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連載 - 占い師と少女-10

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uranaishi

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占い師と少女 日常編 10


 雪。
 はらはらと舞い降りたそれは、景色を白色に染めていく。
 比較的雪の多い地域に住んでいた私には至って普通の冬の風景だが、この町では雪が珍しいらしい。
 先ほどからちらほらと子供たちの叫び声が聞こえていた。
 彼らがやっているのは雪合戦か、それとも雪だるまか。
 かまくらは……さすがにないと思う。
 しかし時折聞こえてくる歓喜の声は、子供たちが外で遊んでいる事を示している。
 ……そう、こんな日には外に出て遊ぶべきなのだ。
 子供は風の子。降りしきる雪の中で遊ぶことこそが子供の仕事だと、私の田舎で誰かが言っていたような気がする。
 ――――なのに

「ほら、散歩に行きましょうよっ!」

ぎゃしゃー  

 何故この子ライオンは、炬燵から出てこないのか。

*********************************************

 降りしきる雪の中、この家の人たちはそれでも仕事に出かけて行った。
 雪男に雪女、冬将軍にビックフット。
 どうやら、山田さんたちは雪の日と関連して出てくるそれらの都市伝説を退治しなければいけないらしい。
 つまり、家はいつものように無人。
 だから私もいつものように子ライオンの散歩、もとい障害物競争のためにやって来ていた。
 ……しかし、子ライオンが炬燵から出てこない。

「百獣の王が寒いからって炬燵の中に丸まってていいんですかーっ!?」

ぎしゃー

 子ライオンの身体を引っ張る私、炬燵から出まいと抵抗を続ける子ライオン。
 かれこれ一時間、私たちはこの無益な作業に徹していた。
 何だか心折れそうなこの状況に、しかし私は屈しない。
 私にはこの子ライオンを散歩に連れていく、という約束があるのだ。
 子ライオンが嫌がってたので出来ませんでした、なんて言い訳は出来ない。
 だから、引っ張る。

「ぬーっ!!」

ぎゃしゃー!

 子ライオンとの格闘。
 それは子ライオンが諦めるまで、決して終わることはない。

【終】



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