「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-13

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ドクター 13


「こちらにも彼は姿を見せてませんか」
「ああ、愛犬家ネットワークにも彼の姿を見た人はおらんな」
手で撫で、足にじゃれつかれ、背中にのしかかられ、頭の上で寝られ、そんな全身犬まみれの姿
一見すればただの犬好きな外人のオッサンである、都市伝説組織『第三帝国』の総統
「米国の刺客という線も薄い。今のところは連中には動きは無いからな……ただ、今噂のマッドガッサーが奴らの手の者なら話は別だ」
その名前に、ドクターの眉がぴくりと動く
彼女の契約している都市伝説『エイズ・メアリー』とは同郷であり、契約前には多少の縁もあったという話を聞いた事があるからだ
「そのマッドガッサーも多数の仲間がいるらしくてな。特に『マリ・ヴェリテのベート』には要注意だ。その強力さから南極の総統は人狼兵士の研究のためにやたらとご執心のようだが」
総統はふうと溜息を吐き首を振る
「一度、遭遇記録の映像を見た事があるが。あの毛並は実に素晴らしかった……一度でいいから心行くまでもふりたいものだ」
「総統閣下?」
「ああいやすまん、こちらの話だ。ともあれマッドガッサーが率いる集団には要注意だ。彼も奴らと遭遇した可能性がある……戦闘したとなれば、死傷の可能性も少なくはない」
「そうでない事を祈っておきます。それでは何か情報がありましたら宜しくお願い致します」
「ああ、わかった。こちらはさほど戦力を有していないし、地元組織の要請などが無ければ交戦は控えておいてくれ」
「実働戦力は運転手とミツキだけですからね。こちらも無茶はできません……了解致しました」
ぺこりと頭を下げ、ペットショップから出ていくドクター
「どうでしたか、ドクター」
「これといった情報は無し、という事だ」
店の前で待っていたエイズ・メアリーに、やれやれと肩を竦めて見せる
「マッドガッサー率いる一味にやられた可能性もあるそうだが、曲がりなりにもうちは診療所だ。毒ガスによる死傷者が出ていたら大なり小なり情報が入るはずなのだが」
「そうですよね。マッドガッサーが暴れてたら民間人に多く被害が出てるはずですし」
二人はのんびりと歩きながら商店街を抜け、北区にある診療所へと向かう
バイト青年が姿を消して以来、診療時間の都合でなかなか診療所を離れる事が出来ず、今日も診療が終わった夜になってからの外出だった
「運転手さんに車を出してもらえば良かったですかね?」
「そうだな……徒歩は徒歩で、何かあった痕跡を探しやすいと思ったのだが。早々に襲撃をされるのは想定外だったな」
「ミツキさんも連れてくれば良かったです」
行く手を塞ぐように立ちはだかるガスマスク姿の男
その周囲にもいくつかの気配を感じる
「ふはははは、美人のお姉さん方! いきなりで悪いが食らえっ!」
勢いよく噴射されたピンクのガスに、逃げる暇もなく二人は包まれる――が
「ふむ、どうやら君がマッドガッサーご本人か」
くたりと力なく崩れ落ちたメアリーを優しく抱き留めながら、ドクターはマッドガッサーを睨み付ける
「馬鹿な!? このガスを女が吸えばたちまちエロい気分になってしまうはずなのに!」
「なるほど、そういう効果な訳か。ならば彼女もすぐに危険というわけではないのだな」
ドクターは白衣を脱いでメアリーを包み、そっと地面に横たえる
「何故効かない! 何か能力で防いだのか!」
「はっ……エロい気分にだと? ボクは年がら年中四六時中、常にエロい気分だ!」
「へ、変態だー!?」
自分のハーレム願望を棚に上げて全力でツッコミを入れるマッドガッサー
実際のところは薬物やウイルスによる身体異常を受け付けないというメアリーとの契約特性のお陰で効いてないだけなのだが
「まあまあ、エロ云々はさておいてだ。ボク達は積極的に君達と争うつもりは無い。だからその物騒な連中を引っ込めてくれたまえ」
「変態のくせに察しがいいな……とりあえず皆、様子見でいてくれ」
「ふむ、うっかり隠れている仲間の名前を呼んだりしてくれないかと期待したのだが」
「こっちはそこまで間抜けじゃないぜ? で、争うつもりは無いって事だが……大人しく俺のハーレムの一員になるつもりも無いだろ?」
「君が可愛い女の子であるというのなら、あるいは!」
――ダメだこいつ、早くなんとかしないと
マッドガッサー含め身を隠して様子を見ているほぼ全員がそう感じていた
「争う気が無いってんなら、手出しはしないでおいてやる……てか良く見りゃそっちの女、エイズ・メアリーだろ。罠か何かのつもりかよ」
「君達のガスの効果や目的を知ったのはつい今し方だ。そもそも彼女と同郷の君が引っ掛かるとは思えないしな」
「なるほどな、そりゃそうだ」
「まあここで出会ったのも何かの縁だ。一つ確認しておきたい事があるんだが」
「答える義理は無いが?」
「正論だ」
――ちょっと驕った悪ならいくらかの情報ぐらいは引き出せるのだが、意外とやりにくい相手だな
ドクターは内心舌打ちしながらマッドガッサーを見据える
「とりあえずはお互い退くという事で手を打たないか? 彼女がこのままではこの町が色々な意味で危なすぎる」
「その点については同意だな」
盛りの付いたエイズ・メアリーなど洒落にならないどころの問題ではない
マッドガッサーは小さな紙包みを取り出すとドクターに放り投げる
「解毒剤みたいなもんだ。早いところ飲ませておくといい」
「ああ、感謝する」
マッドガッサーが路地裏に姿を消すと、周囲にあった気配が一つまた一つと消えていく
「なるほど、色々な意味で厄介な相手だ。非常にやりにくい」
ドクターは肩を竦め、色っぽい声を上げて身悶えするメアリーに視線を落とす
「さて……薬を飲ませるのはお楽しみの後でもいいか」

*



「いいのか、逃がしちまって」
「美人のお姉さんだが、それ以上にタチが悪そうだ」
「記憶消してまえばええやん?」
「つーか、エイズ・メアリー連れてる奴なんか怖くてエロい事とかできねぇよ!?」
「……そりゃまあそうだな」



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