「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と-10

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だれでも歓迎! 編集
 何故、こんな事態になってしまったのか?
 それは、誰にもわからない
 陳腐な言葉で片付けるなら、「運命」としか言いようがない出来事で
 だが、巻き込まれた当人達にとっては、それはただただ迷惑でしかなく、天災に巻き込まれたかのような、そんな突発的で迷惑極まりない、そんな出来事だった


 そもそもの始まりは、恐らく、この姉妹が街を出歩いていた事
 そして、姉妹が自分達の服装が恥ずかしいからと、人毛のない路地を歩いていた事

「…何だか、このような変わった服で出歩く事に、慣れてきてしまったであります」
「お姉、悲しい現実を突きつけないでください。ちょっと泣きたくなってきます…」

 どう見てもコスプレです、ありがとうございます、と言う服装の姉妹二人
 まぁ、それは二人に課せられた罰なのだから、仕方ないのだろう
 だが、あえて言うならば…罰として科せられている、その格好が不味かったといえるのだ

「…あの、お姉、視線を感じませんか」
「確かに、感じるであります。ドクターの視線とはまた違うけど…何だか、危険な気配を感じるであります」

 敵意は、感じられない
 だが、用心すべき気配のような気がして、姉妹は周囲を警戒した
 彼女たちに、戦闘能力はない
 万が一、戦闘行為を仕掛けられたならば、何とか逃げ出す方法を見つけなければならない

 ……視線の主は、すぐに見付かった
 それは、前方から歩いてくる、一人の女性
 …彼女達の知るドクターほどではないが、この国の女性としては長身な方ではないだろうか
 すらりとした背に、サイズが大きめの胸元
 露出を躊躇しないタチなのか、大きくスリットの入ったスカートからはちらちらと脚が見え隠れしている
 その癖して、その大きな胸元だけはガッチリと着込んでいるような、不思議な服装
 そんな女性が、前方から姉妹に近づいてきている

 …女性は、笑顔だった
 このうえなく、笑顔だった
 至福、とでも言うような表情
 何がそんなに幸せなのか、姉妹たちにはわからない
 …いや、わからなかった、というべきか
 本能は、わからないままでいたいと思っている

「………かぁいい………」
「「へ??」」

 その女性の呟きに対して、間の抜けた声をあげてしまったとしても
 それは、間違っても彼女達の罪ではないのだ

「み、みみみみみみ、巫女さん衣装……かぁいい…………お、おおおおおおおお、お持ちかえりぃいいいいいい!!!!!」
「「みゃあああああああああああ!!!???」

 女性が
 その、恐るべし瞬発力で、一瞬で姉妹に接近した
 ひょい、と
 次の瞬間には……姉妹の体は、持ち上げられた
 両腕にそれぞれ一人ずつ、軽々と女性は二人を持ち上げていた

 持ち上げて、何をするか?
 先程の、女性の叫びを聞けば、それは一目瞭然な訳で

「っちょ!!??ま、待って欲しいであります!?突然何でありますかっ!?」
「ゆ、誘拐犯!?こんな真昼間に!?この国では安全と水はタダ同然ではなかったのですかっ!?」

 突然の出来事に、姉妹はパニック状態である
 むしろ、パニックにならない方が、おかしい
 とまれ、女性は二人を抱えたまま、疾走しているわけで
 ……このままでは、本当にいずこかへと連れ去られてしまう

「こら、エリカ!」

 …そんな姉妹の前に
 翼を生やして、顔の上半分を仮面で覆った救世主が!!

「変な人が増えたでありますーーーーーっ!?」
「誰が変な人だっ!?」

 姉妹の、姉の方のある意味であんまりな、しかし、至極真っ当な突っ込みに、その救世主が盛大に異議の言葉を申し立てる
 ……否定できないのだから、仕方ない
 こんな真昼間に、顔の上半分を、まるでオペラにでも出てくる怪人のようなマスクで覆って目元を隠しているのだから
 変人以外の何物でもないだろう、常識で考えて
 だが、救世主たる彼からしてみれば…この仮面を纏ったこの姿が、自分の姿なのだから仕方ない

「とにかく!エリカ、いい加減誘拐未遂はやめろっ、って、うわっ!?」

 っひゅん!!
 風を切るような音が響く

 すんでのところで、恋人の容赦ない一撃を避けて、救世主…マステマは、冷や汗をかいた

「二人抱えたままでも戦える、ってか。畜生、相変わらず規格外だな、その状態は」
「はぁうぅ………邪魔しちゃだめぇ」

 マステマの言葉は、彼女が言う所の「かぁいいもの」を捕縛し、至福に浸っている彼女には届かない
 ……わかりきっていた事である、悲しいほどに
 かぁいいものを見つけると、どうにも彼女は理性のタガが外れる
 いや、これでもマシになってきているほうなのだ
 ただ…

(…どうして、都市伝説が絡むと理性が外れやすくなるんだよ、畜生)

 今、彼女に抱えられている二人も、きっと都市伝説か、その契約者なのだろうな、と
 マステマは諦めたようにため息をつきながら…目の前の暴走状態の恋人を、どう止めたらいいものか悩みながら彼女に対峙しているのだった



 少年、明日真は本日のたいくつな授業を終えて、家路についている所だった
 家に帰れば、契約都市伝説であり、恋人共言える恋路が待っている
 だから、早く、早く帰られなければならない

 ならない、の、だが
 そう言う時に限って、面倒ごとに巻き込まれてしまうものなのか
 それとも、近道しようと、路地に入ったのが不味かったのか

 っご、と
 真の足元に、何かが、否、誰かが転がって来た

「っ!?」

 突然のことに、やや警戒したように視線をやれば、そこには青紫の髪をして、背中から黒い翼を生やした…どうか考えても人間ではない、都市伝説らしき男がいて

「ぐ……さっきのは肘か、膝か、どっちなんだ…?」

 と、よくわからない事を口走っていた
 間違いなく、厄介事に巻き込まれる
 そう判断した真が、男が飛んできた、その方向に視線をやると、そこには二人の少女を抱えた女が一人
 どうやら、男は彼女の攻撃によって、倒れこんできたようだ
 ………えぇと
 女に抱えられている少女達の様子を、見るに

「…誘拐未遂?」
「まさしくその通りだ。本人にそんな自覚は一切ないけどな、畜生」

 よろ、と真の言葉に答えながら立ち上がった男
 ばさり、黒い翼がはばたく

「坊主、面倒に巻き込まれたくなかったら、さっさと立ち去れ」
「誰が坊主だ」

 男に反論しつつ、真は目の前の女性を睨む
 誘拐
 そんな悪事、止めなければならない
 そう、正義のヒーローとして
 立ち向かうべきである、真はそう判断したのだ

「はぁぁう………邪魔するの?するの??」

 至福の表情を浮かべている女性
 少女を二人抱えたまま……ありえない瞬発力で、駆けてくる

「っ!!」

 咄嗟に身構える……いや、身構えようとした、真
 だがそれは間に合わなかった
 ぱんっ、と
 乾いた音が響いて……真の体は、殴り飛ばされた

「っく!?」
「うぁっ!?」

 同時に、青紫の髪の男性も殴り飛ばされたようだ
 少女を抱え、両腕が塞がっているはずの状態で、どうやって!?
 理解する事ができず、殴り飛ばされたその体で、何とか受身を取って即座に立ち上がる

「く……やはり、都市伝説契約者か…っ!」
「それは間違ってない。が、彼女は都市伝説の力をまだ使ってないぞ」

 ………何!?
 青紫の髪の男の言葉に、やや衝撃を受ける真
 都市伝説の力を、使ってない?
 どう考えても、人間離れした動きなのに!?

「…その顔、信じてないな?だが、彼女が都市伝説の力を使ってたなら、俺たちはとっくに死んでるぞ」
「……どんな能力なんだか」

 目の前の女性は、先ほどと何も変わっていない状態だ
 息一つ乱さず、二人の少女を抱えたまま、軽々と動いている
 とにかく…あの少女達を、解放しなければ
 真は、この目の前の規格外の女性を相手に、どう対処したらいいものか…都市伝説の力を使ってもいいものか、悩む



 ……そんな彼らを
 やや離れた所から見つめる影が、一つ

「随分と、面白そうな事をやっているじゃないか」

 笛吹 丁
 本名はまた別にあるはずだが、それよりも彼の名前で浸透しているのは……「ハーメルンの笛吹き男」
 限りなく狂っていて、しかし、限りなく正常な殺人鬼

 彼にとって、今、愉快なバトルを繰り広げている一行の中に、見知った顔が二人
 そして、見知った顔ではないが、ナイスロリータが二人
 そして、どうでもいいのが一人
 …見知った顔の一人には、以前、あのナイスロリータ達のようにうっかりと誘拐されかけた経験がある為、できれば顔をあわせたくない相手では、あるのだが
 だが…これは、ある意味チャンスかもしれない

 あの女性の味方につけば、今この瞬間だけでも、味方についたふりをすれば
 うまくすれば、あのナイスロリータ二人を自分のものにできるかもしれない
 もしくは、あの女性から何とかしてナイスロリータを助け出せば、いい具合に自分のものにできるかもしれない

 やってみる価値はあるだろう
 あの女性は、以前、自分をお持ち帰りしようとしてきたのだ
 こちらには攻撃をしてこない可能性もある

 そう考え、彼は女性と、女性と戦っている男と少年の間に割り込んだ

 …決定的な誤算に、気づく事もなく

「まぁ、待て!ちょっと話がおぼわっ!!??」

 -------ッガ!!!
 飛んで来たのは、拳か?肘か?膝か?それとも脚か?
 それを判断する事は、この場にいる誰にも不可能であった
 何せ、それはほんの一瞬の出来事で
 盛大に殴り飛ばされたハーメルンの笛吹きは、どこぞに吹き飛ばされて……お空のお星様になってしまったのだから

 ハーメルンの笛吹きにとっての、誤算は
 この女性が、以前彼をお持ち帰りしようとしたのは、彼がネコミミをつけていて、なおかつ語尾に「にゃ」をつけて話したからであって
 別に、ノーマル状態は、彼女にとっての「かぁいい」対象ではなかった
 ただ、それだけの事である


 ---ありがとう、ハーメルンの笛吹き!
 君の悪事を、俺たちは忘れない!!!


(※) 上田は別に死んでいません。盛大に殴り飛ばされて、多分どっかのビルの屋上でばたんきゅ~してます



「…今、誰か割り込んできて殴り飛ばされたよな?」
「目の錯覚じゃないか?」

 男の言葉に、そう答える真
 そうだ、目の錯覚に決まっている
 自分が倒すべき、因縁の相手が、一瞬で殴り飛ばされて空の星と化したなど、そんな事があるはずはない
 全ては、目の錯覚なのだ

「……った、助かったでありますか?」
「とりあえず、危機は脱した…と、思いたいんですけどね」

 だが、その目の錯覚と判断した出来事は、チャンスだったのだ
 目の前に現れた障害を排除すべく、彼女は攻撃をしかけ…その、一瞬の隙をついて、少女二人は女性の腕を脱出した
 そう、解放されたのだ
 ならば、今、自分達がすべき事は…この少女達を、無事に逃がす事だろう

「俺達が時間を稼ぐ。その間に、逃げろ」
「い、いいのでありますか?見ず知らずの人に、盾になっていただくわけには…」
「見ず知らずだろうが何だろうが、助けると決めたからには、助ける……さぁ、行くんだ!」

 きっぱりと、そう言い切った真
 これはこれは正義の味方様で、と男が呟いた気がするが、気にしない事にする

「…申し訳ありません。このご恩は、決して忘れません………お姉、逃げましょう!」
「っりょ、了解であります!」

 駆け出す少女達

「はぁうぅ……逃げちゃ駄目ぇ」

 そして、その少女達を追わんと…駆け出そうとする女性
 真も男も、そんな女性を真っ向から迎え撃とうと構える
 …止められるのは、ほんの一瞬かもしれない
 だが、そのほんの一瞬だけでも時間稼ぎが出来れば…少女達は、逃げられる

 次に襲い掛かってくるであろう衝撃を、真達は覚悟して…


「……何か、凄い音が聞こえてきたけど……」


 ……女性の、後方から
 誰かが、この路地に入り込んできた
 それは、少女…に、見えた
 女物の制服を着ているのだ、それは少女にしか見えないだろう
 だが、真は理解する
 それは、少女ではなく少年であると

 遠目に見て、何故理解できたか?
 それは、単純な事である
 何せ、その少年は、真のクラスメイトだったのだから

「あ、あれ。明日君?それと、初詣の時に顔を合わせたお姉さんとお兄さ……」

 ……くるぅり
 ゆっくり、ゆっくりと 
 女性は、女装少年に向き直った
 びくんっ!!と、かすかに怯えたように、少年は体を跳ねらせる

 …以前、この女性の被害に、女装少年はあっている
 ゆえに、女装少年の本能が警告する…………「今すぐ、全力で逃げ出せ!!!」と

「っじょ、女装少年…はぁう、かぁいい……!」
「んなっ……どうして、またこいつのかぁいいセンサーに反応するような奴が現れるんだ畜生っ!?」

 男が、頭を抱えたくなるようにそう叫ぶが、時既に遅し
 女装少年は、己の契約都市伝説の力を使って、この場を逃げ出そうとした

 だと、言うのに

 ふわり
 女装少年の体が、浮かび上がる

「お持ち帰りぃいいいいいいいいいい!!!!」
「えぇええええ!!??」

 ---馬鹿な!?
 既に、走り始めていたのだ
 人間の脚力で、追いつけるはずがない!?
 ありえない事態に、女装少年はパニックを起こしかける

 …女装少年が、知る由もない
 この女性は、一定条件を満たす事によって…その身体能力を、人間の限界を変えて強化させる事ができる事に
 都市伝説の力すら借りず、そんな理不尽な事をやらかすその状態の彼女は…その状態でなれば、かのマ神相手ですら、互角で戦える、その事実を
 まさか、知る由もなかったのだ



「……あぁああ!?やってしまった!?」

 女装少年を抱え、疾走していく恋人の姿に…マステマは、盛大に頭を抱えた
 自分達がふさいでいた道とは、完全に逆方向に駆けていっている
 彼女を妨害するものは、存在しない

 ばさ、と翼をはばたかせ、マステマは飛び上がる
 とにかく、彼女を正気に戻さなければ
 誘拐とか、本当に洒落にならんだろう、色々と!

「…変な事に巻き込んで悪かったな、坊主。それじゃあ!!」

 ばさ!!と
 空へと飛び上がっていくマステマ
 こうなっては、飛ばなければ彼女に追いつけない
 真に軽く謝罪の言葉を告げて、マステマは勢いよく、彼女を追いかけていくのだった



 …何だったのだ、一体
 後には、呆然とした表情の真だけが、ただ一人残されてしまったのだった







終わってしまえばいいんだ





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