「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦編-12

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○月×日 21:18 屋上への階段


 派手にガラスが割れた音、そして、気配
 スパニッシュフライの契約者は弓を手に、屋上から三階へと降りていた
 まだ、どこにあの物体Gがいるかわからない以上、似非関西弁の彼女を降りさせる訳には行くまい
 と、言うか、そんな状況ではマッドガッサーが彼女を校舎内に入れないだろう

「…もう、羨ましいんだから」

 小さく苦笑する
 ……自分、だって、マリと
 一瞬そう考えて、その考えを振り切る
 自分では、マリには釣り合わないし……マリはきっと、恋愛と言うそういった方面には、興味はないだろう

 そんな事を考えていると…目の前に、人が飛び出してきた

 少女だ
 見覚えは、ない……いや、ある
 この少女が、男だった時を

 一瞬、あの時の恐怖が蘇りかける
 それを、スパニッシュフライの契約者はすんでのところで押さえつけた
 今、正気を失ってはいけない
 自分は、皆の役に立ちたいのだ
 マリの役に立ちたいのだ
 ここで、自分が使い物にならなくなってはいけない

 だから、今、すべき事は

「…あの時は、よくもやってくれたわね」

 弓を引く
 ッヒュン!と鋭い音をたて、その少女に向かって矢が放たれた

「っちょ、い、いきなり何を!?」

 しゅるり
 何かで矢の軌道を逸らし、少女はそれを避けた
 一瞬見えたのは…細い、糸のようなもの
 それが何の糸なのかは、考えない事にした
 精神衛生面的な意味で

「あの時の恨み、かしらね?」
「え、っちょ、私、初対面よ?」

 何を、ぬけぬけと
 再び、矢を手に取り、睨む

「しらばっくれるのね、悪い子」
「私に聞かれても知らないわよっ!とにかく、貴方が知ってるようだからちょっと話つけて来てっ!!」

 ----ドンっ!と
 少女に、変化がおきた
 その顔立ちは変わっていないはずなのだが、気のせいか顔つきが変わる

「…やっと身体の自由を取り戻したぜ。あの時はどうも」

 話し方も、がわりと変わった
 ……なるほど

「二重人格、って奴かしら?」
「ああ、小さい頃に色々あったもんでな」

 そう言って、少女は改めてスパニッシュフライ契約者に向き直る

「先に名乗っておこう。俺は糸井和弥だ。貴女は「スパニッシュフライ」の契約者ですよね?」
「……わかりきっている事を聞くのかしら?そして、私に答える義務はないのよ」

 構えは解かない
 そして、ちらり……こちらの様子を凝視してきている、隠しカメラに視線をやった

「っちょ、待ってくれ。戦いに来たんじゃない、ちょっとした目的があって来たんだ」
「…目的?」
「そうだ、目的は…------っ」

 ドンっ!と
 再び、少女の雰囲気が変わった
 人格がチェンジしたのだろう

「本来の目的は「身体を元に戻す事」だけど、私としては面白いからこのままでもいいと思ってるの。寧ろあなた方に協力さえしたいと思ってるわ」
「…協力?」
「えぇ、そうよ。ただ、和弥自身の生活もあるのよ。だから貴方達と「取引」したいの。内容は、「『条件』を満たしさえすれば、今後一切貴方とその仲間には手を出さない」と言うものよ」
「………」

 じっと、スパニッシュフライ契約者は少女を見据える
 …そして、近づいてきた気配を感じ取り…答える

「悪いけどね、取引には応じられないわ」
「あら、まだ条件を言ってないわよ?」
「駄目。取引、って言うのを持ちかけてくる奴にロクな奴がいるはずがない、って、マリもマッちゃんも言ってたもの」

 二人とも、そうやって「取引」してきた相手に裏切られている
 どうせ、「取引」なんてものを持ちかけてくる相手に、ロクな奴などいやしないのだ
 どうせ……こちらを利用するだけ利用して、裏切るに決まっている
 これ以上、二人を絶望させてなるものか

「それに、あなた、わかっていないんじゃない?ここは私達が篭城している場所…そこに、たった一人で乗り込んで、そんな「取引」を持ちかけるなんて…無防備すぎると思わない?」
「…無防備、ね。それはどうかしら?」

 しゅるるっ
 糸が、再び現れた
 窓から逃げるつもりか……だが

「捕まえて!!」
「はいよ、愛しのハニー」

 スパニッシュフライ契約者の声に帰ってきた返事
 少女の背後から、気配を消して近づいてきていた黒服の髪が……一瞬で、少女を絡めとった

「------っな!?」
「悪いねぇ」

 しゅるりしゅるり
 髪は、まるで触手のように不気味に少女に絡み付いていっている
 …何か、亀甲縛りみたいな絡みつき方をしている件についてはスルーしよう

「口をあけさせてくれる?」
「了解、ハニー」

 ぐ、と
 少女の口を、無理矢理開かせる

 ……ぶぅん

 一匹の黒こげた蝿が……少女の口内に、飛び込んだ
 ゴクリ、少女はそれを飲み込んでしまう

「さぁさ、これで、あなたも私の虜」
「-------ぁ」

 少女が、じっとスパニッシュフライ契約者を見やる
 支配が成立した
 しゅるり、少女は黒服の髪から解放される

「さぁさ、私達の手伝いをして?私達は世界を変えたいの。この街はその出発点」

 そうだ
 ここは、スタートラインなのだ

「もう、私のような目にあう女性もでなくなる。争いだってなくなるわ。マっちゃんのハーレム世界は素敵な世界よ?」
「うんうん、見事なパラダイスだ。俺はそのおこぼれをもらえれば嬉しい」

 しゅるしゅるしゅるしゅる
 不気味に髪を伸ばしつつ、頷いている黒服
 …「13階段」の知り合いらしいが、あんまり関わりあいたくないのは気のせいだろうか?

「それじゃあ、私は屋上に戻ってるから。頼んだわよ?」
「はいよ、ハニー。あんた達の所に襲撃者を行かせないぜ」
「任せて頂戴」

 黒服と少女が、三階の廊下を歩いていく
 少女は、割れた窓から外に出ようとしているようだ
 外に出て戦うつもりか、それとも、窓から別の階に移動しようとしているのか…まぁ、どちらでもいい

 …さて、駒がまた増えた
 自分達の目的を、絶対に邪魔させてなるものか
 決意を新たに、スパニッシュフライ契約者は屋上に戻っていったのだった



 …全ては、目的のために





to be … ?






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