狂った果実
●ボギヂオ・クラケット。
表向きには名将の誉れ高い彼だが、その実態は暗愚の将であった・・・しかし、耐撃の百文字とギガント28号に幾度も敗北を味わされた末に覚醒。
一糸纏わぬ”オール・ヌード・ボギー”と化して部下達”ヌード・ソルジャー”を鼓舞。彼の部隊は鬼気迫る迎撃戦を繰り広げたのであった。
・・・まぁそれでも、結局は撤退を余儀なくされたのだが。流石にこればかりは相手が悪かったとしか言い様が無い。
一糸纏わぬ”オール・ヌード・ボギー”と化して部下達”ヌード・ソルジャー”を鼓舞。彼の部隊は鬼気迫る迎撃戦を繰り広げたのであった。
・・・まぁそれでも、結局は撤退を余儀なくされたのだが。流石にこればかりは相手が悪かったとしか言い様が無い。
●マスク・ド・サンキスト”エキセントリック・マスター・フルーティー”ザボン。
彼は、柑橘類を模した覆面を被った闇のプロレスラー集団”マスク・ド・サンキストの一族”の一員である。
彼の一族は、プロレスによって一族の猛者達を数多く屠った”耐撃の百文字”を怨敵としており、レスラーとしての矜持を胸に打倒・百文字を誓う。
現在はレゼルヴェ国で影の首相となっている百文字を倒す手段を得る為にアムステラ軍へ協力する者も居り、ザボンもその一人である。
彼の一族は、プロレスによって一族の猛者達を数多く屠った”耐撃の百文字”を怨敵としており、レスラーとしての矜持を胸に打倒・百文字を誓う。
現在はレゼルヴェ国で影の首相となっている百文字を倒す手段を得る為にアムステラ軍へ協力する者も居り、ザボンもその一人である。
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~ アフリカ南部某所・アムステラ軍臨時駐屯地 ~
「・・・キィス? 何だかシケた面してやすねぇ、ボギヂオ司令官」
黄土色の柑橘系覆面を被った上半身裸の偉丈夫が、ピンクの長髪を側頭部と頭頂で輪にして結んだ赤い軍服姿の壮年男に声を掛ける。
「あぁ、ザボンくんか。そりゃあね。あの撤退戦でも結構な犠牲を払ったし、これからの事を考えてるとちょっとねぇ・・・」
そう言って溜息を零すボギヂオに対し、ザボンは太い人差し指を向けてこう言い放つ。
「まっ、気持ちは判りますがねぇ。だーが、アンタは司令官でしょうが。苦難に立ち向かう際にどっしり構えて貰ってなきゃ…そうだ!」
発言の途中で何か思い付いたのか。人差し指を伸ばしたまま中指と親指を摺り合わせ、”パチン!”と鳴らすザボン。
「こう、気が沈んでる時にゃあ気分転換が一番ですぜ! 例えば慰労会なんざどうですかぃ?」
それを聞いたボギヂオが愁眉を開く。
「・・・良いね、ソレ。これだけ苦労を掛けてきた皆を労う(ねぎらう)っていうのは良い考えだよ」
「よしっ。善は急げ、だね! 早速、ジョーゲンくんと打ち合わせて来るよ! ハァーッ、シュポシュポッ!」
「よしっ。善は急げ、だね! 早速、ジョーゲンくんと打ち合わせて来るよ! ハァーッ、シュポシュポッ!」
ボギヂオが晴れやかな顔になってスキップしながら駆け去るのを見送りつつ、ザボンは中指も伸ばしてその背に激励のVサインを送る。
「いやぁ、お役に立てた様で良かったですぜ。キィース、キスキス!」
「(いやホントにな。器がデケェというか、何を入れても構わん風呂敷みてぇだというか・・・まぁ上手く回ってくれりゃ、何でも良いがよ)」
「(いやホントにな。器がデケェというか、何を入れても構わん風呂敷みてぇだというか・・・まぁ上手く回ってくれりゃ、何でも良いがよ)」
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~ そして数日後、慰労会会場 ~
大宴会場。平の兵士から士官、傭兵達や雑用係まで、階級や地位の上下に関係無く、ボギヂオ指揮下の一同がテーブルに会する。
そして前方に設けられた壇上、赤い軍服に身を包んだボギヂオがマイクを片手にジョッキを掲げ、音頭を取る。
そして前方に設けられた壇上、赤い軍服に身を包んだボギヂオがマイクを片手にジョッキを掲げ、音頭を取る。
「諸君! 今までご苦労だった! これからも宜しく頼むよ! ハァー、シュポシュポ!」
「今日は君達を労う為の宴会だ。無礼講で行こうじゃあないか! ハァー、シュポポン!」
「今日は君達を労う為の宴会だ。無礼講で行こうじゃあないか! ハァー、シュポポン!」
と、そこでボギヂオの踊りがピタリと止まる。
「・・・でも、その前にさ。少しだけ時間をおくれよ」
そう言いながら一旦ジョッキを壇上に置き、両手でマイクを握る。
「えー、コホンのコホコホ。我々はこれまでにレゼルヴェ国との戦闘で多大なる犠牲を払って来た」
「兵士、傭兵、貴族と様々な者達が犠牲になったけど、今ならば言えるよ。彼らには等しく敬意を払うべきだとね!」
「そこに身分、性別、能力の有無は関係無い。最大級の敬意をもって彼らの健闘を讃え、黄泉路への餞(はなむけ)にしようじゃないか!」
「兵士、傭兵、貴族と様々な者達が犠牲になったけど、今ならば言えるよ。彼らには等しく敬意を払うべきだとね!」
「そこに身分、性別、能力の有無は関係無い。最大級の敬意をもって彼らの健闘を讃え、黄泉路への餞(はなむけ)にしようじゃないか!」
「 さ ぁ 、 皆 さ ん ご 一 緒 に !! 」
大音声を張り上げたボギヂオが身を翻すと同時に赤い軍服が宙を舞い、一糸纏わぬボギヂオが仁王立ちになる。
「 "オ ー ル ・ ヌ ー ド ・ ボ ギ ー" か ら 、 死 者 達 に 餞 を 送 る ッ !! 」
「「「 "コ" "マ" "ネ" "チ" "ッ" !! 」」」
がに股気味の構えから、指先を伸ばした両腕を鼠蹊部に沿わせて突き下ろすポーズを取るボギヂオ。
その構えに追随し、唱和する一同。
その構えに追随し、唱和する一同。
次いで、壇上のジョッキに手を伸ばし、それを掲げるボギヂオ。
「 そ し て 、 生 き 残 っ た 皆 の こ れ か ら の 活 躍 を 祈 念 し て 。 乾 杯 ッ !! 」
「「「 乾 杯 っ !! 」」」
こうして始まった無礼講は、和やかな雰囲気でしばらく続いたのであった。
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~ 慰労会がお開きになった後。マドモアゼル=シエンヌの居室前 ~
慰労会からの帰り。微薫を帯びたザボンがシエンヌの部屋の前に立ち、ドアを慎ましくノックする。
「キィーッス。シエンヌさんよ、居るかね?」
「…俺に何の用だい?」「 キ ィ ス ト !! 」
「…俺に何の用だい?」「 キ ィ ス ト !! 」
突然、背後の虚空から聞こえた声に驚くザボン。
「キィィ~ッス・・・アンタは見えねぇから、慰労会はパスしたのかと思ってたぜ」
「いや、実はこっそり慰労会の場に居たんだけどな。あのボンクラ大佐が隊長達も弔ってくれたのを聞けただけでも満足さ」
「キィス! じゃあ何か。ずっと俺の後ろに居たのか?」
「おいおい。俺が戻ろうとしたら、アンタが先に俺の部屋に向かってただけじゃないか」
「いや、実はこっそり慰労会の場に居たんだけどな。あのボンクラ大佐が隊長達も弔ってくれたのを聞けただけでも満足さ」
「キィス! じゃあ何か。ずっと俺の後ろに居たのか?」
「おいおい。俺が戻ろうとしたら、アンタが先に俺の部屋に向かってただけじゃないか」
その言葉と同時に、シエンヌの居室のドアが開く。
「まぁ立ち話も何だ。何の用事だか知らないけど、入りなよ」
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~ シエンヌの部屋 ~
ザボンは室内の椅子に跨り、背もたれに顎を乗せてベッドの凹み、シエンヌが座ったと思しき方を見やる。
『耐撃の百文字』という言葉に反応したシエンヌに、厳粛な面持ちで肯くザボン。
「しかし、コイツは俺の一族にゃ絶対に語れねぇ話だ。だが、誰かに話したくて堪らねぇ・・・」
「だから百文字と対峙し、かつ他人にベラベラと喋る心配の無い奴・・・つまりアンタに聞き役をお願いしたい訳さ」
「だから百文字と対峙し、かつ他人にベラベラと喋る心配の無い奴・・・つまりアンタに聞き役をお願いしたい訳さ」
ベッドの凹みが軋み、居住まいを正したシエンヌの動きを伝える。
「・・・俺が聞いてアンタの気が済むってんなら、良いぜ。聞かせて貰うさ」
「キィース。まずはどこから話すか・・・そうだな、俺達の一族について少し語らせて貰うぜ」
「キィース。まずはどこから話すか・・・そうだな、俺達の一族について少し語らせて貰うぜ」
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~ サンキストの一族について@ザボン解説 ~
「俺達の一族は裏社会では名の通った格闘家集団でな。こういう柑橘類などの覆面をシンボルとして数多の活躍をしてきた」
「だーが、もう数十年も前になるか。初代のサンキストが闇プロレスで耐撃の百文字に敗北した」
「それ以降、闇プロレスにおいて百文字に葬られたサンキストの人数は、優に十指を超えるな・・・」
「だーが、もう数十年も前になるか。初代のサンキストが闇プロレスで耐撃の百文字に敗北した」
「それ以降、闇プロレスにおいて百文字に葬られたサンキストの人数は、優に十指を超えるな・・・」
椅子に跨ったザボンはここで背を伸ばし、中空を睨む。
「・・・フゥ~ッ。だがコイツはな、死んじまったサンキスト達への復讐の念ってだけじゃ済まねぇ」
「考えてもみな。一族とは言え面識も無ぇ、何十年も前に死んだ縁故の弔い合戦ってだけで、俺達がここまで奴を憎むと思うか?」
「そう。奴は俺達の『格闘家としての矜持』をも粉々に粉砕しやがったのさ」
「奴が勝ち続けてる間は、俺達が只の『かませ犬』にしか見られないって事よ」
「考えてもみな。一族とは言え面識も無ぇ、何十年も前に死んだ縁故の弔い合戦ってだけで、俺達がここまで奴を憎むと思うか?」
「そう。奴は俺達の『格闘家としての矜持』をも粉々に粉砕しやがったのさ」
「奴が勝ち続けてる間は、俺達が只の『かませ犬』にしか見られないって事よ」
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~ ザボンの告白 ~
「・・・、・・・キィーッス。だがな、ある日。俺は気付いちまった」
「もしも百文字がサンキストの覆面をしていたなら。奴の生き様こそが最強無敵のサンキスト一族だってな!」
「もしも百文字がサンキストの覆面をしていたなら。奴の生き様こそが最強無敵のサンキスト一族だってな!」
「そして実際に奴と対峙して痛感した。もはや俺の中に怨恨は無い・・・溢れんばかりの敬意しか感じない」
ここでシエンヌが不機嫌そうな声で、そのザボンの台詞に割り込む。
「・・・何だよオイ。だからもう百文字と闘いたく無いってか?」
「 ハ ア ッ ? 何 で そ う な る ? 」
「…えっ?」
「 ハ ア ッ ? 何 で そ う な る ? 」
「…えっ?」
意外なザボンの反応に、シエンヌは戸惑う。
それを尻目にザボンは立ち上がり、拳を握って力説する。
それを尻目にザボンは立ち上がり、拳を握って力説する。
「キィスト!! 俺の全身全霊を以ってブッコロ死する事こそが、奴に捧げる最大級の敬意だ!!」
「いくらサイボーグ化してるとはいえ、奴の年齢も少し心配だったが。実際に遭ってそれが杞憂だと判った!」
「そしてギガント28号も只の人形じゃ無ぇ。奴の分身とも言える存在だと認識した!」
「いくらサイボーグ化してるとはいえ、奴の年齢も少し心配だったが。実際に遭ってそれが杞憂だと判った!」
「そしてギガント28号も只の人形じゃ無ぇ。奴の分身とも言える存在だと認識した!」
ここまで一気に力説して、ザボンは大きく深呼吸する。
「・・・キィーッス。酔いに任せて話しちまったが、聞いてくれて感謝するぜ」
「それじゃあ、またな」
「それじゃあ、またな」
ザボンは軽く敬礼して、そのままシエンヌの私室から立ち去った。
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~ 私室への帰路 ~
重過ぎる想いをシエンヌに吐露した事で、ザボンは晴れやかな気分になっていた。
「(あー、スッとしたぜ! 流石に一族相手にゃこの想いを言えねぇものな)」
「(だが、待てよ? DF(ドラゴンフルーツ)の奴なら少しは理解してくれたかもしれんな?)」
「(・・・まっ、ココに居ない奴の事を言っても始まらんがね)」
「(だが、待てよ? DF(ドラゴンフルーツ)の奴なら少しは理解してくれたかもしれんな?)」
「(・・・まっ、ココに居ない奴の事を言っても始まらんがね)」