影狼隊徒然記【潜みし毒蛇】
~ 4年ほど前。外宇宙・とある惑星にて ~
ここは荒野である。都市や郊外の町村からも離れた僻地である。
そして、普段は動くモノを見る事すら珍しいこの荒野を駆ける人影・・・いや、巨大人型ロボットの集団が居た。
そして、普段は動くモノを見る事すら珍しいこの荒野を駆ける人影・・・いや、巨大人型ロボットの集団が居た。
どうやら集団の外周に居る機体群が、数機の機体をこの荒野に追い込んだ模様である。その外周を囲む機体には、いずれも特徴的な紋章が描かれて居る。
その紋章が表すのは、彼らが外銀河全域を支配する超巨大宗教国家『アムステラ神聖帝国』に所属する『操兵』だという事である。
その紋章が表すのは、彼らが外銀河全域を支配する超巨大宗教国家『アムステラ神聖帝国』に所属する『操兵』だという事である。
「もう投降したまえ。今更、逃げられはせんだろう?」
「逃げる? 冗談ではない! ここで貴様らを倒し! この惑星(ほし)の支配権を再び我らの手に取り返す!」
「往生際ぐらい潔くしてはどうだ? ・・・そうか。では、死なずとも馬鹿が治る事を祈ってやろう。封五式!」
「逃げる? 冗談ではない! ここで貴様らを倒し! この惑星(ほし)の支配権を再び我らの手に取り返す!」
「往生際ぐらい潔くしてはどうだ? ・・・そうか。では、死なずとも馬鹿が治る事を祈ってやろう。封五式!」
アムステラの紋章を付けた黒い操兵群が、中央に居る数機を遠巻きに包囲する。
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アムステラで代表的な操兵は『羅甲』である。だが無論、それだけが全てでは無い。一騎当千の性能を誇るワンオフの機体から、戦場に応じた局地戦向きの操兵など
様々な種類がある。
様々な種類がある。
そしてこの黒い操兵達は『影狼』。特殊部隊仕様の機体で、機動力こそあるが火力や装甲に関しては羅甲と比べても見劣りする性能。
対して、彼らが包囲している機体はこの惑星独自の機体。比較データが少ないので何とも言えないが、スペックだけを見れば羅甲を超える。
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「馬鹿は貴様らだ! 我らの機体、操兵の3機や4機如きモノともせぬわっ! ここまで誘導すれば増援を気にせず思う存分倒せるというものよ!!」
「ほぉ・・・そうか。双牙連殺!」
「双牙四式!」「殺っ!」「双牙二式!」「縛っ!」「双牙八式!」「殺っ!」
「ほぉ・・・そうか。双牙連殺!」
「双牙四式!」「殺っ!」「双牙二式!」「縛っ!」「双牙八式!」「殺っ!」
2機ずつ組になった影狼が包囲網から分離し、各々一機の敵とすれ違う。
一機は左右に分かれた影狼のどちらを銃で狙おうかを迷った瞬間、胸元と腰に伸縮性電磁棍・蛇身棍による電磁ショックの痛打を同時に受けて機能停止。
一機は右の影狼に近接攻撃を仕掛けるも、その顔面と背後から帯磁微細鉄粉・鉄砂塵をしたたかに浴びて、駆動部とセンサー周りに重篤なダメージを受け機能停止。
一機は左の影狼を銃で狙うも、屈んだ影狼に向けて銃口を下げた隙に鉄砂塵を浴び、怯んだ所を蛇身棍で脚を薙ぎ払われて転倒。追い討ちで機能停止。
「なぁっ? 馬鹿なっ!!」「幻十三式・・・殺っ!」
影狼が瞬時に再構成した包囲網を縮め、その半数が包囲した機体の腹部へ向かって蛇身棍で突きを繰り出す。
この猛攻、かろうじて盾で受け流した者も居れば、直撃で機体に強い電磁ショックを受けた者も居る。
間髪入れず、残る半数の影狼が振り下ろす電磁棍の一撃。ほとんどの機体は反応しきれず電磁ショックの痛打を受け、止めの一撃で機能を停止させられる。
この猛攻、かろうじて盾で受け流した者も居れば、直撃で機体に強い電磁ショックを受けた者も居る。
間髪入れず、残る半数の影狼が振り下ろす電磁棍の一撃。ほとんどの機体は反応しきれず電磁ショックの痛打を受け、止めの一撃で機能を停止させられる。
「馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿なぁ!! ワシの野望はこんな処で終わりはせぬぞっ!!」
だが、影狼の猛攻を仲間を壁にして防ぎ、それを突き飛ばしつつ単機で逃走するリーダー機。
「ワシが、ワシさえこの窮地を脱すれば! 後で幾らでも再興の道は拓けるっ!!」
前方にある岩山を目印として、必死に逃走を続けるリーダー機。
カ ッ !!
「ぬあっ??」突然、リーダー機の眼前で閃光が弾ける。
バ ス ッ ! バ ス ッ ! バ ス ッ ! バ ス ッ !
瞬時、動きが止まったリーダー機の関節部を前後からの射撃が貫き、リーダー機は行動不能となる。
「・・・足止めをフラッシュボム一発で済ますか。随分と効率的だな、バイパー・セグ」
「この程度の相手なら、これで充分ですよ『隊長』」
「この程度の相手なら、これで充分ですよ『隊長』」
ハンドレールガンを仕舞いつつリーダー機に近寄る影狼。その先、岩山の一部かと思われた奇岩が動き出す・・・いや、『奇岩』では無い。
それは『スニーキング羅甲』であった。特殊部隊用に開発された影狼の前身機であり、全身を平面で構成した角ばったデザインが特徴である。
こちらもたった今狙撃したばかりの銃を仕舞いつつ、潜伏状態を解除した。
それは『スニーキング羅甲』であった。特殊部隊用に開発された影狼の前身機であり、全身を平面で構成した角ばったデザインが特徴である。
こちらもたった今狙撃したばかりの銃を仕舞いつつ、潜伏状態を解除した。
「それじゃあ今回の任務も終わった様ですし、俺は設置した爆弾を回収してから帰ります」
「ご苦労だった。ならば一応、シャッコーを残しておこう。我々はこの連中を連行して帰る」
「了解」
「ご苦労だった。ならば一応、シャッコーを残しておこう。我々はこの連中を連行して帰る」
「了解」
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~ 影狼隊について ~
『影狼隊』とは、『アムステラ神聖帝国』に所属する特殊部隊の一つで、操兵を用いた工作活動や上記の様な小規模な対操兵戦闘などを行う部隊である。
とは言え、操兵という要素と規模の大きさに伴う多様性もあり、実は『~隊』と呼ばれる遊撃部隊に関しては意外と数が多い。
地球に出向いている部隊を軽く挙げただけでも『レンヤ隊』、『ステラ隊』、『カスム隊』、『アクート隊』などの、高性能な操兵を抱えた小規模部隊が多々ある。
(実際、まだいくつでも挙げられるのだが、挙げているとキリが無いので割愛する)
とは言え、操兵という要素と規模の大きさに伴う多様性もあり、実は『~隊』と呼ばれる遊撃部隊に関しては意外と数が多い。
地球に出向いている部隊を軽く挙げただけでも『レンヤ隊』、『ステラ隊』、『カスム隊』、『アクート隊』などの、高性能な操兵を抱えた小規模部隊が多々ある。
(実際、まだいくつでも挙げられるのだが、挙げているとキリが無いので割愛する)
その中でも影狼隊は小規模遊撃隊と一線を画した正規のアムステラ軍属ではあるが、特殊部隊だという事もあって謎も多い。
その筆頭が影狼隊を率いる『影狼隊隊長』であり、彼が本名を名乗るのを聞いた者は未だ居ない。
その筆頭が影狼隊を率いる『影狼隊隊長』であり、彼が本名を名乗るのを聞いた者は未だ居ない。
一説には「自分が死んでも『隊長』は引継がれる」からだとも言われているが、推定20代前半から隊長職に就いて数年間、彼は『隊長』を勤め続けている。
また、影狼隊に所属する者は多いが、特殊部隊という性質上、表に見えている隊員が全てとは限らない。
影狼乗り達は統制が取れた手練が多いのは見て取れるが、活動内容の関係もあり彼らが外部の者と交流する事は余り無い。
影狼乗り達は統制が取れた手練が多いのは見て取れるが、活動内容の関係もあり彼らが外部の者と交流する事は余り無い。
よって影狼以外の機体に乗る、元は別部隊に所属していた面々が他部隊との窓口になっている事が多い。
その代表格がバドス(32歳)。空軍出身で特殊戦仕様の空戦機・斬空のテストパイロットとして影狼隊に所属した古株。
軍属とは思えぬ程の自堕落ぶりを見せるが、『隊長』の活動にもかなりの部分で関わってる模様。
軍属とは思えぬ程の自堕落ぶりを見せるが、『隊長』の活動にもかなりの部分で関わってる模様。
戦闘工兵出身のバイパー(30歳)。爆発物の扱いに長けた彼は、直接戦闘では無く支援的な任務をこなす燻し銀的な存在。
入隊時に偶然、バイパーという同名の空戦乗りが居たので、出身地の『セグ』を加えて『バイパー・セグ』と呼称していた。
(後に、空戦乗りのバイパーの方は空戦操兵のテスト中の事故で亡くなって居るのだが)
直接戦闘は不得手なので、潜伏活動向けのスニーキング羅甲などの機体を好む。
入隊時に偶然、バイパーという同名の空戦乗りが居たので、出身地の『セグ』を加えて『バイパー・セグ』と呼称していた。
(後に、空戦乗りのバイパーの方は空戦操兵のテスト中の事故で亡くなって居るのだが)
直接戦闘は不得手なので、潜伏活動向けのスニーキング羅甲などの機体を好む。
ルカス(21歳)。地球侵攻の2年ほど前に入隊し、入隊前の経歴は不明。『隊長』は詳細を知っている様だが・・・。
守備戦が得意な彼には『雲殻』や『水鋼獣』などの防御性能が充実した新鋭機を、実戦テストを兼ねて与えられている。
良くも悪くも生真面目過ぎるので、彼の発言は大体額面通りに判断しても大丈夫。
守備戦が得意な彼には『雲殻』や『水鋼獣』などの防御性能が充実した新鋭機を、実戦テストを兼ねて与えられている。
良くも悪くも生真面目過ぎるので、彼の発言は大体額面通りに判断しても大丈夫。
イェン・マイザー(23歳)。空軍出身でバドスの従兄妹。『紅の毒蛾』の異名を持つ空戦のエキスパート。
影狼隊に入隊したのは地球侵攻後なので、特殊部隊に関する知識はやや浅め。
影狼隊に入隊したのは地球侵攻後なので、特殊部隊に関する知識はやや浅め。
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~ そして現在、地球は英国にて ~
「不審機共は8時の方向へ移動中だ! このまま進むなら泥炭地に追い込めるぞ!」
「よし! アースクラッシャーも来るそうだ! 奴らは動きが素早いとはいえ、たった3機! このまま包囲網から逃すな!」
「よし! アースクラッシャーも来るそうだ! 奴らは動きが素早いとはいえ、たった3機! このまま包囲網から逃すな!」
イギリス陸軍基地へ近付いていた怪しい機体。しかし最新式のレーダー設備は彼らのステルス機構を貫き、隠蔽されていた存在を暴露したのである。
即座に機動力と戦闘力を兼ね備えた5型や6型を中心とした追跡部隊が編成され、侵入者達の捕獲に向かった。
即座に機動力と戦闘力を兼ね備えた5型や6型を中心とした追跡部隊が編成され、侵入者達の捕獲に向かった。
「くそっ、素早い奴らだな! さっきから射撃が当たらない!」
「無駄弾を使わずとも、このまま追い込めば先は泥炭地で行き止まりだ! じっくり包囲してやろう!」
「無駄弾を使わずとも、このまま追い込めば先は泥炭地で行き止まりだ! じっくり包囲してやろう!」
闇に溶ける様な黒い機体が3機、地を這うが如き姿勢で滑る様に逃走している。
やや離れた距離から包囲する様に、10数機の汎用型機動マシンがそれを追う。
そしてイギリス軍の上空に到達した機影が一つ。
やや離れた距離から包囲する様に、10数機の汎用型機動マシンがそれを追う。
そしてイギリス軍の上空に到達した機影が一つ。
「ヘルパー、戦場検索機能を使ってくれ」
「はいニャ! …検索結果、ハイノーマル級ニャ。通称の一つは『ハウンド』。『ヘルハウンド』と共に目撃される事が多い機体だニャ!」
「・・・あれで全部か?」
「今、索敵範囲に居るのは『ハウンド』3機だけニャ! 後は友軍だニャ!」
「はいニャ! …検索結果、ハイノーマル級ニャ。通称の一つは『ハウンド』。『ヘルハウンド』と共に目撃される事が多い機体だニャ!」
「・・・あれで全部か?」
「今、索敵範囲に居るのは『ハウンド』3機だけニャ! 後は友軍だニャ!」
戦闘支援人工知能ヘルパーシステム、通称ヘルパー。その報告を聞いたアースクラッシャーのパイロット、ムッターは瞬時に行動を開始した。
グ オ オ オ オ ォ ォ ッ ! !
アースクラッシャーが急降下し、影狼の一機に向けて突撃を掛ける。
狙われた影狼もその襲撃を察知。振り向きざまに右手首から蛇身棍の突きを繰り出した!
そこまではムッターの狙い通り。空中で人型に変形しつつ、伸びる蛇身棍とすれ違う様に脚から突っ込み、そのまま影狼の右腕を掴んで腕挫十字固に移行した。
狙われた影狼もその襲撃を察知。振り向きざまに右手首から蛇身棍の突きを繰り出した!
そこまではムッターの狙い通り。空中で人型に変形しつつ、伸びる蛇身棍とすれ違う様に脚から突っ込み、そのまま影狼の右腕を掴んで腕挫十字固に移行した。
「・・・何っ?」
だが、地に転がったのはアースクラッシャーのみ。正確にはアースクラッシャーと、切り離された影狼の右腕のみ。
腕を切り離した影狼は、バランスを崩しながらも逃走を再開した。
腕を切り離した影狼は、バランスを崩しながらも逃走を再開した。
「チッ、面倒…」「…腕を捨てるニャ!!」「ッ!!」
ヘルパーの緊急警報を聞くと同時に、胸元に抱えた影狼の腕を上空へと放り投げるアースクラッシャー。直後、その腕は爆発。
「何て奴だ・・・だが、おかしいな? 奴ら、事前に地形を確認して無かったのか?」
ムッターが訝しむ間にも、泥炭地を目前にして影狼3機の逃避行が止まる。慎重に包囲網を縮めるイギリス軍。
「ヘルパー、広範囲索敵! 絶対に何かがある筈だ!」
「・・・、・・・上空ニャ!!」「何っ!」
「・・・、・・・上空ニャ!!」「何っ!」
上空を見上げたアースクラッシャーが見たもの。それは、泥炭地に向けて高々度から急降下を仕掛ける操兵であった。
初見のムッター達、地球の面々には判らぬ事だが、その操兵の名は『斬空三式・塵撒(じんてつ)』といった・・・。
初見のムッター達、地球の面々には判らぬ事だが、その操兵の名は『斬空三式・塵撒(じんてつ)』といった・・・。
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~ 斬空について ~
これまでにも何度か登場した事のある、空戦仕様の操兵を指す。
核(コア)となる胴体部分はほぼ共通しているが、腕部、脚部、背面部のパーツを換装する事で用途に応じた機体仕様となる。
核(コア)となる胴体部分はほぼ共通しているが、腕部、脚部、背面部のパーツを換装する事で用途に応じた機体仕様となる。
例えば斬空一式・凶風は偵察機仕様で、甲虫を思わせる太い手足と分厚い翼を持つ。
一式改・禍風は凶風を元にした試作機で、更に手足が肥大化、脚部もロケットブースター化しており、人型を保てぬ四つん這いの体勢である。
一式改・禍風は凶風を元にした試作機で、更に手足が肥大化、脚部もロケットブースター化しており、人型を保てぬ四つん這いの体勢である。
二式・忌影や二式改・黄泉影は空戦仕様。紫艶蝶と同じく機動力と姿勢制御に長けた四枚羽により空中格闘戦のアドバンテージを得ている。
そして今回登場の三式・塵撒は一式系、特に禍風の設計を発展させた、大気圏中で運用する機体。
一式を偵察機、二式を戦闘機だとすれば、三式は爆撃機といった趣であり、機動性こそ低いが強大な火力を誇る。
一式を偵察機、二式を戦闘機だとすれば、三式は爆撃機といった趣であり、機動性こそ低いが強大な火力を誇る。
その戦法は、核熱ジェットをベースとした背部の推進器により禍風に匹敵する加速を叩き出し、一撃離脱の急降下爆撃を加えるもの。
腕部の二連レーザー機関砲は凶風同様、最低限の自衛兵器に過ぎないが、脚部の代わりに本体下部へ取り付けられた大容量ミサイルコンテナの火力は絶大である。
腕部の二連レーザー機関砲は凶風同様、最低限の自衛兵器に過ぎないが、脚部の代わりに本体下部へ取り付けられた大容量ミサイルコンテナの火力は絶大である。
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~ 泥炭地 ~
急降下する塵撒に対し、ムッター達が対処する余裕は既に無かった。泥炭地の軟弱な地面に水滴を落としたが如き波紋が広がる・・・直後。
ド ッ パ ア ア ア ア ァ ァ ァ ン ン ン ! ! !
コンクリ床に水風船をぶつけて叩き割った音を幾万倍にもした様な炸裂音が、周囲の空間を支配する。
そして空が暗くなり、泥の雨が激しく降り注ぐ。
そして空が暗くなり、泥の雨が激しく降り注ぐ。
「こ、これは・・・ヘルパー、索敵は出来るか?」「無理だニャ!」
イギリス軍の面々は、視聴覚を惑わす泥の雨の中で立ち尽くすしか無かった・・・。
「ぐわっ!」「何だっ?」「ぬおっ!」「うわぁっ!」
突然、立ち尽くすイギリス軍の面々が驚愕の声を放つ。いつの間にか彼らの機体の足首関節が破壊されており、バランスを保てずに次々と転倒していったのだ。
「何っ?・・・何だっ??」
その時ムッターは嫌な予感を覚えて、視界もおぼつかぬままアースクラッシャーを軽く跳躍させていた。
そして彼は見た! 泥とは異なる、足元で跳ねた赤銅色の流体と赤い眼を!
そして彼は見た! 泥とは異なる、足元で跳ねた赤銅色の流体と赤い眼を!
しかし赤銅色の流体は、地の泥と泥の雨に紛れて消えてしまった・・・。
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~ イギリス軍基地 ~
ムッターは今回の戦闘について、イギリス軍の戦術情報コンピュータ『マーリン』からの分析結果を聞いていた。
「Sir.本追跡戦ニ於ケル、情報解析ガ終了致シマシタ。良イ知ラセト、悪イ知ラセガ有リマス。ドチラカラ先ニ報告致シマショウカ?」
「・・・良い知らせからにしてくれ」
「Sir.今回ノ偵察行動ニ戦術的意味ハアリマセン」
「・・・ハァッ? じゃあ今回の奴らは何の目的で偵察しに来てたんだ??」
「示威行為デスネ。我々ノ戦力分析、及ビ彼ラノ機体性能ノ誇示デス。最初ニ発見サレタノモ多分、故意ニデショウ」
「・・・良い知らせからにしてくれ」
「Sir.今回ノ偵察行動ニ戦術的意味ハアリマセン」
「・・・ハァッ? じゃあ今回の奴らは何の目的で偵察しに来てたんだ??」
「示威行為デスネ。我々ノ戦力分析、及ビ彼ラノ機体性能ノ誇示デス。最初ニ発見サレタノモ多分、故意ニデショウ」
マーリンの分析結果を聞き、ムッターは最初に感じていた違和感を理解した。
彼らは泥炭地に『追い込まれた』のでは無く、我々を『誘い込んでいた』のだと。
彼らは泥炭地に『追い込まれた』のでは無く、我々を『誘い込んでいた』のだと。
「で、悪い知らせとは?」
「今回ノ5型ヤ6型ノ修理ニハ、通常ヨリモ時間ガ掛カリマス。イズレノ機体モ同部位ヲ破壊サレタ為、交換部品ガ不足気味デス」
「・・・クソッ」
「今回ノ5型ヤ6型ノ修理ニハ、通常ヨリモ時間ガ掛カリマス。イズレノ機体モ同部位ヲ破壊サレタ為、交換部品ガ不足気味デス」
「・・・クソッ」
だが今回の交戦では収穫もあった。『甲虫型(斬空・一式系)』や『毒蛾(忌影)』の系列には爆撃仕様の機体もあるという事。
『マッドクレイ(水鋼獣)』の新たなる能力が判明した事などである。
『マッドクレイ(水鋼獣)』の新たなる能力が判明した事などである。
しかしそれは、彼ら(アムステラ)が故意に流した示威行為の情報でもある。
「・・・つまりアレだ。示威行為に萎縮してこっちに迷いが生じるのを狙ってるな? 忌々しい奴らだ全く」
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~ 同時刻、アムステラ軍基地にて ~
「よー、セグの。塵撒の乗り心地はどうだったよ?」
「予行演習通りに行ったが、少々爆撃範囲がずれたのは不満が残るね」
「えっ、ずれた? でも水鋼獣の計測では誤差は10mもありませんでしたよ、バイパーさん」
「予行演習通りに行ったが、少々爆撃範囲がずれたのは不満が残るね」
「えっ、ずれた? でも水鋼獣の計測では誤差は10mもありませんでしたよ、バイパーさん」
年の頃は30代ほどの長身の男2人と、20代そこそこのがっしりした体格の若者が会話している。
「でもまー、地上組もご苦労なこったな。泥を跳ね上げた後の地面を手探りで逃げてったんだろ?」
「泥の中で離脱したのはこちらも同じだがね。それにしても、塵撒に乗ってつくづく思ったよ。他の空戦機、特に禍風に乗る気はしないね」
「そっかー? 似た様なモンだろ?」
「 全 然 似 て な い ! 」「 似 て ま せ ん ! 」
「泥の中で離脱したのはこちらも同じだがね。それにしても、塵撒に乗ってつくづく思ったよ。他の空戦機、特に禍風に乗る気はしないね」
「そっかー? 似た様なモンだろ?」
「 全 然 似 て な い ! 」「 似 て ま せ ん ! 」