恐怖のサンタ クリスマス編 07
あの頃、俺はいたって普通の人間だった。
中流階級と呼ばれるそこそこの家に生まれ、これといって取り柄もなく、しかしそこそこに友人のいる少年生活を送り
そこそこの大学に一浪して入って、そこそこの会社に入社した。
人並みに災難に遭い、人並みに運も良かった人生。
このままそこそこの人生を送って死ぬのだと、当時の俺は思っていた。
だから、あの時俺に生まれて初めて「彼女」と言う存在が出来た時も、ただ漠然と
中流階級と呼ばれるそこそこの家に生まれ、これといって取り柄もなく、しかしそこそこに友人のいる少年生活を送り
そこそこの大学に一浪して入って、そこそこの会社に入社した。
人並みに災難に遭い、人並みに運も良かった人生。
このままそこそこの人生を送って死ぬのだと、当時の俺は思っていた。
だから、あの時俺に生まれて初めて「彼女」と言う存在が出来た時も、ただ漠然と
――――このまま彼女と結婚して、そこそこ幸せな人生を送るのかな
なんて思っていたものだ。
……今となっては、笑いの種にすらなりはしないが。
……今となっては、笑いの種にすらなりはしないが。
会社の同僚の一人であった彼女の容姿もまた、至って平凡なものだった。
こんな事を言うと毎回誰かに「平凡な顔って何だよ」なんて突っ込まれたものだったが、まさに平凡なのだから仕方がない。
強いて言えば印象に残らない顔、とでも言った所だろうか。
特に目立った行動を取るわけでもなく、かと言って目立ちすぎないわけでもない、そんな存在。
それが良い意味でも悪い意味でも、彼女の印象を薄くしていた。
だからこそ、彼女から告白された時、何でそれを受けたのかも俺自身よく分からなかったし、それが元で後で色々悩む事になったのだが…………それはまだ、どうでもいいことだ。
こんな事を言うと毎回誰かに「平凡な顔って何だよ」なんて突っ込まれたものだったが、まさに平凡なのだから仕方がない。
強いて言えば印象に残らない顔、とでも言った所だろうか。
特に目立った行動を取るわけでもなく、かと言って目立ちすぎないわけでもない、そんな存在。
それが良い意味でも悪い意味でも、彼女の印象を薄くしていた。
だからこそ、彼女から告白された時、何でそれを受けたのかも俺自身よく分からなかったし、それが元で後で色々悩む事になったのだが…………それはまだ、どうでもいいことだ。
彼女との交際は幸せだった。多分、人並みかそれ以上には。
週に何度か会っていたのが毎日になり、そのまま段階的に、世間一般が言う「清い交際」を続ける日々。
順調に、しかしそこそこに挫折をしながら、延々と続いていく仕事。
彼女が出来てからも平凡に、あまりに平凡に、俺の人生は過ぎて行った。
週に何度か会っていたのが毎日になり、そのまま段階的に、世間一般が言う「清い交際」を続ける日々。
順調に、しかしそこそこに挫折をしながら、延々と続いていく仕事。
彼女が出来てからも平凡に、あまりに平凡に、俺の人生は過ぎて行った。
……しかし、彼女と同棲をし始めてから半年後。
給料数ヶ月分の指輪を贈り、彼女と婚約を交わした辺りから、何かが少しずつ、本当に少しずつ、ズレていった。
何がきっかけだったのか、正確な所は分からない。
その歪みは本当に僅かな物で……だからこそ、それが大きく、手に負えなくなるまで、俺はその存在に気付けなかったのだ。
給料数ヶ月分の指輪を贈り、彼女と婚約を交わした辺りから、何かが少しずつ、本当に少しずつ、ズレていった。
何がきっかけだったのか、正確な所は分からない。
その歪みは本当に僅かな物で……だからこそ、それが大きく、手に負えなくなるまで、俺はその存在に気付けなかったのだ。
最初は、ただの嫉妬だと思っていた。
デート中にちょっと別の女に視線を向けたとかいう、可愛らしいもの。
ドラマにでもありそうなシーンだな、なんてその時の俺は思ったものだ。
…………しかし
デート中にちょっと別の女に視線を向けたとかいう、可愛らしいもの。
ドラマにでもありそうなシーンだな、なんてその時の俺は思ったものだ。
…………しかし
――――ねぇ、今日Y子と話してたよね。何の話だったの?
川幅が、下流へと行くにつれて広くなるように
――――夕方に会ってた女の人、取引先の人かな? 見たことない人だったけど……。
小さな亀裂が、段々時と共に大きくなっていくように、
――――最近、帰りが遅いよね。どうしたの?
徐々に、徐々に、
――――ねぇ、どうしたの? ねぇ…………
それは、姿を現していった。
大きくなっていく影、細かくなっていく疑念。
その影の色が段々と濃くなるにつれ、俺はそれを知覚するようになり……
大きくなっていく影、細かくなっていく疑念。
その影の色が段々と濃くなるにつれ、俺はそれを知覚するようになり……
――――これは、彼女なりの愛情表現なんだ。きっと、そう。きっと…………
……しかし、俺は自分をごまかし続けた。
自分のため、彼女のため、将来のため――――
そう、自分に言い聞かせ、欺く日々。
それは、危ういながらも僅かな均衡を保ち続け
自分のため、彼女のため、将来のため――――
そう、自分に言い聞かせ、欺く日々。
それは、危ういながらも僅かな均衡を保ち続け
――――なぁ、お前の担当してる取引先にさ、美人さんが二人いたじゃん?
それでもすぐに、その均衡はあっけなく崩れ去った。
――――あの二人さ、自殺したらしいぜ。しかも同じ日の同じ時間に、全く別の場所でだってよ
【続】