ドクター 25
22:25頃 視聴覚室横階段前
――この男、関わりがあった『十三階段』の契約者と。ついでにこちらの面々も試すつもりか
やれやれといった調子で肩を竦め、ドクターは階段に足を掛け
一段、二段と躊躇せず足を運び、十一段目で足を止める
「君は、『組織』を黙らせたり、協力させたりする手があると言ったな?」
「ああ、そこの黒服ならそれが可能かどうかちゃぁんと判ってるはずだぜ?」
「いやぁ、『組織』にいるうちはいいと思ってたんだがな。まさかこんな関係になるとは思っていなかった」
虚実入り混ぜて話す黒服だが、ここで『十三階段』の契約者と口裏を合わせる意味は無いだろう
「さて、ぶっちゃけた話をしよう」
ドクターは真剣な面持ちで『十三階段』の契約者を見据える
「『組織』の一つや二つでどうこうできると思うな、馬鹿者」
「ドクターさん、説得! 説得は!?」
女装少年のツッコミをガン無視して、ドクターは言葉を続ける
「『夢の国』級の都市伝説を保有してる都市伝説集団が世界中にどれほどあると思っている。言うなれば核保有国が乱立して絶賛冷戦中といった有様だぞ。そんな中で独立戦争の挙句に全世界に向けて宣戦布告するような真似を、止めない方がどうかしているというものだ」
ばしん、と
平手で壁を叩き声を荒げる
「ハーレムを作る……その素晴らしい計画自体は賞賛しよう!」
「いや、しちゃダメでしょそれ」
最早ツッコミ疲れた女装少年の力の無い声
「だが目標はともあれ経過はどうなる? 戦乱に身を投じるという事は、傍にいる親しい友を、愛しい誰かを失う危険とも隣り合わせになるという事だ。今回の戦いだけで、君の仲間はどれほど傷付いた? これから更に傷付き傷付けあうためにただ力を欲するようになる姿を見たいのか?」
『十三階段』の契約者の脳裏に浮かぶ、儚げな笑顔
「五月蝿ぇ……あんたらに俺達の何が解る」
「解らんさ。だから対話を求めている。少なくともここにいる者は君達に敵意は持っていない。ただ君達の計画を止めて、君達に向かう敵意も止めたいだけだ」
「口だけでは何とでも言えるだろうが……奇麗事を並べただけで信用されると思うな」
「正しい判断だ。マッドガッサーも当然、そう警戒するだろう。だからこそ、仲間としてマッドガッサーに信頼されてる君の協力が必要だ」
そう言うとドクターは、階段の十二段目に足を掛ける
「ボクを信用できないなら、それでいい。だがせめてボクの言葉をマッドガッサーに伝えてもらえるとありがたい」
「……何のつもりだ?」
「既に上に行っている面々もいるはずなのでね。暴力沙汰になるようなら、できる事なら止めておきたい」
「俺が『十三階段』を解除するとでも思っているのか?」
「いいや?」
真顔で返すドクターに、『十三階段』の契約者はおろか後ろに控えている面々すら呆気に取られた顔をする
その中で一人だけ平然と二人のやり取りを眺めている黒服H
「これはボクなりの覚悟だ。『スパニッシュフライ』に操られてた馬鹿者とはいえ、自分の部下が君達を助けたいと言っていたのだ。それを受けた上司が意気込みを見せないでどうするのだね?」
「ここに来る途中、『十三階段』のスペックは説明したと思うが。お前さん、マジで死ぬぞ?」
「死なないものに踏み込んでも覚悟は見せれないだろう?」
黒服Hの問い掛けに、ドクターは全く動じた様子もなく応える
「ボクが『十三階段』に落ちて戻ってこれないようなら、まあアレだ。窓から三階へ昇ってくれ。今まで校舎内の様子を見た限り窓の一枚や二枚は破壊しても許容範囲だろう。君の髪なら彼女らの運搬ぐらいは可能だろう?」
「できなくもないが、ちょいとパワー不足かもしれんな」
「何ならそこで気絶してる馬鹿者を好きにしていいぞ?」
「既に色々やったが上司公認か……ちょっとやる気が出てきたかもしれん」
髪の毛をざわざわと蠢かせる黒服H
「って、ちょっと待って! それなら別にドクターさんがそこで危ない事する必要は無くない!?」
「だから言っただろう、覚悟の意思表示だと。マッドガッサーを止められるのはボク達じゃあない、仲間である彼らだ」
ドクターは不敵に笑い
「どうか君達が一人も欠ける事なく平穏な生活を得られる事を祈っておこう。ついでにボクが生きてそれを確認できれば最高だが……まあ贅沢は言うまい」
十三段目に、何の躊躇いも無くその一歩を踏み出した
やれやれといった調子で肩を竦め、ドクターは階段に足を掛け
一段、二段と躊躇せず足を運び、十一段目で足を止める
「君は、『組織』を黙らせたり、協力させたりする手があると言ったな?」
「ああ、そこの黒服ならそれが可能かどうかちゃぁんと判ってるはずだぜ?」
「いやぁ、『組織』にいるうちはいいと思ってたんだがな。まさかこんな関係になるとは思っていなかった」
虚実入り混ぜて話す黒服だが、ここで『十三階段』の契約者と口裏を合わせる意味は無いだろう
「さて、ぶっちゃけた話をしよう」
ドクターは真剣な面持ちで『十三階段』の契約者を見据える
「『組織』の一つや二つでどうこうできると思うな、馬鹿者」
「ドクターさん、説得! 説得は!?」
女装少年のツッコミをガン無視して、ドクターは言葉を続ける
「『夢の国』級の都市伝説を保有してる都市伝説集団が世界中にどれほどあると思っている。言うなれば核保有国が乱立して絶賛冷戦中といった有様だぞ。そんな中で独立戦争の挙句に全世界に向けて宣戦布告するような真似を、止めない方がどうかしているというものだ」
ばしん、と
平手で壁を叩き声を荒げる
「ハーレムを作る……その素晴らしい計画自体は賞賛しよう!」
「いや、しちゃダメでしょそれ」
最早ツッコミ疲れた女装少年の力の無い声
「だが目標はともあれ経過はどうなる? 戦乱に身を投じるという事は、傍にいる親しい友を、愛しい誰かを失う危険とも隣り合わせになるという事だ。今回の戦いだけで、君の仲間はどれほど傷付いた? これから更に傷付き傷付けあうためにただ力を欲するようになる姿を見たいのか?」
『十三階段』の契約者の脳裏に浮かぶ、儚げな笑顔
「五月蝿ぇ……あんたらに俺達の何が解る」
「解らんさ。だから対話を求めている。少なくともここにいる者は君達に敵意は持っていない。ただ君達の計画を止めて、君達に向かう敵意も止めたいだけだ」
「口だけでは何とでも言えるだろうが……奇麗事を並べただけで信用されると思うな」
「正しい判断だ。マッドガッサーも当然、そう警戒するだろう。だからこそ、仲間としてマッドガッサーに信頼されてる君の協力が必要だ」
そう言うとドクターは、階段の十二段目に足を掛ける
「ボクを信用できないなら、それでいい。だがせめてボクの言葉をマッドガッサーに伝えてもらえるとありがたい」
「……何のつもりだ?」
「既に上に行っている面々もいるはずなのでね。暴力沙汰になるようなら、できる事なら止めておきたい」
「俺が『十三階段』を解除するとでも思っているのか?」
「いいや?」
真顔で返すドクターに、『十三階段』の契約者はおろか後ろに控えている面々すら呆気に取られた顔をする
その中で一人だけ平然と二人のやり取りを眺めている黒服H
「これはボクなりの覚悟だ。『スパニッシュフライ』に操られてた馬鹿者とはいえ、自分の部下が君達を助けたいと言っていたのだ。それを受けた上司が意気込みを見せないでどうするのだね?」
「ここに来る途中、『十三階段』のスペックは説明したと思うが。お前さん、マジで死ぬぞ?」
「死なないものに踏み込んでも覚悟は見せれないだろう?」
黒服Hの問い掛けに、ドクターは全く動じた様子もなく応える
「ボクが『十三階段』に落ちて戻ってこれないようなら、まあアレだ。窓から三階へ昇ってくれ。今まで校舎内の様子を見た限り窓の一枚や二枚は破壊しても許容範囲だろう。君の髪なら彼女らの運搬ぐらいは可能だろう?」
「できなくもないが、ちょいとパワー不足かもしれんな」
「何ならそこで気絶してる馬鹿者を好きにしていいぞ?」
「既に色々やったが上司公認か……ちょっとやる気が出てきたかもしれん」
髪の毛をざわざわと蠢かせる黒服H
「って、ちょっと待って! それなら別にドクターさんがそこで危ない事する必要は無くない!?」
「だから言っただろう、覚悟の意思表示だと。マッドガッサーを止められるのはボク達じゃあない、仲間である彼らだ」
ドクターは不敵に笑い
「どうか君達が一人も欠ける事なく平穏な生活を得られる事を祈っておこう。ついでにボクが生きてそれを確認できれば最高だが……まあ贅沢は言うまい」
十三段目に、何の躊躇いも無くその一歩を踏み出した