「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦編-07a

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匿名ユーザー

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○月×日 21:00 パソコンルーム


「…状況、は…?」

 「爆発する携帯電話」の契約者が、静かに尋ねる
 すると…教室中のパソコンの電源が、一斉に入った
 パっ、パっ、パッ……と、それぞれに監視カメラの映像が映し出される

『カミナリノオトデワカッテルカモシレナイガ、さんだーばーどガタタカイダシタゼ、バカデケェろぼっとトナ。アトハ、ショクドウノマエニズイブンナオオニンズウガアツマッテンノト……ア~、ニカイノキョウシツデモタタカイガハジマッテンンナ』

 パソコンから聞こえてくる機械的な声
 教室の中央のパソコンに、男性の映像が映し出された
 都市伝説「スーパーハカー」が作り出した、彼自身の(理想とする)姿だ
 本来の姿を持たない彼は、こうやって擬似的に姿や声を作りだし、他人とコミュニケーションをとるのだ

「なるほど、これで少年が傷ついた事がわかったのですね?」
「……あぁ」

 オーナーの言葉に、「爆発する携帯電話」はこくりと頷く
 この校舎内の監視カメラは、完全に「スーパーハカー」の支配下におかれているのだ
 校舎内に侵入した者達の様子も、全て感知する事ができる

「…っつか、映像の数すげぇな。いくつ監視カメラあるんだよ」
「……20台は超えている、らしい……」
『イヤダネェ、カンシシャカイッテヤツハ』

 それを利用していることを棚に上げて、スーパーハカーが肩をすくめた
 ……と、映像内に、黒い群れから逃げている女性の姿が映った
 その様子に、「爆発する携帯電話」がぴくり、小さく反応したが…女性が階段を登って逃亡したのを見て、小さくほっとしたようにため息をつく

「何じゃ、あのゴキ○リの群れは?あれも、お前さん達の仲間の仕業かの?」
「……違う…あれ、知らない…」

 ふるふる
 ひきこさんの問いかけに、首を左右に振る「爆発する携帯電話」
 先程のネズミの群れと言い…校舎内に、マッドガッサー一味以外の勢力によるアニマルパニックやGパニックが起こっているようである

「…そうです、一つ、聞いても良いですか?」
「……?何、だ…?」
「司祭様…マリ・ヴェリテは、以前、静かに暮らしたいと、そう言っていました……その発言は、彼の真意なのでしょうか?」

 オーナーの問いかけに…「爆発する携帯電話」は、考え込むように俯いた
 …やがて、ぽそぽそと答える

「…本音、だと、思う…」

 ぴすぴす、ジャッカロープが鼻を鳴らしながら頷いた
 「爆発する携帯電話」の考えに、同意しているようだ

「…マリ、は…ヨーロッパに居た頃……何度か、人食いをやめようとした、と……人を襲わずに生きようとしたことがある、と、聞いて…いる」
「それじゃあ…」

 どうして、まだ人食いを続けているのか
 少年が尋ねようとしたその内容を察したのだろう
 「爆発する携帯電話」が、続ける

「…信じてもらえなかった…と、聞いている」

「信じて……ですか」

 オーナーは、以前、マリが司祭の姿で話していたことを思い出す

『向こうには、都市伝説と呼ばれる存在を狩る事を生業としている者も多いんです。その手の者は、その都市伝説がほんの少しでも悪い噂から…人を害する噂から生まれた、となれば、たとえその都市伝説が人間と分かり合おうとしていても、狩りたてようとしますから』

 信じてもらえなかった
 それは、間違いなく、マリの実体験だったのだろう
 人食いをやめようとしても、人を襲うのをやめようとしても
 ……誰にも、信じてもらえなかった

「じゃから、人食いを続けていた、と?」
「っちょ、ばーちゃん!」
「……………」

 ---ひきこさんの言葉に俯いてしまう「爆発する携帯電話」
 ぴすぴす、ジャッカロープが心配そうに見あげる

「……罪を」
「…?」
「罪、を……押し付けられた、と…聞いた…」
「…罪を?」

 こくり、頷く「爆発する携帯電話」
 --「爆発する携帯電話」も、詳しくは聞いていない
 マリが、その経験を詳しくは話さなかったから

 ただ
 「罪を押し付けられた」と、そう、苦々しい表情で言っていた

 「マリ・ヴェリテのベート」と言う都市伝説を人食いであらせようと…「悪」のままでいらせようとした存在が居る
 その事実が、確かに存在している
 静かに暮らす事すら、彼は許されなかったのだ

「…自暴自棄になってしまったのかもしれませんね。「悪」と言うレッテルを、強制的に押し付けられて」

 ぽつりと、オーナーがそう呟いた
 どんなに望んでも、人食いである事を強制させられて
 誰とも、心を許し会う事すらできずに生き続けた都市伝説
 その心が歪まずにいられたならば、それは一種の奇跡だろう

 今のマリ・ヴェリテには、この「爆発する携帯電話」のような仲間がいる
 長い長い生の中、ようやく手に入れた仲間
 それを、決して失いたくはないのだろう

 だからこそ、今回の行動を起こした
 世界中、全てを変えるために
 世界中の全てから、自分達を害する者を排除する為に

 どこまでも自分勝手で、しかし、どこまでも仲間を思うが故の行動

 だが、だからこそ、止めなければならない

「マッドガッサーは、屋上にいるんだよな?」
「あぁ………でも……」
『ソウカンタンニャア、セットクニオウジナイトオモウゼ?』

 「爆発する携帯電話」の心境を、スーパーハカーが代弁した
 そう簡単に説得に応じる程度の覚悟で、今回の行動を起こせるはずもない
 「爆発する携帯電話」だけではなく…他の者も、説得すれば
 マッドガッサーを、思いとどまらせる事はできるだろうか?

「…マッドガッサーと、マリを、説得できれば……多分、止められる」
「じゃが、その為には他にも誰か説得しなければいかんと言う事じゃな?」
「………くけっ」

 こくり、ひきこさんの言葉に頷く「爆発する携帯電話」
 ならば…まずは、他の誰かを説得するまでだ

「携帯のにーちゃんの仲間は、屋上以外にどこに!?」
『ン~…アァ、まりガイマ、ぐらうんどニイルナ。マジョノイチゲキモソコニイル。13カイダンガセイトカイシツヨコノカイダンノオドリバデ…………------っ!?』
「……?どうした……?」
『はにー!イソイデソコカラハナレロ!!』
「……え」

 慌てた声を出すスーパーハカー
 彼が、とある監視カメラの映像を慌てて映し出す
 それは…「爆発する携帯電話」達がいる、パソコンルームの前の廊下だ
 そこを……かさかさ
 かさかさかさかさかさ
 無数の、黒い………Gが、縦横無尽に走っていて

「--っちょ!?まさか、囲まれてんのかよ!?」
『コノご○ぶり、ジカンガタツゴトニフエテヤガルッ!?コノキョウシツノマエデドンドンゾウショクシテンゾ!!』
「…これは、何とかしないと、ここから脱出できなくなるかもしれませんね…」

 冷や汗をかくオーナー
 相手がゴキブ○とは言え、都市伝説の影響を受けている可能性があるのだ
 ただの○キブリを侮ってはいけない

 ……とにかく
 誰かを説得しに行くとしても…まずは、このパソコンルームから脱出するのが、先だ
 少年とオーナーは、手にした獲物を静かに、構えなおしたのだった





to be … ?






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