○月×日 22:55 グラウンド
「………?これは……」
…盟主は、気づいた
Gによって、動きを封じられているサンダーバード
その様子が……おかしい?
Gによって、動きを封じられているサンダーバード
その様子が……おかしい?
Gの巨大な手から逃れようともがくサンダーバード
その体が………じょじょに、じょじょに
薄まっていっているのを、盟主は確かに見た
その体が………じょじょに、じょじょに
薄まっていっているのを、盟主は確かに見た
○月×日 22:55 中央高校屋上
薄れ行く、サンダーバードの体
その様子は、屋上に居るマッドガッサー達にも、見えていた
その様子は、屋上に居るマッドガッサー達にも、見えていた
「ど、どないなっとるんや!?マッドはん!?」
あれだけ固まりになっているとGに見えないせいか、何とか直視できている似非関西弁の女性
彼女の言葉に…ガスマスクの下で、マッドガッサーは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる
彼女の言葉に…ガスマスクの下で、マッドガッサーは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる
「…誰かは知らないが……あいつの神としての側面を削りやがったのか!」
これは、まずい
このままでは、サンダーバードは…
消滅する
このままでは、サンダーバードは…
消滅する
○月×日 22:55 中央高校屋上
己の存在が薄まっていっているのを、サンダーバードは確かに自覚していた
サンダーバードは神である
神として崇められていた存在である
サンダーバードは神である
神として崇められていた存在である
しかし
彼を崇めていた部族は、もういない
はるか昔、別の大陸からやってきた白い者たちによって、彼というサンダーバードを崇めていた部族は……根絶やしにされてしまった
彼を崇めていた部族は、もういない
はるか昔、別の大陸からやってきた白い者たちによって、彼というサンダーバードを崇めていた部族は……根絶やしにされてしまった
それでも、サンダーバードは生き続けていた
他のサンダーバードの存在に支えられ、存在し続けていた
それは、彼が神として崇められていたが故に、可能だった事でもある
他のサンダーバードの存在に支えられ、存在し続けていた
それは、彼が神として崇められていたが故に、可能だった事でもある
だが
限界と言うものは存在する
彼というサンダーバードは、一度消えかけた
崇めてくれる存在を失った神に
信仰してくれる存在がいなくなった神に
存在価値など、ありはしないのだ
限界と言うものは存在する
彼というサンダーバードは、一度消えかけた
崇めてくれる存在を失った神に
信仰してくれる存在がいなくなった神に
存在価値など、ありはしないのだ
静かに、静かに、消え行こうとしていたサンダーバード
消えずにすんだのは、偶然の出会いと、奇跡に近い出来事
消えずにすんだのは、偶然の出会いと、奇跡に近い出来事
『お前は、間違いなく神だ』
そう、断言されたから
だから、存在していられた
わずかに残った神としての側面も手伝い、存在し続けた
だから、存在していられた
わずかに残った神としての側面も手伝い、存在し続けた
……ならば
その、神としての側面を、削られたならば?
他のサンダーバードの噂と混合させられたとは言え…彼と言う存在を今の今まで生かしてきたのは、神としての側面に他ならないのだ
それを削られたならば、最早このサンダーバードは…存在する事は出来ない
その存在は、忘れられた都市伝説として
最早語られぬ都市伝説として……消滅する
その、神としての側面を、削られたならば?
他のサンダーバードの噂と混合させられたとは言え…彼と言う存在を今の今まで生かしてきたのは、神としての側面に他ならないのだ
それを削られたならば、最早このサンダーバードは…存在する事は出来ない
その存在は、忘れられた都市伝説として
最早語られぬ都市伝説として……消滅する
「ぐ……ぁ………!!」
消滅の苦しみに、恐怖に、サンダーバードはうめく
嫌だ
消滅したくない
消えたくない
己には、まだすべきことがあるのだ
己を救ってくれた友を、助けなければならないのだ
小さき友の力にならなければならないのだ
消えたくない
力にならなければならない
己はまだ、恩を返しきれていない……!!
嫌だ
消滅したくない
消えたくない
己には、まだすべきことがあるのだ
己を救ってくれた友を、助けなければならないのだ
小さき友の力にならなければならないのだ
消えたくない
力にならなければならない
己はまだ、恩を返しきれていない……!!
存在が薄れ行く
存在が、気迫になっていく
その姿が、最初からなかったかのように、消えていこうとして……
存在が、気迫になっていく
その姿が、最初からなかったかのように、消えていこうとして……
「-----お前は神だ!!」
叫び声が、サンダーバードに届いて
消え行く体が…この世に、押し止められた
消え行く体が…この世に、押し止められた
○月×日 22:57 中央高校屋上
消えるな
サンダーバードを見あげ、マッドガッサーは叫ぶ
サンダーバードを見あげ、マッドガッサーは叫ぶ
「お前は神だ!サンダーバード!!アメリカの大地が生み出した民達に崇められた神 サンダーバードだ!!」
思い出す
初めて、あのサンダーバードと遭遇したときのことを
初めて、あのサンダーバードと遭遇したときのことを
あの時、サンダーバードは緩やかに消滅していこうとしていた
崇めていた部族がいなくなってから、ずっと語られる事がなかった存在
語られなくなった都市伝説は、消滅するしかない
崇めていた部族がいなくなってから、ずっと語られる事がなかった存在
語られなくなった都市伝説は、消滅するしかない
消え行く直前、サンダーバードは神である事を認められたがっていた
その姿が、哀れで、憐れで…見ている事が、できず
その姿が、哀れで、憐れで…見ている事が、できず
『お前は、間違いなく神だ』
あの日、マッドガッサーは、そうサンダーバードに告げた
その瞬間…たった一人に、そう、認められただけで
サンダーバードの中の神の側面は、サンダーバードが存在する事を、許した
いや、それはもしかしたら
他の神であるサンダーバード達の力も、あったのかもしれないが
とにかく、神であるが故に、サンダーバードは助かったのだ
その瞬間…たった一人に、そう、認められただけで
サンダーバードの中の神の側面は、サンダーバードが存在する事を、許した
いや、それはもしかしたら
他の神であるサンダーバード達の力も、あったのかもしれないが
とにかく、神であるが故に、サンダーバードは助かったのだ
ならば
神としての側面を取り戻させれば……サンダーバードは、消滅せずにすむ!!
神としての側面を取り戻させれば……サンダーバードは、消滅せずにすむ!!
「思い出せ!お前を崇めていた連中を!」
「------っ!!」
「------っ!!」
薄れていっていたサンダーバードの体が……実体を、取り戻しつつある
ばちりっ
その体を……再び、雷が走り出した
ばちりっ
その体を……再び、雷が走り出した
○月×日 22:59 中央高校上空
「---おぉおおおおおおおお!!!!」
バチバチバチバチっ!!
雷が、サンダーバードを直撃した
実態を取り戻したその体が、Gの束縛から逃れ……上空へと、飛び上がる
雷が、サンダーバードを直撃した
実態を取り戻したその体が、Gの束縛から逃れ……上空へと、飛び上がる
「…っすまぬ!小さき友よ!!」
マッドガッサーに、サンダーバードは謝罪する
また、助けられてしまった
まだ、己は恩を返せていないと言うのに!
また、助けられてしまった
まだ、己は恩を返せていないと言うのに!
「構わない!それよりも、一旦退け!何をしてお前から神の側面を剥ぎ取ったか知らないが、もう一度同じ事をやられたらヤバイ!」
「----すまぬ…友よ……」
「----すまぬ…友よ……」
マッドガッサーの言うとおりだ
ある程度の神性は取り戻せたが…まだ、完全ではない
このままでは、また、いつ消えてしまうかも……わからない
ある程度の神性は取り戻せたが…まだ、完全ではない
このままでは、また、いつ消えてしまうかも……わからない
サンダーバードは、歯痒さを感じながら、大きな翼をはばたかせ、上空へと舞い上がる
雲の上へと、避難するために
雲の上へと、避難するために
----ばちりっ!
その瞬間……彼は、最後の一撃、とでも言うように
今まで際だの威力の雷を……己の敵対者目掛けて、撃ちはなったのだった
その瞬間……彼は、最後の一撃、とでも言うように
今まで際だの威力の雷を……己の敵対者目掛けて、撃ちはなったのだった
to be … ?