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連載 - わが町のハンバーグ-43

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だれでも歓迎! 編集
「うぃ~…寒ぃ~…」ガラガラ
冬のある日の早朝。「レストラン うわさの産物」の店長の朝は早い。

「全く、何でこうも毎年毎年雪が積もるかね…関東だろここ?」シャコシャコ
店の周りの雪かき。冬季の店長の仕事だ。結構遠いところから車で来るお客さんも少なからずいるので、そういう思いやりを忘れないのがこのレストランだ。


……


「ま、こんなもんかね…」
数十分後、レストランの脇に、店長の腰くらいまでの高さの雪の山がいくつかできていた。
「さて、そんじゃ、仕込みでも始めるkギュオォォギュルル……ん?」

店に入ろうとふり返った店長の耳に、雪景色の学校町に似合わない爆音が聞こえてきた。

ギュオォォォォギュルルィ…

何の音だか全く判別がつかないが、とりあえずあたりを見渡してみる。すると…雪に埋もれた道路のあたりに、何かが見えた。
「ん?…んん?……えぇっ!?ひ、人!?え、こんな寒い中行き倒れ!?おい、大丈夫かー!?」

「…ぅ…ぅぅ…」「おい、大丈夫か!?一体何があった!?」
「ぅ…ぉ……す……」「何言ってるか全然わっかんnギュルルルリラルララギュオォォォォ……え?」
…何この音?え、この生き倒れてる少女?発生源これ?


「…おなか…すいたのれすぅ…」



………

「…そんな焦って食わんでも、まだまだあるからゆっくり味わってかみしめて食いなって…」
パクパクガツガツムシャムシャ「…で、行き倒れてたのを…?」「そのまま放っておくわけにもいかんだろ、どーせケーキが余ってるし、処理にちょうどいいかな~って」
「店長しゃん、このケーキ、まらありまふか?」「ん、おう…ってまだ食う気か!?」彼女の前には、すでに食べ終わったケーキの皿が十数枚。
「らって、こんなにおいひいもの、食べた覚えらいから…」「おk任せときな、遠慮せずどんどん食え!」
「…おだてに弱い…」


……

「はふぅ、ごちそうさまれした~」…最終的に、彼女の前には三十数枚もの皿が山積みになっていた。

「……信じられない…こんなに…」
こっちゃんが驚くのも無理はない。
少女が食べていたケーキ、「ミッドナイトケーキ」。クリスマス限定であり材料もダークマターという希少なものだったので五十個しか作ってない。
しかし売れたのは三個。十五個あたりはこっちゃんがサンタに投げつけた。故に三十個ほど在庫が余っていてどうしよう…という状態になっていたのである。

…まさか、それを一度に全て処理、いや食べてしまう人が現れるとは…


「しかし…どうしてあんなところで行き倒れを?」「…あぅ…あぅぁ…覚えてない…れす…」
「…じゃあどこから来た?家出でもしてきた?」「…うぅぁ…分かららい…れすぅ…」
しょんぼりとうつむいた様子で答える。
「いや、別に事情聴取してるわけじゃないからそんな申し訳なさそうにせんでも」
「ぁぅ…ごめんなひゃい…」
「……じゃあ、あなたの名前は…?」


「その…本当の名前は覚えてらいんれす……れも、『きゅう』ってよわれてたのは覚えてまふ」


「きゅう?あだ名みたいなものか?」「…ぅぅ、わかららいれす…れも、周りの人たちもみんら同じ名前れよわれてまひた」
「…周りも…?」こっちゃんが疑うような声をあげる。

「ひゃ、ひゃい!その、その人たちは思いらせないんれす…ごめんなひゃい…」
「気にしなくていい…別に、あなたの周りを聞こうと思ったわけじゃない…」「ぁぅ…」


「ちわーっす!食用ミミズ5kg持ってきましたー!」

おっと、すっかり忘れていたが今日は材料の仕入れの日だったな。そしてミミズの仕入れ人である昆虫少年も来る予定だったか。
最近のミミズバーグ用のミミズは昆虫少年に頼むようにしている。最初は拒否こそしたものの、ミミズバーグを食べさせようとしたら一発OKしてくれた。

「ふわぁー、これがミミズしゃんれふか~!」箱いっぱいにうねるミミズたちを覗き込み好奇心いっぱいの目を輝かせる少女。
「…えっと…て、店長。この娘誰?」困惑した様子で聞いてくる昆虫少年。

「実はかくかくしかじか…」「……は、はぁ…で、どうしようか、と。」「そう…家も分からないだし…何より…」


「「記憶喪失みたいなんだ…」」
店長とこっちゃんの声がシンクロする。いかにも困ったといわんばかりの顔で互いに顔を見合っている…



「店長しゃん!これ、食べられるんれすかぁ~!?」当の本人は箱の中のミミズに興味津々の様子である。


「…見る感じ、心の底では帰りたくないと思っているみたい…」「まぁそんなわけなんだ。どうすりゃいいと思う?」
「ん~……そうだね…ここで保護しとけばいいんじゃね?」

「……残念だけど、ここはもう住める場所がない…」適当に行った友人にこっちゃんが諦めたような雰囲気で反論する。

「いや、こっちゃんのスペース使えばよくね?」「…私はどうなるの?」

「俺のところに寝に来ればいい」


「!!?…私が…ま、守のところに…?///」…いろんな意味で予想外の回答だったのであろう。こっちゃんは顔を赤くして驚いている。
「おぅ、そうすればスペースは足りるだろ?…こっちゃんが嫌だっていうなら俺は店のソファでも寝るs「だだだ大丈夫…!全然構わない」


…このとき、昆虫少年の心には「ツンデレ乙」という言葉が浮かんだという。無論、俺もだ。


「じゃあそれでいいか。おーいきゅうちゃん、ってそれ食べちゃダメ!まだ下処理済んでないから!」「ぷぇ?」

見ると、少女はミミズを何匹か咥えこんでいた。…無知って恐ろしい…



……


「…というわけで、君さえ良ければここに住み込みで働く、という形で住んでもいいが…どうだ?」

「い、いいんれふか?ありがとうごらいらす!」ぱぁ、と屈託のない笑顔で店長達に感謝する少女。
「でもこの店で働くんだったらいつまでもきゅうって呼ぶわけにはいかないんじゃないか?」
「大丈夫…こっくりさんの名に懸けて、私が彼女に会う最高の名前を考える…!」グッ
親指を立てて自信満々の様子で友人に答えるこっちゃん。

…数分後…


「…というわけで決まったぞ」「い、いったい、どんあ名前に…?」


「あなたの名前は…これから、九野 雪歩(クノ ユキホ)」

「とりあえずきゅうと呼ばれてたらしいから名前に九を入れて、あとは雪の中倒れてたから雪っていう字を入れてみた」



「ぁぅ…わらひなんかのために…ありがとうごらいらす!かんひゃしてもしきれまへん!」ぺこぺこと頭を下げる雪歩。
「いいっていいって。これからうちの大事なメンバーになるんだからな」「そういうわけで…雪歩、これからよろしく」


「は、はいっ!よろしくお願いします!」



こうして行き倒れ少女雪歩がうわさの産物新メンバーとなった。
雪歩の過去の呼び名『きゅう』とは?雪歩はどこから来たのか?そしてなぜ雪歩は雪中で行き倒れていたのか?
謎だらけの少女がその後、メンバーをいろんなことへと巻き込んでいく…かもしれない 続く…



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