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連載 - 女装少年と愉快な都市伝説-23d

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中央高校での決戦~笛吹きとの顔合わせ



 ………なんでこんな殺気が満ち満ちた空間になってるんだろう。
 何人もの人が殺気を振り撒いているなか、こっちは少し現実逃避気味にそう考えてみる。
 こっちとしては《ハーメルンの笛吹き》の人と会ったことがないからなにかする気はないし、むしろみんなをここまで怒らせるなんて、どういう人なのか見てみたい気もするんだけど。
 チャラ男さんもはないちもんめの女の子も、学校の先生に瓜二つのお兄さんも、かなり本気で言っているように思える上、あの優しいDさんまでもがバイオレンスに走るというこの状況をどう打開するべきか。
 というかDさん、9割殺しってほぼ死んでるし、10割殺しに至ってはただの死刑宣告だと思います。
 とりあえず、このままじゃ本当に戦いが始まりそうな勢いだし……少しでもこの殺気を散らしてみることにする。成功するかどうかわからないけど。正直怖いけど。

「………えっと、みなさん!」

 周りの人の注意を集めるよう、大きめな声を出してみた。
 視線が集まる。気が立っている状態なせいで、ギョロリ、という効果音が似合うような視線の向け方の人も。
 ………うん、色々と怖いけど―――特にDさんの優しげな笑顔が―――頑張ってみよう。
 諦めたら試合終了、という言葉もあることだし。

「あの、やっぱりこういうのって、相手の顔を見て話すのが大事かと思うんですよ」

 できる限りの笑顔を作ってそう言うと、何人かの人は頷いてくれた。さっきも一緒に止めようとしてくれた白骨の人(……人?)も、その中の一人だ。
 ここで戦うのを望んでない人も確かにいるというのが分かって、ホッとする。
 やっばり、仲間がいるっていうのは心強いなあ。

「えっと……じゃあ、穴だけ開けさせてもらいます。いい、ですよね……?」

 一番怖かったDさんに向かって確認する。なんとなくだけれど、Dさんさえ納得してもらえれば無事に済むような気がする。なんとなくだけど。

「……ええ、まあ、いいですよ」

 まだ若干雰囲気が怖かったけど、それでも一応OKはもらえた。
 というわけで、『顔を会わせて話し合い作戦』のため、シャッターに穴を開けようと思う。
 まずシャッターに近付き、トントンと足でリズムをとる。身長的に普通に蹴るだけじゃあ位置が低くなりすぎるので、この場合は飛び蹴りで。

「………せいっ!!」

 全力で足を振り上げた、左の後ろ回し蹴り。それを跳ぶのと同時にシャッターに打ち込んだ。
 ゴン! と衝撃音が響き渡る。一撃で、左足がシャッターにめり込んだ。
 さらにその足を支えに上体を起こし、その近くに右手をつく。
 そして、能力を発動―――《地震発生装置》による振動。振動という性質から、限られた範囲のものを壊すのは難しいんだけど……その壊したい一部分だけの強度が下がっているのなら、なんとかなる。
 ボゴリ、と足がめり込んでいた部分のシャッターが崩れ、そこから向こう側が見えるようになった。
 と同時に、支えがなくなったこっちは後頭部から床に落ちる。痛い。
 めくれあがったスカートを直し、打った頭を擦りつつ立ち上がり、自分の成し遂げた仕事を確認する。
 穴の大きさは、だいたい30センチくらい。顔を見るという目的からすると、これくらいがちょうどいいんじゃないかなあと思う。
 手を切らないように気を付けながら、穴の中を覗き込む。
 すると、

「む、こんばんわだにゃ」

 ………猫耳をつけた、男の人がそこにいた。
 どう反応するべきなんだろうか。
 けっこうかっこいいのに、猫耳のせいでものすごい間が抜けた感じになっている。
 これは、やっぱり挨拶からしたほうがいいかな……?
 そう思い、頭を下げる。穴の縁に手をかけたままだから上手く下げられないけど、まあ伝わるはず。

「あの……こんばんわ。…にゃあ?」

 ……最後の語尾は、なんとなく、相手に合わせる意味でも、言っておくべきな気がした。


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