喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
桃の種
山荘
肌寒いが、天気のいい日だった
桃娘は外へと出て行く
「あんまり遠くへは行くなよ」
シュタッという擬音が似合いそうな動作で手を挙げる
「わぁってる」
ここのところ毎日外へ出かけるが、何か面白いものでもあるのだろうか
気になる
こんな日には散歩もいいだろう
そう思い、俺も外へ出る
「あんまり遠くへは行くなよ」
シュタッという擬音が似合いそうな動作で手を挙げる
「わぁってる」
ここのところ毎日外へ出かけるが、何か面白いものでもあるのだろうか
気になる
こんな日には散歩もいいだろう
そう思い、俺も外へ出る
山荘の脇には少し開けた場所があり
なだらかな斜面を形成している
なだらかな斜面を形成している
そこを駆け上がっていく桃娘が見えた
ゆっくりと後を追う
一体何があるっていうんだ
生い茂る木々
桃娘を見失い、追ってきたことを少しだけ後悔する
木々が作る何枚ものカーテンを抜けると……
蒼天
青い空が視界いっぱいに広がっていた
ゆっくりと後を追う
一体何があるっていうんだ
生い茂る木々
桃娘を見失い、追ってきたことを少しだけ後悔する
木々が作る何枚ものカーテンを抜けると……
蒼天
青い空が視界いっぱいに広がっていた
*
しばらく言葉が出なかった
「……綺麗だな」
そして出てきたのは月並みなセリフ
「……綺麗だな」
そして出てきたのは月並みなセリフ
「おぃさんきた」
桃娘はそこに居た
「こんなところがあるとはな……」
「にょ?」
桃娘は俺の視線を追って、眼下に広がる景色を見る
民家、そしてビルさえも米粒の様に小さく見える
だが、そんな景色に目もくれず地面に視線を戻し掘り始める
「ぁ……興味ないんだ……」
「ほります」
「っていうか……何してるんだ?」
「うめます」
「何を?」
「これれす……これをうめます」
丁度、桃の種くらいの大きさの塊を上着のポケットから出して俺に見せる
うん、桃の種くらいっていうか……桃の種だな
桃の種を埋める⇒桃の樹が生える⇒桃がなる⇒もも、おぃしぃれす
……という事だろう
確かに、食べた後に残った種でも発芽するらしいが、甘い桃が出来るとは限らない
ついでに言えば
種を蒔いてから実がなるまでの期間は『桃栗3年柿8年』などと言われている
こいつは、3年も待つつもりなのだろうか
まぁ、知らないだけなのだろうが……
桃娘はそこに居た
「こんなところがあるとはな……」
「にょ?」
桃娘は俺の視線を追って、眼下に広がる景色を見る
民家、そしてビルさえも米粒の様に小さく見える
だが、そんな景色に目もくれず地面に視線を戻し掘り始める
「ぁ……興味ないんだ……」
「ほります」
「っていうか……何してるんだ?」
「うめます」
「何を?」
「これれす……これをうめます」
丁度、桃の種くらいの大きさの塊を上着のポケットから出して俺に見せる
うん、桃の種くらいっていうか……桃の種だな
桃の種を埋める⇒桃の樹が生える⇒桃がなる⇒もも、おぃしぃれす
……という事だろう
確かに、食べた後に残った種でも発芽するらしいが、甘い桃が出来るとは限らない
ついでに言えば
種を蒔いてから実がなるまでの期間は『桃栗3年柿8年』などと言われている
こいつは、3年も待つつもりなのだろうか
まぁ、知らないだけなのだろうが……
*
「寒いな……そろそろ戻るか」
「ぁぃ!」
埋め終わって満足したのか上機嫌だ
改めて足元を見てみると、掘り返した後がそこらじゅうに確認できた
全く、何本生やす気なんだよ……
「ぁぃ!」
埋め終わって満足したのか上機嫌だ
改めて足元を見てみると、掘り返した後がそこらじゅうに確認できた
全く、何本生やす気なんだよ……
「あとで聖水を一杯頼む」
「ぁぃ!せぇすぃのむれすね」
「ぁぃ!せぇすぃのむれすね」
山荘に戻り、聖水を出してもらう
少し生暖かいが、体に馴染む様な気がして丁度良い
気のせいか以前よりも甘みが増した様に思う
この味に慣れてきたのかもしれない
少し生暖かいが、体に馴染む様な気がして丁度良い
気のせいか以前よりも甘みが増した様に思う
この味に慣れてきたのかもしれない
季節は巡る
短い秋は過ぎ、寒く厳しい冬は目前まで迫っていた
短い秋は過ぎ、寒く厳しい冬は目前まで迫っていた