「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-24

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

ドクター 24


あちこちが焼け焦げた麦畑
金属塊が散乱し、異形の屍が転がる中に『彼女』はいた
「派手にやられちゃったなぁ、もう」
長い金髪を首の後ろで束ねた青い瞳の女は、黒いスーツの襟を正しサングラスを掛ける
「UFO船団とリトルグレイ軍団は私達の組織とも相性抜群だったはずなのになぁ。上手く騙されて私を人質にできたと思い込んで、本国との交渉材料に『使って』くれたとこまでは良かったんだけど」
燃え盛るUFOと共に墜落し無残な姿となったリトルグレイ達を一瞥し
「契約者無しとはいえ、こーんなあっさり全滅してるようじゃ使えないかぁ……骨折り損」
はふぅと溜息を吐いて、焼け爛れたリトルグレイの死体を蹴り飛ばす
「大人しくしといて、彼を引き込んだ方が良かったかなぁ。見通し甘いなぁ、私」
既に熱を失い冷たくなったUFOの残骸に腰を下ろし、彼女は今までの生活に思いを馳せる
「仕事は真面目だったし、誰にでも優しかったし。あーあ……彼に、リトルグレイ達にわざと捕まったとことか見られなかったら、交渉も上手くいって元の生活にも戻れたのかなぁ」
彼女は独り言のように語りながら、懐から拳銃を抜き放つ
「リトルグレイが言い間違いをしたって事にすればなんとかならないかなぁ、お姉さん?」
「ふむ、それはそれで妙案だとは思うのだがな」
倒れた麦をさくりさくりと踏みながら、悠然と歩いてくるドクター
「独り言を聞く限り、リトルグレイを蹴散らした青年が助けたかったのは君という事かね」
「そういう事になるねぇ。私としては今からでも助けられて、彼と一緒にうちの組織に帰りたいんだけどな。この有様で成果なしじゃ組織から怒られそうだし」
彼女に悪びれた様子は一切無い
「君の組織次第だね。黒服は何処にでも居過ぎて把握し切れないから困る」
「あはは、私も前に同僚だと思って仕事の話をしたら全然違う組織の人でびっくりした事があったなぁ」
手にした拳銃を、ドクターにむけてぴたりと狙いを定める
「彼、生きてるよね?」
「死んでたら仇討ちでもするつもりかね?」
「契約者だし車で撥ねたぐらいじゃ死なないと思うけど。私の彼氏なわけだし、返してくれないかなぁ?」
「君の所属組織次第だと言ったはずだ」
正確に眉間を狙う銃口に怯んだ様子も無く、静かに問い掛けるドクター
脅しが効かないと判断した彼女は銃を下ろし、ぽりぽりと頬を掻きながら困ったように小さく唸る
「言ったら返してくれなさそうだもんなぁ」
「想定される最悪の一箇所以外なら、そんな事も無いのだがな」
「んー、じゃあ無理かな。お姉さん、アメリカのおっきい組織は嫌いでしょ?」
「特に政府関連の組織は大嫌いだな」
「しょうがないなぁ。それじゃ、せめて私は死んだ事にしといて」
彼女はのんびりと立ち上がり、ドクターに背を向ける
「彼はそう思い込んでいるし、問題は無いだろうが。組織を抜けて彼の元に戻るという選択肢は無いのかね?」
「あー、それは無理。組織を抜けるとか裏切るとか、そういう選択肢は絶対に選べない。そういう『モノ』なの」
肩越しに振り返り、苦笑を浮かべ
「だから見逃して帰るのがギリギリの妥協点。お姉さん、あなたや彼の事は上に報告しなきゃいけないから。近日中に刺客が放たれると思うんでよろしくね」
「君が来るならある意味で歓迎なんだがね」
「それは無理かなぁ、しばらく謹慎か……またどっかにスパイとして潜り込まされるかだろうし」
さくり、さくりと
荒れ果てた麦畑を踏み越えて、彼女の姿は夜闇の中へと消えていく
「それに、私が刺客だとしたら。お姉さんに運転手さんに彼、まとめて秒殺だよ?」
闇の中で、くすりと微笑む彼女
その姿が見えなくなってから、ドクターは軽く片手を上げ
それと同時に、独逸軍服を着た工兵達が続々と駆け寄ってくる
「合図があるまで来るなという事でしたが。あの黒服を逃して良かったのですか?」
「ボクらの仕事はUFOの残骸の回収と調査だ。何も問題は無いさ」
「はぁ……また総統閣下に怒られますよ?」
「与えられた仕事をきちんとすれば問題は無いさ。それに、ここで我々が全滅するよりはずっとマシだろう」
「全滅、ですか?」
重武装の工兵達は首を傾げるが
「ただの駒ではない覚悟と能力がある黒服というのは、非常に厄介なものなのだよ」


黒服の彼女
『アメリカ政府の陰謀論』の部下の中で数少ない元・人間の黒服
金髪碧眼な以外は『スパニッシュフライ』の契約者にそっくり
のんびり屋でマイペースな性格で、戦闘時以外はややドジっ子
外見年齢は18歳

『アレクサンドリアの大灯台』
黒服の彼女が契約している都市伝説というか伝説
紀元前332年、アレクサンドロス3世によってナイル河口にアレクサンドリアが建造された『世界の七不思議』の一つ
戦時には鏡の反射光を敵の船めがけて照射して、船が海岸に到達する前に燃やすことができたという伝説があり
そのままの通り大型船を一撃で炎上させるほどの威力がある熱線を発射でき、射程距離も洋上まで届くほど
光を反射するものからしか発射できない制限はあるが、自分の瞳でも発射可能なので実質制限は無いに等しい
また、熱や光、エネルギー系の攻撃を問答無用で反射できる


前ページ   /   表紙へ戻る   /   次ページ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー