「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-11

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 秋祭り一日目、祭りの本会場である北区の神社に来ていた。

「そう気を張るな、いざという時までに疲れてしまうぞ」
 契約者はあちらこちらに目をやってはアレが怪しいとかコレが怪しいとか呟いている。
 正直危険人物にしか見えん。
「つってもさ~」
 契約者はこっちを振り返ると、
「黒服いっぱいだぜ? なんか怪しくね? 祭りなんだからせめてそういう格好しようぜ! とか思わね!?」
 とはいっても彼等の仕事は一応対≪夢の国≫であって祭りの運営はついでに過ぎないんだがな。
「あ、からおけたいかいなの」
 リカちゃんがイベント開催のポスターを指差す。どうも仮装大会やらカラオケ大会やらで契約者たちや都市伝説たちが多少暴れても祭りのノリということで大丈夫なようにしているらしい。
「うをおおおっし! 見に行くぞおぉぉぉぉぉ!」
 契約者はなぜかハイテンションでその会場を見に行ってしまった。まあ、しょうがない。元来あれは祭り好きだしな。
 周りを見まわしてみると、ものの見事な祭り会場だった。神社に来るまでの間も黒服や一般人が運営している出店をちらほら見たが、
「いい仕事だな。本当に」
 それが感想だった。
「あ、そうだ」
 一応この舞台の出資者にねぎらいと注意をしておかねば。と思い、携帯を取り出す。
 3コールで相手が出る。
「もしもし」
『なんだね?』
 電話の相手は赤い靴の契約者の父上だった。
「俺だよ俺俺、一応大丈夫だろうがあまり今回の裏事情については話してくれるなよ? 危ない目に遭いたくないだろ?」
 とりあえず脅し口調で注意から入る。
『わ、分かっている。それとその名乗り方はやめたまえ』
 意外にユーモアが分かる奴なのかも知れない。そう思いつつ今度はねぎらいの言葉をかける。
「ん、では。今回は無理を言って悪かったな」
『ふん、別にかまわん。娘も喜んでいるしな』
「そうなのか」
『ああ、なんでも視察に行くのだそうだ』
 若干うれしそうな声で言っている。将来自分を継ぐ人間にふさわしい言葉とでも思っているのだろうか。それとも単に娘好きなのだろうか。
『では私は忙しいので失礼する』
 ちょっと考え込んでいたら声をかけられた。
「ああ」
 じゃあ、と言って通話を切る。
「あの子も来るのか……」
 赤い靴には一応言っておいたんだが、大方契約者にごり押しされたのだろう。無事に三日間過ごしてくれればいいのだが、
 携帯をポケットにしまっていると人ごみの中から契約者とリカちゃんが出てきた。
「なんというか、濃かったな……」
「うぇいくあっぷ、ざひーろー♪」
 二人とも少し上機嫌だ。
「どうだったんだ?」
「うん、なんかこの前会ったはないちもんめの嬢ちゃんとか日本刀っぽいもの下げた兄ちゃんとその弟? っぽい男の子が歌ってたりしたよ」
 このまえのかごめかごめと契約してた兄ちゃんといい、日本刀が今年のトレンドなのかね? と契約者。
 違うと思うがまあ、日本刀はいいと思う。
 二人が言うにははないちもんめの契約者は妖しげな暗い歌、兄ちゃんと男の子は某特撮モノのオープニングを歌っていたらしい。感想としては、
 濃かった……
 らしい。
「む、それは見たかったな」
「うぉ~い」
 残念に思っていると横手から知ってる声に呼ばれた。
 振り向くと、そこには
「あ、情報屋さん」
 情報屋さんがいた。
「誰?」
「あー、」
 契約者の質問についついどうはぐらかすか考えようとする。あまり情報屋の存在などは知られたくはなかったのだが、昨日帰った時に隠し事はあまりするなと約束させられたばかりだ。正直に話しておく。
「懇意にしている情報屋さんだ」
 契約者は驚いた顔をすると情報屋に寄って行く。
「おー、Tさんがいつも世話になってたりする?」
「いやいや、上客でうれしいかぎりだよ。Tさんの契約者さん」
 祭りの雰囲気故なのかいきなり仲良くなっている。
「出店したのか」
 俺はそう声をかける、彼は祭りの出店の一つとして占い屋をやっているらしい。
 どうやってスペースを確保したのやら。
 情報屋さんは、
「儲かるし、情報提供もできるからな!」
 といい感じの儲けなのか上機嫌に語る。彼はそうそう、それでな? と言って手に持っていたペンを軽く掲げる。
エンジェルさん
 その声と共にオッサンが現れる。
「! なんだ? このおっさん」
 契約者が驚いている。
「エンジェルさんである」
 その彼の名乗りに、
「えー…………」
「なぜ不満そうなのだ」
「いや、別に」
 気持は分かるので何も言わない。それは情報屋さんも同じなようで深くうなずいている。彼はしばしそうした後、
「さて、それでさっきエンジェルさんが占ってくれてな? ≪夢の国≫は明日辺り動くらしいぞ」
 ずいぶんあっさりと重要情報をもたらしてくれた。
「そうか、分かった」
 明日か……
「だ、そうだ」
「つまり?」
 どうも要領を得ないような契約者にわかりやすく言ってやる。
「一日目は普通に遊べるんじゃないのか? ということだな」
 情報屋さんがすかさず注意を入れる。
「こんなオッサンの占いだからあまり信じるなよ~」
「何を言うか!」
「……なあ、Tさん」
「お兄ちゃん」
 ケンカを始めた情報屋をほっといて契約者もリカちゃんもこちらを見てくる。何か期待しているような視線。
 俺はため息を一つ吐き、
「そうだな。二日目はたぶん潰れるだろうし、三日目まで戦いがもつれこんだりしたらせっかくの秋祭りを楽しめないしな」
 それを聞くと契約者は満面の笑みになり、
「よし、まずはチョコバナナからだ!」
「はんばーぐうってるの」
「落ち着け、まずはイカ焼きからだ」
 屋台に突っ込んでいった。

 秋祭り一日目、太陽は南天に達しようとしていた。



          ●



 彼女は、≪夢の国≫の契約者は、薄暗闇の中にいた。
 そこを照らす光源は彼女の周囲にある物々しい機械群のみ。
 その機械群は周囲にもともと設置してあったであろう物に対して明らかに浮いていたが、その場に満ちる空気にはひどく似合っていた。
 満ちる空気は――何かを待ちわびる気配。
「もうすぐだね」
 機械に向けて彼女は言う。
「もうすぐだよ」
 今度は背後に振り返って嬉しそうに言う。
 その声に反応したように薄暗闇の奥の方から歓声じみた気配が漂ってきた。
「だけど、まだ、だめ」
 漂う気配にはやる意思を察したのか、彼女は立てた人差し指を唇に当て、シー、とジェスチャーする。
 歓声じみた気配はなりを潜め、再び周囲には何かを待ちわびるかのような気配が満ちる。
 それを見て彼女は彼等に説明する。
「今日は様子見なんだよ」
 だって、
「なんかいっぱい邪魔な人たちがいるんだもん」
 不満そうに言うと、彼女はでも、と表情を明るいものに変えた。
「大丈夫、明日こそ皆でお祭りに行こう? 王様もすぐに目覚めるよ」




 来るよ、来るよ、パレードが
 楽しい宴を、楽しい祭りを
 あなた方を≪夢の国≫へとご招待いたしましょう


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