影狼隊徒然記【隊長の優雅な休暇】その9
~ 早朝 レゼルヴェ国 秘密格納庫 ~
巨大な架台で支えられた鋼鉄の巨人、ギガント28号。その鋼鉄のボディはまるで新品の如き青光りを放って居る。
しかし妙だ。ギガントは昨夜の戦闘で多大なダメージを受けたばかりの筈なのだが? もう修理が済んだのか??
しかし妙だ。ギガントは昨夜の戦闘で多大なダメージを受けたばかりの筈なのだが? もう修理が済んだのか??
そのギガントを見上げて居るのは、耐撃の百文字とレディ・ミィラ。
常日頃から岩石を削ったが如き表情を保つ百文字と、全身に纏った包帯で表情の見えないレディ・ミィラ。
しかし非常に珍しい事に、今の百文字からは『悄然(ショボーン)』とでも言うべき雰囲気が漂っている。
常日頃から岩石を削ったが如き表情を保つ百文字と、全身に纏った包帯で表情の見えないレディ・ミィラ。
しかし非常に珍しい事に、今の百文字からは『悄然(ショボーン)』とでも言うべき雰囲気が漂っている。
「・・・レディ、こんなギガントでワシは出撃せねばならんのか?」
「あら、言うわね百文字(ハンドレット)。ギガントの予備パーツを確保するのって大変なのよ」
「判っては・・・おるのだが・・・」
「なら、男は黙って出撃したらいかが? 百文字(ハンドレット)」
「・・・。」
「あら、言うわね百文字(ハンドレット)。ギガントの予備パーツを確保するのって大変なのよ」
「判っては・・・おるのだが・・・」
「なら、男は黙って出撃したらいかが? 百文字(ハンドレット)」
「・・・。」
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そう。如何に堅牢なギガント28号だからといって、メンテナンスが不要になる訳では無い。
むしろ敵の攻撃をあえて受けるプロレス殺法を駆使する性質上、日頃の整備が大事である。
むしろ敵の攻撃をあえて受けるプロレス殺法を駆使する性質上、日頃の整備が大事である。
そこで問題となるのは、まさしくその長所。『堅牢』であるという点である。
極端な例として『鬼刃』と呼ばれる機動マシンを挙げよう。これはギガントと同じく、表舞台には出ぬ神出鬼没の機体である。
『速さ』と『硬さ』のみを追求した異端の機体。その代償として、整備性や操縦者の安全性を捨てたピーキーな機体と化している。
故にその全身を覆う硬い装甲と、装甲の内側に収まる多数のバーニア等は、敵のみならず整備の手をも撥ね退ける。
(SS作品『超鋼戦機カラクリオー異聞』参照)
『速さ』と『硬さ』のみを追求した異端の機体。その代償として、整備性や操縦者の安全性を捨てたピーキーな機体と化している。
故にその全身を覆う硬い装甲と、装甲の内側に収まる多数のバーニア等は、敵のみならず整備の手をも撥ね退ける。
(SS作品『超鋼戦機カラクリオー異聞』参照)
同じ様な設計思想とはいえ、流石にギガントはそこまで極端ではない。『鬼刃』がバーニア等で高機動力を叩き出す処を、ギガントは
比較的単純な構造のバネ仕掛けによって、瞬時に敵の懐へ飛び込むだけの高出力を生み出して居るのだ。
比較的単純な構造のバネ仕掛けによって、瞬時に敵の懐へ飛び込むだけの高出力を生み出して居るのだ。
重たくて融通が利かなくても良いから、近接戦闘が出来る、硬くて強い単純な機能の機体。それがギガント28号である。
それはギガントの量産型とも言える『暴顛贅(アバレテンゼイ)』を見ても判る。(SS作品『コマンタレヴ・ラブソディ』等を参照)
それはギガントの量産型とも言える『暴顛贅(アバレテンゼイ)』を見ても判る。(SS作品『コマンタレヴ・ラブソディ』等を参照)
故にギガントの整備性に関しては、その巨体にも関わらず割合優れていると言っても良い。
無論、その身を守る『超鋼鉄』や、動力源『鋼鉄蛇腹』を製造するのは大変ではあるが、予備パーツを用意して交換するのは容易いのだ。
無論、その身を守る『超鋼鉄』や、動力源『鋼鉄蛇腹』を製造するのは大変ではあるが、予備パーツを用意して交換するのは容易いのだ。
しかし。いくら交換が楽とはいえ、『超鋼鉄』や『鋼鉄蛇腹』のパーツはそんな気軽に調達・製造出来る品では無い。
ましてや今回の大ダメージ。いくら簡単と言っても、全ての損傷個所を一晩で換装出来る訳が無い。では、どうしたのかと言えば・・・。
ましてや今回の大ダメージ。いくら簡単と言っても、全ての損傷個所を一晩で換装出来る訳が無い。では、どうしたのかと言えば・・・。
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~ 朝 マドモワゼル平原 ~
ズンッ! ズンッ! ズンッ! ズンッ! ズンッ! ズンッ!
軽快な足取りでギガント28号が空戦羅甲の編隊の迎撃に向かう。
P i ッ !
”ギガントの感触はどう? 百文字(ハンドレット)”
例によってギガントの肩の上に居る百文字に、レディ・ミィラからのQXコネクト(暗号通信)が届く。
「身体が軽すぎる。もう何もかもが怖い・・・とでも言わせたいか?」
”そんな軽口が叩けるのなら大丈夫ね。で、実際の処どう?”
「うむ。ギガントへの負担が軽くなった代わりに、蛇腹に力が掛け難いな」
”でも蛇腹もまだ傷んだままだから、それはそう悪い状況じゃ無いわ”
”そんな軽口が叩けるのなら大丈夫ね。で、実際の処どう?”
「うむ。ギガントへの負担が軽くなった代わりに、蛇腹に力が掛け難いな」
”でも蛇腹もまだ傷んだままだから、それはそう悪い状況じゃ無いわ”
・・・む? 外見は補修済みに見えるギガントだが、蛇腹はそのままと言うのか?
そう。よくよく観察すると、全身の装甲こそ青光りした新品なのだが、最大の動力たる蛇腹部分は薄く汚れが残り、交換されて居ない。
そう。よくよく観察すると、全身の装甲こそ青光りした新品なのだが、最大の動力たる蛇腹部分は薄く汚れが残り、交換されて居ない。
「そういえば、昨夜ワシが交戦した位置に単機で向かっている敵が居るそうだな?」
”えぇ。アマド姉弟は軍事基地の守りがあるから、初代新兵トリオに向かって貰ってるわ”
”えぇ。アマド姉弟は軍事基地の守りがあるから、初代新兵トリオに向かって貰ってるわ”
移動しながらそう会話してる間に、空戦羅甲の編隊が迫って来た。ギガントは空中の敵に一体、どう対応するつもりなのか。
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~ マドモワゼル平原 クレーター跡 ~
一方、こちらはギガントの現在位置からは離れている昨夜の戦場跡。
初代新兵’sの改造修斗3機が、未確認機の行動を確かめる為に向かっていた。
初代新兵’sの改造修斗3機が、未確認機の行動を確かめる為に向かっていた。
「クククッ、単機で来るとは余程のバカか? それとも俺達をものともしない自信があるのか?・・・実に興味深い」
「ウォォ~ン! どっちだろうが、俺の『絶・天狼抜刀牙』で仕留めてやるぜっ!」
「何にせよ、敵の目的を見極めるのが第一ですね。空戦部隊と連動してる様子も無いですし」
「ウォォ~ン! どっちだろうが、俺の『絶・天狼抜刀牙』で仕留めてやるぜっ!」
「何にせよ、敵の目的を見極めるのが第一ですね。空戦部隊と連動してる様子も無いですし」
現場到着・・・が、彼ら3人はそこで妙な光景を目にする事となる。
そこに居たのは赤銅色のずんぐりした機体。足元からゲル状の金属を放射状に流出させ、クレーター周囲の地面に浸透させている。
その赤銅色の機体は、チラッと3機の方を見ただけで後は気にもせず作業を続行。すると少し離れた地面で数ヶ所、爆発が生じる。
そこに居たのは赤銅色のずんぐりした機体。足元からゲル状の金属を放射状に流出させ、クレーター周囲の地面に浸透させている。
その赤銅色の機体は、チラッと3機の方を見ただけで後は気にもせず作業を続行。すると少し離れた地面で数ヶ所、爆発が生じる。
「俺達を気にも留めずに何やら作業しているな。ククク・・・狂気の沙汰ほど面白い」
「ウォ~ンッ! 舐めやがって! ズラ、仕掛けるか?」
「いえ、ちょっとあの行動の目的を確認してみましょう」
「ウォ~ンッ! 舐めやがって! ズラ、仕掛けるか?」
「いえ、ちょっとあの行動の目的を確認してみましょう」
そう言うと、ズラナンデス機が両手で口元にメガホンを作って赤銅色の機体に呼び掛ける。
「 あ ー 、 そ こ の 不 審 機 。 所 属 と 目 的 を 答 え な さ い 」
おいおい。いくら何でもそんな問いに応える程、相手はお人よしなのか? とアゴナガーイ機と鎌瀬機が思わず顔を見合わせる。
しかし赤銅色の機体はズラナンデス機に向かって、生真面目に返答する。
しかし赤銅色の機体はズラナンデス機に向かって、生真面目に返答する。
「あ、はい。自分はアムステラ軍、影狼隊所属です。昨夜仕掛けた地雷の撤去に伺いました」
・・・どうやら、相当のお人よしだった様だ。
「ここで馬鹿正直に答えるか・・・クククッ、アムステラ連中の様々な反応を見てると、興味が尽きんな」
「アゴ、おめーの興味はどうでも良いが、どうするよアレ?」
「どうしましょうかね? 地雷を撤去してるだけなら無理に仕掛ける必要も無さそうですがね」
「アゴ、おめーの興味はどうでも良いが、どうするよアレ?」
「どうしましょうかね? 地雷を撤去してるだけなら無理に仕掛ける必要も無さそうですがね」
と、先の返答で気の抜けた3人が会話してると、赤銅色の機体 ─ 水鋼獣 ─ が呼び掛ける。
「そろそろ作業も終わりますので、交戦するならお受けしますよ? 自分は別に、どちらでも構いませんが」
「・・・だ、そうだ。やるか? ズラ、アゴ」
「このまま帰れば楽はできるが、だが仮にも国防軍が何もせずに帰るのは体裁が悪いからな・・・」
「そうですね。戦力分析の意味もありますし、一つ交戦してみますか」
「このまま帰れば楽はできるが、だが仮にも国防軍が何もせずに帰るのは体裁が悪いからな・・・」
「そうですね。戦力分析の意味もありますし、一つ交戦してみますか」
古参新兵’sが交戦の意志を固めた処で、再びギガントvs空戦羅甲部隊の視点に戻ろう。
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~ アムステラ基地・アフリカ大陸南部支部 司令室 ~
「 ア イ エ エ エ ー ッ !! ギ ガ ン ト !! ギ ガ ン ト ナ ン デ !?! 」
空戦羅甲から中継された映像を見た司令官・ボギヂオ・クラケット大佐が、遠目には新品同様のギガントの雄姿を確認して狂乱していた。
「いや、妙だな。受けた報告と記録映像から判断するに、あの短時間にここまで修復出来るとは思えないのだが」
「ふむ。今の映像を拡大してくれ・・・やはりな。ボギヂオ大佐、ギガントはまだ手負いだ。あれは外見を取り繕ったにすぎん」
「ふむ。今の映像を拡大してくれ・・・やはりな。ボギヂオ大佐、ギガントはまだ手負いだ。あれは外見を取り繕ったにすぎん」
狂乱して喚き叫ぶボギヂオを宥めたのは、隣に居たバトゥロと影狼隊隊長。
「しかし君らが相当のダメージを与えたとはいえ、あれでは損害の程度が読めないな」
「何、ギガントが戦闘行動を取れば少しは読めるだろう。ただ・・・申し訳無い、ボギヂオ大佐。退却も選択肢に入れた方が良さそうだ」
「あ、うん。そこは君達に任せるよ。本当に手負いなら、チャマ君も行ってるから倒せるかもだけどねぇ~」
「いや。過度に期待はしない方が良い。我々も手合わせして判ったが、奴の戦闘力と判断力は尋常なものでは無かった」
「何、ギガントが戦闘行動を取れば少しは読めるだろう。ただ・・・申し訳無い、ボギヂオ大佐。退却も選択肢に入れた方が良さそうだ」
「あ、うん。そこは君達に任せるよ。本当に手負いなら、チャマ君も行ってるから倒せるかもだけどねぇ~」
「いや。過度に期待はしない方が良い。我々も手合わせして判ったが、奴の戦闘力と判断力は尋常なものでは無かった」
普段は能天気なまでに強気なボギヂオも、以前総力戦でフルボッコを喰らった苦い経験もあって、今回は大人しく様子見モードである。
禍風との交戦による戦果もボギヂオの手柄に数えて良いと言われ、無理にここで決着を付ける必要が無いというのも大きいが。
禍風との交戦による戦果もボギヂオの手柄に数えて良いと言われ、無理にここで決着を付ける必要が無いというのも大きいが。
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~ マドモワゼル平原 ギガント交戦中 ~
ギガントの肩から空戦羅甲の編隊を見上げ、百文字が吼える。
「 こ の 度 は 特 別 だ っ ! ま ず は 軽 く 跳 躍 す る の だ 、 ギ ガ ン ト ッ !! 」
その指令に応じたギガントが軽くジャンプして地を踏みしめ、膝を曲げて屈伸しつつ溜めを作る。
「 『 踏 切 跳 躍 後 超 跳 躍 故 似 天 空 (ホッピング・ズゥーム・スプリンガー) ッ !! 』 」
背を弓の様に反らして跳躍したギガントが、振りかぶった腕を叩き下ろす様にして、空戦羅甲の頭に向かって平手を叩き込む!!
ソ” ー” レ” ッ” !!! ( ガ コ ォ ッ !!! )
バレーボールのスパイクの如き一撃を頭部に受けた空戦羅甲は、痛烈に地面に叩き付けられて爆発する。
動揺した空戦羅甲の編隊が散開しようとするが・・・
ハ” ァ” ー” イ” ッ” !!! ( メ キ ィ ッ !!! )
・・・着地したギガントのクイックサーブの方が速かった。2機目の空戦羅甲が急角度で墜落、大地とキスをする。
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~ アムステラ基地・アフリカ大陸南部支部 司令室 ~
「速い・・・いや、余りにも身軽すぎる。あれは『超鋼鉄』を纏ったギガントに出来る動きでは無いぞ!」
「・・・もしや、纏って無いのでは無いか?」「何っ?!」
「・・・もしや、纏って無いのでは無いか?」「何っ?!」
ギガントの軽快な動きに驚いていたバトゥロは、横でぽつりと呟いた影狼隊隊長の言葉を聞き咎める。
そして自らが知るギガントの動きと目の前のギガントを見比べて、おぼろに感じていた違和感の原因を突きとめた。
そして自らが知るギガントの動きと目の前のギガントを見比べて、おぼろに感じていた違和感の原因を突きとめた。
「うむ、それが正解の様だ。『超鋼鉄』の重量が無い分、『鋼鉄蛇腹』を縮めるのに予備動作(小跳躍)を要している」
「どうやら、攻撃に利用している前腕部以外は『張りぼて』だな。見てくれ、粉砕された羅甲の小破片がギガントの装甲に刺さっている」
「どうやら、攻撃に利用している前腕部以外は『張りぼて』だな。見てくれ、粉砕された羅甲の小破片がギガントの装甲に刺さっている」
それを聞いて、墜落する空戦羅甲を見て泡を吹いていたボギヂオが途端に元気を取り戻し、通信回線マイクに向かって檄を飛ばす。
「チャマ君、聞こえてる? ギガントの装甲は『張りぼて』だってさ!」
「君の『暴顛贅・弐式(アバレテンゼイ・ニシキ)』で、ギガントをバラバラに喰い千切っちゃってよ!」
「君の『暴顛贅・弐式(アバレテンゼイ・ニシキ)』で、ギガントをバラバラに喰い千切っちゃってよ!」
”へけけ! ギガントを挽肉ッパにして、ぼっくんの汚名を挽回して見せるぶぁい!!”
「その意気だよ、チャマ君!!」
装甲の無いギガントならば、同等の性能を持つ暴顛贅で倒せると一気にテンションを上げるボギヂオとチャマ・クラケット。
しかしバトゥロと影狼隊長は、その会話を冷めた表情で聞き流していた。
しかしバトゥロと影狼隊長は、その会話を冷めた表情で聞き流していた。
「空戦羅甲部隊の諸君、危険だから早急に撤退したまえ」「(ボソッ)汚名は挽回するものでは無かろうに」
さて。同じ位のタイミングで始まった、小規模な闘いの展開に目を向けると・・・
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~ マドモワゼル平原 クレーター跡 ~
「 マ イ ズ ラ ッ ガ ー ! ヘ ア ー ッ !! 」
ズラナンデス機が両掌を頭部に当てて振り下ろすと、頭部装甲がフリスビーの如く旋回しながら水鋼獣へ向かって真っ直ぐ飛ぶ。
「 ・・・ か、 ら、 の ! 七 三 分 け ア タ ッ ク !! 」
その言葉と共に、旋回する頭部装甲が七三分けでは無くセンターで分離し、2つの半円刃と化して左右から水鋼獣を襲う。
達人ならいざ知らず、初見だとまず戸惑うであろう意表を突いた攻撃。普通ならば思わずこの攻撃を避けようと回避行動を取る。
その隙に鎌瀬とアゴナガーイの連携攻撃が炸裂するのだが・・・水鋼獣は避けなかった。
その隙に鎌瀬とアゴナガーイの連携攻撃が炸裂するのだが・・・水鋼獣は避けなかった。
ボ ス ッ ! ボ ス ッ !
水鋼獣の両肩に半円刃が刺さる。が、意にも介さず水鋼獣はゆったりと歩を進め、半円刃はポロリと地に落ちる。
「 ウ オ ォ ォ ー ン ッ !! 絶 ・ 天 狼 抜 刀 牙 ー っ !! 」
鎌瀬機が全身ブーメランと化し、空中から旋回しつつ水鋼獣を襲う・・・が。
バ ス ン ッ !! グ ジ ュ ウ ッ !!
鎌瀬機の回転する両肘が水鋼獣の胴体を構成する流体金属にめり込み、そのまま身動き取れない状態と化す。
「 ・・・ む む っ !! 」 ザ ギ ギ ギ ギ ギ ッ !!
続いて死角からの跳び膝蹴りを狙って跳躍したアゴナガーイ機であったが、鎌瀬機が流体金属に捕らわれたのを見て蹴りをキャンセル。
修斗の顎がパイルバンカーの様に伸びると同時に、その『狂気のアゴ』が大地に突き刺さり、跳び蹴りの動きを空中で押し留める。
修斗の顎がパイルバンカーの様に伸びると同時に、その『狂気のアゴ』が大地に突き刺さり、跳び蹴りの動きを空中で押し留める。
ガ ギ ッ !! ( ズ バ バ ッ !! )
アゴブレーキを掛けたアゴナガーイ機はそのまま着地。そして大地に刺さった『狂気のアゴ』を振り上げる!
それと共に眼潰しの如く土くれが飛び、水鋼獣にバラバラと浴びせられる。
それと共に眼潰しの如く土くれが飛び、水鋼獣にバラバラと浴びせられる。
無論、こんな土くれによるダメージなぞ皆無。しかし水鋼獣の気を逸らし、鎌瀬機が流体金属の拘束を振り解いて逃げる隙は出来た。
「助かったぜ、アゴ!」「しかしこいつへの有効打が全く無いな」「さて、どうしたものですかね」
「んー、こちらは現時点での戦力分析は出来ましたし、ギガントが怖いのでそろそろ引き上げます」
「んー、こちらは現時点での戦力分析は出来ましたし、ギガントが怖いのでそろそろ引き上げます」
そう言うと、くるりと背を向けて無造作に去って行く水鋼獣。
思わず顔を見合わせた3名だが、冷静に考えれば追撃しても勝ち目は皆無と判断して、こちらも基地防衛の為に帰還した。
思わず顔を見合わせた3名だが、冷静に考えれば追撃しても勝ち目は皆無と判断して、こちらも基地防衛の為に帰還した。
さて、ギガントの対戦に話を戻すが。そろそろ修理内容の種明かしをするとしよう。
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とはいえ、賢明なる読者諸君には既に答えが判って居るのでは無かろうか?
そう、『超鋼鉄』製の装甲を『破防鋼』製の装甲に換装しただけである。
そう、『超鋼鉄』製の装甲を『破防鋼』製の装甲に換装しただけである。
『破防鋼』とは、インドのライブ・ハーゼン博士が開発した、繊維状の軽金属を束ねて作った鋼材である。
製造費が安く、製造工程も短く、軽量で加工も容易というのが売りである。
製造費が安く、製造工程も短く、軽量で加工も容易というのが売りである。
PG隊のピンクガネーシャ(PG)やピンクナーガにも採用されている優れ物の素材だが、但し用途は決して『軍用』では無い。
つまり、装甲に用いるには脆過ぎる素材なのである。
つまり、装甲に用いるには脆過ぎる素材なのである。
品揃えに関しては、レゼルヴェ国が新兵募集を行っていた際に、インドから仕入れていたのが幸いした。(SS作品『ウルトラマサイ』参照)
『破防鋼』に関しては、製造機械が大型であるという難点もあるのだが、レゼルヴェ国ならば広大な土地を確保する難度は低い。
『破防鋼』に関しては、製造機械が大型であるという難点もあるのだが、レゼルヴェ国ならば広大な土地を確保する難度は低い。
そしてギガント本来の部品製造工場の位置を極秘にする観点からも、無駄にでかくて他の施設も隠せる破防鋼工場を建てる利点は大きく、
戦時中という事情も加味しても、急ピッチで工場は建てられて居たのである。
戦時中という事情も加味しても、急ピッチで工場は建てられて居たのである。
しかし『破防鋼』の装甲。外面だけを誤魔化す分には良いが、はっきり言って実情は『張りぼて』である。
防御力を例えると。『超鋼鉄』が西洋騎士のフルプレート(甲冑)だとすれば、『破防鋼』はダンボールでしかない。
防御力を例えると。『超鋼鉄』が西洋騎士のフルプレート(甲冑)だとすれば、『破防鋼』はダンボールでしかない。
無論、そんな代物で百文字が得意とするプロレス殺法の根幹、『耐撃』を試みるのは自殺行為である。
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~ マドモワゼル平原 ギガント28号vs暴顛贅・弐式 ~
ギガントは蜘蛛の子を散らす様に逃げていく空戦羅甲の編隊を見送って居たが、おもむろに平原の一角へと顔を向ける。
その方向から迫って来るのは、ギガント28号に匹敵するサイズの四足獣型操兵。『暴顛贅・弐式』である。
その方向から迫って来るのは、ギガント28号に匹敵するサイズの四足獣型操兵。『暴顛贅・弐式』である。
「 お は よ ウ サ サ ! ぼ っ く ん は 『 チ ャ マ ・ ク ラ ケ ッ ト 』 ぶ ぁ い !! 」
「 今 か ら 恐 ろ シ ッ コ な 目 に 遭 わ セ ッ ク ル か ら 、 覚 悟 す る ぶ ぁ ー い !! 」
騒々しいチャマの名乗りに対し、百文字は冷やかに返答する。
「覚悟が要るのはヌシの方だ。ワシと対等に闘いたいならば、せめて幼稚園を卒業してから来るのだな」
「 へ ぽ ー ん ! 真 珠 ら れ な ー い !! ガ ち ん こ 勝 負 で ピ ー ピ ー と 泣 か せ チ ャ ン コ !! 」
「 つ い で に 兄 ち ゃ ん の 仇 討 ち ゃ ん ナ ン ち ゃ ん で 、 ぼ っ く ん イ ケ メ ン ぶ ぁ ー い !! 」
「 つ い で に 兄 ち ゃ ん の 仇 討 ち ゃ ん ナ ン ち ゃ ん で 、 ぼ っ く ん イ ケ メ ン ぶ ぁ ー い !! 」
「・・・吠えるだけなら帰るぞ。弱い犬は良く吠えると言うが、ヌシもその口か」
「 ッ !! ・・・ 一 気 に 噛 み ち ぎ っ て 、 さ い な ら っ き ょ し て や る ぶ ぁ い !! 」
( バ グ ア ッ ッ !! ) バ ゥ オ ォ ォ ー ン ッ !! … ガ ボ ッ !! ガ ギ イ ッ ッ ン ッ !!!
大口を開いて牙を剥き出しにした暴顛贅・弐式。縮めた全身の鋼鉄蛇腹を一気に解放し、砲弾の如くギガント目掛けて飛び込んだ!!
大型機による小細工無しの速攻。単純かつ効果的な攻撃だ。性格と口調は別として、チャマもビビアン同様優秀なパイロットではあった。
大型機による小細工無しの速攻。単純かつ効果的な攻撃だ。性格と口調は別として、チャマもビビアン同様優秀なパイロットではあった。
しかし百文字は冷静に、ギガントへ一連の動作を指令していた。
ギガントの左腕は張り手の状態で暴顛贅の開いた口中に突っ込まれ、喉首で広げたその掌は、暴顛贅が口を閉じるのを瞬時邪魔している。
右腕は暴顛贅の左前足首を横から掴み、流れる様に右前足首も一緒に握り込む。
ギガントの左腕は張り手の状態で暴顛贅の開いた口中に突っ込まれ、喉首で広げたその掌は、暴顛贅が口を閉じるのを瞬時邪魔している。
右腕は暴顛贅の左前足首を横から掴み、流れる様に右前足首も一緒に握り込む。
そのまま反時計回りに身体を旋回させ、暴顛贅の突進威力をギガントを軸とした回転運動へと転化させる。
フ ォ ン … フ ォ ン …
「 レ ス ラ ー へ の 賛 歌 そ の 8 ・・・ 28 ・・・ い や っ ! こ の 度 は 特 別 だ っ ! 」
ブ ォ ン …! ブ ォ ン …!
「 ワ シ は 『 ア ジ ア の 鉄 人 』 と 呼 ば れ し 男 達 に 、 こ の 『 ア ス リ ー ト へ の 賛 歌 』 を 捧 ぐ っ !! 」
ヴ ォ ン …!! ヴ ォ ン …!!
ム” ロ” フ” シ” ッ” !!! ( ブ オ ォ ォ ン ッ !!! )
地を薙ぐ様な回転の勢いを充分乗せて、暴顛贅・弐式を上方45度に向かって投擲したっ!!
ハンマー投げのハンマーじみて投げられた暴顛贅・弐式は、尻からぐんぐんと上昇して距離を伸ばしてゆく。新記録だ!!
ハンマー投げのハンマーじみて投げられた暴顛贅・弐式は、尻からぐんぐんと上昇して距離を伸ばしてゆく。新記録だ!!
正直な話、この状況のままではチャマ・クロケットの戦死確定なのだが。本人は既に気絶してるのが救いといえば救いか?
だが、遠方より高速で飛来した機体が、暴顛贅・弐式の下方へ潜り込んで追走する!
だが、遠方より高速で飛来した機体が、暴顛贅・弐式の下方へ潜り込んで追走する!
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~ アムステラ基地・アフリカ大陸南部支部 司令室 ~
「チャ、チャマ君も負けた…(ブクブクブク)」
暴顛贅・弐式が巨大ハンマー投げの刑に処せられたのを見て、ボギヂオ大佐は泡を吹いて気絶した。
その脇で冷静に状況を観ていたバトゥロと影長だが、新たに遠方から現れた機体に気付いたバトゥロが怪訝な声を上げる。
その脇で冷静に状況を観ていたバトゥロと影長だが、新たに遠方から現れた機体に気付いたバトゥロが怪訝な声を上げる。
「・・・おやっ? あの機体はもしや貴殿の…」「その通り。禍風だ」
そう。昨夜ギガントと交戦した時の損傷は頭部と左腕。だが、共通パーツを多用した『斬空』系列では修理が容易な損傷であった。
断ち切られた関節部のパーツを換装し、予備の頭と腕を取り付ければ良いのだから。
断ち切られた関節部のパーツを換装し、予備の頭と腕を取り付ければ良いのだから。
その、斬空一式『凶風』の頭部と左腕を装備した、斬空一式・改『禍風』が暴顛贅・弐式の下腹に入り込み、重力制御装置作動!
暴顛贅・弐式の飛翔速度が低下し、質量を軽減されたその図体がズシリと禍風の上に圧し掛かる。
暴顛贅・弐式の飛翔速度が低下し、質量を軽減されたその図体がズシリと禍風の上に圧し掛かる。
「くそがぁ・・・こんなクソ重い代物を運ぶのはきっついんだぜ・・・」
暴顛贅・弐式を載せた禍風が、よたよたと遠ざかって行く。ギガントもそれを見送り、戦闘終了と判断して帰還した。
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~ アムステラ基地・アフリカ大陸南部支部 基地内執務室 ~
「何か大変だったみたいねー。・・・それで? レッドスーツの大佐とかどーしてんの?」
「戻って来たチャマ君共々、今は医療室で療養中だ。ジョーゲン補佐官が様子を見てるから大丈夫だろう」
「戻って来たチャマ君共々、今は医療室で療養中だ。ジョーゲン補佐官が様子を見てるから大丈夫だろう」
客分としてすっかり寛いでるグーチェが、イリコをポリポリ齧りながらバトゥロに今回の顛末を聞いて居た。
リノアはリノアで、今までに獲得した戦闘データを視聴しつつ影狼隊隊長に告げる。
リノアはリノアで、今までに獲得した戦闘データを視聴しつつ影狼隊隊長に告げる。
「そうそう、さっきトワイス大佐がこの基地に戻られたから。例の件はいつでも良いってよ」
「有難い。それでは15時頃にでもやろうか。互いに少々休憩を入れた後の方が良かろうしな」
「有難い。それでは15時頃にでもやろうか。互いに少々休憩を入れた後の方が良かろうしな」
「・・・っと。そういやアンタ、快王との操兵勝負。妖爪鬼で挑むつもりかい?」
そこで快王相手の闘い(無理ゲー)をどう挑むつもりなのかと、興味津々のグーチェが影長に尋ねる。
「あぁ? いや。快王には12年前の御前試合と同じく、ロイヤル羅甲にスターシルバーの大剣装備でお願いするつもりだ」
「そして私は、緋縅(ヒオドシ)で挑ませて貰おう」
「そして私は、緋縅(ヒオドシ)で挑ませて貰おう」
自らの乗機・妖爪鬼では無く、あえてこの緋縅(ヒオドシ)を選んだのには、どういう理由があるのだろうか?
それは、試合が始まったら明らかになるであろう・・・。
それは、試合が始まったら明らかになるであろう・・・。