「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-03

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匿名ユーザー

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「ひゃーーーっはぁーーーーっ!!」

 馬鹿笑いが、体育館に響き渡る
 あぁ、畜生め
 夢抱いた高校生活、そのはじめの一週間の内にこんなのアリか畜生め!!

「頑張れよー、青少年ー」
「あんたも少しは協力しろやぁああ!!」
「あー、無理。ここ、俺が契約した連中のテリトリーじゃないんで」
「こっちだって、花子さんのテリトリーと違うわぁああああ!!!」
「け、けーやくしゃ、上!上から襲ってくる!!」

 花子さんの声に、俺は慌てて、転がるようにその攻撃を避けた
 っが!!と、そいつの脚が体育館の床を蹴り破る
 大きな赤っ鼻、顔全体を覆う奇抜なメイク、派手派手な衣装
 ふざけた格好の癖に…強い!

「さぁさ、みなさん、ご一緒にぃ……!」

 ピエロが狂った笑いを浮かべる
 っぴょん、っぴょん、と
 トランポリンの上で跳ねているかのように、軽快なジャンプを見せるピエロ
 っぴょん、っぴょん
 ジャンプは、だんだん高くなって

「1,2,3のぉ………ピエロォ!!!」

 っだん!!!と
 都市伝説「1,2,3のピエロ」は、体育館の天井付近まで、一気に飛び上がった!


 …時は、本日の放課後に遡る

「お前、契約してるな?」
「………はい?」

 高校生活が始まって、初めての理科室掃除当番
 ゴミ捨ての役目を押し付けられてしまい、理科室に戻ったら他の連中とっくに帰ってやがる
 これからの生活にやや不安を感じていた時、そう、声を駆けられた
 もう既に何度か授業を受けている、化学の教師だ
 授業の時と同じ白衣姿のその教師が、眠たそうなその眼差しで俺を真正面から射抜きながら、そう言って来た

「何の事です?」
「あ~、とぼけなくていい」

 ひらひらと、教師が手を振って見せた
 ……ッカタ
 何か、軽いものが動いた音もする

「俺も、同類なんだわ、これが」
「……っへ?」

 カタンっ
 音に、振り返ると

『どうも~』
『あ、あのあの、は、はじめまして』

 目の前にやってきていた、人体模型と白骨標本のどアップに
 っふ、と俺は意識を失ったのだった


「いや~、悪い悪い。ちょっとした挨拶代わりだったんだが」
「最高に心臓に悪いわっ!」

 目の前にあんなもんがどアップできたら怖いわっ!!
 人体模型も白骨標本も、高校に入ってから初めて見たんじゃ
 最近の小中学校舐めんな、そんなもん置いてないとこの方が多いんだぞっ!
 しばらく夢に見るわこらぁ!!!

「けーやくしゃ、あんまり怒っちゃ駄目なの」

 なでなで
 俺が気絶したのを感じ取って駆けつけてくれた花子さんが、俺の頭を撫でてくる
 …花子さんや、お前が年上だとわかっていても、これは絵的に情けないものがあるのだが
 都市伝説との契約
 それをした人間が、俺以外にもいる事は知っていたが…実際、顔を合わせるのははじめてだ
 目の前にいるこの化学教師もまた、都市伝説と契約した人間だった
 …それも、「二つ」の都市伝説と

『御免なさい御免なさい。私のせいでびっくりさせちゃって御免なさい!!』

 おろおろおろ
 白骨標本が乙女ちっくに内股で口元に手を持っていっている光景は、シュールでしかない

『まぁ、そのうち慣れますわな。ほれほれ、わての内臓、いい色してるやろー』

 人体模型が、似非関西弁を話しながら内蔵見せ付けてくる光景もシュー…
 ……いや、グロイわっ!!
 やめんか夢に出るっ!!
 人体模型も白骨標本も、動き出す系の学校の怪談がよくある
 恐らく、この化学教師がこれら二つの都市伝説と契約したのも、類似系の都市伝説であるからだろう
 そのせいで、二重契約しやすかったのだ
 それを考えると、俺もトイレの怪談系であれば、二重三重契約も可能なのかもしれない
 俺は今のところ、花子さん以外と契約する気はさらさらないが

「ま、とりあえず細かい話は後だ。わりと緊急事態ってか、早めに解決したいんで」
「…どう言う意味です?」
「ぶっちゃけると、体育館に関係してる都市伝説と契約してくれてるとありがたかったんだが…そうも言ってられん」

 嫌な予感、MAX
 だが、都市伝説と契約している身として、断るわけにもいかない事情のような気がした

「……『1,2,3のピエロ』って知ってるか?」


 ピエロが跳ねる、ぴょんぴょん跳ねる
 トランポリンでジャンプして、高く高く跳ね回る
 体育館に集まった子供たちの笑顔を前に、ピエロはたかぁくたかぁく跳ねる
 さぁさ、これが最後のジャンプ
 さぁさ、みなさん、ご一緒に

『1,2,3の…ピエロ!!』

 高く、ジャンプしたピエロ
 しかし、みんな気付いちゃった
 その瞬間に、ぼきり、トランポリンの支えが一本、折れちゃった事
 傾いたトランポリンでジャンプしたピエロ、あらぬ方向に飛んでいき

 ゴキリ、首が折れちゃった

 みんなの前で死んじゃったピエロ
 みんなはこうやって噂した

『体育館に、ピエロの幽霊が出る』
『「1,2,3のピエロ」って唱えれば、必ず会える』

 先生たちは否定した
 でも、生徒たちはその噂を信じた
 だから生まれた「1,2,3のピエロ」

 その言葉を唱えちゃいけないよ?
 ピエロを呼んじゃいけないよ?
 ピエロを呼んじゃった子供は、あのピエロと同じように
 首をぽきり、おかしな方向にまげて死んじゃったから


 …そして、今に至る
 っが!
 がっがっがっがっが!!
 まるで、バネ仕掛けの人形のようにジャンプを繰り返し、きりもみアタックを繰り返してくるピエロ
 …動きが速すぎる
 こちらの攻撃が当たらない!

「花子さん!」
「うん!」

 ごぽぽぽぽぽっ
 体育館脇の女子トイレから、花子さんが水を引き寄せる
 …しかし、ここは体育館、花子さんのテリトリーではない
 女子トイレ内であれば一撃必殺のその攻撃も勢いが弱く、ピエロに届かない

「ヒャハハハハハハハハァ!!!」

 だんだんだんだんだんっ!!
 壁をけり、不規則にジャンプしてピエロはその攻撃をかわしてしまう
 そして、こちらに狙いを定めて…

「だぁああああああ!!??」

 っが!!!
 ピエロの靴が一瞬前まで俺が立っていた箇所に突き刺さる
 …死ぬ!!
 こんな攻撃喰らったら、人間の俺なんざ一発で死ねる!!

「あ~…花子さんの攻撃が当たれば、何とかなるんだがなぁ…」
「いいから、高みの見物しとらんと助けんか不良教師ぃいいいいい!!」
「む、お前入学したばかりの癖に、何故俺が禁煙ゾーンでタバコを吸った事を知っている」
「知るかぁあああ!!!っつか、んな事してんのかあんたっ!!」

 駄目だあの教師、早く何とかしないと
 …って、俺もそれどころじゃないわっ!?
 何とか、花子さんの攻撃を当てないと…

「け、けーやくしゃ、息あがってるよ?だいじょーぶ?」
「…もうちょっとで大丈夫じゃなくなる」

 ぜぇぜぇと、息があがっている
 これ以上、攻撃を避け続けるとかマジ無理
 死ねる、今日こそが俺の命日か?

「だいじょーぶだよ、けーやくしゃ!けーやくしゃは私が護るから!」
「花子さん…」

 なんと健気な良い子だろう
 長い時を生き続けても、花子さんの心は純真なちみっこのままだ
 …それに比べて、高みの見物してる不良化学教師め
 死んだら貴様の枕もとで連日化けて出てくれるわ!!

「あ~…うん、流石に生徒とお嬢ちゃんに任せっきりは、いかんわな」

 ようやく、不良教師は動き出した
 カタカタ
 その背後に、人体模型と白骨標本が姿を現す

「あの二人のサポート頼むわ」
『はいっ!』
『ほいさー!』

 カタカタカタ
 音を立てながら、二体の都市伝説が、ピエロに向かって駆ける!

「ヒャッハッハッハー!増えようが無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!!」

 がっがっがっが!!
 ピエロの動きは止まらない
 ぼきりと、おかしな方向に曲がった首のまま
 しかし、そのジャンプは恐ろしい程正確で、こちらに接近する事を許さない

『無駄かどうかは、これを見てからにしてや!』

 ぐ、と人体模型が腹部を前に突き出す
 …待て
 何だ、この激しく嫌な予感は!

『内臓ボンバーっ!!』
「嫌な予感的中っ!?」

 ぼぼぼぼぼぼぼ!!
 あんまりにも、そのまんますぎるネーミングの技名と共に、人体模型に収められていた内蔵パーツが飛び出した!
 グロっ!?
 あまりにもグロっ!
 都市伝説として動いている人体模型のせいか、内臓が必要以上に生々しい!?

「けーやくしゃ?どうして目を塞いでくるの?見えないよ~」
「花子さんは見ちゃいけません!!」

 ちみっこにこんな光景見せられるか!
 悪夢に見るわっ!!
 が…ふざけた技のようだが、それはどうやら強力なようだった
 弾丸のようなスピードで発射されたそれは、飛び回るピエロに向かって飛んでいき、たとえ、ピエロが方向を変えても追尾し続ける

『え~っい!』

 っひゅん!!
 白骨模型が、己の体の一部をブーメランのように投げた
 …あぁ、こちらもほぼ予想通りの戦い方だったよ畜生
 人体模型よりはグロくないけど
 ひゅんひゅんひゅん
 恐らく、この二体の都市伝説も、「理科室」と言うテリトリーから出ている以上、本来の能力は出せていないはず
 だが、二体の放った攻撃は、恐ろしいスピードでピエロを追尾し続けている

「…青少年、お嬢ちゃんと一緒に、体育館の入り口辺りに移動しとけ」
「……?…………っわかった!花子さん、行くぞ!」
「うん!」

 花子さんの手を握り、俺は駆ける
 それを見て、ピエロは背を向けてきた俺達に攻撃しようとするが
 …しかし、追尾してくる攻撃を前に、こちらへ攻撃できないでいる
 こちらに狙いを定める為に一瞬でも動きを止めれば、迫り来る内臓と骨ブーメランの攻撃を受けることとなるからだ

「…っよし」

 体育館の入り口
 すぐ傍には、女子トイレ
 テリトリー近くにくれば、少しはマシだろう

「…さぁ、来いよ、ピエロ野郎!」

 おいかけっこは、もうおしまい
 決着をつけようじゃないか

「二人とも、撃ち落せ!」
『『あいあいさー!!』』

 不良教師の言葉を合図に、内臓と骨のスピードがあがった
 最早、俺の動体視力では捕らえきれなくなったそれが、ピエロの体に突き刺さる!
 ぐらり、ピエロは空中でバランスを崩し…俺達の目の前に、落下した
 ピエロの動きが、鈍った
 …今だ!

「吸い寄せろ、花子さん!」
「うんっ!」

 ごぽぽぽ!
 再び、花子さんが水を呼び寄せる
 トイレから湧き出た水が、ピエロの体を包み込んだ
 ごぽ、とピエロが苦しげに暴れ出す
 …元々、不慮の事故で死んだ存在を語るかのような都市伝説だ
 苦しめられた相手ではあるが…苦しめて倒すのも、気の毒に思えた

「花子さん、一気に決めちゃってくれ」
「…うん、わかった!」

 ぐい!!
 水が、ピエロを引っ張る
 体育館と言う彼のテリトリーから彼を引きずり出し…女子トイレと言う、花子さんのテリトリーに引きずり込む
 こうなれば…もう、勝負はついた
 トイレから湧き出していた水は、ピエロを引っ張って、トイレへと戻っていく

「……ばいばい、ピエロさん」

 ごぼぼぼぼぼぼぼぼ……
 ピエロは、水と共にトイレの中へと吸い込まれていって…
 …そして、その姿は、もう、見えない

 花子さんの、最大にして最凶の攻撃
 それは、対象をトイレの中に引きずり込む事
 引きずりこまれた相手がどうなってしまうのか、それは、花子さんにもわからない
 …ただ、はっきりしているのは
 そこに吸い込まれた相手は、もう二度と、誰にも見つからない、ということだけだった

「お疲れさん、戦いなれてるねぇ」

 ぱちぱち
 気の抜けた拍手をしながら、教師がこちらに近づいてきた
 …この野郎
 じろり、睨みつけてやるが、気にしている様子はない


「いやー、本当、助かるわ。この学校、やけに都市伝説系が出没する事多くてな~。俺一人だったら過労死するかと思ってたわ」
「そんなに多いんですか?」

 あぁ、と教師は頷いてくる
 …あぁ、これが、都市伝説と契約した人間の宿命だとでも言うのか…
 どう考えても、俺の高校生活、平穏無事に終わるとは思えない

『おぉぉ…内臓が、内臓がぁあああ…!』
『だ、だだだだだだ、大丈夫ですか?しっかりしてください!』
「…痛いのかよ。攻撃に使うと普通に内臓痛いのかよ。無理すんなよ人体模型」
「痛い痛いなの?私、人体模型さんに痛いの痛いのとんでけしてきた方がいい?」

 …どうやら、内臓が相手に当たると、その衝撃がモロに本体にダメージ来るようで
 痛みにのた打ち回る人体模型と、それを前におろおろしている骨格標本
 首をかしげながら、こちらの服を引っ張ってくる花子さんに、我関せずといった様子で白衣からタバコを取り出す不良教師を前に
 俺は、この高校生活がはちゃめちゃなものになるであろう事を、確かに予感したのだった



fin

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