○月×日 21:12 校舎外・二年生教室の傍
----ぶちぃっ!!
ローラーに引きずられる髪を、無理矢理引きちぎった
逆方向に髪を伸ばしていき……二階から三階への階段踊り場の窓に、引っ掛ける
しゅるり、そこまであがって……こつこつ、窓を叩いてやる
ローラーに引きずられる髪を、無理矢理引きちぎった
逆方向に髪を伸ばしていき……二階から三階への階段踊り場の窓に、引っ掛ける
しゅるり、そこまであがって……こつこつ、窓を叩いてやる
「っ!!」
そこにいた「13階段」が、音に気づいて慌てて振り返った
…そこにいる黒服Hの姿にさらに驚きつつも、窓を開けてくる
…そこにいる黒服Hの姿にさらに驚きつつも、窓を開けてくる
「いきなり窓叩いてくんな!」
「いやぁ、悪いな。ちょいと窓の外に叩きだされたもんで。同じ窓から入ってもっかい戦うのは勘弁」
「いやぁ、悪いな。ちょいと窓の外に叩きだされたもんで。同じ窓から入ってもっかい戦うのは勘弁」
しゅるり
髪を戻しつつ、窓から踊り場に入っていく
髪を戻しつつ、窓から踊り場に入っていく
「お前を力付くで窓の外に放り出せるだけの侵入者が来てるって事か?」
「おいおい、俺を買いかぶるなよ。俺は所詮「組織」の下っ端だ。大して強い訳じゃねぇんだぞ」
「嘘付け」
「おいおい、俺を買いかぶるなよ。俺は所詮「組織」の下っ端だ。大して強い訳じゃねぇんだぞ」
「嘘付け」
黒服Hの言葉を、「13階段」は即座に否定する
「あんた、黒服の中じゃあ戦闘力高い方だろうが」
「だから、買いかぶりすぎだっての。あの禿マ神と比べちゃあ、俺なんて足元にも及ばねぇ」
「あの規格外と比べんのが間違ってるだろ」
「だから、買いかぶりすぎだっての。あの禿マ神と比べちゃあ、俺なんて足元にも及ばねぇ」
「あの規格外と比べんのが間違ってるだろ」
じろり
「13階段」は、黒服Hを睨みつけた
「13階段」は、黒服Hを睨みつけた
「お前が本当に弱いんなら、「組織」の汚れ仕事を任せられる訳ねぇだろ」
「……あー、そう言や、お前さんには話してたんだったな。ちゃんと、他の連中には秘密にしてくれてるか?」
「……あー、そう言や、お前さんには話してたんだったな。ちゃんと、他の連中には秘密にしてくれてるか?」
にやり、黒服Hは悪びれた様子もなく笑う
…「組織」の汚れ仕事
裏切り者の始末、危険因子の暗殺
彼の直属の上司の命令さえあれば、彼は目標を確実に始末する
その気になれば徹底して冷酷になり、大量殺人すら辞さない
……それが、この黒服なのだ
…「組織」の汚れ仕事
裏切り者の始末、危険因子の暗殺
彼の直属の上司の命令さえあれば、彼は目標を確実に始末する
その気になれば徹底して冷酷になり、大量殺人すら辞さない
……それが、この黒服なのだ
「……っ、ちょいと骨がいかれたか……お前さん、蝦蟇の油持ってるか?」
「わけろってのかよ……しゃあねぇな」
「わけろってのかよ……しゃあねぇな」
ほらよ、と「13階段」は、黒服に小さな小瓶を投げ渡す
ぱしり、黒服はそれを受け取った
ぱしり、黒服はそれを受け取った
「「富山の薬売り」から奪った分か。ま、ありがたく使わせてもらう訳だが」
「…………おい」
「うん?」
「…………おい」
「うん?」
女装少年…いや、今は少女だが…との戦闘で負ったダメージを回復している黒服に
「13階段」はぼそり、尋ねる
「13階段」はぼそり、尋ねる
「お前、本当にスパニッシュフライに操られてるのか?」
「…あぁ、そうだよ?あの綺麗な黒髪ねーちゃんに、俺はメロメロだ。だからこそ「組織」の命令無視して、お前らと行動してるだろ?」
「…あぁ、そうだよ?あの綺麗な黒髪ねーちゃんに、俺はメロメロだ。だからこそ「組織」の命令無視して、お前らと行動してるだろ?」
笑いながら、黒服は肩をすくめてみせる
その黒服の言葉を、「13階段」は完全には信用しない
その黒服の言葉を、「13階段」は完全には信用しない
『気をつけろよ?俺は大嘘付きだからな?』
かつて「組織」に居た頃、この黒服が言った言葉を、「13階段」は忘れていない
そして
この黒服の持つ特殊な性質もまた、忘れてはいないのだ
そして
この黒服の持つ特殊な性質もまた、忘れてはいないのだ
「精神攻撃系には強いって自慢してた癖に、あっさりと操られたんだな?」
「いや、まさかあの時、お前の背後から、あんな美人なねーちゃんが出てくるとは思わなかった。油断してあっさりとスパニッシュフライを飲み込んだ。後悔はしていない」
「…………」
「いや、まさかあの時、お前の背後から、あんな美人なねーちゃんが出てくるとは思わなかった。油断してあっさりとスパニッシュフライを飲み込んだ。後悔はしていない」
「…………」
「13階段」は小さく舌打ちする
どうせ、本当の事など話つもりはないのだろう
どうせ、本当の事など話つもりはないのだろう
「まぁ、俺達の味方でいるって言うんなら、操られていようがいなかろうがどうでもいいけどよぉ……俺達の寝首を掻くチャンス狙ってるって言うんなら、容赦しねぇぞ」
「おぉ、怖い怖い」
「おぉ、怖い怖い」
くっく、と黒服Hは笑って、「13階段」に蝦蟇の油を投げ返す
治療は、終わったようだ
治療は、終わったようだ
「さて、適当に3階見回ってくるわ。その後また2階に下りとく」
「勝手にしとけ」
「勝手にしとけ」
黒服Hは笑いながら、「13階段」に背を向けて階段を登っていく
…13段目を踏んでも、「13階段」の能力は発動しない
一応、対象外に指定してくれているようだ
…13段目を踏んでも、「13階段」の能力は発動しない
一応、対象外に指定してくれているようだ
「……いやはや、校舎の敷地内全部カバーできるくらい能力が高まったか。ガキってのは知らないうちに成長するもんだね、まったく」
楽しげに楽しげに、黒服Hはそう呟いた
…さて、自分のする事は変わらない
自分はスパニッシュフライに操られているのだから、マッドガッサー達の計画を邪魔する奴らを、適当に無力化しておかないと
…さて、自分のする事は変わらない
自分はスパニッシュフライに操られているのだから、マッドガッサー達の計画を邪魔する奴らを、適当に無力化しておかないと
「……計画が成功したら…………………俺も…………」
ぽつり、呟かれた言葉は、校舎の闇の中へと、吸い込まれて、誰にも聞き取られる事はなかった
to be … ?