バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

何かが起こってしまった後であっても、何をするかは自分で選択できる。

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kyogokurowa

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「痛みはどうだい?」
「ああ……随分マシになったな。ありがとう。」
「それは良かった。」

パワードスーツとの戦いで負傷したカナメを気遣うStork。
しかし、その心の内には1つのわだかまりがあった。
カナメに、彼と共にいたという水口茉莉絵――ウィキッドのことを伝えるかどうか。


「アンタ、マジで凄いな。」
カナメはバイクの講習で習った応急処置のことを思い出すが、Storkが行ったことはそれより数段高度なものだった。

「こう見えても僕は警察官だからね。これぐらいのことは難しくないさ。」
「マジかよ……。」

サーカスのピエロか何か、あるいはDゲームプレイヤーの一人かと思いきや、予想外の職に務めていたことに驚く。
そう簡単に感知するものでは無いし、痛みも完全に引いたわけではないが、とりあえず一人で服を着ることが出来るぐらいには回復した。

「あ、痛みが引いても、しばらく動かさないでね。あとあまり大きな声も上げないで。痛みが引いても出血量がひどいと運動にも差し支えるから。」
「へえ、そんな所まで気配り出来るなんて、それも警察官をやってた賜物か?」
「いや、それは僕が元々鼻血が出やすい生活を送っているからさ。」
「そ、そうなのか……(鼻血が出やすい生活って何だよ……)」


気さくに話すStorkだったが、コウノトリをモチーフにした仮面の裏にある表情は物憂げだった。
元々オスティナートの学士であったμの指示に逆らうつもりだったのは、始まりの場所にいたのはμであって、μじゃないという確信があったからだ。
しかし、ウィキッドの不確かな黒い噂をカナメに伝えれば、不和を招くだけではない。
それが真実だとしても、楽士の一人を裏切ることになってしまう。


「なあ、1つ聞きたいことがあるんだ。」
カナメの問いに、白いぴっちりしたスーツで覆われた胸の動悸が高鳴る。
ウィキッドのことについて根掘り葉掘り聞かれるのではないと思ったからだ。
だが、次の質問は恐れていたことでは無かった。

「μってあんな奴だったのか?」
カナメとしては、Storkはせっかく出会った主催の関係者だ。
勿論ウィキッドのことも気がかりだったが、それ以上に気になったのは主催のことだった。
Dゲームをやっていた時でも、積極的にゲームの元締めを炙り出そうとしていただけに、μを知ることでこの殺し合いを打開できる可能性があると目論んだ。


「全く違う。彼女は間違っても楽士のメンバーを殺したりはしなかった。
彼女は元々、何か後悔を胸に抱えた人達のための楽園を作ろうとしていたんだ。」
「楽園ねえ……。」

何かに憂い、悩む者の拠り所となる楽園を造る歌姫。
その世界を守り、μに楽曲を提供する楽士たち。
それだけで怪しさしか伝わってこなかったが、そこは黙ることにした。
だが同時に、殺し合いの強制のような万人が悪だと考える行為はしていなかったことも伝わった。


「君は分かってくれるかい?」
「今はアンタの話を信じる。助けてくれたしな。」
「ありがとう。きっと彼女も喜んでくれるはずだよ。」

Storkは仮面越しに表情を緩める
しかし、もう1つ心配事はあった。


「折原……遅いな。」
「気持ちは分かるけど、すぐに出たりしないでね。」
「分かってるよ。」
カナメは苛立たし気に足をトントンと鳴らす。
治ったは良いが、すぐにこの場所を出て、シギルを乱発した戦いが出来るわけではない。
かと言って、こう何も出来ないでいると、不安や苛立ちが募って来る。
そこに中々やって来ない待ち人がいればなおさらだ。


しかし、のんびり待っていることは出来ないということ事実を、すぐに突き付けられることになった。


「参加者の皆様方、ご機嫌よう。」



「そんな……13人も!?」
参加者の予想以上の脱落数に、Storkは驚く。
しかし、彼は知り合いが呼ばれていなかったことで、精神的なダメージは比較的少なかった。

「くっそおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
「か、カナメ君?」
放送が終わってから流れたコスモ・ダンサーがかき消えるほど、カナメは大声で叫んだ。
かつて彼の仲間のシノヅカが殺された時は、その怒りをぶつける相手がすぐ近くにいた。
だが、今回は自分の手当てをした仮面男以外は誰もいなかったため、激情と共に大声を出す形でその怒りを露わにするしか方法が無かった。
痛みがぶり返すのも気にせず叫び続けるほど悔しかったし、腹立たしかった。
同じクランの無二のパートナー、シュカだけではなく、ついさっきまで行動を共にしていた魔理沙でさえも失ってしまった。
その間に、自分は何も出来なかった。


「カナメ君!!」
Storkの大声で、ようやく我に返る。
そこで、はっと気づいた。
魔理沙が殺されたということは、名前こそ呼ばれなかったがその近くにいたはずの折原や水口も危ないということだ。


「止めるな。今からでも水口さん達を助けに行く。」
「その事なんだけど……。」


思ったより、決断しなければならない時は早く来た。
それでもなお、Storkはカナメに自分の思ったことを伝えるべきか悩んでいた。

「早く言え。」
怒りに身を任せることになりながらも、カナメはまだ自分の話を聞こうとはしてくれた。
聞こうとしてくれたからこそ、自分の行動に責任があることを再認識することになった
今にもこの場所から飛び出していきそうなカナメにーー


【思っていることを伝える】
【黙ったままでいる】


(僕っていつもこうなんだよな。)
Storkが思い出したのは、彼が警察官時代のこと。
彼は趣味の覗きを謳歌していた時、彼が好きだった女子中学生の家にある男が近づいていたのを見てしまった。
実はその家を焼いた放火魔だったその男を訴えようにも、それは自分が覗き魔だということを暴露することにつながるために、出来なかった。
今でも同じように何かの葛藤に悩み、何も出来ずにいた。


「言いたいことが無いなら、話しかけようとするな。」

そう一言放った後、カナメは踵を返して紅魔館を出ようとする。
「待ってくれ!!カナメ君、大事なことがあるんだ!!水口さんのことだ!!」


→【思っていることを伝える】
【黙ったままでいる】

「魔理沙が死んだ原因は、ウィキッド……水口さんにあるかもしれないんだ。」
「はあ!?」

怒りと混乱と驚きが混ざったかのような眼で見られる。
その表情を仮面越しに見ながらもーーー


→【話を続け、彼女について知っていることを話す】
【ふと考えすぎただけだと弁解する】


元々Storkがウィキッドのことを言うのを憚っていた理由には、彼女が殺し合いに乗っているか否かを判断する材料が少なかったのもあった。
しかし、彼女が魔理沙を連れて逃げ、その後すぐの放送で魔理沙のみが呼ばれたというなら、ウィキッドが魔理沙の死に一役買っていると疑わない方が難しいぐらいだ。


「彼女はメビウスでは特に攻撃的で、どうやって何かを壊そうか考えてばかりだったそうだ。
今の荒々しい曲もウィキッドの作ったモノだよ。」

「どういうことだ!!そう思うならなぜ黙っていた!!」
勿論、その怒りの矛先はStorkにも向いた。


「同じ楽士である以上、僕としても仲間を売るような真似はしたくないからね。
それに僕と彼女は元々あまり接点が無かった。彼女が殺し合いに乗っているなんてこと、信じたくはない。」
「こいつ……。」

カナメは怒りのままに拳を握りしめ、今にもStorkを殴りそうになっていた。
それを教えてくれれば、怪我をしながらも魔理沙を助けに行ったのに。
そういったやり場のない後悔が、やり場のない怒りの心を焚きつけた。

だが、その拳は彼に当たる寸前で止まった。


「もういい。折原も危ないみたいだし、アイツを止めに行くのが先だ。」
カナメは大切なことを伝えるのを出し渋ったStorkに対して、怒りをぶつけることはしなかった。
殺し合いに乗っていることを信じたくない。
悪いのはこのゲームを開いた主催者ただ一人で、それ以外は誰も心から殺し合いをしようとしている訳じゃない。
それはシノヅカを王に殺される前のカナメと、同じ考えだったからだ。


「それとStork、アンタも付いてこい。そこまで話したなら、協力してもらう。」
「……分かった。」

カナメは痛む体に鞭打ち、走り出す。
その背中を、Storkは追いかけて行く。
初めて見るはずの彼の背中は、どこか見覚えがあった。
楽士の切り込み隊長として、常に先頭を走っていた新入りのLucid。


終ぞ彼の正体もまた分からないままだったが、それでも親身になって相談に乗ってくれた。
そして、自分の趣味である覗きを肯定してくれた。
彼と共にラガードや帰宅部と戦い、親睦を深めたおかげで、新たな道を進めそうな気さえしてきた。
今カナメを見ていると、楽士の新入りながらも、誰よりも親密な関係になった彼のことを思い出す。
前を走っていた彼もまた、何かに悩み、何かに擬態し、何かを失っていたのではないかと。


―――長年擬態していたせいで、それらしい行動が身に付いちゃっただけの話さ。
―――素のままで生きている奴なんかいない


(君も何かに擬態して、何かに悩みながらも自分の為すべきことをしていたんだ。そうだよ
ね?Lucid)



【F-6/紅魔館入り口/朝/一日目】
【Stork@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:健康
[服装]:普段の服装
[装備]:
[道具]:不明支給品1~3、救急箱(現地調達)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。μの心を覗く。
0:カナメ君と一緒に折原君を探す
1:ウィキッドが殺し合いに乗っているなら止める
2:梔子を探して保護する。あとちょっと怖いけど帰宅部の二人も探してあげよう。
3:覗きはしたいけど...我慢できるかなぁ
4:折原君、頼もしいけど、やっぱり怖いね……
[備考]
※少なくともキャラエピソード7の後。
※志乃のあかりちゃん行為を覗きました。
※臨也と知り合いについて情報交換しました。


【カナメ@ダーウィンズゲーム】
[状態]:疲労(大)王への怒り、全身打撲(小)、肋骨粉砕骨折(処置済み)、全身火傷(治療済み) (シュカの喪失による悔しさ)
[服装]:いつもの服装
[装備]:白楼剣@東方Project
[道具]:白楼剣(複製)、機関銃(複製)、拳銃(複製)、基本支給品一式、不明支給品2つ
[思考]
基本:主催は必ず倒す
0:折原をStorkと共に探しに行く
1:ウィキッドが本当に殺し合いに乗っているなら、最悪殺しも辞さない
2:【サンセットレーベンズ】のメンバー(レイン、リュージ)を探す
3:王の野郎は絶対に許さねぇ
4:ジオルドを警戒
[備考]
※シノヅカ死亡を知った直後からの参戦です

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