「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦編-03

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○月×日 20:20  3年生教室


「………っと」

 すたん、と魔女の一撃の契約者は、窓からそこに侵入した
 …あいつの知り合いが来たか、と小さく舌打ちする
 マッドガッサーやマリから聞いた遭遇情報、そして、以前、自分が支配型のコーク・ロアとそいつに操られている連中を叩きのめした時に見せてきたあの光
 自分とて、不意を打てばどうにかなるかもしれないが…厄介だ

「…まぁ、いい。今度顔を合わせたら…その時は、その時だ」

 あの場は、マリに任せてしまったが
 …もし、マリが負けて、あいつらがまたいたら
 その時は、自分が叩きのめす
 ただ、それだけだ

『オーイ、レンラクダゼェ!!』

 ----っぱ、と
 教室に設置されたテレビが、勝手に映像を映し出す
 発せられる声はスーパーハカーのもの
 放送室を乗っ取って、映像を送ってきているのだ
 そこに、映っているのは……正門を乗り越えてきている、「日焼けマシン」の契約者の姿
 時刻は…20分も前か

『モットハヤクツタエタカッタンダガ、オクレチマッタ、ワルイナ』
「いや、いい……今、あいつはどこに?」
『ニカイヲウロツイテルゼ。13カイダンノコウカハコイツアイテニャカイジョサレテル』
「…わかった」

 きゅう、と
 魔女の一撃の契約者は、口元に邪悪な笑みを浮かべた


 --あぁ、そうか
 お前も、来てくれたのか
 よぉし、わかった、ちゃんと、俺がお前を見つけてやる
 他の奴に見つからないよう、俺が傍にいてやるからな
 そうして……お前を裏切って、屈服させてやる


 教室を出て、彼はすぐに階段を駆け上がった
 捕えるべき獲物を探す、野獣の眼差しを浮かべて…





○月×日 20:20  小体育館


「……大丈夫、か?」
「もう問題ねぇ」

 ジャッカロープの乳で、ダメージを回復したマリ・ヴェリテ
 その姿を、「爆発する携帯電話」の契約者は心配そうに見つめていた
 ぴすぴす、鼻を鳴らしながら、ジャッカロープもマリを見あげる

「んな顔するんじゃねぇよ……生きている。でもって、こうやって傷を治したから、まだ戦える、それで充分だ」
「……だが……」

 --わかっているよ、畜生
 マリ・ヴェリテは小さく呟く
 こいつは、仲間が傷つく事を悲しんでいるのだ
 仲間の誰にも傷ついて欲しくない、そう考えているのだろう
 この状況では、そんな事は不可能だと、そうわかっていても
 それでも………こいつは、悲しいのだ

「とにかく、この階にいるのは危険だな」
「くけっ?」

 ひょい、と
 マリは、「爆発する携帯電話」の小柄な体を担ぎ上げた
 ジャッカロープを抱いたまま、「爆発する携帯電話」は首をかしげる

「二階まで連れて行ってやる。捕まってろ」
「………くけっ」

 小体育館から外に出て…マリは軽々とその屋根に飛び移り、そこから窓を開けて中へと侵入する
 「爆発する携帯電話」をそこで降ろし…辺りを見回す

「隠れていろよ」
「…わかった」

 マリは一人、駆け出す
 侵入者を見つけ次第……排除する為に





○月×日 20:30 食堂前


「…だぁれ?そこにいるのは」

 かけられた声に、Tさんたちは警戒を強めた
 ……かつん、と響き渡る、足音
 食堂らしき場所から…青年が、姿を現した
 ラフな服装をして、手にはコーラのペットボトルを持っている

「…だぁれ?君達は」

 青年は、そう言って首を傾げてきた
 年齢は…20代半ばから後半、といったところだろうか
 その割りには、話し方や仕草がやや子供っぽい
 酷く、アンバランスな印象を与えてくる

「名乗る時は、まず自分から名乗るものだと思うのだが」
「あ、それもそうだね」

 Tさんにそう言われ、青年は素直に答える

「僕はね、「組織」って言う所に所属している人間なんだ。君達も、こんな時間にこんな場所にいるって事は…そうなのかな?」
「…「組織」?」

 Tさんは、まだ警戒をとかない
 Tさんの契約者も、リカちゃんを抱いてやや警戒しているが…その視線は、青年が持っているコーラのペットボトルに注がれた

「…なぁ、Tさん、ひょっとして…」
「あぁ、あの黒服さんの担当している「骨を溶かすコーラ」の契約者かもしれない」
「……あ、あいつの知り合いなんだ」

 小声で話していたはずなのだが、どうやら聞こえていたようだ
 青年は、にっこりと笑ってきた

「君達が言っているのが、あのお人好しで慈悲深くて、とっても利用しやすい黒服のことなら、間違ってないんじゃないかな?」

 くすくすと青年は笑う
 ----ぞくり
 その笑みに、Tさんの契約者は悪寒のようなものを覚えた
 よくわからないが…何か、ヤバイ
 生物的な本能が、それを告げてくる

「黒服さんが、連絡がとれないと心配していたぞ?」

 同じような事を、Tさんも感じ取ったのだろう
 青年への警戒を、ますます強めた

 ----くすくすくすくすくすくすくすくすくすくす

 青年は、どんどんと笑みを深めていく

「あ、そうなんだ?…本当にお人好しだなぁ、あいつ」

 こぽっ、と
 聞こえてきた、小さな音
 見ると、何時の間にか、コーラのペットボトルの蓋が開いていた

「まぁ、とりあえず、君達はあいつの仲間なんだよね?………それじゃあ」

 ごぽりっ
 ペットボトルから、コーラが溢れ出す

「今は、僕の敵だね!」

 ごぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ
 螺旋状に、物理法則を無視して飛び出したコーラが、Tさんたちに向かって襲い掛かる

 -----防ぐ事ができれば幸せだ!!

 現れた光の壁が、襲い掛かるコーラを防いだ

「わぁ、凄い、そんな事ができるんだね」

 くすくす、笑いながら楽しそうに青年は告げてくる

「--っぶね!?っちょ、どうなってんだ!?」
「…様子がおかしいな。操られているのかもしれない」

 青年と距離をとりながら、Tさんはそう呟く
 確かに、青年の様子はおかしい
 狂気でも彩られたかのような笑みを浮かべている
 …微妙に狂気に侵されている点については実は普段からそうなのだが、青年の人となりをTさんたちは知らない為、そう考えるしかなかった
 結果的に、Tさんたちの判断は間違ってはいないから、問題はないのだが

 そう
 「骨を溶かすコーラ」と契約しているこの青年は、スパニッシュフライ契約者の支配能力で、操られている
 うわさの産物の店長と連絡をとっている姿を、もう一人…スパニッシュフライで操られているある人物に、見付かって
 気絶させられた後、スパニッシュフライを飲み込まされたのだ
 よって、今の彼は……マッドガッサー一味の邪魔をするものを、排除しようと動く
 たとえ、相手が誰であろうとも…
 ………いや、青年にとって、この世の誰よりも大切な双子の兄相手なら別だろうが
 とりあえず、大体の相手には容赦しないだろう


 くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす……


 暗闇の校舎に、どこか狂気に彩られた笑いが、響き渡った






○月×日 20:35  屋上


「…………」

 スパニッシュフライの契約者は、自分が操っている青年が、交戦状態に入った事を認識した
 やっぱり、捕獲しておいて正解だったようだ
 何となく怖いから、傍にいてほしくはないけれど

「………」

 ちらり、マッドガッサーに視線をやる
 マッドガッサーは、ガスの精製に集中している
 量が量だ、途中休憩を挟みつつ、長時間集中し続けなければならない
 かなりの負担だろう、彼が戦闘行為を行うのは不可能に近い

 …だから、こそ
 自分たちがどうにかしなければならないのだ

「…これ以上集まってこられちゃ、厄介よね」

 そう呟いて、スパニッシュフライの契約者は目を閉じ、集中する
 学校町中に放っているスパニッシュフライたちに…指令を出す

「さぁさ、私の可愛いスパニッシュフライたち、私の頼みを聞いて頂戴な……」

 口に出す必要はないのだが、癖で口に出し、その指令をスパニッシュフライ達に告げる


 邪魔なんてさせない
 邪魔なんて、させるものか


 ……そして
 マリが傷つく可能性を、少しでも低くして見せるのだ






○月×日 20:38 学校町 東区


 やぁ!俺の名前は御手洗便器!
 フリーの……じゃなくて、っつか、そんな自己紹介してる場合じゃねぇええええ!!!!!!!
 何だよこれ、何なんだよこれはっ!?

 こんな夜に、若が屋敷から外に出た姿を見たんで…しかも、何かこそこそしてたから、心配で後を付けようとしたら見失うし!?
 しかも!!
 何だ、この蝿の群れはぁあああああ!!??

 やかましい羽音を鳴らして、黒焦げたような姿をした蝿が、荒れ狂っている
 それに、俺は追いかけられていた
 やばい
 何か、やばい
 本能的に、危険を感じて

「うぉおおおおおお!!!???」

 夜の街中を、俺は一人、蝿の群れから逃げ回っているのだった








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