
「あのアホども、絶対後で半殺しにしてやる…」
「あっ、目覚めましたよー。みなさーん!サムさん起きましたよー!」
「あっ、目覚めましたよー。みなさーん!サムさん起きましたよー!」
辺りを見渡すとブラッククロスの服を着た男女三人と普通の少女一人。
「ブラッククロス?まあいいや、アタイどうやらあんたらに助けて貰ったみたいだね。
あのまま外に放置されてたら絶対風邪ひいてただろうしありがたいよ」
「風邪で済むんかいな」
「キター!サムさんのデレルートきましたー!これで私の目標もゲットしたも同然!」
「何言ってるんだこの子は。それとサムって」
「それはやな、かくかくしかじか」
あのまま外に放置されてたら絶対風邪ひいてただろうしありがたいよ」
「風邪で済むんかいな」
「キター!サムさんのデレルートきましたー!これで私の目標もゲットしたも同然!」
「何言ってるんだこの子は。それとサムって」
「それはやな、かくかくしかじか」
ムチャウはコンジュラーという人の良さそうな男から、エリカのとんでもない行動と
自分が海物語というパチンコ台のキャラクターに似ている事からサムという仮名をつけられていた事を聞かされた。
自分が海物語というパチンコ台のキャラクターに似ている事からサムという仮名をつけられていた事を聞かされた。
「うん、とりあえずアタイはサムって名前じゃねーから」
「じゃあサムさんの本名教えてくださいよ3・2・1はい!」
「じゃあサムさんの本名教えてくださいよ3・2・1はい!」
本名を言おうとした正にその時、ムチャウの脳裏にかつて仲間に何度も注意された言葉が蘇る。
【何の為にコードネーム決めたと思ってるんだ!】というアーティの言葉である。
【何の為にコードネーム決めたと思ってるんだ!】というアーティの言葉である。
「アタイは皆からモザイクって呼ばれている。ほら、仮面がモザイクっぽいだろ?」
「成程、ニックネームはモザイクなんですね。じゃあ、続いて本名どうぞ!3・2・1はい」
「本名はムチャウ・ザイネン」
「自己紹介ありがとうございますサムさん!やっぱり本名はサムだったんですね!」
「いや、ムチャウだって」
「サム」
「ム」
「む?」
「ム・チャ・ウ」
「サ・ム」
「成程、ニックネームはモザイクなんですね。じゃあ、続いて本名どうぞ!3・2・1はい」
「本名はムチャウ・ザイネン」
「自己紹介ありがとうございますサムさん!やっぱり本名はサムだったんですね!」
「いや、ムチャウだって」
「サム」
「ム」
「む?」
「ム・チャ・ウ」
「サ・ム」
南アフリカ人と英国人のイントネーションの差、そして二人の理解力の低さが原因となり
名前が正しく伝わらない。
ドロボー一味は世界を股にかけて仕事をしているので二人のやり取りを正しく理解していた。
取りあえず、コードネームの意味はまったく無かった。
名前が正しく伝わらない。
ドロボー一味は世界を股にかけて仕事をしているので二人のやり取りを正しく理解していた。
取りあえず、コードネームの意味はまったく無かった。
「もうサムでいいや」
「はい、サムさん宜しくお願いします」
「はい、サムさん宜しくお願いします」
15回のループでアフリカ人が折れた。結果的に本名を名乗らなかったのと近い状態に。
「でも、スパロボ探すってのは協力出来ないね」
「えー!」
「えー!」
ここは折れないアフリカ人。
「聞いた感じアンタに力を与えるのは危険と思ったからね。
この南極にあるスパロボの元に案内する事は出来ないよ」
この南極にあるスパロボの元に案内する事は出来ないよ」
ムチャウ自身、かつて好奇心から力を求めこのざまである。
少女の身を案じての警告だったのだが、言い方が悪かった。
少女の身を案じての警告だったのだが、言い方が悪かった。
「やったー!やっぱり私の目に狂いは無かった!ありがとうございます!」
「あん?また聞き間違いかい?アタイは案内しないって言ったんだけど」
「ムッフッフー、貴女はここにスパロボがある事及びその場所をを知っているって自白しています!」
「し、シマッタァァァァ」
「あん?また聞き間違いかい?アタイは案内しないって言ったんだけど」
「ムッフッフー、貴女はここにスパロボがある事及びその場所をを知っているって自白しています!」
「し、シマッタァァァァ」
読者の皆様は『ウルトラマサイ』の作中でマサイの槍と同化したムチャウが遥か遠くにあるギガントの
位置を読みとっていた事を思い出してほしい。あの能力は人の外見となった現在も健在だった。
エリカからスパロボ探索の目的を聞いたムチャウは感覚を総動員しスパロボの有無を探っており、
それ故に行くのを止めたのが裏目に出た。マサイ嘘つけない。
位置を読みとっていた事を思い出してほしい。あの能力は人の外見となった現在も健在だった。
エリカからスパロボ探索の目的を聞いたムチャウは感覚を総動員しスパロボの有無を探っており、
それ故に行くのを止めたのが裏目に出た。マサイ嘘つけない。
「あんたら、車と防寒具用意できたわよ」
「サンドイッチも作っちゃいましたよ~」
「サンドイッチも作っちゃいましたよ~」
最早エリカに完全協力体勢となったドランジョとボヤッキューも急かしてくる。
「わてシャベルとツルハシ持ってきますわ」
「運転は任せろーバリバリ」
「運転は任せろーバリバリ」
逃げ場が失われ、場はスパロボ探しに行くモード一色。寒空から屋内に運んでもらった恩もあるし
もういいかなーって気も少しずつしてきたムチャウ。だが、まだ納得はいかない。
もういいかなーって気も少しずつしてきたムチャウ。だが、まだ納得はいかない。
「わかったわかった、正直に言おう。アタイはスパロボの場所がわかる」
「やっぱり」
「で、だ。大きな力は正義に使われないといけない。ブラッククロスに渡すわけにはいかない」
「大丈夫です!この人達はいいブラッククロスです!そして私は大正義ペンドラゴン家!」
「そうだよそうだよ!私達はこんな所に左遷されるぐらいに悪人になれないんだよ!」
「でもねー、僕ちゃん思ったんだけどスパロボを持ち帰ったら出世もあるかもって」
「ボヤはん!今回は自首して人生やり直す最後のチャンスやで!そんな事いうなや!」
「そうよねー、うん。この子に協力してその足で自首するべきですね」
「やっぱり」
「で、だ。大きな力は正義に使われないといけない。ブラッククロスに渡すわけにはいかない」
「大丈夫です!この人達はいいブラッククロスです!そして私は大正義ペンドラゴン家!」
「そうだよそうだよ!私達はこんな所に左遷されるぐらいに悪人になれないんだよ!」
「でもねー、僕ちゃん思ったんだけどスパロボを持ち帰ったら出世もあるかもって」
「ボヤはん!今回は自首して人生やり直す最後のチャンスやで!そんな事いうなや!」
「そうよねー、うん。この子に協力してその足で自首するべきですね」
(なんだこの呑気なやり取りは、本当にこいつらブラッククロスなのか)
ムチャウの脳裏にこれまで倒してきたブラッククロスの奴らの記憶が蘇る。
奴隷売買、誘拐、密輸、これまでムチャウがパトロール中に出会い倒してきた奴らと
余りに違いすぎる。もしかして同名の別企業なのか、そうでないと説明がつかない。
そして自分の事を正義の一族と堂々と言ってのけた少女、
それがマサイの戦士を名乗っていた自分と被る。
信じていいのか、自分と通じる部分の多いこの少女をどう導くべきか、
色々考えてると口の中がパサパサしてきた。続いて今まで感じた事の無い飢餓感が襲う。
ムチャウの脳裏にこれまで倒してきたブラッククロスの奴らの記憶が蘇る。
奴隷売買、誘拐、密輸、これまでムチャウがパトロール中に出会い倒してきた奴らと
余りに違いすぎる。もしかして同名の別企業なのか、そうでないと説明がつかない。
そして自分の事を正義の一族と堂々と言ってのけた少女、
それがマサイの戦士を名乗っていた自分と被る。
信じていいのか、自分と通じる部分の多いこの少女をどう導くべきか、
色々考えてると口の中がパサパサしてきた。続いて今まで感じた事の無い飢餓感が襲う。
「…んっ」
「サムさんどうしました?」
「サムさんどうしました?」
今度は逆に口からヨダレが止まらない。身体が耐えられない程の欲求を襲う。
しかし、その欲しいものが何か分からないまま衝動だけが強くなっていく。
しかし、その欲しいものが何か分からないまま衝動だけが強くなっていく。
「欲しい、ホシイ」
「サムさーん、もしもーし?」
「アタイホシイノォォォ!ナンデモスルカリャァァァ!」
「サムさーん、もしもーし?」
「アタイホシイノォォォ!ナンデモスルカリャァァァ!」
エリカを突き飛ばしムチャウは外へと全力で走り出した。
「サムさんが薬中になって出ていった!」
エリカ奇跡の正解。ムチャウの衝動の正体はここに来る前に20人分飲まされたイケナイ薬の副作用だ。
だが、ムチャウ自身はそれに気づかない。気づけたとしてもここに薬は無いし耐える事も出来ない。
だが、ムチャウ自身はそれに気づかない。気づけたとしてもここに薬は無いし耐える事も出来ない。
「ウヒ、ウヒヒヒヒ、アノバショニ、アノエネルギーノトコロニィー!」
ムチャウは自分の欲求を埋める代用を求め、あの場所へと向かう。
スーパーロボットのエネルギーを感じた場所へと。
スーパーロボットのエネルギーを感じた場所へと。
◇◇◇
【兄】
「さて、アースクラッシャーのお披露目と行くか。まずはこうだ」
射程に敵の集団を捕えた事を確認すると、アースクラッシャーから一発のミサイルが発射される。
待ちの体勢で留まっていた敵はミサイルが直撃する前にバルカンで撃ち落とす。
待ちの体勢で留まっていた敵はミサイルが直撃する前にバルカンで撃ち落とす。
「当然そうくるよな。だが、このミサイルは特別性だ」
バルカンで撃ち落とされたミサイルから緑色のガスが噴出する。
それは瞬く間にアースクラッシャーと敵陣の中間に広がっていく。
毒ガスかウイルスか煙幕か酸か、いずれにせよ留まるのは良くないと判断した相手は、
ガスから距離を取る為上昇して後退、する事が出来なかった。
それは瞬く間にアースクラッシャーと敵陣の中間に広がっていく。
毒ガスかウイルスか煙幕か酸か、いずれにせよ留まるのは良くないと判断した相手は、
ガスから距離を取る為上昇して後退、する事が出来なかった。
「なっなんだぁ!!」
「隊長!機体がいう事を聞きません!」
「落ちるー!」
「隊長!機体がいう事を聞きません!」
「落ちるー!」
斬空と空戦羅甲の集団はその場からまともに移動出来ないでいた。
あるものは急降下し、あるものは小刻みに浮き沈みを繰り返し、あるものは本来の半分以下の速度で
上昇して離脱しょうとしている。
最初から飛行に無理のあった重装型羅甲は真っ先に墜落し轟音と共に地面に激突した。
あるものは急降下し、あるものは小刻みに浮き沈みを繰り返し、あるものは本来の半分以下の速度で
上昇して離脱しょうとしている。
最初から飛行に無理のあった重装型羅甲は真っ先に墜落し轟音と共に地面に激突した。
「お前らには目の前のものが毒ガスに見えたんだろうが…、機体はそうとは思わなかった様だな。
反重力によるフライトシステムに頼ってたなら、目の前に突然大地が現れたらこうなる」
反重力によるフライトシステムに頼ってたなら、目の前に突然大地が現れたらこうなる」
毒霧にも見えるガスの正体は苔の一種だった。
ミサイルから散布されたそれは空気中の水分と混ざり合い膨張し、疑似的な地上を作り出す。
アムステラ側の機体カメラに映ったそれはフライトシステムに高度を誤認させ、
結果一時的な出力の弱体化や急停止を発生させる。
手動操縦に長けたパイロットあるいはこういった事態に対応できるベテランならば
即座に立て直せるだろう。
だが、今回は待ちの陣形が二重の意味で裏目に出た。
数でウインドスラッシャーを疲弊させるチーム故に技量は一人を除き並程度の者しかおらず、
密集していた為ほぼ全機がトラップにかかり反撃も回避も不能な状態となった。
ミサイルから散布されたそれは空気中の水分と混ざり合い膨張し、疑似的な地上を作り出す。
アムステラ側の機体カメラに映ったそれはフライトシステムに高度を誤認させ、
結果一時的な出力の弱体化や急停止を発生させる。
手動操縦に長けたパイロットあるいはこういった事態に対応できるベテランならば
即座に立て直せるだろう。
だが、今回は待ちの陣形が二重の意味で裏目に出た。
数でウインドスラッシャーを疲弊させるチーム故に技量は一人を除き並程度の者しかおらず、
密集していた為ほぼ全機がトラップにかかり反撃も回避も不能な状態となった。
「ヘンリー、上昇するやつに追尾ミサイルだ!ウォール中央1班から5班は落ちてきた奴から順に撃ち落とせ!
ウォール右翼と左翼の全班は引き続き地上兵に備え潜伏、スコットは最初に急降下した重装型へ行け。
あの速度で落ちたら無事じゃないだろうが油断するな。俺は残りをやる!」
ウォール右翼と左翼の全班は引き続き地上兵に備え潜伏、スコットは最初に急降下した重装型へ行け。
あの速度で落ちたら無事じゃないだろうが油断するな。俺は残りをやる!」
バシュバシュ!!
混乱から立ち直れぬ飛行部隊に二本のワイヤークローが飛ぶ。それぞれが別の斬空に突き刺さると
一気に巻き上げられた。
一気に巻き上げられた。
「バチカンの神父みたいに剣の間合いまで引っ張るパワーは無いが、これで十分だ!」
動きの止まった斬空にトドメのミサイルを撃ち込む。
苔では無く本物の火薬入りのミサイルがクリーンヒットする。
苔では無く本物の火薬入りのミサイルがクリーンヒットする。
「何なんだよ聞いてねえぞこんな機体!」
「退却せよ!最早ウインドスラシャーを捕える事は出来ぬ!」
「しかし、降下した彼は…」
「あいつはどうでもいい!元より地球人など回収の必要など無いっ!」
「退却せよ!最早ウインドスラシャーを捕える事は出来ぬ!」
「しかし、降下した彼は…」
「あいつはどうでもいい!元より地球人など回収の必要など無いっ!」
混乱から立ち直れぬアムステラ、先制成功後適格な指示でリードを広げ続けたイギリス、
既にこの戦場の勝敗は決していた。ただ一つ不運があるとすれば―、
既にこの戦場の勝敗は決していた。ただ一つ不運があるとすれば―、
「我、降下に成功せりぃぃ!!!」
盛り上がった両肩部分に衝撃を受け止めさせた重装型のパイロットが咆哮を上げる。
元よりその両肩にはミサイルは積まれておらず、彼は最初からこうして着陸する予定だった。
無論損傷はあるが戦闘は続行可能な範囲のものだ。
元よりその両肩にはミサイルは積まれておらず、彼は最初からこうして着陸する予定だった。
無論損傷はあるが戦闘は続行可能な範囲のものだ。
「ブラッククロス黒天使隊が一人、『ネガレッター』のバヌ・ロディム参るっ!」
「威勢がいいとこ悪いんだけど、ヤメにしない?今、全方位からキャノンが君一人を狙ってるんだけど」
「断るっ!神の名の元に滅するが良い!」
「威勢がいいとこ悪いんだけど、ヤメにしない?今、全方位からキャノンが君一人を狙ってるんだけど」
「断るっ!神の名の元に滅するが良い!」
ブラッククロスの悪人もピンキリである。
アムステラの味方として手段を選ばず力を尽し己の命を賭しても構わないというのもいる。
スコットの勧告をノータイムで跳ねのけたこの男はそういうタイプのブラッククロスだった。
アムステラの味方として手段を選ばず力を尽し己の命を賭しても構わないというのもいる。
スコットの勧告をノータイムで跳ねのけたこの男はそういうタイプのブラッククロスだった。