中央高校での決戦より三日後 「首塚」本部にて
…マッドガッサーが、将門と交渉していたのと、ほぼ同時刻
「首塚」本部内、浴室(岩風呂)にて……
「首塚」本部内、浴室(岩風呂)にて……
「本当にいいのか?」
「あぁ」
「あぁ」
「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者に背を向けて、頷く「13階段」の契約者、広瀬 辰也
上半身に纏っていた衣服は全て脱ぎ去っていて……
上半身に纏っていた衣服は全て脱ぎ去っていて……
…背中に刻印された「H-96」のナンバーが、晒されている
「お前なら、ピンポイントでこの部分を焼けるだろ?」
「……まぁ、その気になりゃできるけどよ…」
「……まぁ、その気になりゃできるけどよ…」
「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力の、応用
能力発動時、急上昇する体温…触れれば、相手を火傷させるほどのそれを利用し、触れた部分だけを焼く
そう言う事を、この「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者たる日景 翼は可能である
能力発動時、急上昇する体温…触れれば、相手を火傷させるほどのそれを利用し、触れた部分だけを焼く
そう言う事を、この「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者たる日景 翼は可能である
だが、まさか
その能力を、こう言う事に使って欲しい、と頼まれるとは
その能力を、こう言う事に使って欲しい、と頼まれるとは
「…この、「H-96」の刻印を、焼いて消してくれ」
マッドガッサーに付いてきて「首塚」にやってきた辰也
彼の目的は、翼に会って…先程の台詞通り、この背中の刻印を、焼いて消してもらう事だった
彼の目的は、翼に会って…先程の台詞通り、この背中の刻印を、焼いて消してもらう事だった
広瀬 辰也にとっての、忌まわしい過去
背中の刻印は、その象徴とも言える
もう一つの象徴でもある、己が受けた実験データすらも詰まった「組織」のHナンバー関連実験の投薬データのコピーを「第三帝国」に渡した事により、ある程度己の過去に踏ん切りがついた辰也
背中の刻印は、その象徴とも言える
もう一つの象徴でもある、己が受けた実験データすらも詰まった「組織」のHナンバー関連実験の投薬データのコピーを「第三帝国」に渡した事により、ある程度己の過去に踏ん切りがついた辰也
その過去を、完全に振り切るために
それは、彼にとって、必要なことだったのだ
それは、彼にとって、必要なことだったのだ
辰也の頼みに、始めは途惑っていた翼だったが…こうも熱心に頼まれては、断れない
「わかったよ。ただ、相当痛いぞ?」
「…覚悟はできてる」
「…覚悟はできてる」
--能力を発動する
急上昇していく体温
右手に、意識を集中して…
急上昇していく体温
右手に、意識を集中して…
じゅうっ!!と
右手が、辰也の背中の「H-96」の刻印に触れる
皮膚が焼け焦げる匂い
激しい熱さと痛みに、辰也は唇を噛み締め、耐える
右手が、辰也の背中の「H-96」の刻印に触れる
皮膚が焼け焦げる匂い
激しい熱さと痛みに、辰也は唇を噛み締め、耐える
感じた熱さは、ほんの一瞬
すぐに、翼が能力を解除し、用意しておいた水を、辰也の背中にかけてくる
すぐに、翼が能力を解除し、用意しておいた水を、辰也の背中にかけてくる
「大丈夫か?」
「……あぁ」
「……あぁ」
じくじくとした痛みを感じる
暫く、仰向けに眠る事は不可能だろう
暫く、仰向けに眠る事は不可能だろう
「「蝦蟇の油」か何かで…」
「…いや、それで治したら……また、刻印が浮き出てきちまう…」
「…いや、それで治したら……また、刻印が浮き出てきちまう…」
だから、ダメなのだ
自然治癒に任せるしかない
自然治癒に任せるしかない
「…悪いな、面倒な事頼んで」
「いや、力になれたなら、それでいい」
「いや、力になれたなら、それでいい」
翼からしてみれば、相手は親友の仲間である
その力になれたのなら、悪い気はしない
その力になれたのなら、悪い気はしない
ただ、他に方法はなかったのか、と
ほんの少し、考えて
ほんの少し、考えて
(……いや)
これが、辰也なりのけじめなのだろう、と気づく
他に方法があったとしても、きっと、彼はこの方法を選んだのだ
他に方法があったとしても、きっと、彼はこの方法を選んだのだ
広瀬 辰也の背中から、「H-96」の刻印が消えた
これにて、「組織」内のHナンバー関連の実験の証である刻印は…この世から、消えた
これにて、「組織」内のHナンバー関連の実験の証である刻印は…この世から、消えた
---刻印、は
to be … ?