オーデッド隊、西へ! その8(終
~ フランス・技術開発教導団所属の旗艦 ~
サンジェルマンは「リリィがヘルハウンドに負けた原因が分かった」と言ったきり、難しい顔をして黙りこくっている。
「…サンジェルマン卿。リリィは実戦経験こそ少ないが、それを補って余りある才能の持ち主だ」
「一体、彼女に何が足りなかったというのだ?」
「一体、彼女に何が足りなかったというのだ?」
業を煮やして、ベロニカはサンジェルマンを詰問する。
「そうか、そこだよベロニカ君! 我輩が感じていた違和感はまさにそれだったのだ!」
「どう言えば良いか悩んでいたがそうか! 「ない」のでは無い! 「ある」からこそ罠になったのだ!」
「どう言えば良いか悩んでいたがそうか! 「ない」のでは無い! 「ある」からこそ罠になったのだ!」
ベロニカの詰問を受けたサンジェルマンは、一転して喜色満面となる。
「我輩も奴の攻撃を少し見たが、あの動きを見切るのは無理だな。ベロニカ君でもまず、無理だろう」
「だが、リリィ君ならば見切れる…少し違うな。複雑怪奇な動きだが、奴はあの攻撃をリリィ君に「見切らせていた」のだ」
「つまりだ。奴はリリィ君だからこそ引っ掛かる罠を仕掛けて居たのだよ」
「だが、リリィ君ならば見切れる…少し違うな。複雑怪奇な動きだが、奴はあの攻撃をリリィ君に「見切らせていた」のだ」
「つまりだ。奴はリリィ君だからこそ引っ掛かる罠を仕掛けて居たのだよ」
「・・・えぇと? 私が相手の攻撃を読み切ったのが罠、なんですか?」
それを聞いたベロニカとローランは「あと一歩で理解出来そうだ」という感じの思案顔となる。
そしてリリィは頭に疑問符を浮かべ、サンジェルマンに解説の続きを促す。
そしてリリィは頭に疑問符を浮かべ、サンジェルマンに解説の続きを促す。
「そうだ。奴は君の実力を熟知した上で、奴の攻撃を見切る事自体に専念させた」
「それによって奴は、君の動きを完全に「先読み」出来る様になったのだ」
「それによって奴は、君の動きを完全に「先読み」出来る様になったのだ」
「えっ? でもでも、私はあの攻撃を完全に見切ってたんですよ?」
「つまりそれは「攻撃に反応した君がどう動くか」を奴が見切っていたという事を意味する」
「君に仕掛ける攻撃の難易度が高い程、自ずと対応策も絞られる。それで更に動きが読み易くなると言う訳だな」
「君に仕掛ける攻撃の難易度が高い程、自ずと対応策も絞られる。それで更に動きが読み易くなると言う訳だな」
「・・・えぇ~っ」
サンジェルマンの解説に混乱しているリリィの様子を見守りながら、ベロニカとローランは囁き交わしていた。
(「・・・何と言うか、サンジェルマン卿もこれだけ理路整然と戦法の解析が出来るんですね」)
(「いつもの勇猛果敢な様子をお見受けしていると、ローラン大佐の様な解説をされてるのが意外でした」)
(「いつもの勇猛果敢な様子をお見受けしていると、ローラン大佐の様な解説をされてるのが意外でした」)
(「あの男は、あれでも頭脳明晰ですからね。ですがそれが自分自身へは全く反映して無いんです! 全くね!!」)
(「なんせ「理論」とか「効率」を、「格好良さ」や「浪漫」を求めて軽々と打ち捨てる馬鹿ですから、あの男は!!」)
(「なんせ「理論」とか「効率」を、「格好良さ」や「浪漫」を求めて軽々と打ち捨てる馬鹿ですから、あの男は!!」)
一方、オーデッド隊の方では。
基地占領から数日後、快王トワイスがその実力の一端を披露していた。
基地占領から数日後、快王トワイスがその実力の一端を披露していた。
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~ 元フランス軍基地内・シミュレーター空間 ~
双剣を構えた操兵の周りを、四足獣型操兵が遠巻きに回りながら攻撃の機を窺う。
宙に浮く赤茶色の操兵も、純白の双剣操兵を中心とした円弧を空中に描く。
双剣操兵を挟んだ獣操兵と空戦操兵の視線が瞬時、交錯する。次の瞬間!
宙に浮く赤茶色の操兵も、純白の双剣操兵を中心とした円弧を空中に描く。
双剣操兵を挟んだ獣操兵と空戦操兵の視線が瞬時、交錯する。次の瞬間!
ザ ッ !! タ タ ッ ! タ タ ッ ! タ タ ッ ! タ タ ッ !
円弧の軌跡を瞬時に直行突進へと変えて、ゾラの麟牙は軽やかな疾走でトワイスのロイヤル羅甲へと迫る。
(※晶烈華・改は新鋭機なので、現時点ではシミュレーターへ入力するデータが揃っていないのだ)
(※晶烈華・改は新鋭機なので、現時点ではシミュレーターへ入力するデータが揃っていないのだ)
「 参 り ま す ぞ ! 豹 牙 ・ 風 々 拳 !! 」麟牙は突進跳躍から連続爪撃を繰り出そうとした・・・が!
ギ ィ ン ッ !!
ロイヤル羅甲は銀星丸で風々拳の初撃を弾き返し、間髪入れず金星丸で繰り出す横薙ぎの一閃!
しかし麟牙は空中で身体を捻ってその一閃を避け、そのまま地を転がって間合いを取る。
しかし麟牙は空中で身体を捻ってその一閃を避け、そのまま地を転がって間合いを取る。
「 と ぉ あ ぁ ぁ ぁ っ !! 」
その隙を狙ったライゴウの荒光が、ロイヤル羅甲の背後で虚空を蹴り、頭から斜め下方向へと突っ込む。
だが、ロイヤル羅甲を狙うその軌道はいきなり沈み込み、地を這う様な軌跡へと転じる。
だが、ロイヤル羅甲を狙うその軌道はいきなり沈み込み、地を這う様な軌跡へと転じる。
「 受 け て み よ ! 狼 牙 ・ 空 襲 拳 !! 」
荒光は雨燕の如き軌跡を描いて、ロイヤル羅甲の背後から足を刈りに行く。
対するロイヤル羅甲は前方へと大きく跳躍し、空中で身体を半回転させながら着地。荒光と相対する。
左腕の銀星丸は切っ先を下に向け、刃を跳ね上げる構え。右腕は肘を引いて、金星丸で刺突を繰り出す構え。
対するロイヤル羅甲は前方へと大きく跳躍し、空中で身体を半回転させながら着地。荒光と相対する。
左腕の銀星丸は切っ先を下に向け、刃を跳ね上げる構え。右腕は肘を引いて、金星丸で刺突を繰り出す構え。
「 な ら ば ッ !! 空 輪 渦 弾 ッ !! 」
地を這う様な軌道で直行突進していた荒光の動きが、身体を旋回させながらの回転突撃へと変化する。
エンジン式草刈り機の丸鋸の如き回転攻撃。これをただ一度の刺突や斬撃で止めるのは容易では無い。
エンジン式草刈り機の丸鋸の如き回転攻撃。これをただ一度の刺突や斬撃で止めるのは容易では無い。
そして、この攻撃を受けるにせよ避けるにせよ。対応直後の隙を狙って、麟牙が再び風々拳を繰り出して来るのは明らか。
トワイスは瞬時に、その連携を避ける行動を選択し終えていた。
トワイスは瞬時に、その連携を避ける行動を選択し終えていた。
「 と ぉ ぉ ー う っ !! 」
ロイヤル羅甲は胸元で腕を交差させて構え、背のブースターを吹かして急速垂直上昇。
風々拳や空輪渦弾が、いずれも立体機動に対応して居ないのを見越した回避行動である。
風々拳や空輪渦弾が、いずれも立体機動に対応して居ないのを見越した回避行動である。
しかし、麟牙は既に助走を付けて跳躍済み。ロイヤル羅甲の背後斜め下方向から迫っていた。
「・・・何とっ!」
次の瞬間、ゾラは己の眼を疑った。背を向けて居た筈のロイヤル羅甲が、麟牙を真正面から見下ろして居たのだ。
それはさながら、ロイヤル羅甲が振り向くまでの映像が、コマ落ちして失せたかの様な奇妙な感覚。
それはさながら、ロイヤル羅甲が振り向くまでの映像が、コマ落ちして失せたかの様な奇妙な感覚。
こちらを睨むロイヤル羅甲は銀色の剣を構え、迎撃態勢を・・・んっ? 右手は・・・素手??
その瞬間、ゾラは慄然とした。金星丸が何処にあるかが分かったのだ。いや。「分からされた」のだ。
その瞬間、ゾラは慄然とした。金星丸が何処にあるかが分かったのだ。いや。「分からされた」のだ。
ロイヤル羅甲が投じた金星丸は既に、麟牙の口中を貫いて体内を串刺しにしていたのである。
「 天 牙 ・ 風 刃 弾 !! 」
だが、麟牙の跳躍に合わせて飛翔していた荒光の突進肘撃が既に、ロイヤル羅甲へと迫っていた。
それに対してロイヤル羅甲も身を捻り、背のブースターを吹かして荒光に向かって加速。銀星丸を繰り出した!
それに対してロイヤル羅甲も身を捻り、背のブースターを吹かして荒光に向かって加速。銀星丸を繰り出した!
リーチの差は明白。肘よりも先に、剣の方が命中するだろう。
荒光は即座に肘撃を諦め、銀星丸を狙って左腕で横殴りの拳を繰り出す。同時に右腕を胸元に引き、追撃を狙う構え。
だが、その対応は明らかに遅い。どう見ても左フックが銀星丸に当たるよりも先に、剣尖が荒光を貫くだろう。
荒光は即座に肘撃を諦め、銀星丸を狙って左腕で横殴りの拳を繰り出す。同時に右腕を胸元に引き、追撃を狙う構え。
だが、その対応は明らかに遅い。どう見ても左フックが銀星丸に当たるよりも先に、剣尖が荒光を貫くだろう。
「 斥 力 連 弾 ッ !! 」
次の瞬間。ライゴウが雄叫びを上げるのと、トワイスが瞠目したのは、ほぼ同時であった。
荒光の左拳から発生した斥力は、剣身に直接触れる事も無く、銀星丸を弾き飛ばしていたのだ。
そして荒光は、その斥力の勢いが乗った加速右拳打を繰り出す!
荒光の左拳から発生した斥力は、剣身に直接触れる事も無く、銀星丸を弾き飛ばしていたのだ。
そして荒光は、その斥力の勢いが乗った加速右拳打を繰り出す!
ズ ガ ッ ッ !!
ロイヤル羅甲は左腕を跳ね上げて、その強打を逸らす!
斥力を受ける直前に銀星丸を手放して居なかったら、この攻撃を捌く事は出来なかっただろう。
斥力を受ける直前に銀星丸を手放して居なかったら、この攻撃を捌く事は出来なかっただろう。
だが荒光は、右足裏斥力で加速した加速右膝蹴りを既に繰り出している!
ブ ォ ン ッ !!
ロイヤル羅甲はギリギリの間合いでこれを避ける!
だが荒光は、攻撃の勢いでロイヤル羅甲に背を向けながら、左拳斥力で加速した加速回転左肘撃をも既に繰り出している!
対するロイヤル羅甲は上体を仰け反らせて回避を・・・いや、それだけでは無い!
空中で勢い良く上体を反らし、荒光の背後からうつ伏せの体勢でその両脚の間に身体を潜り込ませる。
そのまま荒光のつま先を脇の下に引っ掛けつつ両脇で荒光の足首を挟み込み、背のブースターを吹かして前方へ屈伸する。
そのまま荒光のつま先を脇の下に引っ掛けつつ両脇で荒光の足首を挟み込み、背のブースターを吹かして前方へ屈伸する。
それによって丁度、荒光の脚を海老反りに固める様な体勢となる。
その姿勢から、曲げた両膝を荒光の両脇の下に打ち込むと一瞬、荒光の両腕が浮き上がる。
すかさずその両手首を握り込めば、変則的な海老反り固めの完成である。
その姿勢から、曲げた両膝を荒光の両脇の下に打ち込むと一瞬、荒光の両腕が浮き上がる。
すかさずその両手首を握り込めば、変則的な海老反り固めの完成である。
こうして荒光を捕縛したまま、ロイヤル羅甲は背のブースターを吹かして急降下。
落下軌道を調整して、剣に貫かれたまま体勢を立て直そうと藻掻く麟牙の土手っ腹に荒光の脳天を叩き付ける!
落下軌道を調整して、剣に貫かれたまま体勢を立て直そうと藻掻く麟牙の土手っ腹に荒光の脳天を叩き付ける!
ズ ガ ア ァ ァ ァ ン ッ ッ !!
麟牙を巻き込みながら荒光を大地に叩き付けた瞬間、その衝撃を避けて飛び離れるロイヤル羅甲。
クルリと身体を捻りながら着地。素手で残心の構えを取るが、既に決着は付いていた。
クルリと身体を捻りながら着地。素手で残心の構えを取るが、既に決着は付いていた。
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~ シミュレーション戦後 ~
オーデッド隊の面々は手に汗を握りつつ、この対戦を観戦して居た。
「また腕を上げたな、トワイス!」
「お前たちも見事だった! 快王を相手にこれだけ善戦するとはな!」
「お前たちも見事だった! 快王を相手にこれだけ善戦するとはな!」
シミュレーターから出て来た3人に向かって、感極まったオーデッドが労いの言葉を掛ける。
「いやぁ、流石は快王! 感服仕った! あれだけの技量差を見せ付けられては、悔しさも吹き飛ぶでござるよ」
カラカラと笑いながら、ライゴウもトワイスを褒め称える。
「ゾラ殿との連携攻撃も悪くは無かったと思うのでござるが、あぁも見事に返されるとはなぁ~」
「そう言えばトワイス殿。最後の投げは一体、何処の流派の技でござる?」
「そう言えばトワイス殿。最後の投げは一体、何処の流派の技でござる?」
闘いの余韻に浸っていたトワイスは、ライゴウの問いを受けて我に返る。
「あぁいや。あれは無意識の裡に繰り出していた投げ技だから、名前も何も決まっていない新技だね」
「おぉ、そうでござるか。ならば、あの投げ技を虚空格闘術に組み込ませて貰っても良いでござるか?」
「それは構わない。私も今の闘いで得た物は大きかったからね。実に良い勉強になった」
「感謝するでござる! 然らば技の名前…あぁいや、これはトワイス殿が決めて下され」
「そうか? ならば考えておこう」と、その発言を軽く流してしまったトワイスであったが…
「…ふぅむ。しかし正式名称が決まるまでの仮称ぐらいは決めて置かねばなぁ」
「そうさな。『虚空格闘術・永遠椅子(とわいす)』とか?」
「そうさな。『虚空格闘術・永遠椅子(とわいす)』とか?」
思案しながらブツブツ呟くライゴウの科白を聞いていたら、聞き流したのを少し後悔したかもしれない。
「・・・っと、そう言えば。ゾラ殿もあのバケツ頭の特機に遭遇して、首尾よく快勝したと聞いたでござるよ」
いきなりライゴウから話題を振られたゾラは、慎ましく答える。
「いえいえ。あれは良きパートナーが居たからこそ、得られた勝利でございますよ」
その科白を聞いた途端、ライゴウがにや~っと意味深な笑みを浮かべる。
「 ・・・ ほ っ ほ ぉ ? パ ー ト ナ ー ! 」
ライゴウが何を仄めかして居るか悟ったゾラは、慌てて発言の軌道修正を試みる。
「あ、いや。つまりその、狩りのですな…」「…んん~っ、それだけぇ~?」
「いや、その。何というか。こういう話は、私めの一存だけで決められる事では無くてですな…」
「いや、その。何というか。こういう話は、私めの一存だけで決められる事では無くてですな…」
機能不全に陥ったデュランダールの様に、ゾラの身振りと弁明は迷走する。
「・・・まっ、その辺にしてやんな。ライゴウさんよ」と、ザイードが助け舟を出す。
「そりゃそうと、この後から宇宙(そら)へ買い出しに行くんだが。誰か付き合わねかー?」
「そりゃそうと、この後から宇宙(そら)へ買い出しに行くんだが。誰か付き合わねかー?」
「済まないが巡回の当番だから、俺はパス」ジモンドは軽く手を振って一抜け宣言。
「私もオウ様の補佐がありますし、グレゴリー様達にお任せしますわ」ニーナも慎ましく断る。
「人数が大丈夫なら、拙者は遠慮して先程の投げ技を鍛錬したいでござるよ」と、ライゴウ。
「私もオウ様の補佐がありますし、グレゴリー様達にお任せしますわ」ニーナも慎ましく断る。
「人数が大丈夫なら、拙者は遠慮して先程の投げ技を鍛錬したいでござるよ」と、ライゴウ。
「今ンとこ、カエデ様とグレモリーの姐さん。後は俺だな」と、ザイードはライゴウの問いに返す。
「でっさんも予定があるらしーからな。もうチョイ人数が欲しいんだが、残るはダードル、ゾラ、ステイシーか」
「でっさんも予定があるらしーからな。もうチョイ人数が欲しいんだが、残るはダードル、ゾラ、ステイシーか」
「あ。悪ぃが俺、あの『店長』はチト苦手なんでな。ステイシーに任せるぜ」と、ダードルが言う。
「だがな、行く野郎がオッサン一人だけじゃ心許ないよなぁ。そう思わんか? ゾラよぉ」
「だがな、行く野郎がオッサン一人だけじゃ心許ないよなぁ。そう思わんか? ゾラよぉ」
「えっ、私が付いて行ってお役に立てるんでしょうか…?」ボソボソと小声で問い返すステイシー。
「問題ありませんぞ! では私めも同行いたしましょう!」と、食い気味に返事するゾラ。
「問題ありませんぞ! では私めも同行いたしましょう!」と、食い気味に返事するゾラ。
「よーし、面子は決まったな。じゃあ準備が済んだら行くとしようぜ」
「っと、そう言えば私めは『店長』にお会いするのは初めてなのですが、何か注意すべき事はありますかな?」
「無い、無い。ちょいと目立つ人だけど」と、ニヤニヤしながらゾラの疑問に答えるザイードであった。
「っと、そう言えば私めは『店長』にお会いするのは初めてなのですが、何か注意すべき事はありますかな?」
「無い、無い。ちょいと目立つ人だけど」と、ニヤニヤしながらゾラの疑問に答えるザイードであった。
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~ 宇宙ステーション・アムステラ軍の中継基地 ~
この基地は、地上部隊から要請のあった物資を保管して受け渡す目的で、静止衛星軌道上に建造された中継基地である。
基地に到着したオーデッド隊の一行は早速、資材保管エリアへと向かう。
基地に到着したオーデッド隊の一行は早速、資材保管エリアへと向かう。
広い資材保管エリアの中には所狭しと各種物資が積まれており、作業員達がせわしなく立ち働いている。
その中でも、ひと際目立つ巨漢。テキパキと作業員達に指示を下しており、それなりの立場に居る事が伺える。
また、遠目から見ても大きく張り出して居る横顔を見れば、彼が明らかに亜人である事も分かる。
その中でも、ひと際目立つ巨漢。テキパキと作業員達に指示を下しており、それなりの立場に居る事が伺える。
また、遠目から見ても大きく張り出して居る横顔を見れば、彼が明らかに亜人である事も分かる。
「おっ、丁度『店長』も居るじゃねーか。そんじゃま、慣れてネェ2人も居るこったし。俺が先導しますぜ」
先を進むザイードは「はい、ごめんよ」「ちょいと通してくれ」と声を掛けつつ巨漢の方へと向かう。
その後ろに続く女性陣3名。最後尾にゾラ。
その後ろに続く女性陣3名。最後尾にゾラ。
道中、グレモリーの滲み出る色気やステイシーの隠れ(隠し)美人ぶりに、密かな口笛や色目を飛ばす者も居たが…
そういう面々も今回は、カエデの威嚇音とゾラの一瞥を受けて密やかに引き下がっていた。
そういう面々も今回は、カエデの威嚇音とゾラの一瞥を受けて密やかに引き下がっていた。
(「おや? 亜人と言っても爬虫類系でございましたか。まぁ確かに目立ちますな」)と、ゾラは無言で見定めていた。
「おぉカエデ様。資材は大体入荷してますが、今回も又、随分と種類が多いですなぁ」と、爬虫人類の巨漢が声を掛ける。
「そうか。毎度の事じゃが世話を掛けるのぉ~、コモド店長」
「そうか。毎度の事じゃが世話を掛けるのぉ~、コモド店長」
この通称『コモド店長』は、この基地で兵站部門を取り仕切っている有能な部門長である。
オーデッド隊の予算範囲内で、カエデが良く注文する(余り使われてない様な)ニッチな部材を取り揃える事が出来るのは
彼の手腕による処が大きい。
オーデッド隊の予算範囲内で、カエデが良く注文する(余り使われてない様な)ニッチな部材を取り揃える事が出来るのは
彼の手腕による処が大きい。
「それでカエデ様、ご注文のJR-XD1616が品薄でしてね。JQ-XD1216では代替効きませんかね?」
「何じゃと! それならせめてJQ-XD1518が欲しいのぉ」
「いや、そっちの型番は早期終了してますからな。むしろ…」
「何じゃと! それならせめてJQ-XD1518が欲しいのぉ」
「いや、そっちの型番は早期終了してますからな。むしろ…」
仕入れ部材の打ち合わせに入ったカエデとコモド店長。
片手間に部下へ指示を出しつつ、一瞥を向けてきたコモド店長に頷き返すグレモリー。
片手間に部下へ指示を出しつつ、一瞥を向けてきたコモド店長に頷き返すグレモリー。
「2人共、あぁなると長いけん。先に補給物資の手続きを済ませに行きますえ」
グレモリーはそう言うと、ゾラとステイシーを伴ってこの場から立ち去った。
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~ 元フランス軍基地内 ~
「定期巡回は済んだぜ。今のとこ異常は無しだ」
「レーダー索敵にも異変は無かったですよー」
「おー、お疲れさん。一段落付いた様だし、ちょいと一服しねーか」
「レーダー索敵にも異変は無かったですよー」
「おー、お疲れさん。一段落付いた様だし、ちょいと一服しねーか」
巡回から戻って来たジモンド、管制作業をしていたデサンドール(でっさん)、それとダードルが休憩を取っている。
「そういやアンタが、コモド店長を苦手にしてるなんて話は初耳だな?」と、首を傾げつつジモンドが言う。
「そりゃ初耳だろうさ。ありゃ単なる方便だからな」と、笑いながら返すダードル。
「そりゃ初耳だろうさ。ありゃ単なる方便だからな」と、笑いながら返すダードル。
「ちなみにコモド店長はカエデ様を気に入ってる様だぜ。以前に聞いたら、何でも子供や孫を思い出すんだと」
「えっ? でもコモド店長って爬虫類系だろ?」「そうなんですか? でも又、何で?」
「えっ? でもコモド店長って爬虫類系だろ?」「そうなんですか? でも又、何で?」
ジモンドとでっさんが疑問符を浮かべてるのを見て、ダードルの笑みが深くなる。
「そりゃグレモリーの姐御が同行してたからさ。そしたらアノ威嚇音が出るだろ?」
「・・・それかよ」「あー、うん。それなら分かります。何となく」
「あれで親近感を覚えたらしい。そうじゃなくても元々、気性は合ってたみたいだが」
「・・・それかよ」「あー、うん。それなら分かります。何となく」
「あれで親近感を覚えたらしい。そうじゃなくても元々、気性は合ってたみたいだが」
「でもまー俺は、こないだも紫電砲を一戦でオシャカにしちまったからな。今は少々顔を合わせ辛いんだよ」
「ザイードのおっさんは、そういうトコをあんまし気にしないタイプだから良いがな」
「ザイードのおっさんは、そういうトコをあんまし気にしないタイプだから良いがな」
今度は苦笑を浮かべ、そう続けるダードルであったが。フト何かに気付いた顔になって、でっさんの方を向く。
「そういやお前さんの性癖からして、コモド店長もアレか?」
「アレですねぇ。爬虫類系の方のは分泌液って感じだから、臭いはあるけど汗とはヘドロと涎ぐらいに違うかな?」
「アレですねぇ。爬虫類系の方のは分泌液って感じだから、臭いはあるけど汗とはヘドロと涎ぐらいに違うかな?」
でっさんは視線を宙に泳がせつつ、その他の事例を思い出す。
「後はゾラさんもあんまし汗かかないし。先日助けて頂いた『紫光のソ理ア』さんもライゴウさん同様、犬系ですしねー」
「有名ドコでは『剣帝・ミカヅキ』さんも、これまた犬系だし」
「犬猫系、鳥類系、爬虫類系、両生類系とか。種族的に意外と汗をかかない人も多いから困っちゃいますよ、ねぇ?」
「有名ドコでは『剣帝・ミカヅキ』さんも、これまた犬系だし」
「犬猫系、鳥類系、爬虫類系、両生類系とか。種族的に意外と汗をかかない人も多いから困っちゃいますよ、ねぇ?」
(「…別に困らネェ。全く、見えてる地雷を踏むなっての。これだからアム公は…」)
(「…正直、スマンかった」)
(「…正直、スマンかった」)
この後、休憩時間が終わるまでの間、でっさんの汗談議は続いたのであった。
こうして戦場の中の日常が戻って来た。だが、次に彼らを待ち受けるのは一体、如何なる戦場であろうか。
それについても又、いずれ語られる機会はあるのかもしれない・・・。
それについても又、いずれ語られる機会はあるのかもしれない・・・。