―首なしライダーと首なし騎士―
(騎士と姫君)より
ガッチャガッチャ
空になったビンがケースの中で音を立てる
「………」
「………」
「………」
先程不注意でビンを割ってしまい、挙げ句の果てには割れた破片で俺は指を切ってしまった
…まったく、自分のダメッぷりに呆れてしまう
しかし
そこに突然現れ、丁寧な手つきで俺に応急措置(といっても簡単な手当てだったが)をおこない、現在俺の後ろで空き瓶の入ったケースを運んでくれているのは
「………」
俺と同じで首から上がない首なし騎士だった。
首なしライダー以外で首のない都市伝説に出会ったのは初めてだ
しかも前に朝野から聞いた情報では、首なし騎士とはどうやら外国の都市伝説らしい
本当に学校町は都市伝説がよく集まるな…
そんな事を思いながら俺はナプキンで包まれている割れた空き瓶を厨房の端に置いた。
[ありがとうございます、おかげで助かりました。]
首なし騎士にホワイトボードに書いた字を見せる
「……」
しかし首なし騎士は無言で俺を見ている
しかし首なし騎士は無言で俺を見ている
どうやら彼も会話が出来ないようだ。
「っと…二人共悪いな、片付けなんかさせちま…」
と、金髪の青年が厨房に入ってきて言葉を止める
さすがに首のない男女(他人からはそうにしか見えないだろう)二人が並んでいると違和感があるのかもしれない
[いえいえ、このくらいはお手伝いしないと俺も暇なので]
「……」
横に立つ首なし騎士はじっと動かずに俺を見ている
ないはずの首なし騎士の視線が俺に突き刺さる……気がする
と、そんな所に
「あ、いた!ホロウさんごめんなさい、ちょっと話が長引いちゃって…」
「あ、いた!ホロウさんごめんなさい、ちょっと話が長引いちゃって…」
一人の女性が厨房の中に顔を覗かせた。
「…!」
すると俺の隣にいたはずの首なし騎士はいつの間にか厨房に来た女性の傍まで移動し、今度は女性の傍から離れない
[貴方は首なし騎士の契約者さん?]
俺は今来た女性にホワイトボードを見せる
「そうですね…あなたは?」
[俺は首なしライダー、ちょっと訳あって今はこんな格好だけど実際は男です]
「なっ!、男だったのかあんた…」
会話を眺めていた金髪の青年が思わず口に出す
しかし、目線はしっかりと俺の胸を凝視していた。
会話を眺めていた金髪の青年が思わず口に出す
しかし、目線はしっかりと俺の胸を凝視していた。
[彼に色々と手伝ってもらいました、感謝してますと伝えてください]
俺は首なし騎士の契約者にホワイトボードを見せると、彼女は首なし騎士と何かやりとりをしている
「女性の姿なんだから、あまり無理をしないように、って言ってます」
[わかりました、気を付けます]
「では、わたしたちはこれで」
首なし騎士と契約者は厨房を後にし、宴の会場に戻っていった。
「あんた男だったのか…勿体ない…」
金髪の青年はポツリと呟いた。
金髪の青年はポツリと呟いた。
以上?