----夢を見ていた
昔の夢を
昔とは言っても、せいぜい、高校生の頃の夢だ
昔の夢を
昔とは言っても、せいぜい、高校生の頃の夢だ
彼女が、酷く楽しそうに笑っている
自分は、間違いなく彼女に惹かれていた
ついに伝える事はできなかったが……間違いなく、自分は彼女に惚れていたのだ
自分は、間違いなく彼女に惹かれていた
ついに伝える事はできなかったが……間違いなく、自分は彼女に惚れていたのだ
刹那
視界がぐるりと入れわかり
視界の中の彼女は、血塗れで
赤い
赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤いあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかい……
視界がぐるりと入れわかり
視界の中の彼女は、血塗れで
赤い
赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤い赤いあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかいあかい……
「----えり、か、さ」
…何故、今更こんな夢を
これが夢であると自覚した、その瞬間に、意識は現実に引き上げられた
これが夢であると自覚した、その瞬間に、意識は現実に引き上げられた
「----ぁ」
「!意識が戻りましたか」
「!意識が戻りましたか」
翼が、意識を取り戻した時
視界に入ってきたのは、黒服だった
目を覚ました彼の様子に、ほっとした様子を見せている
視界に入ってきたのは、黒服だった
目を覚ました彼の様子に、ほっとした様子を見せている
「…くろ、ふく………俺は」
「多重契約による能力を暴走させたせいで、体力を消耗したようですね……大丈夫ですか?」
「多重契約による能力を暴走させたせいで、体力を消耗したようですね……大丈夫ですか?」
頷き、起き上がる
「首塚」拠点の、ホテルの一室だ
倒れて……運び込まれたのか
情けない
黒服に気づかれないよう、自嘲するように笑う
よくよく見れば、黒服と望のあの死体は、偽物であると気づけたはずだと言うのに
気づかずに、勝手に絶望して、暴走して
周りに迷惑をかけて……情けない
もっと、しっかりしなければ
能力だけじゃない…精神面も、もっと鍛えなければ
「首塚」拠点の、ホテルの一室だ
倒れて……運び込まれたのか
情けない
黒服に気づかれないよう、自嘲するように笑う
よくよく見れば、黒服と望のあの死体は、偽物であると気づけたはずだと言うのに
気づかずに、勝手に絶望して、暴走して
周りに迷惑をかけて……情けない
もっと、しっかりしなければ
能力だけじゃない…精神面も、もっと鍛えなければ
「本当に大丈夫なの?…顔色、悪いわよ」
「大丈夫だって」
「大丈夫だって」
近づいてきた望に、翼はそう言って笑った
大丈夫
そう、自分に言い聞かせるように
大丈夫
そう、自分に言い聞かせるように
一つ、絶望がトラウマを引きずり出す
ずるり、ずるりと、過去の傷を抉り出す
抉られた傷、どろどろぐちゃり
その傷口をどうしよか?
ずるり、ずるりと、過去の傷を抉り出す
抉られた傷、どろどろぐちゃり
その傷口をどうしよか?
--大丈夫だ
翼は、自分に言い聞かせる
あの過去の記憶は、自分にとってトラウマレベルのものではある
翼は、自分に言い聞かせる
あの過去の記憶は、自分にとってトラウマレベルのものではある
…だが
それがどうした
自分のこの記憶など、生ぬるいのだ
そう考えながら、望に視線をやる
それがどうした
自分のこの記憶など、生ぬるいのだ
そう考えながら、望に視線をやる
…彼女が体験してきた事と比べれば
自分の体験など、生温い
こんな記憶に引きずりまわされている場合ではないのだ
自分の体験など、生温い
こんな記憶に引きずりまわされている場合ではないのだ
「…じゃあな、厨2病。迷惑かけた詫びに、今度好きな料理、作ってやるから」
「あぁ」
「あぁ」
じゃあな、と
翼は、黒服と望と共に、ホテルを後にした
その後ろ姿を見送って…………厨2病は、首をかしげる
翼は、黒服と望と共に、ホテルを後にした
その後ろ姿を見送って…………厨2病は、首をかしげる
「……「エリカ」って、誰だ?」
そんな名前の女は、「首塚」にはいなかったような………?
……はらはら
雪が降っている
その雪に釣られるように、空を見上げると
雪が降っている
その雪に釣られるように、空を見上げると
……サンタとミニスカ天使と全裸マッスル兄貴と言う地獄絵図が
「…なぁ、黒服」
「見なかった事にしておいてください。三分の二は「組織」の責任ですので」
「見なかった事にしておいてください。三分の二は「組織」の責任ですので」
…かすかに頭痛を感じたように、黒服は呟く
一般人には見えない状態にしているとは言え、頭上の光景はあまり認識したくないものだ
一般人には見えない状態にしているとは言え、頭上の光景はあまり認識したくないものだ
「まったく…クリスマスだって言うのに、物騒ね。この街は」
望が、深々とため息をつく
…どうやら、あのサンタによる精神的被害は、あちこちで出ているらしかった
……あのサンタクロースめ
今度目の前にきたら、問答無用で焼く
…どうやら、あのサンタによる精神的被害は、あちこちで出ているらしかった
……あのサンタクロースめ
今度目の前にきたら、問答無用で焼く
「あなたも、もう少ししっかりしなさいよ?」
「……あぁ、わかってるさ」
「……あぁ、わかってるさ」
望の言葉に、翼は頷く
見せ付けられた、偽物の死体
二人の、悲惨な未来
……あんな未来は起こさせない
自分が守ってみせる
二人を、血にまみれさせはしない
二人の、悲惨な未来
……あんな未来は起こさせない
自分が守ってみせる
二人を、血にまみれさせはしない
……かつてのトラウマを振り切るように、翼はそう誓うのだった
fin