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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-お正月-2

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 ≪首塚≫が確保しているとある島。≪首塚≫に保護された非戦闘員の内、追われる立場にある者、どこにも行き場がない者の多くは≪旧日本軍の幽霊≫によって守られているそこで生活をしている。
 そして新年、雪化粧をしたその島では≪首塚≫の新年会が催されていた。
「まあなんというか、平和ね」
 寒さにも負けず外で遊んでいる≪首塚≫に保護されている子供たちを見ながら、彼女――≪フィラデルフィア計画≫の契約者の女は呟いた。
「おねーちゃーん」
 声が聞こえた。振り向くと子供たちが寄って来ている。
 子供たちの先頭に居た女の子が≪フィラデルフィア計画≫の契約者に飛び込んだ。
 女の子は≪フィラデルフィア計画≫の契約者が何かしらの都市伝説に追われている少女を助け――とはいっても戦闘能力のない彼女は少女を連れて逃げるだけで手一杯で少女の両親は助けられなかったのだが――それ以来彼女を姉と慕ってくれる子だ。
「あけましておめでとーございますっ!」
 言葉と共に羽子板でもやっていたのだろう、墨で少し落書きされた顔をにぱっと笑顔にする。
「ええ、あけましておめでとう」
 ≪フィラデルフィア計画≫の契約者が言葉を返していると他の子供たちも駆け寄ってきて新年の挨拶をそれぞれしだした。
「あけおめー」
「あけましておめでとうございまーす!」
「おめでとー」
 それらに答えていきながら思う。
 ≪フィラデルフィア計画≫の契約者は能力を使って好き放題盗みを働いていて≪組織≫に追われていたところを将門に助けられた。本人に悪いことをしていた自覚はあるので彼女自身はそれほど≪組織≫を恨むということもない。一方で≪首塚≫の中には都市伝説そのものを憎む者も、≪組織≫ないし他の集団に対して敵意を持つ者も居る。規律は厳しくない集団である≪首塚≫には彼女の嫌いなタイプの人間もまたいるのだ。まあその人間、≪ドナドナ≫と≪猿夢≫の契約者は自分がその死を確認したのだが。
 彼女個人としては≪首塚≫では、
 このままほのぼのしたいものね。
 そう思うのだ。まあ≪組織≫のやり口を気に入らないということはあるのでやることはやるつもりだが。
「ねーあそぼ?」
 もの思いに沈んでいると女の子に服の裾を引っ張られた。≪フィラデルフィア計画≫の契約者は申し訳なさそうに笑って答える。
「ごめんね、私は中で皆の食事を作る手伝いをしなければならないの」
 腕は主な料理人を勤める者には敵わないがそれでも手があって困るということはない。
「えー」
「おいしい料理をたくさん食べたいでしょう?」
「……はーい」
 少し不満そうだが納得してくれたようだ。
 良い子ねと言い、さて手伝おうかと思っていると今回の本会場の日本家屋の中からゲームでもしていたのだろう子供たちが何名か出てきた。子供たちは≪フィラデルフィア計画≫の契約者の姿を認めて大声で呼ぶ。
「あーフィラちゃんだー!」
 ≪フィラデルフィア計画≫の契約者は動きを止めた。
「フィラちゃん?」
 と別の子が突然動きを止めた彼女を不思議そうに眺めている。
 ≪フィラデルフィア計画≫の契約者は彼らには難しいだろうと思い自身の契約都市伝説については話していない。呼称も今までは光る箱のおねえちゃんだったのだが、
「……どこで、誰にその呼び方を聞いたの?」
「んっとねー、ステーキのおにいちゃん!」
「ああ、彼ね」
 自分を初めにこの名で呼んだ青年の顔を思い出す。そういえば宴会の前に≪首塚≫に泊まっていったTさんたちに挑んで負けて女装させられたという話を聞いた。いい気味だ。
 思っていると子供たちが経緯を詳しく説明し始めた。
「んっとねー、おにいちゃんはもっと長い名前を言ってたんだけどね、おぼえられないよって言ったらおにいちゃんが『じゃあフィラちゃんって呼んどけ』だって」
「そうなの」
 笑顔で頭を撫でつつ言う。自分も自分もとじゃれてくる彼らの相手をしていると、自分を姉と慕う少女が新たな呼び方を試み、

「ふぃ、ふぃ……ふぇらちゃん?」

 瞬間、フィラちゃんの笑顔が凍りついた。
 すぐさま少女の顔を両サイドから掴み、目を見て、ゆっくりと告げる。
「いい? ふぃ、よ。ふぃ・ら」
「ふぇ、ら?」
 言って少女は小首をかしげる。
「――――っ」
 フィラちゃんは頭を抱える。恐れていた事態だ。いや、別にそれほど深刻なことではないのだがやはりそう呼ばれるのは良い気分がしない。卑猥だ。この子は幼くて舌が回らないのだろう。それは分かっている。少女自身はその呼称を使うことに悪意など一片も混ぜてはいまい。だが、だからこそ、自分が呼ばれて嫌だということもあるがそれ以上に、
 女の子がそんなことを言っちゃよくないわよね。
 そう、なによりそのまま呼称が定着してしまい、成長して言葉の意味を知った時に彼女が受ける衝撃はどのようなものだろうか。
 そう思いフィラちゃんは根気よく少女に言う。すると幾度目かで、
「フィーちゃん?」
「そうよ、良い子ね、よく言えました」
 褒めるととても嬉しそうな笑みを浮かべる少女を見てフィラちゃんの口許が緩む。
 少し疲れたなと感じ、あの青年には一度無言で制裁を加えなければと思いながらさて、と日本家屋へと歩を進める。
「――ともあれ」
 家族を失った彼女のような子が笑顔で居られるのだ、いつまでもここはこういう場であればいいと思う。
 日本家屋内からは子供たちの歓声が聞こえる。
 もう幾人かメンバーが到着しているのだろう。彼らの名を呼ぶ声もする。
 日本家屋の中からは子供たちの声が――
「良かったー。それなら、あたしがチャラ男のお嫁さんになれるね」
「駄目だよー、チャラ男はボクがお嫁さんにするんだから」
 ……本当に、いつまでも、このままで――――
「ぼくはたきやしゃさまをおよめさんにするのー」
「ないすばでーになってまさかどさまのめかけになるー」
「まさかどさまのあいじんになるのー!」
「すてーきのおにーちゃんにえろいこといっぱいするのー!!」
 …………少しはちゃんとした教育をした方がいいかもしれないわね。
 そう強く心に思い、彼女は日本家屋へと入って行った。




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