「うー!ステーキのおにーちゃん、あけましておめでとー!」
「お、お前も来てたか」
「お、お前も来てたか」
うーうー
コアラの絵柄が描かれたお菓子の箱を持った少年が、てちてちと「日焼けマシン」の契約者の青年と将門に駆け寄る
………流石に、子供が見ている前でセクハラはしないだろう
むしろ、しないと信じたい
そう考え、黒服はほっと息を吐きだし、警戒を解いた
…疑ってばかりも悪いとは思うのだが、この祟り神、油断できないから困る
コアラの絵柄が描かれたお菓子の箱を持った少年が、てちてちと「日焼けマシン」の契約者の青年と将門に駆け寄る
………流石に、子供が見ている前でセクハラはしないだろう
むしろ、しないと信じたい
そう考え、黒服はほっと息を吐きだし、警戒を解いた
…疑ってばかりも悪いとは思うのだが、この祟り神、油断できないから困る
…と、「幸せの眉毛コアラ」の少年がこちらに駆け寄ってきたせいだろうか
先ほどから、ちらちらとこちらの様子を窺っていたらしい子供達が、警戒を解いて望に駆け寄ってきている
先ほどから、ちらちらとこちらの様子を窺っていたらしい子供達が、警戒を解いて望に駆け寄ってきている
「おねーちゃんだれー?」
「でゅえりすとー?でゅえるしよー!」
「遊ぼうよー!」
「っちょ……仕方ないわね」
「でゅえりすとー?でゅえるしよー!」
「遊ぼうよー!」
「っちょ……仕方ないわね」
わきゃわきゃわきゃ
子供達に群がられている望
嫌がっている様子もないし、どうやらちゃんと相手をしてやっているようだし…大丈夫だろうか
どこか和やかなその光景に、黒服はやんわりと笑みを浮かべる
そして、ぐるり…改めて、この会場を見回した
子供達に群がられている望
嫌がっている様子もないし、どうやらちゃんと相手をしてやっているようだし…大丈夫だろうか
どこか和やかなその光景に、黒服はやんわりと笑みを浮かべる
そして、ぐるり…改めて、この会場を見回した
恐らく、昼時にはここに全員集まっていたのだろう
夕食時になれば、また集まって宴会状態にでもなるのかもしれない
今は、会場の隅で、小さな子供達がカルタや福笑いで遊んでいたり、カードゲームや携帯ゲーム機で遊んでいたりしている
そこに、秋祭り後の「首塚」主催の宴会の時に姿を見た覚えのあるシェフ姿の男性と、都市伝説であるらしい彼の契約者らしい男性が回って、飲み物を注いだりしてやっていた
以前、青年に話を聞いた所によると、普段のこの島の大人と子供の比率は、旧日本兵達を除けば大人:子供=3:7程度
…やはり、保護を訴えてくる者には、未成年が多いようだ
いや、「首塚」に保護を訴えてこなくとも、「組織」なり悪意ある都市伝説に襲われているところを保護された子供も多いのかもしれないが
夕食時になれば、また集まって宴会状態にでもなるのかもしれない
今は、会場の隅で、小さな子供達がカルタや福笑いで遊んでいたり、カードゲームや携帯ゲーム機で遊んでいたりしている
そこに、秋祭り後の「首塚」主催の宴会の時に姿を見た覚えのあるシェフ姿の男性と、都市伝説であるらしい彼の契約者らしい男性が回って、飲み物を注いだりしてやっていた
以前、青年に話を聞いた所によると、普段のこの島の大人と子供の比率は、旧日本兵達を除けば大人:子供=3:7程度
…やはり、保護を訴えてくる者には、未成年が多いようだ
いや、「首塚」に保護を訴えてこなくとも、「組織」なり悪意ある都市伝説に襲われているところを保護された子供も多いのかもしれないが
……と、そんな中
会場内に、黒服は知り合いの姿を見つけた
自分と同じ黒いスーツを身に纏った男性と、その男性の傍にいる小さな少女
向こうも、男性の方がこちらに気づいて、小さく頭を下げてきた
そして、少女が他の子供達と遊んでいるのを確認して…黒服に、近づいてくる
会場内に、黒服は知り合いの姿を見つけた
自分と同じ黒いスーツを身に纏った男性と、その男性の傍にいる小さな少女
向こうも、男性の方がこちらに気づいて、小さく頭を下げてきた
そして、少女が他の子供達と遊んでいるのを確認して…黒服に、近づいてくる
「…久しぶりですね。D-No,962」
「こちらこそ…お久しぶりです」
「こちらこそ…お久しぶりです」
黒服も、頭を下げる
…元・同僚だ
マッドガッサー騒動以降姿を消していた、ケムトレイルの契約者の少女の担当をしていた、D-No,427
「首塚」に保護されている、という噂は本当だったらしい
他の子供達と遊んでいる少女…ケムトレイルの契約者の少女が元気そうな様子に、黒服はほっとする
…元・同僚だ
マッドガッサー騒動以降姿を消していた、ケムトレイルの契約者の少女の担当をしていた、D-No,427
「首塚」に保護されている、という噂は本当だったらしい
他の子供達と遊んでいる少女…ケムトレイルの契約者の少女が元気そうな様子に、黒服はほっとする
「よく、「組織」を抜け出せましたね?」
「組織」の黒服は、基本、「組織」によって常に監視されている
この黒服のように特殊な事例がない限り、黒服達は「組織」を裏切り次第、抹消されるはずなのだ
…だが、このケムトレイル契約者の担当の黒服は今も生き延びている
黒服の疑問に、この元同僚はあぁ、と答えてきた
この黒服のように特殊な事例がない限り、黒服達は「組織」を裏切り次第、抹消されるはずなのだ
…だが、このケムトレイル契約者の担当の黒服は今も生き延びている
黒服の疑問に、この元同僚はあぁ、と答えてきた
「H-No,360がうまくやってくれたんです。「組織」を抜け出すなら今がチャンスだ、と助言してくれたのも彼なので」
…髪が伸びる同僚の姿を思い出す
随分と、あちらこちらにコネがあるらしい男である
彼ならば、可能なのかもしれない
随分と、あちらこちらにコネがあるらしい男である
彼ならば、可能なのかもしれない
「あなたは、「組織」を抜けるつもりはないのですか?」
「…私は」
「…私は」
元同僚の言葉に、黒服は小さく苦笑した
何故、「組織」を抜けないのか?
とても、不思議そうに言われたものだから
何故、「組織」を抜けないのか?
とても、不思議そうに言われたものだから
…内部から、「組織」を変えていきたい
「組織」を抜けない理由はそれ
……だが、今はそれ以外にも
「組織」内の者が、己の契約者を害しようとした時、その情報が手早く入る
その上で、「組織」に所属していることは、非常に有益だった
…実際の所、そう簡単に情報が引き出せるものではないのだが、この黒服、「組織」内に敵も多いが味方も多い
それゆえに、成功していることだ
………「組織」内に敵が多い事は自覚していても、味方も多い事をこの黒服は自覚できてはいないのだが
「組織」を抜けない理由はそれ
……だが、今はそれ以外にも
「組織」内の者が、己の契約者を害しようとした時、その情報が手早く入る
その上で、「組織」に所属していることは、非常に有益だった
…実際の所、そう簡単に情報が引き出せるものではないのだが、この黒服、「組織」内に敵も多いが味方も多い
それゆえに、成功していることだ
………「組織」内に敵が多い事は自覚していても、味方も多い事をこの黒服は自覚できてはいないのだが
「私はもう少し、「組織」を変えられないか…努力、してみます」
「そうですか…」
「そうですか…」
元同僚は、どこか同情したように、笑って
「せめて、あなたの無事を祈らせてください」
と、どこか申し訳無さそうに、そう黒服に伝えてきたのだった
「…おじさん、誰ー?」
「チャラ男が言ってた黒服ー?」
「味方?仲間ー?」
「チャラ男が言ってた黒服ー?」
「味方?仲間ー?」
わきゃきゃきゃきゃ
遊んでいた子供達が、黒服に興味を持ったのか、わらわらと群がってきた
圧し掛かってくる子供達に、押しつぶされそうになる
遊んでいた子供達が、黒服に興味を持ったのか、わらわらと群がってきた
圧し掛かってくる子供達に、押しつぶされそうになる
「っと…」
「あ、こら、お前ら。こいつを潰すなよ?」
「あ、こら、お前ら。こいつを潰すなよ?」
ひょい、と
黒服に圧し掛かってきていた子供達を、青年がそっと床に下ろし始める
きゃあきゃあ、無邪気な子供達
…もしかしたら、「組織」が奪っていたかもしれない無邪気さ
それらを前に、黒服は申し訳なさと、この子供達が無事でいてくれている事実に感謝する気持ちと、二つの気持ちが混ぜこぜになるのだった
黒服に圧し掛かってきていた子供達を、青年がそっと床に下ろし始める
きゃあきゃあ、無邪気な子供達
…もしかしたら、「組織」が奪っていたかもしれない無邪気さ
それらを前に、黒服は申し訳なさと、この子供達が無事でいてくれている事実に感謝する気持ちと、二つの気持ちが混ぜこぜになるのだった
オマケ
「おねーちゃん、チャラ男のお嫁さん?」
----ぶふぅっ!!
お子様の一人が発した言葉に、望は思わず、受け取っていたジュースを噴きそうになる
むしろ、ちょっと噴いた
お子様の一人が発した言葉に、望は思わず、受け取っていたジュースを噴きそうになる
むしろ、ちょっと噴いた
「ち、違うわよ!?」
「ほんとー?」
「ほんとー?」
違うに決まっている!!
何が悲しくて、翼の嫁でなければならないのか!?
望の反応に、質問してきたお子様…どうやら、双子の片割れらしい少女が、ほっとしたように笑う
何が悲しくて、翼の嫁でなければならないのか!?
望の反応に、質問してきたお子様…どうやら、双子の片割れらしい少女が、ほっとしたように笑う
「良かったー。それなら、あたしがチャラ男のお嫁さんになれるね」
え?
少女の言葉に、きょとんとする望
そうしていると、双子らしいその少女の片割れ…少年が、くいくいと、その少女の服の裾を引っ張る
少女の言葉に、きょとんとする望
そうしていると、双子らしいその少女の片割れ…少年が、くいくいと、その少女の服の裾を引っ張る
「駄目だよー、チャラ男はボクがお嫁さんにするんだから」
え?
こんなにちっちゃいのに、もうそっちの方向に?
こんなにちっちゃいのに、もうそっちの方向に?
「だいじょうぶよ、あたしがチャラ男のお嫁さんになって、あなたがチャラ男をお嫁さんにすればいいんだから」
「あ、そっか」
「あ、そっか」
大丈夫じゃない!?
…と言うか、ここの子供達の教育どうなってんの!?
この瞬間、激しく不安を感じた望なのだった
…と言うか、ここの子供達の教育どうなってんの!?
この瞬間、激しく不安を感じた望なのだった
終われ