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連載 - 恐怖のサンタ-b07

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uranaishi

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恐怖のサンタ クリスマス編 07



 あの頃、俺はいたって普通の人間だった。
 中流階級と呼ばれるそこそこの家に生まれ、これといって取り柄もなく、しかしそこそこに友人のいる少年生活を送り
 そこそこの大学に一浪して入って、そこそこの会社に入社した。
 人並みに災難に遭い、人並みに運も良かった人生。
 このままそこそこの人生を送って死ぬのだと、当時の俺は思っていた。
 だから、あの時俺に生まれて初めて「彼女」と言う存在が出来た時も、ただ漠然と

――――このまま彼女と結婚して、そこそこ幸せな人生を送るのかな

 なんて思っていたものだ。
 ……今となっては、笑いの種にすらなりはしないが。

 会社の同僚の一人であった彼女の容姿もまた、至って平凡なものだった。
 こんな事を言うと毎回誰かに「平凡な顔って何だよ」なんて突っ込まれたものだったが、まさに平凡なのだから仕方がない。
 強いて言えば印象に残らない顔、とでも言った所だろうか。
 特に目立った行動を取るわけでもなく、かと言って目立ちすぎないわけでもない、そんな存在。
 それが良い意味でも悪い意味でも、彼女の印象を薄くしていた。
 だからこそ、彼女から告白された時、何でそれを受けたのかも俺自身よく分からなかったし、それが元で後で色々悩む事になったのだが…………それはまだ、どうでもいいことだ。

 彼女との交際は幸せだった。多分、人並みかそれ以上には。
 週に何度か会っていたのが毎日になり、そのまま段階的に、世間一般が言う「清い交際」を続ける日々。
 順調に、しかしそこそこに挫折をしながら、延々と続いていく仕事。
 彼女が出来てからも平凡に、あまりに平凡に、俺の人生は過ぎて行った。

 ……しかし、彼女と同棲をし始めてから半年後。
 給料数ヶ月分の指輪を贈り、彼女と婚約を交わした辺りから、何かが少しずつ、本当に少しずつ、ズレていった。
 何がきっかけだったのか、正確な所は分からない。
 その歪みは本当に僅かな物で……だからこそ、それが大きく、手に負えなくなるまで、俺はその存在に気付けなかったのだ。

 最初は、ただの嫉妬だと思っていた。
 デート中にちょっと別の女に視線を向けたとかいう、可愛らしいもの。
 ドラマにでもありそうなシーンだな、なんてその時の俺は思ったものだ。
 …………しかし

――――ねぇ、今日Y子と話してたよね。何の話だったの?

 川幅が、下流へと行くにつれて広くなるように

――――夕方に会ってた女の人、取引先の人かな? 見たことない人だったけど……。

 小さな亀裂が、段々時と共に大きくなっていくように、

――――最近、帰りが遅いよね。どうしたの?

 徐々に、徐々に、

――――ねぇ、どうしたの? ねぇ…………

 それは、姿を現していった。
 大きくなっていく影、細かくなっていく疑念。
 その影の色が段々と濃くなるにつれ、俺はそれを知覚するようになり……

――――これは、彼女なりの愛情表現なんだ。きっと、そう。きっと…………

 ……しかし、俺は自分をごまかし続けた。
 自分のため、彼女のため、将来のため――――
 そう、自分に言い聞かせ、欺く日々。
 それは、危ういながらも僅かな均衡を保ち続け

――――なぁ、お前の担当してる取引先にさ、美人さんが二人いたじゃん?

 それでもすぐに、その均衡はあっけなく崩れ去った。

――――あの二人さ、自殺したらしいぜ。しかも同じ日の同じ時間に、全く別の場所でだってよ


【続】



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