籠女 籠女
籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に
鶴と亀が滑った 後ろの正面
籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に
鶴と亀が滑った 後ろの正面
だぁれ?
「……はい?」
「あれ?聞いた事、なかった?」
「あれ?聞いた事、なかった?」
きゃあきゃあ
子供たちが無邪気に歌うその歌を聴きながら、青年はそう言って来た
今時、あんな遊びをしている子供たちは珍しいな、と
彼は、そんな年よりじみた事を考えていたのだが
目の前の青年は、違う事を考えたらしい
子供たちが無邪気に歌うその歌を聴きながら、青年はそう言って来た
今時、あんな遊びをしている子供たちは珍しいな、と
彼は、そんな年よりじみた事を考えていたのだが
目の前の青年は、違う事を考えたらしい
「かごめかごめは、遊女の事を歌ってる、って話」
籠の中の鳥という名の遊女たち
籠の中で死ぬまで飼い殺し
籠から出られる事は、一生ない?
籠の中で死ぬまで飼い殺し
籠から出られる事は、一生ない?
「そんな遊女とね、駆け落ちしようとした男の人がいたんだって」
夜明けの晩に、彼女たちは逃げ出す
けれど、捕まってしまった
けれど、捕まってしまった
後ろの正面だぁれ?
後ろに居たのは、二人を追う追っ手
追っ手に、二人は捕まってしまうのだ
追っ手に、二人は捕まってしまうのだ
「…追っ手に捕まった二人は、どうなったのでしょうね」
「さぁ?殺されちゃったんじゃないかな?」
「さぁ?殺されちゃったんじゃないかな?」
さらりと、恐ろしい事を言い切る青年
青年は、この世で何よりも大切な兄以外に対しては、興味が薄く、そして冷たい
だからこそ、この青年が契約した都市伝説は、青年が望む物以外を全て溶かすという進化を遂げたのだろうか
たとえ、相手が何者であろうとも、彼は容赦しない
もっとも、弱点もあるようであるが、この青年はそれを簡単には明かさないから
青年は、この世で何よりも大切な兄以外に対しては、興味が薄く、そして冷たい
だからこそ、この青年が契約した都市伝説は、青年が望む物以外を全て溶かすという進化を遂げたのだろうか
たとえ、相手が何者であろうとも、彼は容赦しない
もっとも、弱点もあるようであるが、この青年はそれを簡単には明かさないから
「…何故、そんな話を?」
「ううん、何となく。君ならその話も知ってるかな、と思っただけ」
「ううん、何となく。君ならその話も知ってるかな、と思っただけ」
それだけだよ、と青年は笑う
かごめかごめ かごのなかのとりは
いついつでやる よあけのばんに
つるとかめがすべった うしろのしょうめんだぁれ
いついつでやる よあけのばんに
つるとかめがすべった うしろのしょうめんだぁれ
子供たちは、無邪気にその歌を歌っている
その歌の意味など、まるで考えずに、無邪気に
その歌の意味など、まるで考えずに、無邪気に
…わからない方がいい、と彼は思った
都市伝説で語られるような意味を理解して遊んでいるとしたら
それは、酷く、酷く、残酷だから
都市伝説で語られるような意味を理解して遊んでいるとしたら
それは、酷く、酷く、残酷だから
「その都市伝説は知りませんでしたが、その歌に関する他の都市伝説なら、聞いた事がありますよ」
「へぇ、どんなの?」
「へぇ、どんなの?」
コーラのペットボトルをもてあそびながら、彼は首を傾げてきた
特に、意味などないのだろう
これは、単なる時間つぶし
都市伝説の時間がくるまでの、ただの暇つぶしだ
特に、意味などないのだろう
これは、単なる時間つぶし
都市伝説の時間がくるまでの、ただの暇つぶしだ
「この歌は、徳川埋蔵金のありかを記した歌…暗号だと言う都市伝説ですよ。なんでも、暗号を紐解くと、日光東照宮に行き着くとか」
「へぇ、夢のある話だね」
「へぇ、夢のある話だね」
なんとも、心の篭ってない声で返された
胡散臭い、とでも言いたいのだろう
なんとでも言うがいい
胡散臭い、とでも言いたいのだろう
なんとでも言うがいい
「私は、こちらの都市伝説の方が好きですがね。血生臭い悲しい結末の都市伝説よりは…こちらの方が」
「…言われてみると、そうかな?」
「…言われてみると、そうかな?」
う~ん、と考え込んでいる青年
そして、うん、と一人勝手に納得したように、頷く
そして、うん、と一人勝手に納得したように、頷く
「兄さんも、血生臭いの好きじゃないし。そっちの方がいいのかもね」
…どこまでも兄基準か、このブラコンめ
そう考えながらも、口には出さない
そう考えながらも、口には出さない
…この青年は、こう言う人間なのだ
同時に、この青年にとって
……この世に生きている意味は、その兄、そのもので
それ以外に、理由も意味も、ないのだから
同時に、この青年にとって
……この世に生きている意味は、その兄、そのもので
それ以外に、理由も意味も、ないのだから
…ならば、それでいいじゃないか
最近、そう考えるようになった
最近、そう考えるようになった
…諦めてきた、とも言う
そうでもしないと、この青年とつきあうのは難しい
そうでもしないと、この青年とつきあうのは難しい
「…どうかした?」
「いえ、何も」
「いえ、何も」
にこにこと、青年は笑っている
…だが、この笑顔は、所詮仮面で
この青年が真に笑顔を見せるのは、きっと、兄に対してだけなのだろう
それ以外は、本当に、この青年にとってはどうでも良いのだ
…だが、この笑顔は、所詮仮面で
この青年が真に笑顔を見せるのは、きっと、兄に対してだけなのだろう
それ以外は、本当に、この青年にとってはどうでも良いのだ
かごめかごめ かごのなかのとりは
いついつでやる よあけのばんに
つるとかめがすべった うしろのしょうめん、だぁれ?
いついつでやる よあけのばんに
つるとかめがすべった うしろのしょうめん、だぁれ?
…ふと
この青年もまた、籠の中の鳥に過ぎないのではない
自分も、彼とは別な意味での、籠の中の鳥なのではないか
彼は、一瞬そう考えたが
しかし、考えても、どうにかなる訳ではなく
この青年もまた、籠の中の鳥に過ぎないのではない
自分も、彼とは別な意味での、籠の中の鳥なのではないか
彼は、一瞬そう考えたが
しかし、考えても、どうにかなる訳ではなく
…ただ、都市伝説の時刻になるまでの時間を、あとどうやってこのヤンデレブラコンと過ごすべきか
そちらに、思考を傾けるのだった
そちらに、思考を傾けるのだった
fin