ちゃぷんっ…
ゆったりと、肩まで湯に浸かる
檜の香りが、静かに思考を落ち着けてくれる
家の浴室にて、今時珍しい檜風呂に浸かって、彼女は一日の疲れを癒していた
ちゃぷり
彼女はぼんやりと、浴室の大きな鏡へと、視線を向ける
ゆったりと、肩まで湯に浸かる
檜の香りが、静かに思考を落ち着けてくれる
家の浴室にて、今時珍しい檜風呂に浸かって、彼女は一日の疲れを癒していた
ちゃぷり
彼女はぼんやりと、浴室の大きな鏡へと、視線を向ける
「…おばーちゃん、どうしても鑑からは出られないの?」
彼女は、鏡に映る自身へと…
…否
鏡には、何時の間にか、白い着物を纏った老婆が映っていた
老婆は、少し残念そうな表情を浮かべて、彼女の問いかけに答える
…否
鏡には、何時の間にか、白い着物を纏った老婆が映っていた
老婆は、少し残念そうな表情を浮かべて、彼女の問いかけに答える
「そうだねぇ。せいぜい、腕を少し出せる程度だよ」
「そっか」
「そっか」
それじゃあ、この風呂を貸してやる事もできない
世話になっているのだから、風呂くらい入れてやりたいのに
残念そうな彼女に、老婆は笑ってくる
世話になっているのだから、風呂くらい入れてやりたいのに
残念そうな彼女に、老婆は笑ってくる
「いいんだよ。私は都市伝説だからねぇ。汚れるって事がないし」
「でも、お風呂くらいは、入りたいでしょ?」
「でも、お風呂くらいは、入りたいでしょ?」
鏡に、おのれとは全く違う老婆の姿が映る
そんな怪異に、彼女は動じる事はない
彼女にとって、老婆は契約相手である
老婆は都市伝説
彼女は、都市伝説と契約した人間
そんな関係なのだ
そんな怪異に、彼女は動じる事はない
彼女にとって、老婆は契約相手である
老婆は都市伝説
彼女は、都市伝説と契約した人間
そんな関係なのだ
「本当、気にしなくていいんだよ。ゆっくり、疲れをとってなさい」
「ん~…」
「ん~…」
そうは、言われても
同じ女として、ちょっとは気になるのである
老婆が、こちらに気を使わせないように言ってきているのも、何となくわかってしまって
……後で、鏡から出せる腕だけでも、浸からせてあげたないな、と思う
同じ女として、ちょっとは気になるのである
老婆が、こちらに気を使わせないように言ってきているのも、何となくわかってしまって
……後で、鏡から出せる腕だけでも、浸からせてあげたないな、と思う
「…それにしても、立派なお風呂だねぇ」
「そう?」
「そう?」
ちゃぷぷん
顎の辺りまで湯に浸かりつつ、彼女は小さく首をかしげた
何せ、小さな頃から、家の風呂はこれだった
だから、あまり気にならない
…まぁ、自分の家が、普通の家とは色々違う、と言うのは充分、自覚しているが
顎の辺りまで湯に浸かりつつ、彼女は小さく首をかしげた
何せ、小さな頃から、家の風呂はこれだった
だから、あまり気にならない
…まぁ、自分の家が、普通の家とは色々違う、と言うのは充分、自覚しているが
普通とは、どこか違う家
自分の兄は、家のことを学校の同級生とかに、必死に隠している
まぁもっとも、小学生のころに、色々あって一部にバレたりもしたが…
…自分の場合、隠している訳ではないが、一応バレてはいない
バレたら、どうなるだろうか
あまり考えた事はないが、少し怖い
バレてしまったら、友達がみんな、離れてしまうんじゃないか
……そんな、恐怖心
自分の兄は、家のことを学校の同級生とかに、必死に隠している
まぁもっとも、小学生のころに、色々あって一部にバレたりもしたが…
…自分の場合、隠している訳ではないが、一応バレてはいない
バレたら、どうなるだろうか
あまり考えた事はないが、少し怖い
バレてしまったら、友達がみんな、離れてしまうんじゃないか
……そんな、恐怖心
「ねぇ、お婆ちゃん」
「何だい?」
「何だい?」
ちょこんっ、と
老婆は鏡の向こうで正座して、のんびりとお茶を飲んでいる
…自分のお婆ちゃんも、生きていたらこんな感じだったのかな
そんなことを考えながら、彼女は尋ねてみる
老婆は鏡の向こうで正座して、のんびりとお茶を飲んでいる
…自分のお婆ちゃんも、生きていたらこんな感じだったのかな
そんなことを考えながら、彼女は尋ねてみる
「…家、さ。あんな感じなんだけど……引いてない?」
「おや?家族仲良くて、いい家だと思うけどねぇ」
「…その、そうじゃ、なくて…」
「おや?家族仲良くて、いい家だと思うけどねぇ」
「…その、そうじゃ、なくて…」
…ぶくぶく
何となく、口にだしにくくて
彼女はぶくぶく、口の辺りまで湯に浸かる
そんな彼女の様子を見て…おやおや、と老婆は笑って見せた
何となく、口にだしにくくて
彼女はぶくぶく、口の辺りまで湯に浸かる
そんな彼女の様子を見て…おやおや、と老婆は笑って見せた
「あぁ、そのことかい?…私は都市伝説だからねぇ
怖い、とか、そうは思わないよ?」
「……本当?」
「あぁ、そうさ」
怖い、とか、そうは思わないよ?」
「……本当?」
「あぁ、そうさ」
優しく笑ってくれる老婆
まるで、孫に接するかのように、接してくれる鏡の中の老婆
……鏡さえあれば、どこにでも出現できるようになったその老婆は、鏡を通して、この家の事も見れるようになって
…だから
この家のことを知られたら、距離をとられるのではないか
そんな恐怖を、かすかに抱えていたが
まるで、孫に接するかのように、接してくれる鏡の中の老婆
……鏡さえあれば、どこにでも出現できるようになったその老婆は、鏡を通して、この家の事も見れるようになって
…だから
この家のことを知られたら、距離をとられるのではないか
そんな恐怖を、かすかに抱えていたが
「…そっか」
ざぱ、と湯船から、あがる
…抱えていた悩みが一つ、晴れた
…抱えていた悩みが一つ、晴れた
「ありがと、お婆ちゃん」
「おやおや、私はお礼を言われる事なんて、何もしてないよ?」
「おやおや、私はお礼を言われる事なんて、何もしてないよ?」
いいの、と彼女は笑う
都市伝説との、契約
自分は、他の都市伝説と戦い続ける運命におかれた
…兄と、同じように
自分は、他の都市伝説と戦い続ける運命におかれた
…兄と、同じように
不安がなかったわけじゃない
でも、兄にできるのなら、自分だって大丈夫
そう、自分に言い聞かせ続けてきた
でも、兄にできるのなら、自分だって大丈夫
そう、自分に言い聞かせ続けてきた
…でも
今、確信する
…このお婆ちゃんとなら、都市伝説との戦いも、きっと乗り越えられる
彼女は、そう、確信して
にっこりと、鏡の中の老婆に、笑いかけたのだった
今、確信する
…このお婆ちゃんとなら、都市伝説との戦いも、きっと乗り越えられる
彼女は、そう、確信して
にっこりと、鏡の中の老婆に、笑いかけたのだった
fin