○月×日 21:37 クラブハウス・武道場
-----くっくっく、と
暗い、暗い笑い声が響く
魔女の一撃の契約者は、ゆっくりと「日焼けマシン」の契約者から、体を離した
「日焼けマシン」の契約者を庇うかのような位置に立ち…低く、呟く
暗い、暗い笑い声が響く
魔女の一撃の契約者は、ゆっくりと「日焼けマシン」の契約者から、体を離した
「日焼けマシン」の契約者を庇うかのような位置に立ち…低く、呟く
「…あぁ、そうかよ。皆俺の邪魔をするのかよ……皆、そこの黒服のように…俺と、こいつを引き裂くのかよ」
まるで、地の底から響くかのような、暗い声
その声に、かすかに黒服が動揺した
ーーー大学受験のあの日、自分が事件に巻き込んだせいで、「日焼けマシン」の契約者と魔女の一撃契約者が共に同じ大学に行く邪魔をしてしまった
その自覚が、彼にはある
そして、もしかしたら…それが、魔女の一撃の契約者の、今回の行動の理由の一つなのではないか?
そう、薄々感じ取ってしまっていたから
その声に、かすかに黒服が動揺した
ーーー大学受験のあの日、自分が事件に巻き込んだせいで、「日焼けマシン」の契約者と魔女の一撃契約者が共に同じ大学に行く邪魔をしてしまった
その自覚が、彼にはある
そして、もしかしたら…それが、魔女の一撃の契約者の、今回の行動の理由の一つなのではないか?
そう、薄々感じ取ってしまっていたから
「……あぁ、でも、駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!ぜんっぜん駄目だな!!」
ざわり
魔女の一撃契約者から…殺意が、溢れ出した
戦い慣れしていない人間ならば……否、戦い慣れした者でも
殺意を向けられ慣れている者ですら、威圧されかねないほどの、強烈な殺意
押さえ込まれた状態から解放され、逃げ出そうとしていた「日焼けマシン」の契約者が、幼馴染の変貌ぶりに一瞬、動きを止めてしまうほどの
魔女の一撃契約者から…殺意が、溢れ出した
戦い慣れしていない人間ならば……否、戦い慣れした者でも
殺意を向けられ慣れている者ですら、威圧されかねないほどの、強烈な殺意
押さえ込まれた状態から解放され、逃げ出そうとしていた「日焼けマシン」の契約者が、幼馴染の変貌ぶりに一瞬、動きを止めてしまうほどの
「お前達には!嫉妬も!!覚悟も!!!まったく足りゃしねぇんだよっ!!」
魔女の一撃契約者が、構えた
随分と強気な様子で、まるで、一同を見下しているかのように…
随分と強気な様子で、まるで、一同を見下しているかのように…
「-----やばっ!?」
全ての感覚が超人的に強化されているが故に…真っ先に、厨2病が、その危険性に気づいた
直後、魔女の一撃契約者は、両拳をあわせて突き出し……その先から、強大な「気」を放つ!
強烈な光を伴って放たれたそれは、畳を抉りながら厨2病に、Tさんに、そして黒服に襲い掛かる
直後、魔女の一撃契約者は、両拳をあわせて突き出し……その先から、強大な「気」を放つ!
強烈な光を伴って放たれたそれは、畳を抉りながら厨2病に、Tさんに、そして黒服に襲い掛かる
----ぱぁんっ、と
何かが砕ける音がして、瞬間的に結界が張られた
それが、辛うじてその攻撃を打ち消す
光が消えた時…そこには、呆然としている「日焼けマシン」の契約者だけが、いて
何かが砕ける音がして、瞬間的に結界が張られた
それが、辛うじてその攻撃を打ち消す
光が消えた時…そこには、呆然としている「日焼けマシン」の契約者だけが、いて
魔女の一撃の契約者は、どこに?
「………っ」
ぞくり、感じた悪寒
黒服は先ほど使った物と同じパワーストーンの力を発動させた
ぱぁんっ、とパワーストーンは即座に砕けて……何時の間にか背後に回っていた魔女の一撃契約者の姿に、ようやく気づく
黒服は先ほど使った物と同じパワーストーンの力を発動させた
ぱぁんっ、とパワーストーンは即座に砕けて……何時の間にか背後に回っていた魔女の一撃契約者の姿に、ようやく気づく
「-黒服さんだけを避けてくれたら、幸せだっ」
そう呟きながら、Tさんが魔女の一撃契約者に攻撃を放った
しかし、幽霊のような構えをとった魔女の一撃契約者の姿は…すぐに、ふっと消えてしまう
しかし、幽霊のような構えをとった魔女の一撃契約者の姿は…すぐに、ふっと消えてしまう
ばんっ!!と
自分が立っていた畳がひっくり返された事を、黒服は自覚した
その衝撃で、体が宙へと放り出される
ひっくり返された畳は、Tさんの攻撃を逸らし、その軌道を変えてしまい、魔女の一撃の契約者には届かない
黒服は受身を取りきれずに、その体を強かに畳に打ちつけた
その黒服に、魔女の一撃契約者は追撃を加えようとしている
まるで、真っ先にこの黒服を殺そうとしているかのように
自分が立っていた畳がひっくり返された事を、黒服は自覚した
その衝撃で、体が宙へと放り出される
ひっくり返された畳は、Tさんの攻撃を逸らし、その軌道を変えてしまい、魔女の一撃の契約者には届かない
黒服は受身を取りきれずに、その体を強かに畳に打ちつけた
その黒服に、魔女の一撃契約者は追撃を加えようとしている
まるで、真っ先にこの黒服を殺そうとしているかのように
「俺を無視するんじゃねぇっ!"虚空の弾丸拳"!!」
「っく!?」
「っく!?」
がっ!!と
厨2病が繰り出した超高速の拳を、魔女の一撃契約者は受け止めた
通常ならば、人間など受け止めきれぬはずのその技を…両手を使って、受け止めたのだ
厨2病が繰り出した超高速の拳を、魔女の一撃契約者は受け止めた
通常ならば、人間など受け止めきれぬはずのその技を…両手を使って、受け止めたのだ
「…てめぇから、殺されてぇかぁっ!!」
「うわっ!?」
「うわっ!?」
ぶんっ!と
受け止めたその拳を逆に掴み、魔女の一撃契約者は、厨2病の体を振り回し、畳の上に叩き付けた
受け止めたその拳を逆に掴み、魔女の一撃契約者は、厨2病の体を振り回し、畳の上に叩き付けた
先ほどまで、まるで幽霊のように気配が消えていた魔女の一撃契約者
しかし、今度は爆発的に、その気配が強くなる
威圧感すら感じさせる、強烈な気配
しかし、今度は爆発的に、その気配が強くなる
威圧感すら感じさせる、強烈な気配
だが、それに威圧されている暇は無い
黒服は急いで体勢を立て直し、「日焼けマシン」の契約者に向かって駆けた
己が優先すべきことは、「日焼けマシン」の契約者の身の確保
体を起こし、下着ごとずり下げられていたジーンズを慌てて戻していた「日焼けマシン」の契約者の傍に、ようやく辿り着く
服を破かれた事によって露出している胸元を隠してやるように、己の上着を羽織らせる
黒服は急いで体勢を立て直し、「日焼けマシン」の契約者に向かって駆けた
己が優先すべきことは、「日焼けマシン」の契約者の身の確保
体を起こし、下着ごとずり下げられていたジーンズを慌てて戻していた「日焼けマシン」の契約者の傍に、ようやく辿り着く
服を破かれた事によって露出している胸元を隠してやるように、己の上着を羽織らせる
「…遅くなってしまって、申し訳ありません」
「……っくろ、ふく」
「……っくろ、ふく」
泣き出しそうな顔で、黒服を見あげる「日焼けマシン」の契約者
羽織らせた上着の間から覗く肌にぽつぽつと浮かぶ赤い痕が、魔女の一撃契約者に何をされていたのかを、生々しく物語っている
羽織らせた上着の間から覗く肌にぽつぽつと浮かぶ赤い痕が、魔女の一撃契約者に何をされていたのかを、生々しく物語っている
「---っそいつから、離れろ!」
「日焼けマシン」の契約者を奪われた事を悟り、魔女の一撃契約者がそちらに向かおうと…
「流星・ブラボー脚!!」
「っ!?」
「っ!?」
どごぉんっ!!
何時の間にか武道場に到着していた姫さんの攻撃が魔女の一撃契約者に襲い掛かった
ギリギリでその攻撃を避けた魔女の一撃契約者に向かって
何時の間にか武道場に到着していた姫さんの攻撃が魔女の一撃契約者に襲い掛かった
ギリギリでその攻撃を避けた魔女の一撃契約者に向かって
「やっちゃえ!!」
ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう
はないちもんめの能力で操られた鼠たちが、魔女の一撃契約者に殺到しようとする
はないちもんめの能力で操られた鼠たちが、魔女の一撃契約者に殺到しようとする
----------が
「……うちゅ!?」
「ちゅちゅ!?ちゅちゅちゅっ!?」
「………え?」
「ちゅちゅ!?ちゅちゅちゅっ!?」
「………え?」
鼠は、ある距離まで近づきながらも…しかし、それ以上は魔女の一撃契約者に近づかない
否、近づけない
魔女の一撃契約者の威圧感に、鼠たちは本能的な恐怖から、近づく事すら、できていない
否、近づけない
魔女の一撃契約者の威圧感に、鼠たちは本能的な恐怖から、近づく事すら、できていない
「…あぁ、畜生。邪魔なんだよ、てめぇら。どいつもこいつも…俺が、あいつの隣に立つ邪魔をしてぇのか」
「それが真っ当な手段であるならば、邪魔などしないさ」
「それが真っ当な手段であるならば、邪魔などしないさ」
武道場前に到着した己の契約者に、危ないから中に入らないよう言いながら、Tさんは魔女の一撃契約者を軽く睨む
「だが、お前さんが選んだ手段は間違っている。間違っている事ならば、正さねばならないだろう」
「……違う、俺は、間違ってなんかいない」
「……違う、俺は、間違ってなんかいない」
Tさん、厨二病、姫さん
三人に囲まれながらも、魔女の一撃契約者は一歩も引く様子を見せない
その表情は、どんどん暗く……狂気を帯びていっている
三人に囲まれながらも、魔女の一撃契約者は一歩も引く様子を見せない
その表情は、どんどん暗く……狂気を帯びていっている
「あいつを護れるのは俺だけだ、あいつを護っていいのは俺だけだ。あいつを傷つけるのは許さない、悲しませるのは許さない。あいつの隣に立っていたいあいつの隣に立つのが許されるのは俺だけだっ!!」
話す内容が、支離滅裂になってきている
狂気に囚われ、その主張の筋も正当性も、最早意味をなさなくなってきている
己の発言が己の行動と矛盾している事に、彼は気付いていない
狂気に囚われ、その主張の筋も正当性も、最早意味をなさなくなってきている
己の発言が己の行動と矛盾している事に、彼は気付いていない
「…あんた、チャラい兄ちゃんの友達なんだろ!?大事な親友だって、言ってたじゃねぇか!!」
武道場の入り口からひょこり、顔を出して…Tさんの契約者が、叫んだ
…くるり、そちらに狂気に染まった暗い表情を向けて、魔女の一撃契約者は笑う
…くるり、そちらに狂気に染まった暗い表情を向けて、魔女の一撃契約者は笑う
「……あぁ、そうだよ。俺の大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な、唯一の親友さ」
「じゃあ、どうして…」
「-----先に俺を裏切ったのは、あいつだ!」
「じゃあ、どうして…」
「-----先に俺を裏切ったのは、あいつだ!」
魔女の一撃契約者の叫びに、「日焼けマシン」の契約者がぴくり、体を跳ねらせた
己を囲む三人を前に強行突破を試みながら、魔女の一撃契約者は叫ぶ
己を囲む三人を前に強行突破を試みながら、魔女の一撃契約者は叫ぶ
「あの日…あいつが!俺じゃなくてその黒服を選んだから!!俺の隣から、いなくなったからっ!!」
その両手が、Tさんの喉下を狙う
かすかにTさんの体が白い光で覆われて、それを防いだ
かすかにTさんの体が白い光で覆われて、それを防いだ
「…っあいつが!都市伝説の事を隠し続けていたから!!!俺はあいつの隣に立てなくなったんだ!!」
ふっ、と魔女の一撃契約者の姿が消えて…出現したのは、姫さんの足元
足元を掬い、体勢を崩したそこを強行突破しようとして、しかし、武道場に入り込んだ妹ちゃんの結界能力で拒まれ、舌打ちする
足元を掬い、体勢を崩したそこを強行突破しようとして、しかし、武道場に入り込んだ妹ちゃんの結界能力で拒まれ、舌打ちする
「あいつが……都市伝説の事を話してくれていれば!もっと早く、都市伝説と契約していた!強さであいつに置いていかれることも、負ける事もなかった!!……ずっと」
一瞬
その表情から、狂気が消えて
寂しさを押し殺しているような…そんな、表情になって
その表情から、狂気が消えて
寂しさを押し殺しているような…そんな、表情になって
「--そうすれば、俺が…あの頃と変わらずに、ずっと、あいつを護ってやれたのに」
しかし、その表情は再び、一瞬で狂気に染まった
暗い眼差しが、一同を見下すように、見回して
暗い眼差しが、一同を見下すように、見回して
「っらぁ!!」
再び放たれた、気の力
しかし、それははじめに放たれたそれよりは小さくて…妹ちゃんの結界に、全てかき消された
しかし、それははじめに放たれたそれよりは小さくて…妹ちゃんの結界に、全てかき消された
「…八つ当たりじゃないですか、ほとんど」
「ガキに、何がわかる!」
「わかりたくもないわね」
「ガキに、何がわかる!」
「わかりたくもないわね」
私は子供でもないんですが、と呟く妹ちゃんと、鼠を振り回し続けてながらも魔女の一撃契約者を睨むはないちもんめ
魔女の一撃契約者は、完全に包囲されている
だが、この絶対的に不利な状況でも、魔女の一撃契約者は戦いをやめようとしない
「日焼けマシン」の契約者を屈服させる、ただ、その目的の為だけに
魔女の一撃契約者は、完全に包囲されている
だが、この絶対的に不利な状況でも、魔女の一撃契約者は戦いをやめようとしない
「日焼けマシン」の契約者を屈服させる、ただ、その目的の為だけに
「あぁ、もう、焦れってぇな!"岩漿の……」
「----っそいつを殺さないでくれ!!」
「----っそいつを殺さないでくれ!!」
炎をまとった巨大な槌の子を召喚し、一気に決めようとした厨2病に、「日焼けマシン」の契約者はそう叫んで、制した
その言葉に、厨二病の言葉が、止まる
その言葉に、厨二病の言葉が、止まる
「…おや、嬉しいな……まだ、俺を親友だと思ってくれているのか?」
くっく、と笑いながら、魔女の一撃契約者は「日焼けマシン」の契約者を暗く見つめた
黒服に庇われるように立ちながらも…「日焼けマシン」の契約者は、じっと、魔女の一撃契約者を見つめていた
黒服に庇われるように立ちながらも…「日焼けマシン」の契約者は、じっと、魔女の一撃契約者を見つめていた
「お前には…都市伝説に、関わって欲しくなかった」
「まだ……言うか」
「まだ……言うか」
ゆらり
魔女の一撃契約者の体が、憎悪に揺れた
小さく首を振りながら、「日焼けマシン」の契約者は続ける
魔女の一撃契約者の体が、憎悪に揺れた
小さく首を振りながら、「日焼けマシン」の契約者は続ける
「都市伝説と関わる事は…契約、する事は、特にこの学校町じゃあ、いつ危険に巻き込まれるかわからない、いつ、命を狙われるかもわからない、そう言う事だから。お前に、そんな危険な目にあってほしくなかった!」
「---何を、今更」
「---何を、今更」
くっくっく、と魔女の一撃契約者の笑いは暗く、暗く、どんどんと狂気を濃くしていっている
それでも、「日焼けマシン」の契約者は、視線を逸らさない
…友を引き戻そうとするかのように、真正面から魔女の一撃契約者を見詰めている
それでも、「日焼けマシン」の契約者は、視線を逸らさない
…友を引き戻そうとするかのように、真正面から魔女の一撃契約者を見詰めている
「……?」
…ふと
Tさんは、気づいた
--っぽ、と
一瞬、魔女の一撃契約者の胸元に…黒い、染みが現れたような…?
Tさんは、気づいた
--っぽ、と
一瞬、魔女の一撃契約者の胸元に…黒い、染みが現れたような…?
「…どうか、教えてくれませんか?何故、あなたはこの子に、裏切られたと感じたのですか?」
黒服も、同じ事に気づいたようだった
銃に手を添えたまま…黒服は、魔女の一撃契約者に尋ねる
銃に手を添えたまま…黒服は、魔女の一撃契約者に尋ねる
--どろり
黒い気配が、魔女の一撃契約者の…内側に、生まれる
黒い気配が、魔女の一撃契約者の…内側に、生まれる
「そいつが…俺よりも、お前を、黒服を…選んだから。あの時、俺の傍よりも、お前の傍を選んだから」
「あの時、この子はすぐにあなたの元に戻るつもりでしたよ。一緒に、受験を受ける気でいましたよ…はじめは」
「ほら、やっぱり、すぐに俺よりもお前を…」
「あなたを護るために、戻る事ができなくなったんです」
「あの時、この子はすぐにあなたの元に戻るつもりでしたよ。一緒に、受験を受ける気でいましたよ…はじめは」
「ほら、やっぱり、すぐに俺よりもお前を…」
「あなたを護るために、戻る事ができなくなったんです」
ぴくり
動揺したように、魔女の一撃契約者の体が震えた
黒服は、ゆっくりと、言い聞かせるように続ける
動揺したように、魔女の一撃契約者の体が震えた
黒服は、ゆっくりと、言い聞かせるように続ける
「…三年前。とある大学の受験会場を、凶悪な都市伝説が餌場に選びました。「組織」ではその都市伝説を討伐しようとしたのですが、予想外の強さに手間取り、そのままでは受験会場まで入り込まれようとしていました」
…そこに
この、「日焼けマシン」の契約者が来たのだ
はじめは、こちらで何とかするから、受験会場に戻るように言った
しかし、「日焼けマシン」の契約者は、退こうとはしなかった
この、「日焼けマシン」の契約者が来たのだ
はじめは、こちらで何とかするから、受験会場に戻るように言った
しかし、「日焼けマシン」の契約者は、退こうとはしなかった
『俺のダチも来てるんだ!絶対に会場に入り込ませるかよ!!』
「日焼けマシン」の契約者は、己の受験よりも、親友を護る事を選んだのだ
…実際、「日焼けマシン」の契約者が協力してくれたお陰で、その都市伝説の討伐に成功し…受験会場で惨劇が起こる事は、なかった
…実際、「日焼けマシン」の契約者が協力してくれたお陰で、その都市伝説の討伐に成功し…受験会場で惨劇が起こる事は、なかった
「あなた達が小学生の頃巻き込まれた事件の時も、この子は、あの事件があなたにとってトラウマにならないよう、記憶を消去するよう頼んできたのです…あなたの、為に」
「………っ」
「………っ」
魔女の一撃契約者の動揺が、大きくなる
---どろり
彼の内側の気配が、強くなる
「ちが、う、そいつは……自分だけ、力を手に入れて……俺を、見下して……っ」
「そうとは思えないけど」
「そうとは思えないけど」
姫さんが、いつでも攻撃できるよう構えつつ、そう口にする
「日焼けマシン」の契約者はこの状態でなお、魔女の一撃契約者を心配しているのだ
…都市伝説と関わってしまった親友を気遣っている
「日焼けマシン」の契約者はこの状態でなお、魔女の一撃契約者を心配しているのだ
…都市伝説と関わってしまった親友を気遣っている
「…そいつ、は……俺よりも、その、黒服を選んで…」
「家族として、選んだかもしれん……だが、「日焼けマシン」の青年にとって、親友はお前さんだけのようだぞ」
「家族として、選んだかもしれん……だが、「日焼けマシン」の青年にとって、親友はお前さんだけのようだぞ」
----どろり、どろり
黒い気配が大きくなる
ぽっ、ぽっ……と、黒い染みが、大きくなっていく
ぽっ、ぽっ……と、黒い染みが、大きくなっていく
「ほとんど、お前の思い込みと勘違いなんじゃないのか?」
厨2病が、そう疑問の言葉を投げかけて
「----っ」
それ以上、聞きたくないとでも言うように、魔女の一撃契約者は耳をふさいだ
どろり、どろり、どろり、どろり
魔女の一撃契約者の胸元に現れた染みは大きく、大きくなり…その場にいる全員がそれに気づくほどになる
「ちが、う、違う違う違う違う違う違う。あいつは俺を裏切って、ち、がう、あいつが俺を裏切るはずが無い。あいつは俺の親友で、あいつも俺を親友と言ってくれて……」
『----イイヤ、オ前ハ裏切ラレタノサ』
『----イイヤ、オ前ハ裏切ラレタノサ』
誰のものでもない
第三者の声が、響いた
第三者の声が、響いた
『オ前ハ親友ニ裏切ラレタ。ホラ、憎イダロ?憎タラシイダロ?』
「……にく、い……」
『憎タラシイケド、大切ナンダロウ?ダガ、憎タラシイカラ…負カシタイダロ?屈服サセタイダロ?手ニ入レタイダロ?』
「…屈服させてやる、俺の傍に置いて、ずっと護ってやる……」
「……にく、い……」
『憎タラシイケド、大切ナンダロウ?ダガ、憎タラシイカラ…負カシタイダロ?屈服サセタイダロ?手ニ入レタイダロ?』
「…屈服させてやる、俺の傍に置いて、ずっと護ってやる……」
ゆらり
響く声に動かされるように、虚ろな眼差しで魔女の一撃契約者は「日焼けマシン」の契約者を、見つめる
響く声に動かされるように、虚ろな眼差しで魔女の一撃契約者は「日焼けマシン」の契約者を、見つめる
「…な、何よ、これ。まさか、多重契約者…」
「いえ…違い、ます」
「いえ…違い、ます」
はないちもんめの疑問の声に…妹ちゃんが、答える
「あれは、あの黒い染みは…都市伝説、ですが、彼と契約してはいません」
どろりどろりどろりどろりどろりどろりどろりどろり
魔女の一撃契約者の内側から染み出た黒い染みが、生き物の形を作り出す
それは、真黒な蛇となって……魔女の一撃契約者に、絡みついた
それは、真黒な蛇となって……魔女の一撃契約者に、絡みついた
『ホラ、憎インダロ!!アイツヲ屈服サセタインダロウ!!ソレジャア、他ハミンナ邪魔者ダ!!殺セ!殺シテマエ!!』
「---あぁ、そうだ。邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ!!みんな邪魔なんだよ!!俺があいつの隣に立つ事を邪魔する奴なんざ、みんな死んでしまえっ!!」
「---あぁ、そうだ。邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ!!みんな邪魔なんだよ!!俺があいつの隣に立つ事を邪魔する奴なんざ、みんな死んでしまえっ!!」
狂気と殺意が膨れ上がる
黒い蛇は、どこか楽しげに魔女の一撃契約者に絡みつき、その耳元で囁き続けている
黒い蛇は、どこか楽しげに魔女の一撃契約者に絡みつき、その耳元で囁き続けている
「あれは……彼に、とり憑いています……!」
漆黒の蛇は魔女の一撃契約者の耳元で囁き続ける
そう、その囁きは、まるで
そう、その囁きは、まるで
『邪魔者ヲ殺セ、アイツヲ屈服サセテヤレ!犯シテ犯シテ犯シ尽クシテ、一生離レラレナクシテヤレ!!』
ーーーー悪魔の囁き、そのものだった
to be … ?