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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-53c

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「それじゃあ、俺はこれで……ちょっとは料理覚えた方がいいと思うぞ。体の事も考えて。お前、若くないんだし」
「巨大なお世話だ」

 「死人部隊」と契約している中年と、「一年生になったら」に食事を届けた後、「日焼けマシン」の契約者は幽霊マンションを後にした
 …うん、あれだ
 この状態を、女幽霊に見られたくない
 こう言う時は、さっさと帰るに限る
 それに、今日は給料が出たから…はないちもんめに、土産もあるし

「丈夫な素材って聞いてるからな…あいつには、ちょうどいいだろ」

 LOLIQLOとか言うブランドの子供服
 戦いに積極的に参加する意思のあるはないちもんめの少女には、ちょうどいい服だと思う
 …なんだか、戦場の兵士でも着ていそうな素材だよなぁ、ナイフで刺されてもある程度大丈夫とか、とそれなりに疑問もあるが
 まぁ、その辺りは深く考えない
 夜道を一人、帰路に付いていて

「…………」

 気配に、立ち止まる
 敵意は……一応、ないようだが

「誰だ?」
「おぉっと。気配は隠していたつもりなんだがな」

 何時の間にか、傍の塀の上にしゃがんでいたのは……黒服の男
 「日焼けマシン」の契約者が、はないちもんめの少女と共に契約している黒服とは、別人だ
 彼が契約している黒服よりも、若干年齢が若いし…何より、彼が契約している黒服は、この黒服のように髪が伸びるなんて愉快な現象は引き起こさない

「…「組織」かよ」
「あー、そう警戒しないでくれや。過労死ナンバー1候補の同僚の知り合い相手にいざこざ起こしたくねぇや」

 しゅるしゅる
 伸びた髪を戻しつつ、その黒服は言ってくる
 …己が契約している黒服から、この髪が伸びる黒服のことは、何度か聞いていた
 「組織」の中でも情報通であり…信用できる相手だと
 だが、「日焼けマシン」の契約者は、この相手をそう簡単に信用できそうにはなかった
 元々、「組織」はほぼ信用していない、と言うのもあるが…気のせいだろうか
 こいつは、信用できない雰囲気を纏っている

「…怖いねぇ、睨まないでくれよ。戦いにきたんじゃないんだっての」

 降参、とでも言うように、軽く両手を挙げるその黒服
 ニタリ、笑って伝えてくる

「お前の大事な黒服が若干ピンチっぽいから、伝えに来たんだよ」
「------っな!?」

 何だと!?
 その情報に、「日焼けマシン」の契約者はあからさまに反応する
 わかりやすいこった、とその黒服が呟いたことに気づく余裕もない

「俺が助けに行ってやってもいいんだけどよ。ちょーーっと、場所が悪いんだよ。
 あいつ、マッドガッサーたちに襲われた自分の契約者と一緒に、地下トンネルに逃げ込んだから」
「……地下トンネルに?」

 ………?
 それなら、むしろ、安全なはず
 ピンチ、という状態からは、脱した状態のはずだ
 …なのに、何故、この黒服はこんな情報を寄越してくる?

「お前さん、「夢の国の地下カジノ」に入る権利、もってんだろ?そこ通って地下トンネルに入って、助けてやったらどうだ?」
「…………」

 情報を伝えに来た髪の長い黒服にやや警戒したような視線をやって
 ……しかし、己が契約している黒服と、はないちもんめの少女の事も、心配になって

「…今回は、見逃してやる」

 そう、小さく呟いて
 「日焼けマシン」の契約者はすぐ傍の路地に入ると…「夢の国の地下カジノ」へと、一気に移動した


「……いやぁ、怖い怖い。おぉっと、ちょっと焼かれたか」

 軽く日焼けした己の手を見て、黒服Hは苦笑する

女性の姿になっても、能力はそのまま使えるのだ
 本来なら、警戒してきている「日焼けマシン」の契約者に対して、あぁやって姿を現して話し掛けるなど自殺行為である
 …だが、あの黒服の話題を出せば問題あるまいと踏んでいたのだ
 なるほど、確かに、あの「日焼けマシン」の契約者は、過労死候補ナンバー1のあの黒服が、大事で大事で仕方ないようだ

「あいつの方でも、契約者2人が大事みてぇだしなぁ………ったく、父親かっての。
 黒服の癖に家族を持つとか、ちょっと羨ましいじゃねぇか、畜生」

 しゅるしゅる
 なかなかな美乳のねーちゃんになってたなぁ、あいつ、と、女体化していた「日焼けマシン」の契約者の姿を、しっかり脳裏に刻みつつ
 黒服Hは、闇世の中に姿を消した


 はないちもんめの少女はこちらの唇を奪ったまま、スーツのボタンを外してくる
 …まずい
 マッドガッサーのガスが、二次成長を迎えていない彼女に効果を及ぼすなどと、予想もしていなかった
 とにかく、少女を止めないと

「は……お待ちください、落ち着いて」

 唇が解放され、とにかく、少女を説得しようとする
 その腕から逃れようにも、予想外の強い力によって束縛されて、逃れられない
 …恐らく、彼自身が非力なせいもあるが、相手が子供である事と、何より己の契約者である事で、無意識に手加減をしてしまっているのだ
 そんな状態で、逃れられるはずがない

「黒服……」

 じっと
 少女は、熱を含んだ瞳で、黒服を見つめていた
 こちらの声は、はたして届いているかどうか
 ……とにかく、彼女はまだ、未成年なのだ
 このような行為、止めさせなければ
 スーツのボタンを全て外され、黒服の肌が露出する
 その肌に、少女の小さな手が、そっと伸びて…

「っ!」
「あ」

 とんっ、と
 首筋に手刀を喰らって、少女は気絶した

「大丈夫か?」

 ぜぇ、と
 走ってきたのか、息が荒くなっている「日焼けマシン」の契約者
 きゅう、とはないちもんめの少女は、完全に気絶してしまっている

「…助かりました。どうして、ここに」
「お前の同僚が、伝えてくれたんだよ……えーと、何か髪が伸びる奴」
「……彼ですか」

 どこかで、こちらがマッドガッサーとマリ・ヴェリテと交戦状態に入った所と、こちらが逃亡した場面を見ていたのか
 …彼がこうやって、こちらの事を「日焼けマシン」の契約者に伝えた、という事は、かごめかごめは、恐らくマッドガッサーたちに勝利したなり、追い返したなりしたのだろう
 そうでなければ、悠長にこちらのことを伝えに行っている暇などないはずだ

「あのガス、こいつくらいの年齢相手でも効くのかよ…」
「……通常でしたら、二次成長を迎えていない相手には、ほぼ効果を及ぼさないはずなのですが…」

 かすかに、表情を暗くする黒服
 …気づいてしまったからだ
 この少女に、あのガスの、女性に対する媚薬効果が及んでしまった、その訳を
 「日焼けマシン」の契約者も、察したのだろう
 その顔に、嫌悪の表情浮かべる

「…ほんっとうに、最低だったんだな。こいつの父親は」
「………そのようです」

 そっと、黒服は気を失った少女の体を抱き上げる
 気を失い…寝入ってしまったのだろう 
 寝息を立てている少女
 しかし、淫夢でも見ているかのように、その呼吸は荒い
 …恐らく、明日の朝には、ガスの効果は消えているはずだ
 先程の記憶は……どうやら、ガスの効果が及んでいる間の記憶は消える訳ではないようなので、残っていると思うが
 ……明日の朝、慰めてやるべきか

「…それでは、帰りましょうか」
「あぁ」

 黒服は少女を抱きかかえたまま、「日焼けマシン」の契約者と並んで歩く
 帰ったら、少女の体を清めてやって、ベッドで寝かせておいてやろう

 ……かつての、非常な親の下にいた過酷な頃の記憶を、思い出しかねない体験
 トラウマに、ならなければいいのだが
 黒服は少女を気遣い、そんな事を考えたのだった





終われ

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