「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦編-12a

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だれでも歓迎! 編集
○月×日 21:45 屋上


 気づいた
 気づいてしまった
 それは、何時の間にか屋上に現れていた

「---------ぁ」

 かさ
 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ
 それは、何時の間にか、すぐ傍までやってきていて
 じわり、じわり、近づいてきている

「………い、や」

 悪夢がフラッシュバックする
 幼い頃、大きな蜘蛛の巣に引っかかってしまった恐怖が

 ------あの時、中学生の時
 まるで、蜘蛛の巣に縫い付けられたかのように、押さえ込まれて
 無数に伸びてきた、男たちの手の、恐怖が

「な、何やのん!?この蜘蛛!?」
「あの時の蜘蛛使いか!?……って、やば!?」

 仲間達の声も聞こえない
 届かない
 ただ、彼女は……恐怖に、支配されて


「----っいやぁあああああああああああああ!!!???」


 ざわり
 彼女の、極限の恐怖が
 学校町中にバラまかれているスパニッシュフライ達に……感染した



○月×日 21;47

 やぁっ!俺の名前は御手洗便器………って、だからそれどころじゃねぇっつぅのぉおおおおおお!!!???
 っちょ、ヤバイマジでやばくないかこれは!?
 追いかけてくる黒こげた蝿が、何か物凄い勢いで暴れ出したぞおいぃいいいいい!!??
 羽音が激しくなってきたし動きも激しいぞおい!?
 そして、なおかつこっちを追いかけてくるという状況は変わらねぇええええ!!!???
 何だか、街中でこんな状況のようだし、どうなってんだ!?

「若ぁああ!!??どこにいらっしゃるんですかぁああ!!??」

 こんな状態の街中に若がいたらヤバイだろう!?
 黒こげた蝿に追われながらも、俺は若を探し続けた



○月×日 21:48 一年生教室

「----っ」

 ぴくり
 マリ・ヴェリテは、その悲鳴を確かに聞いた
 スパニッシュフライ契約者の、悲鳴を

「…くそ、何があったってんだよ…」

 よろり、立ち上がる
 まだ「爆発する携帯電話」と合流していないが…彼女の安全が、優先だ
 窓を出て、そのまま屋上に向かう
 そこでは

「嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌ぁああああああ!!!!!!!来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないでぇえええええええ!!!!」

 スパニッシュフライの契約者が恐怖に囚われ、座り込み、悲鳴をあげ続けている
 かさかさ、かさかさ
 彼女の周りには、無数の蜘蛛が這い続けていて

「くっそ!どれだけいやがるんだ!?」
「それでも、大分潰したはずやけど……っ」

 マッドガッサーと似非関西弁の女性が、屋上に集まっていた蜘蛛を潰していっている
 大分減らしてきてはいるが、それでも、スパニッシュフライ契約者の恐怖は晴れない
 怯え、悲鳴をあげ続けて

 -------泣いている

(……あぁ、畜生、泣くなよ…)

 いい女が、台無しじゃねぇか

「マリ!?お前、まだ治療が終わってないだろ!?」
「あ、あかん!そないに動いたら…っ」

 知るか
 左足を引きずりながら、蜘蛛を潰しながら、スパニッシュフライの契約者に近づく
 耳を塞ぎ、目を閉じ、恐怖に怯え続ける、その体を

「……いい、から……落ち着け」

 残っていた左腕で、抱き寄せる
 ぴくり、と
 その体が、腕の中で震えた

「……マ、リ…?」

 涙に濡れた両目が、見あげてくる
 その顔を無理矢理胸元に押し付けてやった

「見るな…お前の嫌いなもんは、全部…無くして、やるから」

 お前を泣かせるものなんざ、全部潰してやる
 壊してやる
 だから

「……だから、泣くな」
「マリ…………マ、リ?」

 ……そして 
 スパニッシュフライの契約者は、気づいた
 マリの右腕が損失している事に
 左足も、酷い負傷をしている事に
 …それだけじゃない
 全身に、無数の切り傷が、刻み込まれていた

「マリ…っ、マリ、マリ!?そんな、酷い傷………っ」
「…大した事、ねぇよ…あの狂信者連中に、実験されてた頃に、比べりゃあ…」

 そうだ
 こんな怪我など、どうでもいい
 こんな怪我、どうせ自分は都市伝説だ、どうにかなる
 だから……自分は、どうでもいい

 それよりも、泣くな
 頼むから、泣かないでくれ
 泣いてる顔なんざ、お前に似合わない

「泣くな……いいから、すぐ、治るから…」
「マリ……ッマリ、やだ、マリ、マリ……!」

 子供のように、マリ・ヴェリテにすがりつくスパニッシュフライの契約者
 蜘蛛を粗方潰し終えたマッドガッサーが、急いで「蝦蟇の油」を取り出した

「とにかく、治療だ!少し大人しくしておけよ!」
「「蝦蟇の油」も、体の損失も治癒できるはずやったよな?ありったけ使えばなんとか…!」

 傷だらけのマリの治療を開始する二人
 その間も、スパニッシュフライの契約者は、マリにすがり付いて泣き続けていた


 過去の恐怖からは解放された
 しかし、マリの傷ついた姿に、今度は別の恐怖が生まれていた

 大切な仲間を失うかもしれない恐怖
 愛しい相手を失うかもしれない、恐怖が


 失いたくない
 死んで欲しくない
 ----もう、傷ついて欲しくない


 マリ・ヴェリテに抱きついたまま、スパニッシュフライ契約者は、ただただ、泣き続けるのだった



to be … ?


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