階段を駆け上がる
逃げている…訳ではない
誘い込んでいるのだ
逃げている…訳ではない
誘い込んでいるのだ
「おらおらぁ!いつまで逃げてんだ!?」
ぞくり
背後から、迫ってくる気配
彼は、振り返ることなく、コーラのペットボトルの蓋を開けた
ばしゃり、飛び出たコーラの液体は…背後から迫ってきていたコーラとぶつかりあった
びしゃっ…!と、壁にコーラが飛び散る
背後から、迫ってくる気配
彼は、振り返ることなく、コーラのペットボトルの蓋を開けた
ばしゃり、飛び出たコーラの液体は…背後から迫ってきていたコーラとぶつかりあった
びしゃっ…!と、壁にコーラが飛び散る
「勿体ねぇなぁ。おら、さっさと飲みやがれ」
「うん。お断りかな」
「うん。お断りかな」
にっこり、彼は笑って見せて…走る
向かうは、屋上
そこまで誘い込むのだ
向かうは、屋上
そこまで誘い込むのだ
「もう、面倒だぁ。人間相手は」
ぼそり、彼はそう呟く
…組織より、始末を依頼された相手
それは、都市伝説と契約した、人間
それも…自分と、ある種近い都市伝説と
…組織より、始末を依頼された相手
それは、都市伝説と契約した、人間
それも…自分と、ある種近い都市伝説と
「コーラには、コカインが含まれている」
一時期、実しやかに囁かれた噂である
実際の所、昔は実際、そう言う事もあったらしいが、今現在のコーラにはそんな事実はない
だが、未だにそれは都市伝説として囁かれているのだ
実際の所、昔は実際、そう言う事もあったらしいが、今現在のコーラにはそんな事実はない
だが、未だにそれは都市伝説として囁かれているのだ
相手が契約している都市伝説は、それだ
彼を追いかけてくる男が持っているコーラの瓶
そこから溢れ出すコーラには、強い麻薬の成分が含まれている
いや、正確に言えば、コーラを「麻薬」に変えてしまう力、と言うべきか
あの男は、都市伝説と契約した事により、そんな力を手に入れた
そして、麻薬と化したコーラを操り…他人に無理矢理、飲ませる
そんな凶行を繰り返していたようだ
直接的な攻撃力はないかもしれないが、人間にとっては厄介な相手である
彼を追いかけてくる男が持っているコーラの瓶
そこから溢れ出すコーラには、強い麻薬の成分が含まれている
いや、正確に言えば、コーラを「麻薬」に変えてしまう力、と言うべきか
あの男は、都市伝説と契約した事により、そんな力を手に入れた
そして、麻薬と化したコーラを操り…他人に無理矢理、飲ませる
そんな凶行を繰り返していたようだ
直接的な攻撃力はないかもしれないが、人間にとっては厄介な相手である
…そして
彼にとっても、厄介な相手であった
自分と同じ、コーラを操る
相手のコーラは麻薬と化しているだけで、彼の操るコーラのような何でも溶かしかねないような攻撃力はない
しかし…それでも
相手の能力は、非常に厄介なのだ
…彼のコーラは、全てを溶かす
彼が望む物、全てを溶かす
……溶かす、はずなのだ
だが、しかし
それでも、致命的な、欠点があった
彼にとっても、厄介な相手であった
自分と同じ、コーラを操る
相手のコーラは麻薬と化しているだけで、彼の操るコーラのような何でも溶かしかねないような攻撃力はない
しかし…それでも
相手の能力は、非常に厄介なのだ
…彼のコーラは、全てを溶かす
彼が望む物、全てを溶かす
……溶かす、はずなのだ
だが、しかし
それでも、致命的な、欠点があった
…液体は、溶かせない
当たり前だ
元々液体な物を、溶かすことなどできるはずがない
元々液体な物を、溶かすことなどできるはずがない
たとえ、彼が相手をコーラで溶かそうとしても…相手は、麻薬のコーラを操り、それを防ぐ
何とも、面倒な相手である
だからこそ、こんな面倒な戦い方をしなければならなくなったのだ
まったく、組織め
彼は、笑顔のまま小さく舌打ちした
…あとで、組織の連絡係のあの黒服を弄って遊んでおこう、うん
何とも、面倒な相手である
だからこそ、こんな面倒な戦い方をしなければならなくなったのだ
まったく、組織め
彼は、笑顔のまま小さく舌打ちした
…あとで、組織の連絡係のあの黒服を弄って遊んでおこう、うん
「ひゃっはーーーぁ!待ちやがれぇ!!!」
迫り来る男
彼も、コーラの麻薬にやられているのだろうか
部分的に、言動がおかしい
彼も、コーラの麻薬にやられているのだろうか
部分的に、言動がおかしい
めんどくさいなぁ、と彼は思いながらも…走り続け
ようやく、そこにたどり着いた
廃墟ビルの、屋上
夜空には、星が輝いて…は、いなかった
どんよりの、曇り空
この真夜中でも、遠くのビル群にはちらほらと灯りが見える
ようやく、そこにたどり着いた
廃墟ビルの、屋上
夜空には、星が輝いて…は、いなかった
どんよりの、曇り空
この真夜中でも、遠くのビル群にはちらほらと灯りが見える
「…どうせなら、こう言う景色は兄さんと見たかったなぁ」
ついでに、星空も見えていたら完璧だな、と妙な事を考える
くるり
彼は、ようやく相手に振り返った
ぼろぼろの、浮浪者風の外見の男
手に持ったコーラの瓶からは、際限なくコーラが溢れ続けている
ぐい、と
男は、それを口に含んでいた
あの、麻薬と化したコーラを飲み続けていたら…確実に、中毒者となっている事だろう
うん、と彼は決めた
あんな状態になっているのなら、殺してあげた方が親切だよね
何とも勝手かつ理不尽な思考回路にたどり着き、彼はにっこり、笑った
くるり
彼は、ようやく相手に振り返った
ぼろぼろの、浮浪者風の外見の男
手に持ったコーラの瓶からは、際限なくコーラが溢れ続けている
ぐい、と
男は、それを口に含んでいた
あの、麻薬と化したコーラを飲み続けていたら…確実に、中毒者となっている事だろう
うん、と彼は決めた
あんな状態になっているのなら、殺してあげた方が親切だよね
何とも勝手かつ理不尽な思考回路にたどり着き、彼はにっこり、笑った
「へへ……っ、ようやく、観念したか」
「観念?」
「観念?」
何の事?と彼は笑ってみせる
こぽ、こぽ、と
コーラが溢れようとしているペットボトルの蓋を…閉めた
こぽ、こぽ、と
コーラが溢れようとしているペットボトルの蓋を…閉めた
「なんだぁ?やっと観念したのか?」
「ううん、違うよ」
「ううん、違うよ」
にこにこと、彼は笑う
…相手は、わかっていないのだ
ぴ、と指を立てて…兄が生徒相手に授業する時の癖を真似てみながら、説明してやる
…相手は、わかっていないのだ
ぴ、と指を立てて…兄が生徒相手に授業する時の癖を真似てみながら、説明してやる
「あのね、僕のコーラの能力はね…なんでも、溶かしちゃう事なんだよ」
「あぁ、知ってるさ。だから、俺ぁてめぇが散らかすコーラを一切、浴びちゃいねぇだろぉ?」
「あぁ、知ってるさ。だから、俺ぁてめぇが散らかすコーラを一切、浴びちゃいねぇだろぉ?」
けらけらと、男は笑う
うん、やっぱりわかってない
うん、やっぱりわかってない
…だから
彼は、とびきり残酷に笑いながら、続ける
「うん、そうだね。だから、僕のコーラは、このビルのあちらこちらにばら撒かれちゃったね」
「俺様のコーラもばら撒かれたがなぁ。飲み物を粗末にしちゃあいけねぇなぁ」
「俺様のコーラもばら撒かれたがなぁ。飲み物を粗末にしちゃあいけねぇなぁ」
じり、と
男は、こちらに近づいてくる
にこにこ、にこにこと…彼は、笑い続けた
男は、こちらに近づいてくる
にこにこ、にこにこと…彼は、笑い続けた
「そう…このビルの中の、あちらこちら。全ての階の、壁に、床に、天井に…バラまかれたよね?」
…ぴたり
男が、足を、止めた
男が、足を、止めた
ようやく、気付いたようだ
にんまり、と
彼は、飛び切りの笑顔を相手に向けながら
にんまり、と
彼は、飛び切りの笑顔を相手に向けながら
死刑宣告を、告げた
「だから…今、この状態で。僕が、撒き散らしたコーラでビルを溶かしちゃったら…どうなるかなぁ?」
「………っ!!」
「………っ!!」
相手が、仕掛けてくるよりも…前に
彼は、それを実行した
びしぃ……っ、と、男の足元に、一瞬で亀裂が入る
そして…男の姿は、一瞬で、消えた
彼は、それを実行した
びしぃ……っ、と、男の足元に、一瞬で亀裂が入る
そして…男の姿は、一瞬で、消えた
足場が崩れ、落ちる
どこまでも、落ちていく
男が立っていた、場所
そこから下、全てが…コーラで溶かされ、消滅していた
男の体は、7階建てビルの屋上から…地下の駐車場スペースまで、まっさかさまに落ちていき
どこまでも、落ちていく
男が立っていた、場所
そこから下、全てが…コーラで溶かされ、消滅していた
男の体は、7階建てビルの屋上から…地下の駐車場スペースまで、まっさかさまに落ちていき
ぐしゃり、潰れてしまった
「死んだかな?……死んだよね」
ちょこん、と
あいた穴の傍にしゃがんで見下ろし、彼は首をかしげた
あいた穴の傍にしゃがんで見下ろし、彼は首をかしげた
うん、多分死んだだろう
この高さから落ちて生きていたら、ビックリ人間だ
まぁ、都市伝説との契約で、体が強化されている可能性も十二分にあるが…
この高さから落ちて生きていたら、ビックリ人間だ
まぁ、都市伝説との契約で、体が強化されている可能性も十二分にあるが…
「ま、いいか。多分死んでるだろうし。死んでなくても暫く動けないだろうし。万が一生きてたら、他の誰かが始末してくれるよね」
楽天的に、彼はそう考えた
うん、きっと大丈夫だ
携帯が着信を告げたことを確認し、しゃがんだまま、彼は電話に出た
うん、きっと大丈夫だ
携帯が着信を告げたことを確認し、しゃがんだまま、彼は電話に出た
「はい…うん、始末したよ。多分、死んでるんじゃないかな………え、やだよ。ちゃんと死んだかどうか確認するの。だって、7階から地下1階まで落としたんだから。きっとぐちゃぐちゃのでろでろだよ。そんなの見たくないよ」
電話口から文句が聞こえてきたが、無視する
死体なんて、そっちが確認すればいいのだ
死体なんて、そっちが確認すればいいのだ
「それじゃあ、僕、兄さんが心配するからもう帰るね………え?ちゃんと心配してくれるよ?だって、兄さん、僕が居ないと朝食の準備する奴がいないから不便だって言ってくれたから」
そうだ
自分は、兄に必要とされているのだ
早く、帰らないと
彼は一方的に電話を切ると、兄の元に帰るべく、さっさと廃墟ビルを後にするのだった
自分は、兄に必要とされているのだ
早く、帰らないと
彼は一方的に電話を切ると、兄の元に帰るべく、さっさと廃墟ビルを後にするのだった
fin