「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - わが町のハンバーグ-27

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「…しかし店長の新メニュー…一体何なのでしょうか…」
早朝から副店長の悲鳴で起こされ、店長の指令によって食材を調達に行かされた。

カレールゥ、ヘビイチゴ、イナゴの佃煮、アブラゼミ…

…一体これらを何に使うのだろうか…まったくもってあの人の思考は理解できない…
しかし、金さんは一体どこに行っているのか。新入り君も最近見ないしなぁ…

と、そんなことを考えているノミ沢さんの背後に、妖しき人のような影が二つ。

「…む?」
その後ろには、黒き影のようなものが二つ。
「『夢の国』の…残党ですね……」
虎のようでありながら二足歩行の着ぐるみと、緑の服を着た少年のような影。…しかし夢の国はもう、倒されたはずだが…
その二つの影はノミ沢が戦闘の用意をする隙を与えず飛びかかってくる。
「くっ…早…」


「おいおい、二体一とはフェアじゃないねぇ」


ノミ沢の後ろから、巨大な何かが飛び出てきて、二つの影を止めるもとい弾き飛ばす。



その物体は、猫…いや、猫の顔がついたバス…いや、バスのような猫。



バスのような猫は吹き飛んだ二つの影に猫特有の俊敏な動きで近寄り…

大きな口で、飲み込んでしまった。


「お疲れ、マサムネ」
ノミ沢の後ろから聞こえた声に反応し、マサムネと呼ばれたバスのような猫がその巨体から、普通の三毛猫へと戻る。
振り返ると、中年の男性が一人。

この方…前にも、どこかで…

何となくそんな予感がした。
「怪我はないかな、小さな紳士さん?」「は、はいありがとうございます」
「しっかし一体何があったっていうんだい?ちょっとここを離れてて昨日帰ってきたものだから…」


………


「へぇ…『夢の国』が」「はい。昨日まで暴れまわっていたのですが、大元が何者かに倒されたようで」
「じゃあさっきのあれは残党か何か、ってことなのかね…」「…おそらくは」

やはりこの感覚…

さっき感じたあの雰囲気。その予感は確信へと変わっていた。
その確信をより確かなものにするために、ノミ沢は彼に質問をした。


「…ところであなた…過去に『うわさの産物』というレストランで働いていたことはありませんか…?」


その質問に、彼はしばらく考え込んでから、ゆっくりと言った。



「…人違い…じゃないかな?」

「…そ、そうですか…申し訳ありません」思い違いだったようで、ノミ沢はがっくりと肩をうなだれる。
「いやいや、いいんだよこのくらい」
「私が通っていたころの店長さんに雰囲気が似ていたもので…」
「まぁ勘違いは誰にだってあるものさ、気にしないほうが寿命が減らなくてすむよ、君、大分精神疲労がたまってるようだからね」


「…?お心遣い感謝します」ノミ沢にはその言葉の意味は理解できなかったが、お礼だけは言っておいた。
「じゃ、僕は行くよ。『火垂るの○』が、また見たくなっちゃってね、ビデオ屋に行く途中なんだ」
そう言って、その男は去っていった。



「…あの感覚…間違いなくあの人だった」
レストランへと帰る道中、ノミ沢は呟いた。「あの店に通ってたころ…忘れもしませんよ」
数十年前、彼がまだ都市伝説と出会うことなく、自ら都市伝説になると知りもしなかった頃。
あの店の店長はよく自分の愚痴を聞いてくれて、美味しい料理を食べさせてくれたものだった。

その店で働きだした時には、当時の店長であった今の店長の親御さんは行方不明となっていた。
確かその時はハンバーグの爺さんが店長をやっていた。今の店長になったのはほんの数年前のことだ。

そして自らが都市伝説となったこと、都市伝説と契約したことなどいろいろなことを思い出しながら、レストランへの道を進んでいった。



「…覚えていてくれて、有り難いものだねぇ」
ビデオ屋への道中、男は呟いた。「ここを離れて、いやここで存在を忘れられて数十年たつのにねぇ…ロロト君」

彼のとなりに、毛むくじゃらで、大きな耳の丸っこい謎の生物が現れ、彼に同意する。
しかし、この獣は、彼以外には見えていない。

なぜなら彼もまた、都市伝説でしかないからだ。


『となりのト○ロは死神』


一体誰がそんな意見を出したのか。今となっては分かったものではない。
だが、彼の契約した生き物は、間違いなく死神。人の死をつかさどるものなのだ。いつもはすごく温厚なのだが。
そして契約者である彼は、契約の効果か死神の目を手に入れた。本人には邪魔以外の何物ではないのだが。

「ま、彼がよくやってくれているようだし、しばらくはあの店も安泰だねぇ。
  …料理のメニューはどうかと思うがね、我が息子よ」



「…おっやぁ?」
なんてことだ。まさか『○垂るの墓』だけでなく『耳をす○せば』まで借りられているとは。
「やれやれ、仕方が無いねぇ…」
諦めたような言葉を言って、なぜかにやにやしながら、彼は店の奥のピンク色の暖簾の中へと入って行った…



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