喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
魔法
カシマさんとジャックそしてボクの3人、もう男に勝ち目は無い
「もう終わりにしよう」
「…………いいのか、それで」
「約束して欲しいことがある」
「……なんだ?」
「都市伝説を自分から狩りに行かないで欲しい」
「……無理だ……俺は今でも、都市伝説はこの世界に不要だと考えている」
「危険な都市伝説ばかりじゃない……相手から手を出して来た時だけではダメなの?」
「……お前の様に、意思の強いヤツばかりじゃないんだ」
「ボクは、独りじゃなかったから……そして、貴方が改心してくれたらって願ってる」
「今更だな……改心してどうなる、俺はもう戻れはしない……ヒトを殺しているんだからな」
「……それでもボクは願ってる」
「このゲームには、皆が幸せになる様なハッピーエンドは用意されて無い」
「皆が幸せになる方法なんて無いのかもしれない……」
「…………いいのか、それで」
「約束して欲しいことがある」
「……なんだ?」
「都市伝説を自分から狩りに行かないで欲しい」
「……無理だ……俺は今でも、都市伝説はこの世界に不要だと考えている」
「危険な都市伝説ばかりじゃない……相手から手を出して来た時だけではダメなの?」
「……お前の様に、意思の強いヤツばかりじゃないんだ」
「ボクは、独りじゃなかったから……そして、貴方が改心してくれたらって願ってる」
「今更だな……改心してどうなる、俺はもう戻れはしない……ヒトを殺しているんだからな」
「……それでもボクは願ってる」
「このゲームには、皆が幸せになる様なハッピーエンドは用意されて無い」
「皆が幸せになる方法なんて無いのかもしれない……」
*
『……生きるんだ、輪』
『……優しい心を、忘れるな』
『……孤独なヒトがいたら、手を繋いで……輪(わ)の中に入れてやれ』
『……優しい心を、忘れるな』
『……孤独なヒトがいたら、手を繋いで……輪(わ)の中に入れてやれ』
*
「けどッ!……父さんがボクに……残してくれた想いを、ボクは叶えたいんだッ!」
結局、ボクが信じる道とはマスターが指し示してくれた道だった……そういうことだ
「…………ワガママな……ガキだな」
魔術師の言葉に、サチが口を開く
「確かに、我侭なのかも知れない……でも、わたしは……
周りのヒトを幸せにしてくれる輪くんの我侭は……すごく……すごく素敵だと思うよ」
周りのヒトを幸せにしてくれる輪くんの我侭は……すごく……すごく素敵だと思うよ」
サチの言葉に、困った様な……恥ずかしい様な表情を浮かべてしまう
「ボクはまだ……親に甘えていたい様な子供だからね……」
*
「……チッ……どいつもこいつも……」
「分かったよ……ゲームの勝利者であるお前の望み……叶えてやるよ」
自分の表情が明るくなるのを感じる
皆に笑顔が戻る
皆に笑顔が戻る
「ただし……」
「?」
「俺が叶えるのは、お前が既に諦めてしまっている方の望みだ」
「ぇ?……ボクが……諦めている?」
「?」
「俺が叶えるのは、お前が既に諦めてしまっている方の望みだ」
「ぇ?……ボクが……諦めている?」
「ああ、そうだ……お前の契約者を……生き返らせる」
「?!……そんな……こと……そんな奇跡……みたいなこと」
信じられなかった
そんなことが可能なのか?
そんなことが可能なのか?
「奇跡……それを、人は時としてこう呼ぶ……魔法とな……そして、俺は……魔法使いだ」
魔法……そうか、魔法なら……不可能と思える様な奇跡も……
「じゃあ……本当に?……マスターが生き返る……本当に……」
*
「……しばらく静かにしていてくれよ」
皆が頷く
魔術師は詠唱を開始する
「其は何ぞ……其は魂……其は失われし希望……」
その詠唱は長い
だが、次第に何かがそこに存在する気配を感じ始める
人型が形成されていく
「時は戻る……懐かしきあの季節……」
ボクの……何よりも大切な人の姿が形作られていく
あの時のままの姿
「天より降りしは水……命の水……我が命の水……」
詠唱は続いた
永遠とも思える様な、そんな錯覚
皆が頷く
魔術師は詠唱を開始する
「其は何ぞ……其は魂……其は失われし希望……」
その詠唱は長い
だが、次第に何かがそこに存在する気配を感じ始める
人型が形成されていく
「時は戻る……懐かしきあの季節……」
ボクの……何よりも大切な人の姿が形作られていく
あの時のままの姿
「天より降りしは水……命の水……我が命の水……」
詠唱は続いた
永遠とも思える様な、そんな錯覚
「……ふぅ……今度は巧く組めたな……後は目覚めるまで待っていればいい」
マスターの体が完全に再生されていた
胸が上下し、息をしているのが分かる
生きている
胸が上下し、息をしているのが分かる
生きている
「ぁぁ……マスター……本当に……マスターが……」
涙を溜めるサチ
「……ありがとう……ありが、とう」
ボクはうまく言葉が出てこない
「礼はいらない……敵を倒せばお宝が手に入る……これはルールだからな」
涙を溜めるサチ
「……ありがとう……ありが、とう」
ボクはうまく言葉が出てこない
「礼はいらない……敵を倒せばお宝が手に入る……これはルールだからな」
「さて……疲れたな……少し休む……」
男は立ち上がり、山荘へと向かって行った
男は立ち上がり、山荘へと向かって行った
*
マスターが……父さんが、まぶたをゆっくりと開く
瞳に映るボク
瞳に映るボク
「……り……輪……?」
「ぁぁ……父さん……父さぁぁぁん!」
「ぁぁ……父さん……父さぁぁぁん!」
しがみつく様に、抱きしめる
暖かい
マスターが……父さんが……生きて、ここにいる
何度も願い、願い続け
そして、諦めていたボクの望み
あの日から始まった悪夢が、今
ようやく、終わりを告げる
これからは、全てが……希望に満ちた日々が……
穏やかな日々が……戻ってくる
暖かい
マスターが……父さんが……生きて、ここにいる
何度も願い、願い続け
そして、諦めていたボクの望み
あの日から始まった悪夢が、今
ようやく、終わりを告げる
これからは、全てが……希望に満ちた日々が……
穏やかな日々が……戻ってくる
ボクは声を絞り出す
「……お帰り」
「……ただいま」
父さんは、そう言って微笑んだ
ボクの頬を……熱い雫が滑り落ちていく
長く寒い冬は、その姿を潜め
徐々にだが、春はその暖かい息吹を世界に送り始めていた
徐々にだが、春はその暖かい息吹を世界に送り始めていた